2022年11月の出来事



写真:内房某所のグンバイヒルガオ.
暖かな日差しの中でまだまだ花が咲いています.

今回の更新作業中に気づいたのですが,いつの間にか「カヤック日記」開始から20年を過ぎていました.
初回はホームページを開始した2002年6月でした.
シックスドーサルズ自体は1998年から細々と始めたのですが,ホームページ無しでの営業が3年以上ありました.
今考えると驚くような事ですが,当時はそれほど珍しくも無かったかと思います.
知り合いのお店に簡単な手書きコピーのチラシを置いてもらったりしながら営業していました.
ホームページの基盤はパソコンに詳しい義弟が作成してくれて,パソコンの事を全く分からない私に初歩から更新の仕方まで教えてくれました.
当時からHTMLを書き換える事で更新する方法でしたので,今でもそうしていますが,技術的にほとんど進歩していませんし,ホームページのベースもほぼ当時のままという珍しい状態です.
古臭い様式に見えるというご意見もありますが,長年馴染んだホームページの姿が自分には愛着があり,義弟が苦労して当時作ってくれたデザインを変えるのも勿体ないという感じがしています.
いつの日か営業を終了するまで,多分このままのデザインでやっていく可能性が高いように思っています.
カヤック日記のページに関しては昨年からブログサイトBloggerにも同時に掲載し閲覧しやすいように致しました.
いろいろと見辛い点など多々あるかと思いますが,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.


写真:30年近く見ている館山湾に浮かぶ雀島ですが,その姿はほとんど変わりません.
地上ではいろいろなものが人により形を変えていきますが,馴染みの姿でいつも迎えてくれると岩ひとつでも愛着が感じられます.

まずは11月のTwitter投稿より引用します.(投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります)

1日
「kayak 海を旅する本」最新号出ました!
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記 」は「海を旅する鳥 編」です。
Twitter上で見たアラスカからニュージーランドまでのノンストップ渡りを行ったシギについての投稿(※)をきっかけに書いた内容になっております.
amazon Kindleでお気軽にお読みいただけますので是非よろしくお願い致します!

2日
21:50頃館山市の真上を北北西に火球が飛んで行きました.
とてもきれいでした!
その後,Twitterで火球を検索したら今日はおうし座南流星群だとかで結構こういうのが見えていたそうでした.
こういう自然現象は何度見ても驚きを与えてくれますね.


写真:しらせの船首と小さく見えるカヤック.
カヤックの長さが5.5mです.

4日
この日は開業間もない頃からのお客様Wさんご夫妻ご参加でのカヤックツアーでした.
午前までの強風もパッタリ止んで昼には予想以上のベタ凪に.
館山湾は鏡ケ浦とも言いますが,まさにそんな感じでした.
折角のベタ凪なので岸近くから眺めるつもりだった館山湾に錨泊中の南極観測船「しらせ」の見学に行ってきました.
館山湾はいろいろな船が停泊するのでシーカヤックではこういう楽しみもあったりします.
碇を下して沖で停泊している船を見学させてもらう時には,まず十分に離れてアンカーが打ってあるか確認します.
出発間近で作業中の場合もありますから,船が動き出したら大変です.
船橋にいる船員さんから見えやすい,しかも,もしも動き出すにも邪魔にならない横方向の位置からしばらく離れて観察する事が大切と思います.
写真は少し近づきすぎましたが,このあと船員さんが甲板上から「気を付けてお願いします」と優しく声をかけてくれました.
船対船の関係ですが,サイズが違いすぎますから乗っている方々の状態を十分に確認しながら迷惑が掛からないようにすれば場合によっては休息中の船員さんとお話ししたりできる場合もあります.
ただし基本的に他船から距離を置くのが通常ではありますから,十分に注意が必要です.
また自衛隊など軍用船の場合は特に気を使った方が良いようです.
以前,潜水艦の上で釣りをしていた自衛隊の人と言葉を交わしたこともありますし,しらせも自衛隊の所属ではありますが念のため.
近くで聞くエンジン音は船が生きて呼吸しているんだなあという感じを受けました.
あと接近するまでの道中ではずっとラッパの練習音が聞こえてたんですが,近づいたら止まってしまいました.
館山湾の真ん中は楽器練習にも最適でしょうね.
このあと数日館山湾に留まってから一旦東京に戻り,その後南極に向かったとネットで情報が公開されていました.
航海のご無事をお祈りします.


写真:ミサゴvsミサゴ.このあと2羽で山の方に飛んで行きました.

5日
ミサゴがミサゴを追っかけてるところに出くわして慌てて撮りました.
2羽で鳴き交わしながら並走したり,円を描きながら飛んでいるというのはたまに見られるのですが,激しく猛追というのは初めてでした.
トビがミサゴの魚を盗もうとしてるのは見慣れてるので,またトビが来たなあ~と気軽に構えていたんですが,よく見ると追う方もミサゴでした.
追われてる個体が魚を捕るのにダイビングした直後に,もう1羽が飛んできて猛追開始したのですが,追われている方が魚を持っているわけでもないのに不思議でした.
テリトリー争いなのでしょうか?

7日
YouTubeに「2022年6月13日 千葉県館山市平砂浦海岸ウミガメ産卵環境について+産卵痕跡解説」を追加しました.
館山市のウミガメ産卵環境を現場で説明してあります.
あとは運よく撮影中にウミガメが上陸した痕跡が見つかったので,それについても少し説明してあります.
風の音がかなり入ってしまっていてボツにしようかと思っていたのですが,一応アップしておきました.
お聴き辛い点多々ですが,よろしくお願いいたします.


写真:とても暖かい日が幾度もあり狂い咲きのハマボウフウ.

10日
先月,海岸で初めて見た種類のハエトリグモですがマミジロハエトリ♀でした.
今回もクモ専門家の馬場友希さんに教えていただきました.
いつもありがとうございます!
頭のゴールドな輝きがとてもきれいでした.
南房総の海岸で見られるクモリストをまとめたいなと感じました.

11日
鯨類のストランディング(海の生き物の漂着,座礁)の際にお世話になっている山田格先生が登場している記事を見つけました.
山田先生には2001年の館山でのコマッコウ調査以来お付き合いいただき,本当にいろいろな事を教えて頂き,お世話になっております.
今回の記事は2011年に津波で損壊した陸前高田市立博物館に展示されていたツチクジラの標本修復の件でした.
千葉沖で捕獲されたのツチクジラだったのですね.
山田先生,関係者の皆さま本当にお疲れ様でした.
ちなみに南房総では長年ツチクジラを捕獲してきましたが今年の不漁の影響で操業が中止していることを先日知りました.
ツチクジラが東京湾に回遊していた時代に勝山で捕鯨が始まり,それが太平洋沖に出漁する時代を経て,とうとうツチクジラ自体が見つからなくなったという事が時代の経過を感じさせます.
野生の生き物を捕獲して流通し続けることの難しさ,その事の限界がどこにあるのかについての事例のひとつと言えそうです.


写真:完熟したグンバイヒルガオの種子.
長年記録していますが,実が熟すのはまだほんの一部です.

11日
先日ご紹介したエスキモーロール.
GoProでも録っていたので載せてみます.
当方住所のすぐそばにある海での撮影でしたが,改めてこうやって見てみると館山の水は本当にきれいですね.

11日
ソロで館山湾を漕いでいる時にウツボが水面で泳いでいました.
たまたまGoProの撮影を試していたところでしたので画像が残せました.
ウツボは珍しくも無いですけど,沖合数百メートルで海面で顔を水面から出そうとするような様子で泳いでいて,考えてみたら海底にいる種類だから,「何か困ってるのかな?カヤックに乗せて浅瀬に連れていくかな…」と少し考えて噛まれそうだからやめておきました.
以前,海面で溺れているミツバチを拾い上げて刺された事を思い出しました.
痛かった...
狭い磯にへばり付いて暮らしてるウツボみたいな魚が他所の個体群と合流して遺伝子交換する為にこんな旅みたいな行動をしたりするのかなあ?という適当な想像もしてみたんですが,実際これはどういう状態だったのか少し気になってます.
まだ若い小ぶりな個体でした.


写真:漂着していたオオセグロカモメ若鳥の死骸の立派な翼.

12日
昨日はオオセグロカモメの若鳥(若齢で模様での識別が難しく多分です)の死骸,今日はフルマカモメの死骸と大型海鳥の死骸続きでした.
大型カモメの死骸は意外と見ないので,今回初めて間近でその大きさを感じられました.
身体が意外と重いのにも驚きました.
これでは大きな翼が必要なわけで,大型化する事の利点は何だろう?と思ったりしました.
例えば小型カモメのユリカモメと比べてみたら身軽で餌も少なくて済みそうですし,いろいろ便が良さそうに見えたりします.
しかし死骸が滅多に見つからないという点で考えると大型の鳥の方が何かしら利点が多く生存率が高いという事なのでしょうか?
いろいろ想像が膨らみます.
フルマカモメは鼻に特徴があり嘴全体の形が独特で判別が楽です.
そしてフルマカモメの死骸の下から出てきた甲虫のハネカクシは初めて見る種類でした.
背中の模様が独特ですので,専門の方なら種が分かりそうですが.
以前フルマやコアホウドリなどの死骸を山階鳥類研究所に送ったことがありますが,今回のも連絡すべきか迷ってます.
フルマの方は後で場所が分かるように埋めておいて必要であれば取り戻せる状態にしてありますが結局報告しませんでした.
漂着死骸は鳥に限らずそうですが,その生き物の価値や標本の必要が一般には分かりづらく,必要な人に情報も標本も届かないという状況があるはずです.
種に関わらず漂着情報をネットで気軽に登録できるようにして,必要な場合は連絡するという流れが良いような気がします.
以前,シックスドーサルズとして「Stranding network by Kayakes」という漂着生物情報のメーリングリストをやっていた事がありますが,Yahooのメーリングリストサービスが終了した時に終えてしまいました.
実際いくらかの情報が届きましたし,そういった海の生き物の漂着事例を即時的に共有できていましたので有意義ではありましたが,やはり文章ベースではなかなか手間ですし,自由登録制のシンプルなデータベースが良さそうですね.
改めてそういったページを構築するにはなかなか大変ですし管理も難しそうなので個人で出来る感じはしないで,誰か(どこか)の関係者の方,いかがでしょうか?


写真:フルマカモメの死骸の下で見つかったハネカクシの一種.
地味ですが,砂浜海岸の生態系においてかなり重要な存在.

14日
今シーズン初ユリカモメ確認そして低空飛行中の巨大なUFO?が浮いていました!
とか書いてみましたが,UFOではなくて蜃気楼に浮いた城ヶ島と三浦半島です.(確認できなければ未確認飛行物体UFOではありますが...)
南房総から対岸の神奈川県三浦半島を見ると冬には大抵蜃気楼でこのように浮いています.
しかし遠いので,双眼鏡などで見てみないと写真のようには見えません.
蜃気楼を見た事が無い方は是非冬の南房総で蜃気楼見てみてください.
水温が高く気温が低い条件で見られる下位蜃気楼です.
見えるはずがないものが見える上位蜃気楼の場合は逆で水温が低く気温が高くなった場合のものですが,南房総では水温と気温の関係が逆にならないので上位蜃気楼は見たことがありません.
水平線は皆さんなかなか目を向けないですが,稀にはイルカの群れが通ったり,いろいろと面白い発見がありますよ.

16日
この日はダイヤモンド伊豆大島でした.

21日
この日は午後から館山市の太平洋岸,平砂浦海岸で海浜植物の様子を見てきました.
ちょうど満潮時で波も高く大迫力でした!
波の写真を沢山撮ったので,いくつか繋げてみました.
美しく巨大な波の儚く短い生涯をご覧ください.


写真:遥か遠くで風から生まれた波は進むに従って整い,そして地面と出逢って短い生涯を終えます.

26日
東京湾フェリー公式Twitterにフェリーからザトウクジラが観察された件の投稿があり,リツイートしました.
2021年6月にはシャチも同Facebookで投稿されており,東京湾フェリーのSNSは東京湾海上の定位置観察記録としての価値がありますね.
東京湾は関東の捕鯨の発祥地でもありますし,本来,餌が豊富で穏やかな内湾ですからクジラが来たがる場所なのだろうなと思っています.
近年三宅島近海でザトウクジラが多数見られていますが,東京湾もこれから先彼らの生息候補地になる可能性大と思います.
しかし定置網,航行大型船舶が非常に多く,それらとの共存がうまくいかないでしょう.
東京湾では多数のザトウクジラが漂着していますが,体表に網の模様が残っていた個体もありますし,定置網の混獲も確認されています.
このフェリーから見られたザトウクジラが無事に暮らしているのか心配になります.

29日
この日曜日は朝まで凄まじい強風の海でしたが,昼からは予想通り風も止み太陽が照らし,暑いくらいの穏やかな海となりました.
ここのところこのパターンが多いような?
この日のツアーご参加は開業間もない頃からのお客様Sさん.
昔と変わらずパワフルに漕ぎ続けます!
堤防のカモメたち横目に,雀島に寄り道したりしながらの,館山湾高速ツーリングでした.
帰り道はところどころ景色も見ながら.
大房岬の外周は歩いてでは見られない場所が多いので,大房岬が馴染みの人でもカヤックから見てみると新鮮に感じられると思います.
他にも崖観音や市街の様子など,地元の方でも新しい視点となると思います.
是非シーカヤック体験してみてください!

29日
ポッドキャスト南房総海音日記に「2022年10月のカヤック日記」をアップしました.
海浜植物やシーカヤッキングからエスキモーロール,イルカの観察等に関する内容となっています.
その他,文章では書ききれなかった事も加えてあります.
どうぞよろしくお願いいたします.


写真:海岸で菓子を埋めているハシボソガラス.

29日
海岸で見たハシボソガラスが何かを咥えて砂の中に埋めては,また掘り出して咥えて移動し,また埋めては取り出しして最終的にきれいに埋めて去って行きました.
掘り返してみてみるとイカの駄菓子みたいなものでした.
もしかしてモズの早贄ならぬカラスの早贄なのでしょうか?
海岸ではカラスは良く見られる生物ですから,海岸生物のひとつとして捉えています.
漂着物の分解にかなり貢献している存在ですし,なにより生態が興味深いですから飽きません.

30日
かはく【国立科学博物館公式】Twitterで
「日本周辺には多くのザトウクジラが来遊します。
20℃前後を維持する温かい海で子育てをするザトウクジラですが、近年、より北の海域である奄美諸島や伊豆諸島(三宅島周辺)でも観測されています。
15年前は約13度だった水温が、現在20度と上昇傾向にあるのです。」
という投稿があり,リツイートしました.
館山でザトウクジラを普通に観察できる日が来るのかもしれないけれど…複雑な気持ち.
上記フェリーの記事でも書きましたが,定置網が多いので心配なのです.
ちなみに長年お世話になっております国立科学博物館動物研究室の田島木綿子先生より拡散希望のご依頼頂いております「クジラの鼻水調査」が三宅島のザトウクジラを対象にして行われています.
私の尊敬する同館,山田格先生もご参加されています!
ドローンでクジラに接近し,所謂潮吹きの時に吐き出される呼気に含まれる水分を採取してDNAなど含まれている情報を採取するという,つまり田島先生,山田先生が国立科学博物館として行ってきたストランディング(漂着鯨類)の調査の大事な部分,「対象生物を殺さず,捕獲もせずに生態解明を目指す手法」の延長にある調査です.
クラウドファンディングも始まっています.
クジラの鼻水から何が発見されるのか!!鼻水調査!是非ご参加ください!


写真:地上はヒトで埋め尽くされそうな現代でも流石に海の上はまだ空いています.

Twitterの引用は以上です.
今月もいろいろな事がありました.

ここで,やや唐突ですが,砂浜海岸における「人間収容量」の必要性について書かれた一文をご紹介します.
これは1990年に出版された本に書かれていた事ですが,既に30年前から砂浜海岸への人の出入りの量を考える必要について意見があったという事になります.
砂浜は無尽蔵な存在として人が自由に活用することが出来る場所として,特に日本では海岸のほとんどは国有地であるためにアクセスが解放されています.
また,構造物を造ることは許認可が必要ではありますが,海岸清掃をはじめ,個人が海岸を部分的に改変したり手を加える事についての問題指摘はされてきませんでした.
実際に私が南房総の海岸で砂浜及び砂丘の様々を観察してきた中で感じていたものが,砂浜はただの砂の山ではないという事です.
砂の中にも独特の生態系があり,ヒトからすると一見厳しいその環境に適応し,むしろそこでしか暮らせない姿に進化した生き物が無数に存在するという事が十分に理解されていないと実態しています.
「砂浜海岸の生態学 (Ecology of Sandy shores)」というこの本を私が読んだのは日本語版が出版された2000年代初頭でしたので,この文面をそのまま覚えていたわけではありませんが,かなり影響を受けた結果のこれまでの観察だったと今,感じています.
先日からこの本を必要があって読み直していたところでしたが,この一文は是非ご紹介したいと感じ以下に引用させていただきました.
コロナ禍において突然,そして急速にビーチクリーンの頻度が高まっている中で,海岸で繁殖,休息,採餌中の野鳥への配慮をはじめ,微生物も含めた海岸生物にとっての餌資源の除去,砂浜の踏みしめによる海浜植生への影響といったものがまず見られます.
更には南房総でも一部用いられている移動式機械(清掃専用車両,一般重機)を用いた清掃による影響など考えることが沢山あります.
今一度この文章を念頭に置いて活動をお願いしたいと感じております.
それらの活動を行っている方には是非この本を読んで頂ければ,一見しただけでは見えてこない砂浜海岸の姿が見えてくるようになると思います.
この本では,この一文に至るまでに砂浜から砂丘にかけての本当の姿をこれ以上ないくらいに調べ上げた情報が分かりやすくまとめられています.
砂浜に手を加える前に少なくとも代表者の方はこの本を読み,その視点を持って実際に自分が関わろうとしている砂浜海岸の素の姿を十分に調査してみる事をお勧めします.


写真:ほとんど人の入らない海岸の漂着物の下から発芽したグンバイヒルガオ.
漂着物は湿度と日陰を漂着種子に提供し,その後は肥料となり植物を育てます.

「砂浜海岸の生態学 (Ecology of Sandy shores)」A.C.Brown & A.Mclachlan 著 須田有輔・早川康博 訳 東海大出版会 「13 保全と管理」p288より引用 括弧内補足は藤田

「砂浜海岸から砂以外の物を除去することも,とくに,相当の期間にわたって何度も繰り返し行われる場合,砂ほど明瞭な影響は出ないが,しばしば油断のならない事態を引き起こす.たとえば,普通に行われていることだが, 海水浴場から漂着物,海藻や他のデトリタス( Wikipedia )を除去すると,砂輸送と前砂丘の安定化に影響を与えるだけでなく,砂浜海岸動物の隠れ家や餌を奪い去ることになるかもしれない.ハマトビムシ科の端脚類のような半陸生動物の場合,砂を吸い上げふるいにかけて異物を残すように設計された移動式機械によって取り除かれてしまう. この他,砂浜海岸で行われる人間による干渉には,砂浜上での車の運転をはじめプラスチック容器やごみの投棄などがある.
 人間活動は砂浜システムの下方にある地下水の水位や組成も変化させることがあり,その結果,浸食,堆積のパターンや砂丘の動植物相が変化する.
 砂浜の上に人がいることやいそ波帯での海水浴は,動物相の活動に顕著な影響を及ぼし,海鳥の潮間帯での摂餌を妨げたり魚類を沖合へ追いやったりする. スナガニ属Ocypodeのような半陸生の甲殻類はますます夜行性になり,人が砂浜にいる間は巣穴から出てこなくなる. それにもかかわらず,砂浜海岸の公共への開放を止めようという声は上がらない. なぜならば,砂浜海岸は観光や地域住民の憩いの場として,社会・経済的な価値が高い一級の親水空間だからである. しかし,砂浜海岸がリクリエーション目的で開発される程度には限界があり,また,砂浜海岸を同時に利用できる人々の数にも限界がある. そこで,この限界を定義するものとして,“人間収容量”という概念を提唱したい.」


写真:護岸で覆われ砂浜は狭くなっている館山市の太平洋岸に広がる平砂浦の海岸.
特に東部がこのような状態になっています.
ウミガメの産卵地,海鳥の繁殖地としての機能は消滅しています.



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