2024年3月の出来事


写真:小さく控えめで可憐なツルナの花.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

7日

ツルナの花が咲きました.
南房総の海岸に静かに目立たずに真っ先に春を告げてくれる海浜植物ですが,なにしろ花が目立たずだれも気に留めません.
南房総といえば早春の菜の花でしょうか?
しかしもともと南房総の早い春を告げていたのは昔から海岸に咲いていた黄色い花といえばツルナでしょう.
南に面し,暖かな黒潮の流れにも接した海岸を探せばその花は案外よく見つかります.
ツルナは太平洋全体に分布するそうでニュージーランドの海辺でも普通種だそうで英名はNewzealand Spinachです.
海の上を種子が漂いながら流れ着いた土地ですくすく育つ姿を想像するとこの地味な植物の強さが感じられます.
当日の投稿


写真:今年もコチドリがやって来ました!

13日

少し前に館山湾の海岸に漂着していた小さな魚です.
腹に発行器が並んでいるので深海生活の種という事がわかりますが,種は全く分からないので持ち帰り観音崎自然博物館の 山田和彦さん に写真を見て頂き同定していただきヤベウキエソと判りました.
大写しで見ると発光器がズラッと並んできれいです!光ってるところを見てみたいですね.
ヤベウキエソの標本は無いそうなので観音崎自然博物館に送って研究用飼料として頂きました.
将来的に研究で少しでも役立つと嬉しいです.
南房総の海辺を見て歩く時間の多い生活ですので,こういった経緯で過去に様々な海の生物の標本を博物館などに送っていますが,特にリストアップしていなかったため,どんなものをどれくらいどこへという記録がありません.
前後のメールのやり取りなどから,そういった過去の研究資料提供物のリストを作った方が良さそうな気がしてきました.
博物館の中にも標本のデータベースはあるはずと思いますが,南房総の資料として送ったものがどこにあるのかを検索出来れば何かと便利そうです.
特に多いのはストランディングしたクジラの付着生物や表皮などだと思います.
当日の投稿

13日

友人から大切な図鑑を譲り受けました.
「牧野新日本植物図鑑」です!!
いつか欲しいと思っていましたが,まさかこんな形で入手するとは.
解説も絵もなんとも良い感じです.
この本は第22刷昭和47年のもので,そのシーカヤッカーの友人は私と同級生なので彼が3歳の頃にお母さまが買った本です.
昔の本が好きな自分には傷み具合も嬉しいです.
植物の好きだった友人のお母さまにはカヤックに乗りに行く前に彼を迎えに行ったりして幾度もお会いするご縁でした.
南房総でご夫婦でカヤックにも乗って頂いたこともあります.
遺品ですから大切に致します.
それにしても分厚い!
当日の投稿


写真:1995年頃の根本海岸で波乗りの練習に出ようとしている,わたくし藤田.
この頃にウミガメの調査を始めていれば+5年前からの記録が残せていたのですが...

16日

この日,僕のカヤックの元祖師匠(上記友人ですね)から,むかーーしのVHSをDVDに焼いてくれたものを送ってもらったので見てました.
僕が初めて買ったカヤック(中古の当時定番だった重~~~~~いポリエチレン艇,ニンバスのパフィン)に乗っていて,この場面は多分1995-6年頃つまり20代半ば.
この投稿に載せた海岸の写真はウミガメなどの調査で自分が最も関わって来た南房総白浜の根本海岸.
海岸沿いには家がまだない(奥の旧道には早くから家があり写っている)ですし,自分がウミガメの産卵やシロチドリの繁殖に気づく前の時代であります.
こんなビデオを撮ってあったのは師匠とお互いのサーフゾーンでのパドリング反省材料としてでしたが,今見るとバカみたいに体力があって怖いもの知らずの初心者という印象でした...とにかくカヤックで海にいればそれだけで幸せという時期でした.
他にも千倉や布良などでの映像もあって背景の様子の違いも興味深かったです.
近いうちにYouTubeにアップしたいと思います.
当日の投稿

16日

前日のカヤックツアーは,ご要望でスクール的に修正点などアドバイスさせていただきました.
意外なところに上手くいかない理由があったりしますので,いつもおひとりで漕いでいる方のパドリングチェックにもお気軽にご利用ください.
うちのツアーは基本,カヤックに乗りながら海辺の自然を愛でて知ってもらう事が目的ですが,その目的を果たすためには楽にカヤックを漕げるようになってもらうという事も含まれます.
スクールではないですが,漕ぎながら,自然を楽しみながら気づけば上手になって,カヤックに乗りながら自然を十分に満喫できるようになっていただきたいと思っています.
そして,気付けばカヤックを漕ぐことが楽しくて仕方がないという風にお客さんがなっていった場合には,その上を目指せるようにスクール的に操船をお伝えする事も出来ます.
ツアー形態が1日1組という事もあり,当方のお客さんは千差万別です.
ご自分に合った楽しみ方を探しながら長く楽しんで頂きたいと思います.
海が厳しければ中止ですし,参加者に合った範囲で無理なく催行していますので,お気軽にご参加ください.
それにしても個々の海は水の色がいつもきれいです.
この日は前日の強風で海面には木の葉が沢山でした.
当日の投稿


写真:シロチドリを先頭にメダイチドリとミユビシギが一緒に飛翔.

18日

4月6日に館山中央公民館で自身による主催でスライド講演致します.(しました)
「海岸生物に配慮した次世代ビーチクリーンの可能性~南房総の砂浜海岸に生息する絶滅危惧種を含む貴重な動植物~」というタイトルです.
自主催行は滅多にやりませんが,今回はビーチクリーンの季節を前に気がかりだったチドリの繁殖をはじめとした海岸生物への影響についてお話ししました.
ビーチクリーンで知らずに影響を与えている可能性のある砂浜海岸に生息する生物をご紹介させていただき,それらにどう対処していくかを考えて頂く機会にしたいと考えています.
午後で参加無料です.
開催日:2024年4月6日 13:30開場 15:30終了
場所:館山市コミュニティセンター(中央公民館)1階 第1集会室
予約・受付:予約はありません.当日第1集会室入り口で受付をお願いいたします.
対象:中学生以上

P.S.無事終了いたしました.
なんと東京から白浜ライフセービングクラブのメンバーはじめ,鋸南町,鴨川市などからもご参加頂き,約50名ほどの方に聴いて頂きました.
本当にありがとうございました!
そして4月30日のゴールデンウィーク中日の平日夕方からの再演を決定いたしました.
前回週末の日中という開催でしたので,お仕事柄ご参加頂けなかった方も多かったようでしたので.今回あらためて参加ご検討いただければ幸いです.
詳細は こちら をご覧ください.

また南房総エリアで同様の内容での再演をご希望頂けると嬉しいです.
会場,プロジェクター,参加者へのご案内などをして頂ける場合でお願いいたします.
プロジェクターは貧弱なものは持っているので,あまり広くない会議室や集会場のような会場で遮光カーテンなど光の調整ができればプロジェクターのご準備なしでも催行可能ですが,できればスクリーンか白い壁があると良いです.
千葉県南部であれば交通費をお願いして,その他費用は戴かない事にしました.
海の生き物の現状が心配ですので,少しでもして頂く機会を増やしたいと考えています.
特に館山市内外周辺であればお気軽にご相談ください.
当日の投稿


写真:平砂浦の砂丘上から見る海はいつも劇的です.

19日

そういえば。
もし砂浜で地震を感じたら液状化に気をつけて下さい。
足が砂に沈みます。
僕はいつだかの大きな地震の次の日に砂浜に行ったら部分的にまだ液状化していて足首まで沈んだ経験があります。(次の日で!)
知り合いの方は揺れた時に砂浜にいて、もっと沈んだそうです。
そうなると歩けなくなって津波が来ても避難できなくなります。
揺れたら即時砂浜から離れて下さい。
最悪這うのが良いかもしれません。
その知り合いの方は海に浮いて硬い場所まで泳いでいって助かったと聞きました。
カヤックの人も上陸して山に逃げようとして砂浜で足を取られるという場合があるかもしれません。
本当はその御本人の体験談が良いのですが。
当日の投稿

23日

昨日(3/22),コチドリを太平洋岸,東京湾(館山湾)岸で今年初めて確認しました.
太平洋岸の繁殖地にはシロチドリも集結し始めました.
さあ今年は彼らの幸せが保てますかどうか!?
当日の投稿


写真:海岸の窪みで冷たい北東風を避けていたシロチドリ.
ヒトの足跡の窪みが好きですね.

26日

雨ばかりで助かります.
パソコンでやらなきゃらない事がある時には.
7/6のイベントで使う写真を探したり,参考になりそうなものを少し読んだり.
昨日は雨が止んだ頃に一昨日情報を頂いたウミガメの漂着を記録してきたり,天気に合わせて動くのはいつものことなので.
そういう意味で案外雨は好き.
写真の冊子Ebuchebは OWS から送っていただいているもので,いつも勉強になっています.
海洋ゴミに関する事がちょうど書いてあるのをいくつか.
むかーし「 海のトークセッション 」で講演をさせて頂いたご縁です.
いつもありがとうございます!
当日の投稿

30日

某海岸にスナハマハエトリとコチドリチェックしに行ったら久しぶりにイルカの耳の骨拾いました.
欠けてますけど.
ここのところスナハマハエトリの観察はずっとやってないかったのですが見始めると面白くて止まらなくなってしまいます.
コチドリはご不在でした.
当日の投稿


写真:館山の海岸で時々見つかるイルカのジコツ,もしくは布袋石.
欠けているので所謂その特徴的な姿ではないもの.

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 2024年2月の出来事



写真:今年も某漁港にやって来たミユビシギの群れのうちの2羽.
50羽ちかい群れでスロープに生えた海藻で何かを採餌しています.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

1日

『レスポンシブル・カンパニーの未来:パタゴニアがこの50年で学んだこと』イヴォン・シュイナード/ヴィンセント・スタンリー著の日本語版が出ました!
「伝統的資本主義が人びとや地球のためにもはや機能していないこの時代、なぜ、どのようにしてビジネスの構造を再考すべきかという、シンプルかつ力強い助言。パタゴニアの企業理念ディレクターであるヴィンセント・スタンリーとパタゴニアの創業者であり元オーナーのイヴォン・シュイナードは、同社での50年の経験をもとに、文化と気候が混沌としている今の時代、ビジネスを再考することを企業経営者やリーダーに迫る。」(パタゴニアホームページより)といった内容です.
私がこの前作の「レシポンシブル.カンパニー」を読んだのは出版されて間もない2013年でした.
10年前ですが,カヤックツアーを行っている自分がこれを読む必要性があるのかどうかは読んでみてすぐに「必要」と分かりました.
元々パタゴニア社のファンですので,更に前に創業者のイヴォン・シュイナード氏によって書かれた「社員をサーフィンに行かせよう」なども愛読していましたので,パタゴニアの経営理念や仕事に対する考え方は共感する事が多かったので,それら全ての本で共通している「環境を考えないで仕事ができるはずがない」というような考えに強く賛同していますので,内容もスッと入って来るようなものでした.
過去30年ほどパタゴニアの製品を使って,カタログも毎号読んでいましたので,そこに書かれていた事,製品の環境に対する最善を尽くしたカタチから理解していたものが,まとめられて本になったという感じでした. つまり,過去のカタログ(と製品の環境ポリシー)が既に環境に対する考え方を啓蒙するものであったという事で,パタゴニアが訴えてきたことを聞いていると自然に環境に対しての新たな視点が自分にも加えられて行くという事を感じていました.

私が最初にパタゴニア製品を買ったのは,全くのたまたまで,カナダ西海岸のバンクーバー島を自転車でツーリングしながらクジラを見て巡る旅に出た時でした.
当時22歳でしたが,学生時代は全く勉強を真面目にしていなかったので英語が全くと言えるほど話せない状態での初めての海外,そして一人旅で,バンクーバーで飛行機を降りました.
当時はインターネットもありませんから,「地球の歩き方」という当時ひとり旅行に行く若者の必須情報源を頼りにユースホステルとキャンプ場を利用しながらの旅でした.
気候はだいたい調べていたわけですが,到着した8月の末は既に思った以上に涼しく,ろくな衣類を持ってきていなかった私はアウトドアショップを探しました.
バンクーバーの都市部から外れたエリアで主に居住区となっている地域の通りにあったアウトドアウェアが並んでいる店に入りました.
そこでセールの籠に入っていたのがパタゴニアのアンダーウェアでした.
実は私はそれ以前はオートバイのオフロード競技をやっていて,学校では身体を鍛えるのにちょうど良いだろうと考えてワンダーフォーゲル部に入っていたのですが,アウトドアというカテゴリーはあくまでバイクの練習や競技で遠出する時に車中泊する場合に便利な道具をアウトドア関係のものから探したり,あとはワンゲルですから,山登りのお店には行ったことがあるので,そこでどんなものがあるのかは知っていましたが,なにせ古臭い考えの部でしたので,ニッカポッカにキスリング,ホエブスといった古典的な道具を使うよう指導されていた為,最新の衣類には疎かったのでした.
むしろオートバイの競技のウェアでは当時丈夫で乾きやすい化繊の素材が主で,一部ゴアテックスなども使われていたりしましたが,今考えるとそれほど快適なものではありませんでしたがその時代の最先端の素材が用いられていたわけで,当時使用していた山登りの原初的なウェアと比較してみると50年くらいの開きがあったのではないでしょうか? しかし実際は市場に先端技術を用いたウェアがあったのですから,私のいたワンゲルの先輩方の脳みそが古かっただけとも言えますが...
ですから山登りのような,当時アウトドアという言葉ではあまり表現されていなかったような世界にも,もっと良いものはあるらしいという事はワンゲルの友人の話から少し分かっていましたが必要を感じていなかったのでした.
今考えればオフロードバイクのウェアは当時の最新の登山,もしくはアウトドアの衣類を使えばむしろ快適だったはずです.


写真:この日は海浜植物の記録を取るために自転車で海岸を走りました.

そんなわけで,特に知識なくアウトドアウェアと言えるものはほとんど持たずに出かけたカナダでパタゴニアというセール品を見つけたのでした.
これから旅行でお金がかかるのでサイズは合っていないけれど安くなってるし,着るものは必要という事でパタゴニアのキャプリーンというアンダー上下とシエラデザインズというブランドの,これまた売れ残りでサイズの大きなフリースを買いました.
フリースは当時まだ日本で着ている人は見たことがありませんでした.
毛布みたいな服で暖かそうだと思いましたが,実際に旅行中は随分これに助けられました.
道中で風邪をひいて一日テントで寝込んだ時も助かりました.
当時はまだ若かったですので,身体が丈夫で寒さにも強かったので,このアンダーとフリースを着てればどこに行っても寒くないなと思うくらいでした.(そういえばこの時フリースという言葉も知らずに着ていました)

こんなわけで,たまたま買った初めてのアウトドアウェアのひとつにパタゴニアが混じっていました.
パタゴニアのタグを見て,少し前に読んだ椎名誠の「パタゴニア」が浮かんで,あの厳しい環境のパタゴニアにある会社が作った下着ならよほど暖かいのだろうと思ったのが懐かしいです.(パタゴニアが南米のパタゴニアにある会社ではない事を知ったのはいつだったろう?...)
日本に帰ってからシーカヤックを本格的に始めようとした時に,今度は先の友人と同じく高専時代の同級生でアウトドアショップに勤め,なんと知らぬ間にシーカヤッカーになっていたサイトウくんと会う機会が増えました.
サイトウくんはアウトドアショップで様々な最新の道具やウェアに囲まれて生きていましたので,非常に情報量が多く,そういうのに疎い自分には大変参考になりました.
特にその後実際にシーカヤックを始めて感じたのは着ているものが場合によっては生死を分けるという事でした.
実際,初心者の頃に春の風吹く館山湾を漕いだ時にハイポサーミアになり,ひとりで漕いでいましたし,当時ひとり暮らしでしたし,今思うとかなりヤバかったという経験をしています.
この時,感じたのが上記のことでした.
寒さに強かった(つもり)の自分でしたが,それ以降はウェアについてかなり慎重になりました.
その頃既にサイトウくんの勧めを聞きながらパドリング関係のウェアを少しずつ揃えていきました.
その当時パタゴニアがカヤック関係のウェアも作っていたので,シーカヤッカーご用達のスカノラックはじめパタゴニアのウェアも含まれていました.
パタゴニアは今ではサーフィン用のウェットスーツを随分作っていますが,当時はむしろサーフィン用は無く,パドリング用のものだけでした.
パタゴニアのウェアは丈夫で温かく,デザインの細部も拘っていたり色などのセンスも独特で好みでした.
実はサイトウくんもワンゲルのサカイくんも工業デザイン学科時代のクラスメイトで,私も自動車やオートバイのデザイナーになりたいと思ってその学校を選んでなんとか入学したのですが,デザインが好きなだけではデザイナーになれなそうだと感じてだんだんとそれを諦めてしまい学生時代はろくに勉強せずオートバイの競技に一生懸命だったという感じでした.
そんなこともあって,もともとデザインについて考えるのは好きなのです.
衣類のデザインはファッションとして捉えられるのが普通で,つまりオシャレについては全くどうでも良い自分にとっては興味の対象ではありませんでしたが,パタゴニアのウェアは本来実質的であるはずのオートバイのウェア以上にそのカタチがファッションではなく工業製品と同じような考えと発想でデザインされているという事が明確で,それも好きでした.


写真:越冬中はのんびりしていたイソヒヨドリも繁殖シーズンを前に段々と活発になってきました

そんな感じで私がパタゴニアを知り始めた頃がちょうどパタゴニアがペットボトルのフリースを発売した頃で,それはかなりの驚きだったのですが,自分が買う必要のあるパドリングウェアにはまだリサイクル素材は用いられていませんでした. そしてやはり衝撃的だったのは1996年以降のオーガニックコットン製品の展開でした.
コットンのオーガニック生産の必要性について詳しく説明してあったパタゴニアのカタログを見て,とても納得したと同時に今まで履いていたジーンズやTシャツにそんな背景があると知って驚き,そして嫌悪感が湧いてきたのもよく覚えています.
それ以降,出来るだけパタゴニアのオーガニックコットンを選ぶようになりました.
買い物は投票であるという考えは現在だいぶ定着してきましたが,オーガニックという言葉もいまひとつ知られていなかった,その時代に先進的な環境基準の製品を選ぶ意味を知ることが出来たのはパタゴニアの啓蒙と製品があったからです.
ですから大袈裟なようですが,「未来のものを今手に入れた」という感覚がしました.
そして「未来の考えも知ることが出来た」と感じました.
実際,30年近く経った今の時代をみれば,それが大袈裟でない事は確かめられます.
もちろんオーガニックだからといって着た時にも見た目にも何か違うわけではないのですが,その中に込められた事実と苦労とヴィジョンからそれが革新的なものとして強く感じられました.
その頃に買った頑丈なワークシャツは今でもよく着ています.
1999年のパタゴニア目白店の10周年記念イベントで関係者たちの前でイルカとカヤックの話をさせていただいた時にパタゴニアに敬意を表する意味でそれを着たのも懐かしい思い出です.
私の方はちょうどシックスドーサルズの開業した頃で,週末は館山,平日は東京と行き来しながら暮らしていた時期でしたので,目白店には時々買い物に行って店員さんと仲良くなった頃でした.
それでちょうどイベントがあるので「イルカの話を」という事になったのでした.
店員さんとイルカの話になったのは私が色黒だったからだったような記憶があります,たいていそのパターンなのですが「なにかスポーツをやっているのですか?」という話のとっかかりになるわけです.
その時代に色黒というとサーフィンかスキーかゴルフといったところでしょうか.
私が「シーカヤックで,館山で,イルカがいますよ」といった事を話すと,なんとその店員さんもシーカヤックをする方だったのです.

その店員さんがその日「ちょうど御蔵島でイルカを調べているところから冊子が届いてますよ」と見せてくださったのが御蔵島イルカ研究会の発行した個体識別調査に関する小さな本でした.
そして,ページを捲っていくと御蔵島からいなくなった個体のリストと写真がいくつか載っていました.
それはとても小さな写真でしたが,館山にいる個体にそっくりな傷が見えたのでした.
それを基に御蔵島の研究会と連絡を取った事で館山にいたイルカのうち4頭までが御蔵島出身だと判明したのでした.
そんな不思議な出来事が起きたその時に目白で買ったペットボトルリサイクルのフリースも今でも部屋着として着ています.
その後は幾度もパタゴニアのスピーカーシリーズで他店舗含め,南房総でのイルカとカヤック,ウミガメの産卵の話などをさせていただきました.
おかげで人前でお話しする事にも慣れて,その後の活動に随分と役立ちました.
そんな風な縁もあってパタゴニアを長年愛用していますが,なによりその環境に対する姿勢を崩さず,むしろ細部まで探求している姿には本当に敬意を持っています.
このレスポンシブル・カンパニーの著者のひとりヴィンセント・スタンリーさんには幸運なことに同業者の紹介でお会いする機会を得ました.
南房総でのウミガメの産卵調査に関する話を食事をしながらさせていただきましたが,大変喜んでくださっていて,この活動に賛同の意を示してくださいました.
その時に著書に書いて下さったサインには「with respect, admiration and gratitude for what you are doing to defend nature in the place you love」,「あなたが愛する土地の自然を守るために行なっていることに、敬意と賞賛と感謝を込めて」と書いて下さいました.
今もこれを見る度,自分がやってることはきっと無駄にならないと思うことが出来,本当に心強く感じています.
あれからずっとパタゴニアが変わらずに,同じところを貫いている姿を見る度に,「地球環境をなんとか維持しながら生きていけないものかと出来るだけの事をやってみる」という姿勢を学び,自分の活動とツアーでも出来るだけそれを倣ってきたつもりです.


写真:富士山と平砂浦の美しい波.

製品としてそれを形にすることは,ソフトを売っているカヤックツアーでは出来ないですが,うちの場合はツアーと並行してローカルエリアの海岸環境を記録し,問題のある改変が起きた場合には役所などへ質問したり,講演の依頼を頂いた時やツアーの中での自然物紹介の中などで啓蒙の機会を設けるようにしてきました.
またツアーを少人数制にしている利点が環境負荷を減らす事に役立っていると考えています.
数十人のツアーでどこかの砂浜に上陸すれば,まずそこを訪れる人々に圧迫感を与えますし,ビーチコーマーには邪魔になりますし,景観を撮影する写真家の方には被写体を台無しにするということもありますから,海岸にズラッとカヤックを並べるという事もありません.(ただ大学の授業で行ったカヤックの実習では稀にそういう場面がありましたが...)
これはヒトに与える環境負荷というか不快感ですから実は二の次なのですが,実際にはその環境に暮らす生き物への配慮が第一としての配慮となっています.
シーカヤックで上陸する海岸は出発地になりやすい半人工環境に比べ自然度が高く,大小様々な生物の生息地になっています.
事前にツアー業者がアセスメントのための調査を行うケースは少なくとも日本では無いでしょう.
であれば,最低限のサイズでツアーを行い上陸前にも上陸地の海岸に我々が負荷をかけてしまう可能性のある生物の棲息がないか,特に繁殖を行っていないかを探ったうえで上陸するマナーが必要です.
それは事前の日常的な調査と当日現地での確認で二重に行ってもまだ心配なくらいなものです.
楽しくシーカヤックで上陸した素晴らしい海岸で例えばチドリの卵や雛を誰かが踏み殺してしまったらどうでしょう?
そのツアーは台無しです.
生きているだけで生き物の負担になっているヒトという生き物の姿を省みる機会にはなるでしょうが,希少生物を殺した事は取り返せません.
シーカヤッキングに限らず,アウトドアアクティビティにはどれも全てそういったマイナスの問題が加わる可能性があります.
それをまず簡単に良い方に変えられるのはツアーサイズを抑える事です.
数が少なければ気づかずに問題を残す確率は自然と低くなります.
ツアーサイズを抑える事で顧客の安全も高まり,コミュニケーションも深くなります.
サイズを抑えれば儲けは少ないですが,消費も少なく済みますし,柔軟性も維持できます.
何人も雇って,何十人もの参加者が海の上を人力で往くというアクティビティで稼ごうと考えるのはプレッシャーが大きくなり危険です.
多少海が厳しい日でも経営の為に危険な海でお客さんに頑張ってもらうということが,どこかで起きていないでしょうか?
小ささを維持する事で環境にも良いツアーになるのですし,顧客に対しても自然とレスポンシブルになれますし,いろいろな意味でサスティナブルに近づけるという事になると考えています.
それに加えて日常的なフィールドの調査があれば尚良いですし,その延長でそこに棲息する生物の知見を蓄え,その生息環境に問題が起きれば,それまでに蓄えたものがその生き物の保全にすぐにフィードバック出来る事になります.
こういった役目が現地自然ガイドにはあると考えています.
観光バスのガイドさんが時々研修で観光地の勉強をしに来ている様子を見かけますが,自然ガイドがそのレベルではそもそもそのフィールドを知らな過ぎているわけでツアー運営の安全を十分に確保できないはずです.
その点でもローカルエリアだけを案内する意味があります.
ガイドが時々しか行かない場所を付け焼刃で案内するのは無責任ではないかと考えて,シックスドーサルズでは南房総エリアだけでガイドを行っています.
このような考えに至ったまでに,この「レスポンシブル・カンパニー(責任ある会社)」にはとても影響を受けたと感じています.
「レスポンシブル・カンパニーの未来」パタゴニアオンラインショップ
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写真:四半世紀前のシャツに書かれた未来.

6日

カヤック日記更新致しました.
だいぶん更新が遅くなり12月の分です.
ホームページ内
Bloggerにも掲載してあります.
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
Blogger
どうぞよろしくお願い致します!
写真:この冬,毎回同じ場所で見かけるダイゼンたち.
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8日

冬も元気なツルナ群落を見ると肥料となる海藻が沢山絡みついています.
受動的に摂取するだけでなく自らに海藻を絡めて捕獲しているようにも見えませんか?
葉表面のザラザラも一躍買っているような.
漂着する有機物を残さないと海浜植物が広がらず,結果として海岸の砂が定着しにくくなるので漂着物はとても大事です.
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10日

もうずっと更新していないホームページ内のストランディングのページに,自分の関わったザトウクジラの漂着についてまとめてみようかと思い立ち過去の写真を少し引っ張り出してみたのですが,思ったよりも時間がかかりそうです.(現時点で挫折中…)
ストランディング調査での自分の役目として出来るだけ新鮮な状態を観察し写真を撮れるのが海辺に住んでいる利点なので,可能な限り早く現場入りして鮮度の良い状態の記録を出来るだけ残すことと考えています.
標本については予め国立科学博物館の動物研究部(田島木綿子先生,山田 格先生)に必要を打診してから採取します.
そして標本は全て送ってあるので,写真以外手元にありませんので,見せてあげたくても見せてあげられませんので悪しからず.
いつか役に立ったら嬉しいです.
投稿した写真は外部寄生生物たちです.
ストランディングのページ(シックスドーサルズホームページ内)はこちら

以下の他にも冬のカヤック日記にはザトウの漂着について書いてあるページが結構ありますので,お暇な時に探してみてください.
2023/12のザトウの記事
2016/1のザトウ×2の記事
当日の投稿

10日

記録としてYouTubeに「漂着ザトウクジラ付着生物(オニフジツボ,ミミエボシ) 2023年12月18日 南房総市岩井海岸 + 2024年1月15日 南房総市和田浦海岸」をアップしました.
追記:これは勉強になります!「クジラに付着するフジツボたちについて」かめふじハカセの本草学研究室
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写真:まるで自分で餌(肥料)となる海藻をかき集めたかのようなツルナ.

17日

単独で波打ち際を何やら忙しそうに動き回って採餌らしき行動を繰り返していた若いユリカモメがいました.
帰って写真を見てみたらヒメスナホリムシという甲殻類の類を食べようとしていると見える場面が写ってました.
ユリカモメの脚を食べ物と認識して寄って来るヒメスナホリムシを採餌するのだったりしないでしょうか?
ヒメスナホリムシは波打ち際のごく浅い場所で我々の足を齧ったりする小さいけれど獰猛な生き物ですが,以前には子海ガメに多数で食らいついているのも見たことがあります. この時は産卵巣の調査でをしていたのですが,巣の中から生きた子ガメが出てきたため,巣から歩かせて海に返したところでした. ウミガメの子がどの程度ヒメスナホリムシの影響を受けているのかは興味深いと思います.

追記:「ヒメスナホリムシ」で少し検索してみたら,こんなのがありました.
痛そう...
PDF:生鮮な人肉をヒメスナホリムシに与える―観音崎産等脚目・端脚目甲殻類4種の飼育事例―

更に追記:浅瀬の波打ち際で素早く足踏みするような動作をしながら何かを採餌しているカモメ類の動画が見つかりました.
今回私が観察したユリカモメと同じような採餌の仕方に見えます。
積極策でしょうか?
面白いので是非観てみてください.
投稿には以下のようにあり,採餌行動であることは分かっているようです.
「In a way, the gull dance is already a classic.
We have already seen dancing on grass, concrete, stones and now dancing on sand.
I don’t know what worms are lurking on the beach, but it seems to be working.」
「ある意味、カモメのダンスはすでに古典的なものだ。
草の上、コンクリートの上、石の上、そして今度は砂の上でのダンスをすでに見てきた。
浜辺にどんな虫が潜んでいるかは知らないが、効果はあるようだ。」
Instagram
当日の投稿

20日

カヤック日記更新致しました.
2024年1月のカヤック日記です.
ホームページ内
Blogger内
どうぞよろしくお願い致します.
投稿の写真:1/15和田浦に打ちあがったザトウクジラ.と,つまみ食いをしに来たカラスとトビ.
当日の投稿

21日

ストランディング現場の事例としてYouTubeに 「ザトウクジラのストランディング(死骸漂着) 2024年1月15日(撮影1月16日) 南房総市和田浦海岸」
をアップしました.
こういう出来事で感じる事は人によって様々と思いますが,何か海のことについて考えるきっかけや,クジラについての疑問など,それぞれ何かお役に立てば幸いです.
当日の投稿


写真:先月漂着した和田のザトウクジラの尾部.
矢印のところにあるいくつかの皺がもしかしたら胎児線という胎内にいた時の姿勢で出来る皺なのでは?と考えました.

25日

もうそろそろ海岸でチドリの繁殖活動が始まります.
日本の海岸でも"Share the Shore"を意識してお願いいたします.
犬を連れて海岸に行く方,良く知らない海岸に海からアクセスするカヤッカーは特にご注意ください.
Audubon New York
当日の投稿

27日

先日のスナハマハエトリの報告に続き、今回はクモの研究者、馬場友希さんと共著で海辺に暮らすクモの事を報告しました。
イナズマクサグモっていうカッコイイ名前のクモです!
港に漂着し,すっかり乾燥した海藻類に複数が巣を張っていました.
漂着物の臭いに誘われて寄って来るハエを捕食していました.
海辺のクモはまだまだ調べられていないニッチな存在のようなので,馬場さんにアドバイスをいただきながら今後も記録報告していきたいと思っています.
馬場友希さん(@Baboon_sai)の投稿
当日の投稿

28日

この日は平砂浦で海浜植物の状態を記録してきました.
道中には富士山がはっきり見えて,ミサゴは飛んでくるし,モダマが漂着していたりという日でした.
追記:忘れられがちですが館山から富士山は意外と近いのです.
山頂まででほんの100㎞ほど.
当日の投稿

28日

「海洋投棄された廃タイヤがヤドカリを捕殺している」という記事を見つけたのでシェアしました.
地味に恐ろしい事態だと思います.
タイヤは分解されることがほとんどありません.
砂浜にあるものも浅瀬にあるものも数十年ずっとそのままの形をしています.
そして人の目に触れるものはほんの一握りです.
タイヤを資源ゴミとして高額で購入する会社が出てきてくれないでしょうか?
以下,本文より
「海洋投棄された廃タイヤによりヤドカリのゴーストフィッシング(幽霊漁業)が起きることを明らかに」
「実験的に海底に設置した6基の廃タイヤに 1 年間で1,278匹ものヤドカリが侵入していた。」
「タイヤの内側は「ネズミ返し」のような構造で、表面の凹凸もないことから、タイヤの内側に侵入したヤドカリは脱出することができない」
「ヤドカリは沿岸生態系の物質循環に重要な役割を果たしている」
日本の研究.com「海洋投棄された廃タイヤがヤドカリを捕殺している」プレスリリース 掲載日:2021.11.05 弘前大学
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29日

この日の千葉県東方沖の頻度は気になりました.
千葉県東方沖から内陸にかけて,その後も群発地震が続きました.
「国土地理院(茨城県つくば市)が、房総半島沖でプレート(岩盤)境界がゆっくり滑る現象「スロースリップ」を検出したと発表。」とのことです.
これを書いている3/5の時点ですっかり終息したように感じられますが,何処に影響が出てくるのか気になります.
ウェザーニュース@wni_jp「地震情報 2月29日 18:35 震度4 震源:千葉県東方沖 M4.9 深さ約20km
千葉県、5日未明から早朝にかけ地震4回 県東方沖、県南部震源、震度2―1 千葉日報 2024年3月5日 10:38
当日の投稿


写真:ミサゴはこの冬も各所で見かけますが積極的な記録はとっていません.

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パタゴニア

 2024年1月の出来事



写真:ウミネコ.
カモメ類の翼はこうやって見ると,とても薄いんですね.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

1日

「新年あけましておめでとうございます.
青く清んだ凪の館山湾のように穏やかな年になりますように.」
と投稿していましたが,新年早々に大きな地震や事故が起きてしまいました.
今年も更に激動の時代となっていくのだと予感させる出来事でしたが,健康を維持する事を第一に,それぞれが出来る事を継続して行く事が世の中を良い方に向かわせると信じています.
シックスドーサルズとしてはレジャーベースの商業的活動が土台となっていますが,収益に全くならない地域の海辺の環境や生き物の記録を絶やさず,生き物の生息環境の保全に関する活動を今まで以上に強めていくつもりでいます.
特に今年は南房総市根本海岸の絶滅危惧種シロチドリの繁殖に関する出来事が少しでも良い方向に発展するように動いていくつもりです.
シロチドリのような生物多様性の一端を担う貴重な生き物を局地的な単位で地域で考え保全していく形が様々な地域,様々な種に対して広がれば結果的に地球規模での生物多様性に向けた進歩が得られるはずです.
「地球規模で考え、地域で行動する(Think globally, Act locally.)」という言葉がありますが,他者の視点で考える事も大切だと思います.
その他者はヒト以外の生き物です.
例えばシロチドリの視点で考えて行動したらそういう事は出来ないはずという事が多々行われています.
そういった事例を見つけ記録し,少しでも良い状況に帰ることが出来るよう通訳としてヒトに伝えるという事を生涯の仕事としてやっていきたいと思っています.
「他者の目で見て考え、自分の手と足で行動する(Think through eyes of others, act with own hands and feet.)」といった感覚でこれからもやっていきたいと思います.
またそれらを「結果的に人のためになるから」という事でしか進められない時代は日本でもそろそろ終わりにしたいと思います.
かと言って「生きもののために」という態度もこれまでの人が生物に行って来た事を考えるとおかしなことと言えます.
今まで気にもせずに生き物の暮らしを邪魔していた私たち人間がやっと少しそれに気づき始めたところです.
数が減っていると判っている生き物が繁殖している場所を人が利用している事の問題を俯瞰して考えて,生き物たちの貴重な棲家に人が立ち入ることを当たり前に遠慮するようにしていくにはどうしていくべきかという事を南房総で実際的に考えてやっていきたいと考えています.
それを人間が今,自ら始められなければ生き物たちの親である地球から人間だけが排除されることになるのだという感じがとても強く感じられる近年の自然環境になってきています.
地球が本気になれば,自然の猛威の中で生きものは耐え,ヒトだけが淘汰されるでしょう.
本年もどうぞよろしくお願いいたします.
当日の投稿


写真:某所グンバイヒルガオの記録も継続しています.
動物だけでなく植物の目,声もヒトに届けたいのです.

3日

大阪海洋研究所の石川様より毎年送って頂いております、鯨類のストランディングレコード(漂着記録)が今年も届きました.
情報収集に大してお役に立てていないのに,いつも本当に申し訳ないです.
今回2022年収集情報で千葉県では以下のように4頭の記録がありました.
コマッコウ 鴨川1
オガワコマッコウ 銚子1
スナメリ 旭市1 長生郡1
下記サイトからPDFがダウンロード出来ます.
海に興味のある方でしたら、お住まいの地域にどんなイルカ、クジラがどれくらいの数漂着しているのか知ってみるのは、いろいろと興味深いと思います.
それにしても北海道の漂着の多さには驚かされます.
ストランディングレコード(2022年収集)
当日の投稿

6日

昨日はハマナタマメの発芽を発見しました.
ところが記録を遡って座標と背景写真を確認したところ,ちょうど1カ月前に同地で発見した芽と同じと判りました.
ここは2021年秋に群落を発見して以来,記録して来たのですが2023年の初めに枯死消滅しました.
今までもこの辺りに埋まっている種子から幾度か発芽があったのですが,すぐに枯れていました.
今回のも12月に発芽しても早々に消滅してしまったと思っていたのですが,枯れ気味になりながらも1カ月もったという事になります.
この冬の異常さの記録のひとつとなりそうです.
当日の投稿

8日

2日前に出逢ったミサゴ2羽を撮影しました.
ミサゴは青い空が似合いますね.
今シーズンは個体識別調査のための探索と撮影をしていませんが,遭遇した時には出来るだけ記録しています.
溜まった記録を整理していかないといけないのですが...
当日の投稿


写真:単独で波打ち際を何やら忙しそうに動き回って採餌らしき行動を繰り返していた若いユリカモメ.
写真を見たらヒメスナホリムシらしき甲殻類を食べようとしていると見える場面が写ってました.
ユリカモメの脚を食べ物と認識して寄って来るヒメスナホリムシを採餌するのだったり?

9日

多分20年振りくらいで読んだ「イルカを追って~野生イルカとの交流記」という本をご紹介しました.
著者はホラス・ドブス ([Horace Dobbs] Wikipedia) でイルカに関する著作の多い方ですが,私はイルカに興味を持ち始めた時期にたまたま本屋で見つけたこの1冊しか読んでいません.
イルカを使ったセラピー等を始めた方でもあるそうです.
この本はドブス氏が野生のイルカと接するきっかけとなった時期の話が主題になっています. 舞台となったのはイギリスのマン島で,居着いて有名になったハンドウイルカと人々との交流の話です。
私がイルカやクジラに興味を持ち始めた時期にちょうど出版されて読んだ本で、1990年代初頭にイルカやクジラに対する欧米の人々の視点に大きな変化が起きていった事の根底にこういった本やテレビといったメディアの影響があって,そのうえで実際にこのような人たちとイルカとの環形が深くなる出来事も世界中で起きていたという背景を今読むと感じます.
あらためて読んでみると,私自身がイルカを館山で身近に観察する機会に感じた事と少し似ている印象を受けました.
イルカは動物の中でも接した時になんだか不思議な感じのする生き物だなあというのは未だにあるのですが,随分遠い昔からの話を含め長い年月に渡って度々こういった人との交流の記録があるという人間との関わりの形の独特さも興味深いです.
文中でイルカになりきってイルカの感じた事を著者が描写するところがあるのですが,自分がよく考える動物側からの視点を想像するというのは、この本で影響を受けていたのかもと今になって思いました。
擬人化ではなく、その生き物の生活の中で人のやった事がどんな風に見えるかを客観的に考えるのはとても大事と思います。
古本はとても安くなっていたので鯨類に興味のある方は試しに読んでみてください.
「イルカを追って~野生イルカとの交流記」Amazon
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12日

この日は巣に設置していたセンサーカメラの画像を繋げて動画化していました.
投稿した画像は7/9のイベント2日目早朝の様子.
雛が1羽孵って,もう1羽の孵化を待っている状態の最初の部分です.
当時,猛烈な南西風が続いていたのでカメラを巣の風上に置いて風下側に巣が位置するようにしてレンズが飛砂で傷みにくいようにした結果,雛が風(砂)避けとしてカメラの陰に入ってくれる機会が多くなりました.
そのため.レンズの目の前にいる事が多くピントが合っていない場合がほとんどですが,愛らしい雛の姿や親子の画像が多く残せました.
ただ夜間には撮影時に光るLEDのライトが至近距離で当たっていて,雛の目に良くなかったんじゃないかと気がかりでした.
それにしても,よりによってあのイベントの真っ最中にステージ裏で産まれるなんて...
そして,こんな出来事があったとは参加者もイベント関係者も知らないのです.
産まれて間もない雛の耳にあの大音響が影響を与えないとは考えにくいのですが.
シロチドリは暗いうちからかなり動くという事も判りました.
こういった記録は貴重な資料になりますので,単に楽しみで見る為ではなく長くて一部退屈ではあるけれど全体を公開しています.
それぞれの方が,それぞれに感じられる事を考え突き詰めて頂けると幸いです.
当日の投稿


写真:またザトウクジラが漂着しました.
この冬は多め.

16日

昨日(2024/01/15)南房総市和田でザトウクジラが漂着した事を,同地の知り合いの方から連絡頂き確認してきました.
全長を測ったところ11mほどで,メスでした.
毎回そうなのですが,この時も即時発信していません.
クジラなどの漂着があった場合にSNSで即時発信しにくい理由を少し書いておきたいと思います.
今回はザトウクジラでしたザトウクジラにはオニフジツボという主にザトウクジラに限って付着している種類の外部付着生物がいます.
その他にも同じく蔓脚類のミミエボシなどもあり,更には漂着間もない場合にはクジラジラミという甲殻類も付着している場合があります.
これらは生物を調べている人にとって非常に貴重な資料となります.
たかがフジツボですが,生きているザトウクジラからそれを採取するのはほぼ無理で,現代では捕獲の行われていない鯨種ですから尚更で,しかし捕鯨が盛んだった時代にはあまり研究されていなかった対象でもあるようで,今それを調べる人が私の知っている人でも数人いらっしゃいます.
それらの人に付着生物が届くことが難しい理由の一つとして一般の採取者が先に現場で採取していってしまうという事があります.
これは一例ですが,イルカのようなサイズの場合は個体そのものから何かを欲しいと感じられる人もいる可能性があったり,状況は様々ですが,私が早くに発信したばかりに,そういった貴重な研究資料が持ち去られてしまう事になっては,せっかく研究の役に立ちたいと思って現場入りしている意味が無くなってしまうので発信には大変気を使います.
特に私が注意しなくても誰かがSNSでアップしたり,マスメディアが興味を持てばヘリコプターもすぐに飛んできますから,それ以降であれば同じことですが,そういったことが心配で即時発信はしていません.
一方で滅多にない自然の生き物の姿を多くの人が見た方が良いと感じる事もあり,そこはなかなか複雑ですが,いずれにしてもその現地で例えば路上駐車が増えたり,想像していたよりも多数の人が押し寄せた場合に近隣住民の方に迷惑となる事が起きる可能性も高まりますから,やはり状況を十分に考えてからでないと,という感じです.
しかしクジラの漂着はここのところ珍しくない出来事になって来て,今回の和田の漂着も,岩井でもそうでしたが人が見に来る数は随分減りました.
テレビや地元新聞での報道があってから,いくらかの人がやって来る程度で調査の際にも見物人というのはとても少なくなっています.
私がクジラの漂着に遭遇したのは布良でのマッコウクジラでしたが,一大事!と感じていた人は当時も少なく,一方で同じ海岸で撮影が行われていた人気ドラマのロケ現場には多数の人が集まって見物している状況でした.


写真:今回も幼いザトウクジラでした.
ヒゲクジラはいつも仰向けで漂着します.
悲しげな目.
付き添っていた母クジラはさぞ悲しかった事でしょう.

実は私も女房に連れられてそのロケ現場に来たのでしたが,芸能人の方はそっちのけでクジラの写真を撮りながら報告をどこにしようか?と焦っていました.
以前も書いたかもしれませんが,鴨川シーワールドに電話したところ死んでいるのは対応できないというような話で,結局帰ってから図鑑に住所が載っていた日本鯨類研究所に手紙を送ったという経緯でした.
当日は公衆電話を探すのも一苦労といった状況でしたが,今のようにインターネットがあったらどうだったろう?と思います. もしかしたら夕方のニュースくらいにはなっていたのではないかと.
いずれにしてもクジラの漂着はそれほど皆さん興味がないというのが実際のようです.
しかしそれがマスメディアで話題になると急速に話題に上るという傾向が感じられて,それでしょっちゅう起きているクジラの漂着が時々,マスメディアで取り上げられた時だけ騒ぎになっていろいろな憶測が孵化されるというややこしい事になっているような感じがします.
それでいて,近年では生き物のパーツを趣味的に保有したいと思っている人も多くなっていて,別の需要は盛んになってきているという事のようです.
私は鯨類の漂着の場合では行ける時は出来るだけ早く現場に行って,撮影を主体とした記録を取りつつ国立科学博物館の先生とやり取りしながら,雌雄の確認やサイズ,状況を伝えて,現場に自治体の人がいれば予定なども訊いてみて調査の調整に少しでも役立つようにと動きます.
立場的に完全に素人のボランティアですから,できる事出来ない事で言えば出来ない事がほとんどですが,刻々と腐っていく大型生物の死骸が対象ですので,少しでも鮮度の良い状態での記録を行えるだけでも意味がある場合も多く,科博のメンバーが忙しく調査に来られない状況の場合には代理で最低限の資料を採取して郵送しています.
その際は科博の方から学術所持届などはしてもらって私は実作業をするだけですが,一般の採取者の方々による採取についてはお勧めできない旨お伝えするまでにとどめています.
いずれにしてもまだ分かっていない事の多い海の生き物のことですから,是非研究者に十分に調べてもらってどんな事が分って来るのかを楽しみにする方が,貴重な資料を自分の部屋に飾っておくよりも多くの人にとって有意義だと思います.
それにしても(普通)クジラにしかつかないフジツボがどんな暮らしをしているのか,非常に興味深いです.
※Xの文中に「テレビ局が取材していたので探したら以下が出てきました.」とありますが,動画は削除されていました.
当日の投稿


写真:調査の日.

18日

この日は和田に打ちあがったザトウクジラの調査に参加してきました.
国立科学博物館,日本鯨類研究所,千葉県立博物館,その他研究者の方々と私のようなボランティアを含む人による調査でした.
今回はクジラを引き上げる予定がまだ先なようで,波打ち際にあるままでの調査だったので,みんなビショビショになりながらの調査となりました.
暖かい日で良かったです,この辺りの水温がこの季節でこんなに暖かいのかあ~と感じながら水に浸かっていましたが,ストランディングの調査でこのような状態での作業に胴長を用いるのは危険ですね.
私は靴まで付いていない漁師ガッパに長靴でしたので,長靴をダクトテープで防水していながらも水が入って来ていましたが衣類の水が重くて立ち上がれないというような事にはなりません.
しかし,胴長を着た状態で転倒して腰辺りの深さの中で波の揉まれれば溺死してしまう可能性があります.
古ドライスーツかウェットスーツが適していると感じました.
ウェットスーツの上に漁師がっぱ上下が最も良いと思います.
そしてブーツはダイビングやカヤックなどでつかうようなものですね.
調査で人が死んでは大変です.
それを想定していないと,まさかという事が起こりうると思います.

この日,尾ビレが波でずっとひらひらしている感じがなんとも寂しげでした.
これを見て「生きてる?!」って思う人も結構います.
水の動きをヒレが捉えると不自然なほど動きます. それほど水を掴むのに適した形と撓り具合なのでしょう. ですから打ちあがったクジラやウミガメを見て明らかに死んでいると一目でわかるような場合でも「死んでるんですか?」と訊かれることは結構多かったりします.
考えてみれば地上の動物は死後に硬直するのが普通ですから,死んでからむしろどんどん柔らかくなっていく水棲動物の死骸を見慣れていなければ,「柔らかい=生きている」と感じるのは自然なのかもしれません.
当日の投稿


写真:ザトウクジラが漂着した海岸ではシロチドリが単独で採餌をしていました.
この季節は群れている事が多いので意外でした.
右後ろにクジラ.

20日

和田に用事があったのでついでにまたザトウクジラを見てきました.
まだしばらく埋葬されずに浜に横たわっている予定のようで,沿岸の潮に流されてどんどん南に移動しています. この日見たところクジラの岸側には小さな浜崖が出来ていて,つまり移動が一旦落ち着いているようでクジラが離岸堤や島みたいな役割をして島に繋がる砂州が出来つつあるようでした.
突然現れたちょっとした島みたいなもんってことですね.
クジラの向きも逆になっていて,先日の調査で記録をしにくかった右脇腹の大きな開口傷がよく観察できました.
この傷の原因は分かりませんでしたが,船舶との衝突での事故の可能性のあるケースもあるそうで気になります.
他には刃物の先で切ったような,サメのような生き物の歯が作ったのか分からない鋭利なものによる独特の傷もあって,いろいろ考えてしまいました.
今回は季節的にも臭いがほとんど感じられない事が幸いして自治体も埋葬にのんびりだったのかもしれません. それに,そもそも捕鯨基地があってクジラを地場消費している和田浦ですから,そういった臭いには大らかだという事もあったかもしれませんね.
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21日

根本海岸で行われたイベントでステージ裏にあったシロチドリの巣でセンサーカメラで撮影した画像を動画化してYouTubeにアップしました.
このリンクは6月26日に産卵された巣での7月9日イベント終了日のもので雛が前日夕方に孵化して,もう1羽が孵化するのを待っている段階の時のもの.
48分28秒と長いので2倍速でご覧ください.
是非,先に解説を読んで頂けるとありがたいです.
別に前日7/8と7/7の分もアップしてあるのでぶら下げにリンク加えておきます.
どれも非常に長いですが事実記録として貴重と考えています.
「230709根本シロチドリ0626巣(センサーカメラ画像)」

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21日

「230708根本シロチドリ0626巣(センサーカメラ画像)」
6/26から抱卵し続けた巣でよりによってイベント当日の夕方に雛が孵化します.
音声がありませんが,ステージのすぐ裏ですので,この日にこの巣で聞こえた音の量を想像してみてください.
雛と親鳥の生まれて間もない時期の音のコミュニケーションが十分にできていたのかと,音に敏感な彼らの耳に障害が起きなかったのかという事が気になっていますが検証の使用もありません.

当日の投稿

21日

「230707根本シロチドリ0626巣(センサーカメラ画像)」
イベントの準備日の様子です.
イベントが始まる前の方が人が近くで動くことが多く,車の出入りも多い状態でした.
親鳥の行動と人の動きの関係に注目してみてください.

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22日

この日,内房某所でハマヒルガオが咲きそうになっていたのでメモとして投稿しました.
1月開花は見た記憶にありません.
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23日

短報が出版されました!(受理は2023年11月30日)
「千葉県南部におけるスナハマハエトリの分布」藤田 健一郎・藤田 直子
Kenichiro Fujita and Naoko Fujita : Distribution of the Attulus hirokii from Southern Chiba Prefecture, Japan.
観音崎自然博物館研究報告 たたらはま No. 27:19?20(2023)
著者にシックスドーサルズスタッフの藤田直子を加えてありますが,潮間帯での本種滞在を採取に発見したのは直子でした.
周辺を探したところ漂着物に複数見つかり,更にその後の調査で漂着物に集まるハエを餌としていると確認できました.
直子の得意なビーチコーミングが意外なところで役立つことになり著者に加えました.
自然度の高い砂浜海岸という限られた環境でしか生息していないスナハマハエトリの生息環境は南房総でもじわじわと萎んでいっていると感じていて、人のいろいろな活動が直に影響を与えています。
50年後100年後にスナハマハエトリがちゃんと暮らしている南房総の海岸であってほしいです.
今回もクモのことでいつもお世話になっているクモ研究者の馬場友希さんには今回も大変お世話になりました.
本当にありがとうございました.
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24日

南房総で連発しているクジラ漂着に関するニュース記事で4件の事が書いてあったのですが,同時期に勝浦のザトウクジラ漂着(※)もあったから5件ですね.
南房総がクジラの墓場と言われそう…まあ実際凄い数のクジラたちが埋まっているのですが.
『南房総にクジラ漂着の「謎」23年度は市に4頭目 15日には和田浦で 国立科学博物館「人為的影響あれば突き止めたい」』2024年1月24日 07時14分東京新聞WEB
この時の。11月
当日の投稿

24日

国立科学博物館の ストランディングマップ検索 で千葉県を見てみると東京湾側は特にby-caught(混獲)が結構あります。
人為的影響の中で汚染も気になるけれど混獲はもっとダイレクトにクジラの死に繋がるので、難しいとはいえなんとか解決してほしいと願っています.
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写真:この冬唯一冬らしかった日という記憶の日の根本海岸.
この日,根本で区の代表の方々と今年のキャンプ場の運営についてなどについてお話しさせていただきました.
進展がありそうです.

27日

昨日(1/26),22日に続きまたもハマヒルガオの開花を確認しました.
今回は外房某所,周辺には広い範囲でハマヒルガオが点々と群を形成していますが,この場所に限って3輪でした.
暖かい冬の記憶となりそうです.
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29日

10m/s以上の,多分写真の時のような突風は15m/sを超えていたと思う風の中で砂を浴びながら卵を抱いているシロチドリの親.
ひたすら忍耐...本当に大変そうです.
当日の気象庁データ 館山2023/7/8 14:10
気温28.5℃,平均9.4m/s南西,最大瞬間13.8m/s(南西風は館山より白浜の方がきついです)
しかもこういう気温だと砂の表面が50℃近くなったりします.
どうしてあの小さな身体でこんな無茶な環境での抱卵が続けられるのか本当に驚きます.
冬にこの写真を見ても実感が湧きにくいですが,ほんの数十分観察してる人間の方が熱中症でやられちゃいそうなレベルの暑さなのです.
当日の投稿

29日

「kayak海を旅する本」Vol.83出ました!
6DORSALS藤田連載のカヤック乗りの海浜生物記はザトウクジラ編です.
岩井のザトウクジラを見に行った日に原稿依頼が入ったので,過去の事例も含め書いてみました.
脱稿した直後に和田浦のザトウクジラが漂着するという状況でした.
シーカヤッカー向けの雑誌ですが,電子図書で気軽にお読み頂けますのでクジラや生き物に興味のある方にも是非お読み頂ければ幸いです.
どうぞよろしくお願いいたします.
amazon Kindle版
Fujisan
当日の投稿

31日

2024年,庭(館山湾岸近く)の初アマガエルは本日1月31日となりました.
昨年は2月21日でした.
当日の投稿


写真:1月に花を咲かせたハマヒルガオ.


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文章では書ききれなかった事なども録音時に思い付きで加えてあります.
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 2023年12月の出来事


写真:18日に岩井の海岸に打ちあがったザトウクジラのメス(撮影日は19日)

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

2日
久しぶりに引っ張り出した本。
「ストランディングフィールドガイド―海の哺乳類」
ストランディング対応についての本があるのです。
1996年に国立科学博物館の山田 格先生らが翻訳されたもの。
結構絵での解説が多くて、その絵のタッチも楽しい感じで好きです。
海棲哺乳類好きの方、サーファー、カヤッカー、ビーチコーマーにも是非読んで頂きたい!
追記:廃版なので古本を。と思って見たら高くなってました...
元々7000円の高めの本ですが。

4日
風が止んだ隙にポッドキャストを録音してきました.
早速アップしたのですが作業中に9月分を飛ばしていた事に気づきました...
そちらはまた...
もしヒマでしょうがないという時に,眠れない時に(すぐ眠くなります??)お聴きいただければ幸いです.

写真:独特なザトウクジラの胸びれ.
オニフジツボというザトウクジラにしか付着しないフジツボが先端にあります.
そして平面にはありませんが,代わりに丸い模様が.

4日
今日の風紋はとてもきれいでした.
風が強かった証拠です.
海の(水の)波と形成要因は風の摩擦ですから一緒ですが,水に比べ砂は形成にも崩壊にも時間がかかるので人の目が認識しやすいですね.
水の波は瞬間的に形を変えてしまうので観察で理解するのが難しいですけれど,砂はじっくりと波を観察できるので,水に置き換えて観察してみると水の方の波を理解しやすくなる教材になると言えそうです.
シーカヤッカーもサーファーも,さらには海水浴を楽しむ人も,波を理解するのは自分の命を護るために大切です.
カラスとハクセキレイの足跡と,その写真を撮っていた人間の足跡の対比も面白かったです.
野生の生き物たちの真っすぐな生き方と生涯彷徨いながら生きる人間との違いといった感じ?(彷徨ってるのは私だけかもですが...)

5日
たてやまビーチクリーンボランティアネットワーク主催「きれいな海の絵と写真コンテスト」表彰式で行った講演スライド画面を動画化しYouTubeで公開しました.
今回参加できなかった方に画像だけでも見て頂けたらという事と講演依頼頂く場合のご参考にという感じです.
口頭での説明など音声は入れていませんが,簡単な説明は画面に書いてあります.
講演のご依頼いただいた時には参加者や講演の目的に応じていつもスライドを新しく作っていますが,このままの内容で良ければ南房総での講演はすぐにできますので,もしご希望あれば詳細お問い合わせください.


12日
11月5日に館山湾の海上で観察したカツオノカンムリの動画をYouTubeにアップしました.
漂着ではよく見る生物ですが,生態を観察する機会が滅多にありませんので,ご参考に.

12日
11月3日に見かけた種類が不明でとりあえず撮っておいた鳥,ツミのようでした.
普通に見られる種だそうですが,南房総の海辺しか見ていない私は初確認であります.
南房総にどれくらいの密度でいるのだろう?

13日
海浜植物の記録に行ったのですが,ついでにポッドキャスト用の波音も録ってきました.
とってもいい感じの波でした(音が).
6分半くらいです.
是非聴いてみてください.


写真:これが「本当のクジラ髭」なザトウクジラの顎の先に生えている小さな洞毛.
ストランディングは生態では観察できないこういった小さなものを見ることが出来る貴重な機会です.

16日
第34回日本ウミガメ会議でのポスター発表「アカウミガメ産卵北限域における砂浜環境の特性」溝呂木舞波(筑波大学)他で著者に加えて頂きました.
筑波大により根本海岸でこの夏に設置した地中温度計データと周辺海岸での産卵記録を用いています.
温暖化が進むことで北限域(千葉県以北)の繁殖地が重要になっていく可能性と海面上昇による海岸線の変動により砂浜の奥行きの確保の必要と既設構造物の影響に触れた内容です.
これから先の未来のことに気持ちを寄せている内容で視点が素晴らしいので皆さんにも見て頂けたら良いなあと思う内容です.
著者:溝呂木舞波(筑波大学),渡部明美(一宮ウミガメを見守る会),猿田勇(九十九里浜の自然を守る会),大木清(千葉県自然保護指導員),藤田健一郎(6DORSALS KAYAK SERVICES),岩瀬環樹(御宿うみがめパトロール隊),岩瀬レン有世(御宿うみがめパトロール隊),三次恵美子(御宿うみがめパトロール隊),平治隆(アクアマリンふくしま),吉村智範(鴨川シーワールド),吉田正人(筑波大学),佐伯いく代(筑波大学).

16日
いつだかの館山湾.
ブログ用に加工してましたが,青がきれいに出たので掲載.
カメラの撮った青を本当の青に戻すのがいつも難しいです.
> 晴れた海の上は青だらけなので,青好きには最高の空間です.

18日
先日,9月のカヤック日記をすっ飛ばして10月のをアップしてしまいましたが,本日9月分アップしました.
聴くのは大変なので...お聴きにならなくても良いので,いいねをよろしくお願いします!
今回は短くて36分ほどですが.(十分長い)


写真:ザトウクジラの尾ビレのギザギザ.
巨大なピアスでも付けてたのかな?という穴の成因は???

20日
昨日の地味な写真.
アミが沢山打ちあがっている中に1㎝くらいのカニの甲が沢山いくつかあって,見た記憶が無くて気になったり.
シロチドリが忙しそうに,いかにも動く小さな生き物を採餌していた場所で,何を食べてたんだろう?と探してやっと見つけた活発に動く生き物は小さなユスリカ.
「沢山いくつか」は書き間違えです!
「沢山」は言い過ぎだなと思って「いくつか」に書き換えたつもりでした。(っていういらない説明)

20日
山奥はよく使われる言葉ですが、海奥は聞いたことが無いので、これから使ってみようかと思います。
そもそも海奥はどういう場所なのかの定義づけが必要ですが、海でほとんど行き止まりになっているような南房総のような場所としたら良さそう。
海奥の暮らしは最高!(使ってみました)
皆さんも是非。

24日
観光目的で昔に作られた館山市太平洋岸に接する道が近年しょっちゅう砂に埋もれ頻繁に通行止めとなっています.
砂丘に長年かかって植物が伸ばした茎を根こそぎにした場所で起きている事で道路の問題だけではなく大元は海岸環境の問題なので,かなり気になっています.
写真は2017年の植生があった頃.
マップ上の矢印と番号は写真の順に撮影位置と撮影方向です.
そしてGooleMap衛星写真は現在の状況.
ここだけ砂丘の植生が完全に排除されています.
ストリートビューは道路側の様子.
歩道が砂で埋もれていますが,通行止めの時には車道もこうなるのです.
道路上に積もった砂は税金を使って幾度も幾度も排除している状況です.
砂を保っていたのは主にハマゴウという丈夫な地下茎を伸ばす海浜植物でした.
人間が造ったものを支えていたのは健気な海岸の植物たちだったという事が明確になりました.
海浜植生を維持する事の意味を知ってほしいと思います.
ちなみに2017年の写真は非常に漂着ゴミが多いうえ,砂丘植生上に漂着しているという状況ですが,同年21号台風(静岡県に上陸,非常な高潮を南房総にもたらした)による砂丘前面崩壊の状況を記録した写真です. この時も植生が砂丘が崩れるのを防いでくれました.


写真:きれいな波の砕ける海上で魚を探すミサゴ(左上).
今シーズンは個体識別調査の方はお休みで,遭遇した時のみ記録しています.

26日
18日に岩井に打ちあがったザトウクジラのメスは本日26日海岸に埋葬されました.
日本鯨類研究所による調査が25日からこの日にかけて行われたとの事でした.
顎のイボの先端辺りには小さな髭が生えています.
猫や犬などに生えている洞毛!あれです!
ストランディングの時にじっくり見られる機会があれば探してみてください.
鯨類の無毛なイメージがちょっと変わる感じがするかもしれません.
自分も初めて教えてもらった時にそんな感じがしました.
当方ホームページの ストランディングのページ
ストランディングに関する事書いてありますので,是非ご参考にしてください.

29日
次号kayak誌はザトウクジラについて書いてみることにしました。(このページが公開された時点で既に発刊されていますが)
それで昔に父島で買った「小笠原ホエールウォッチングガイド」を引っ張り出して見てました。
あれから30年経ってザトウクジラの方で自分の住んでいる海に来てくれるようになったのは良いんですが死んでるのばかりなので、そろそろ元気なのとカヤックで南房総の海で遭遇する機会が欲しいところです。


写真:海岸にある鳥の足跡はかなりの情報源となります.

31日
大晦日ですがKAYAK誌のザトウクジラの原稿書いてました.
千葉県のザトウクジラ漂着,混獲の記録を国立科学博物館のサイトから引っ張り出したのでご参考に貼っておきます.
うち混獲(入網→死)は9件,あとは海岸漂着.
これは上記の「死んでるのばかりなので」に関わって来ることですが,異常と思いませんか?
これで良いのだろうか?と誰も思わないのは知られていないからです.
国立科博の動物研究部が一生懸命ストランディングを調べているのもクジラたちの死が人の生活の影響を受けているのではないか?というところがあるようです.
網に入って死んでしまうクジラがこんなにもいること,しかも身近な東京湾の中で.
元気で巨大でカッコイイザトウクジラに小笠原や沖縄,ハワイ,アラスカなどなど,そういう自然豊かな海でホエールウォッチングなどでザトウクジラと逢って来た人が日本でも随分増えました.
延べ人数にしたらどれくらいいるのでしょう?
それらの人が暮らすすぐそばの海で,昔に自分が逢いに行った場所に向かう途中のザトウクジラが死んでいる事実があって,それとこれとが結びついていないのかもしれないよ感じています.
今回,南房総の海岸で打ちあがったザトウクジラも誰からがどこかで出逢ったあの元気なザトウクジラの赤ちゃんだったかもしれません.
最近は三宅島でもザトウクジラが普通に観察されるようになりました.
次は南房総でしょう.
その時までにこの問題を解決に進めていかないと,東京湾で凄い数のザトウクジラが網にかかって死んでいるという事実は世界中で問題視される可能性がありますし,今後来遊数が増えれば混獲の頻度は高まるはずで,漁業者にとっても負担が増す事になります.
どうにか網のデザインに工夫を凝らして,根本的にクジラが混獲されない仕組みが構築されることを願っています.
今回のkayak誌で書いたザトウクジラ編でもそれらについて触れましたので,是非お読み頂ければ幸いです.
このページの最後にamazonへのリンクがあります.


写真:きれいなヒメルリガイが漂着していました.
12月に漂着する印象は無いんですが,どうなんでしょう?

千葉県のザトウクジラ漂着,混獲
※最後のメートルは体長です.
1 1996.01.06 館山市波佐間漁港沖約800m 混獲
2 1999.03.07 鴨川市江見内遠野江見海水浴場 7.5 m
3 2000.02.01 安房郡富山町小浦漁港沖約1500m 混獲 5.5 m
4 2002.04.19 安房郡千倉町 混獲 6.9 m
5 2005.01.02 安房郡千倉町千田、道の駅ちくら潮風王国地先 8.4 m
6 2005.12.12 鴨川市 混獲
7 2006.01.22 安房郡鋸南町保田地先 7.2 m
8 2009.12.19 南房総市小浦地先 混獲 9 m
9 2010.01.20  館山市富士見沖ノ島公園 9.61 m
10 2010.03.08 安房郡鋸南町勝山港沖 8.8 m
11 2011.08.17 鴨川市磯村地先 混獲 9.1 m
12 2012.04.06 館山市洲崎仙道地先 混獲 8.43 m
13 2012.05.07 館山市伊戸 7.3 m
14 2013.03.07 南房総市富浦町南無谷 7.8 m
15 2014.01.13 富津市金谷沖 混獲 8.7 m
16 2014.04.21 安房郡鋸南町勝山港沖 7.7 m
17 2016.01.04 館山市波左間 8.2 m
18 2016.01.12 南房総市千倉町川口
19 2018.06.18 浦安市港地先(東京湾)
20 2018.12.03 館山市波佐間沖(東京湾/相模湾) 混獲
21 2020.02.02 南房総市千倉町平舘 約 8.64 m
22 2020.07.30 南房総市千倉町瀬戸浜
23 2020.09.07 南房総市和田町下三原 約 6 m
24 2023.03.05 勝浦市吉尾地先 吉尾漁港区域 9.6 m
25 2023.11.07 勝浦市鵜原地先 毛戸浦 約 9.16 m
それではどうぞ良い年をお迎えください.
ザトウクジラにとっても良い年になりますように.

追記:こんな記事 があったのでご紹介.
館山で打ちあがったザトウクジラが沖縄に展示されているという不思議な経緯です.
この時の作業もお手伝いさせていただきました.
懐かしいです.
当時の掘り出しのことが書いてあるうちの ブログ
漂着し埋めた時のことが書いてある ブログ
この間に東日本大震災があって,南房総にも低いながら津波が来たり砂浜で液状化があったりしたので,よくちゃんと掘り出せたものだなあと今になって思います.
...とかやってる間に年が明けそうな感じでした.

Twitterの引用は以上です.

今回は更新が大変遅くなり,もう2024年の2月5日となってしまいました.
実は昨年2023年7月の日記がまだ更新できていません.
そちらを完成する為に,こちらの作業を延期していました.
実は2023年7月の日記は先日書き終えたのですが,非常に内容が膨大で,実際にブログとして公開するにはあまりに長くなってしまった事,さらに文中にお名前が出ている方や,それら関係の方々にあらかじめの確認を取るなどの必要も生じ,実際のところ公開が難しくなっています.
しかし,一方では海岸を管理委託されている区の方々と話をする機会なども得ることが出来,少しずつではありますがシロチドリ,コチドリとウミガメの繁殖に関して前向きな対応が得られる可能性が見えてきました.
とはいえまだまだ実際の道程はかなり長い事が分ってきていますので,やっと出発したところといえますが,ここは大事なところですので公開も少し慎重に進めるつもりです.
このような問題があった場所で,これほど短時間にここまで保護が進んだという事例にしたいと思っていますので,それが分かるようにするためにはいつかこの資料が役立つことと思います.
その時には是非じっくりと長文と共に様々な写真と記録をご覧いただきたいと思います.
どうぞよろしくお願いいたします.


写真:やけに暖かな12月に内房某所で見つかったハマナタメの発芽.
この芽は1月の6日に枯れかけた状態で再確認しますが,当時別個体と誤認していました.

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藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は65「ザトウクジラ」編です.
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