2023年11月の出来事



写真:望遠レンズで見た数キロ沖の海面に浮かぶクジラ.(トリミング
していません)

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

2日
この日はクジラ探しでした!
前日,海から帰ってきたところで国立科学博物館でストランディングの調査を続けてこられた山田 格先生から電話を頂き,「鴨川沖に30mのクジラの情報が海上保安庁から出ている!」とのことでした!
メールを見たら,海保のメールも来てましたが,カヤックで海の上にいたのでチェックしてなかったのでした.(むしろすべきでした)
それで30mっていったら!シロナガス!!という事で興奮して今朝出動,慌てすぎて準備が遅くなったりでしたが...
カヤックで漕いで見に行く必要があるかもしれないのでカヤックと,岸からの捜索用に自転車とを車に積んで,あとは想定外に既に漂着していて急遽解剖になった時の為に汚れ仕事用の胴長とかも積んで家を出ました.
海上保安庁が公開していたクジラの漂流位置から,その後の漂流のは弐を考えても鴨川の湾内(仁右衛門島から小湊の岬までの間)を見渡せれば見つかるだろうと思ったのでとりあえず見晴らし台を目指しました.

この辺りで見晴らしと言ったら魚見塚展望台です!
到着後早速水平線を双眼鏡の天辺に沿わせてなぞっていくと間もなく南南西方向にそれらしき「へんなものみっけ!」
ここらは小さな岩が転々とあるエリアですが,あんなに沖には無いので間違いない!と判断も自信なし.
科博のメンバーが同時に近所でドローンで捜索しているので,まずは連絡を取ってドローンで確認をお願いして,必要なら漕いで行こうかなと.
それで海辺に移動してドローンを飛ばして確認出来ました!
ただし種類はザトウクジラで,サイズも30mもなくでした...
しかし非常に有意義な経験となりました.
国立科学博物館の塩崎さん,西間庭さんにはいろいろ教えて頂きました,ありがとうございました!
ドローンはこういう調査で効果的ですね!
カヤックもこういう現場でもっと活躍させたい!


写真:ドローン操縦をしている国立科学博物館の塩崎さん.
ドローンの制御範囲ギリギリでザトウクジラを捉えました!

こちらご参考ください.
国立科学博物館 海棲哺乳類情報 ストランディングデータベース
シックスドーサルズ・カヤックサービスホームページ内 ストランディングのページ
クジラやイルカ,その他海棲哺乳類の漂着情報は科博まで!
連絡先は上記サイトにあります!
へんなものみっけ!(小学館ホームページ)
当日の投稿

3日
あとで気付いたのですが、探していたクジラが死骸であることをどこにも書いてありませんでした.
生きてるのだったらこんなにのんびりしてられませんけどね.
この日,海上保安庁の新規情報が来ました.
かなり沖に出たようです.
Twitter上のマップにある赤ポイントが新情報位置,黄色星が11月1日情報位置で緑フラグが昨日の展望台から見た想定位置です.
当日の投稿

5日
ちょうど1か月前ですが,富津に行った時に人生2回目のミヤコドリを見たのでした.
大きくてなんだか奇妙な感じのある,なんとも気になる鳥なのですが,自分の行動範囲では滅多に見られないので嬉しかったです.
(先月のブログでも写真を掲載し簡単に触れましたが,Twiterに投稿したのは11月でしたのでこちらにも載せておきます)
当日の投稿

6日
そして例のクジラの続報が入りました.
別の個体だったりしないとも言い切れませんが先日の位置から北東に流れてますね.
今夜の強い南西風でまた沖に出るか打ち上がるのか?
勝浦の湾内で漂着しそうな位置です.
当日の投稿


写真:館山湾でのカヤックツアー中に遭遇したカツオノカンムリ.

6日
昨日のツアーで遭遇した小さめのカツオノカンムリ.
潮溜まりに浮いているのは見たことがありましたが,海上沖合で見たのはカヤックを始めて30年で初めてでした.
海岸では大量に打ちあがっている事もある普通な存在なのに.
この日は数センチサイズのカツオノエボシの漂着もいくらか見られました.
動画でもTwitterでアップしました.
ブログ更新の際にYouTubeにもアップしましたので是非ご覧ください.
https://youtu.be/P_5JvPgPli0?si=wFGRiXJIX2jnVYlo
これは完ぺきなベタ凪でないと見つからないですね.
当日の投稿

7日
「kayak~海を旅する本」 vol.82発売中です!
シックスドーサルズ藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記。」は64回 カモメ 編です.
よろしくお願いいたします!
詳細(6DORSALSホームページ)
Amazon Kindle
fujisan.co.jp
当日の投稿

9日
同じ河口で3種のサギが仲良く一種にいました.
左からアオサギ,ダイサギ(チュウダイサギ?),コサギ.
お父さん,お母さん,子供に見えなくもないですけれど.
当日の投稿

16日
昨日の館山湾でのカヤックツアーです.
30年来の友達のおふたりにとっては曇り空も少しくらいの風も楽しいカヤック日和のようでした.
おふたりの当方ツアーのご参加ももう四半世紀!
本当にありがとうございます!
これからもどうぞよろしくお願いいたします!!
当日の投稿


写真:某グンバイヒルガオ群で餌を探していたタヒバリ.

17日
鴨川沖で漂流していたクジラが予想通り勝浦の海岸線で漂着しました.
国立科学博物館,千葉県立博物館らによって調査が行われました.
国立科学博物館の田島先生より調査参加のお誘いいただきましたが,残念ながら出動できずでした.
何か少しでも分かると良いですね.
千葉・外房にザトウクジラの漂着死骸 繁殖海域の変化に迫る調査 2023/11/11 11:58 ANN テレ朝news
当日の投稿

17日
もしもタイムマシンというものが実現出来たら,真っ先にこの時代の館山湾(リンク参照)を漕いでみたいです.
それと縄文時代の館山湾に行って,丸木舟erと一緒に漕いでみたいです.
競争したら絶対負けるので,どのくらい激しく負けるのかが楽しみ??
そして彼らの操船スキルを習得したいのです.
きっと現代に伝わっていないパドルの扱い方があると想像しています.
現代のパドラーはパドルのような自由度の高いシンプルな道具の扱いでも正誤があるかのような固定観念に縛られていますから.
ただタイムマシンにシーカヤックが積めるのかが心配になってきました...ドラえもんのは無理そうだったなあ.
今昔マップ(館山湾)
当日の投稿


写真:青く染まった館山湾.

18日
今日は大風で海岸はお休みしてカメラの修理をやってみました.
ISOボタンが戻らなくなったので部品取りと分解練習用にとっておいた壊れた旧型機のボタンを移植して直りました.
自分で直すと愛着が沸きますね.
また潮風バシバシの海岸で活躍してもらいます.
デジタルカメラはコンピューターのような電気製品と化してしまっていて昔のフィルムカメラのシンプルさがなく,壊れた場合も手が出ない感じがありますが,どちらにしても故障して廃棄するのならばダメもとで分解してみれば,少なくともこういった単純な部品の交換や手入れは出来ない事ではないと最近感じています.
特に私のカメラのようにメーカーが部品の保管を終えたメーカー修理が出来ない基材に関して言えばそう思います.
そしてとりあえず分解をしてみると楽しいという事があります.
私は子供の時に壊れた時計を分解して良いよとドライバーと共に壊れた時計を親から渡されて全部バラバラにしたのがとても強く記憶に残っているのですが,とにかく楽しいのです.
現代のデジタルカメラのまさにブラックボックスといった感の道具を昨日は完ぺきに使い込んだとしても中身がどうなっているのかも知らないという段階がありますが,一旦見てみるとその機材のことがもっと分かったような気がしてきて,そして愛着に繋がったりしました.
もちろん分解する事で更に状態が悪くなる場合が多々ありますから書くまでもなくもちろんですが,自己責任でお願いします.
その他さまざまな問題も起き得ますので十分に注意が必要だと思います.
現在,ネット上には動画含め様々なデジタルカメラの補修の試みに関する情報が沢山ありますから,全く同じ状況で無く,機種も違っても例えば「蓋を外すのはどうやるんだろう?」といった疑問はそれで解消したりします.
まずは開けてみる事で見えてくる感じがありますが,あらためて自己責任でお願いします.
その後,12月12日に投稿したのですが,その後,カメラは不具合のあったISOボタンだけでなく,隣接するシャッターボタンも状態が良くなり快調でした.
上蓋と裏蓋はユーザーがもっと簡単に開けられるようにして,ボタン類の手入れができるようにしてくれたら良いなあと感じました.
当日の投稿

21日
ハヤブサのミユビシギ捕食未遂を観察する事ができました.
ミユビシギの小群が採餌中にハクセキレイが1羽やって来て,ちょっかいを出しミユビシギが海上に飛び立ったところ,ハヤブサが襲来し,1羽を蹴落とし海面に墜落.
しかしミユビシギはすぐに飛び立ち,海面近くを逃げた後に急上昇をしてハヤブサから逃げ切りました.
遠かったので,強引なトリミングと強すぎシャープネスで画質は悪いです.
海際でのハヤブサの餌生物記録メモがてらでTweetしました.
ハクセキレイは見ていると,いろいろな鳥にちょっかい出していて面白いのですけど,こんな事になってしまう場合もあり,他種にとっては厄介な存在なのかもしれないですね.
当日の投稿


写真:ハヤブサに追いかけられているミユビシギ.

21日
もう10年近く前の館山でのハナゴンドウ混獲.
群れで岸沿いを泳いでいる場面から見ていたので,本当にかわいそうでした.
YouTubeで実際の状況もアップしてありますので,是非ご覧ください.
この定置網には上面もあり呼吸ができない為に大型の個体が網を押し上げています.
2014年5月13日 ハナゴンドウ5頭 千葉県館山市坂田定置網混獲状況
だんだん必死になって来てジャンプして網を突き破ろうとしているような行動になって来ていました.
2014年5月13日 ハナゴンドウ5頭 千葉県館山市坂田定置網混獲状況
国立科学博物館 海棲哺乳類ストランディングデータベース内「 2014年5月13日館山市ハナゴンドウ混獲
当日の投稿

23日
大風の館山湾で雀島を吊り上げようとしているクレーン船.(ただの冗談写真です!)
当日の投稿

30日
あまりにも風が強い日が続くので四半世紀前に買ったほぼ常時携帯している風速計をご紹介.
単純シンプル壊れるはずも無いデザインに改めて感心しました.
最近の市場であるのはプロペラとデジタル表示で実際的だけどフィールドで持って歩くには壊れそうだし嵩張りそう.
Dwyer Windmeter製品ページ
使い方の動画がありました.
凄く単純です.
当日の投稿

30日
「きれいな海の絵と写真コンテスト」の表彰式に先立って,「南房総のウミガメと浜辺の鳥たち」の講演を行います.
一般の方の視聴も可能です.
12月3日13時30分から館山コミュニティセンター第2集会室です.
追記:無事終了しました.
当日の投稿


写真:写真が小さすぎて分かりにくいのですが,大風を漂着物や小石の陰で避けながら日向ぼっこするシロチドリ×12とミユビシギ×7.

Twitterの引用は以上です.

この11月も引き続き信じられないくらい暖かな(というか暑いくらいの)日が続きました.
10月の方がむしろ寒くなっていくのかな?という気配のある日があったような気がします.
そしてこれを書いている12月の半ばを過ぎた現時点で全くの異常な状況がありますが,それはまた来月に日記で.
これほど気候変動という言葉が実感的になった事は無かったでしょう.
しかし今回の暑さで唯一不思議だったことがあります.
超大型台風が来なかったではないでしょうか?
気温が上がり,水温の高さも維持されているとすれば台風が心配になるのが普通ですが,今年はとうとう少なくとも関東では台風の心配が皆無でした.
2019年の房総台風以来,そういった気候の状況が台風の被害の拡大に影響する事を大変気にしていますので,今年はヤバいのではないか?と気にしていました.
しかし全く問題がありませんでした.
ただし,異常に風の強い日が多いのは確かで,風が強い事で台風が発生しにくくなるという可能性があるのじゃなかろうか?という多分詳しい人からしたらバカな発想をしてみたのですが,いかがでしょう?
暖かな上昇気流が供給され続ける事で台風が発達し,それが整ったあの形になる時に,まだ赤ちゃんの台風の卵がその他の気圧差で生じる空気の流れにより乱されて,育つ前に形が崩れ立派な大人の台風になり切れずに消えていく...
なんて事は無いのでしょうか?


写真:蜃気楼で浮かんだ三浦半島と雪の富士山.こう見ると十分冬っぽいのですが...

この夏から冬にかけて吹いた風を全部集めていくつかに分ければかなり大きな台風が何回も通って行ったのと同じようなエネルギーがあったかもしれないと感じますが,台風のようなギュッとした存在でない気圧の高低差で生じる風の方が被害は出にくく,生活も乱されにくく局地的な大雨も起きにくいのでは?といろいろと考えてしまいます.
だとしたら大風の続く日も,まあ大きな台風よりは良いよねと言えるのですが.
まあそれでもシーカヤッカーは海に出られる日が相当減りました...

ともあれ気候変動が進んでいく時代を生きているのは間違いないのだと思いますが,気候の変動は大昔から常にあって,それが現代人にとっては今まで長い事非常に安定していたものですから心配で仕方がないという事になります.
しかし,この変化は本当に今まで言われてきたような事だけで説明しきれるのかな?と思っています.
そのうち理由が完全に説明できるようになるのかというと現在の科学でも限界があるのではないかなという感じがします.
素人としては,宇宙での出来事から海の底で来ている出来事まで全て数字にできるくらい完全な観測が出来ているわけではないのだから,データが完全でない限り結果が完全に分かるとは思えないのです.
なので,先月も書きましたが,これからどういう世界が広がっていくのか大変興味を持っています.
私としてはライフワークとして続けてきたウミガメの調査や,海岸の変化などを通してしっかりと様々な対象や出来事に十分に目を向けて,出来るだけの記録を取ってい行きたいと思っています.
もしかすると100年くらい後にその小さな情報が少し何かの記録として役立つ時が来るかもしれないですし.
皆さんも自分の好きなフィールドの写真だけでも撮っておいてください.
ただし,その写真を100年後の誰かが見るかもしれないと想像しながら.
それはきっと貴重な記録になると思います.


写真:猛烈な風が吹き続けた日のあとの館山湾.


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 2023年10月の出来事



写真:富津市の新舞子海岸で人生2回目のミヤコドリに遭遇!
有機漂着物と海浜植生に大変恵まれた上に人のアクセスに自然な限界が設けられている素晴らしい海岸です.
ミヤコドリもそれを評価したのでしょう.

以下は今月のTwitter(Xともいうらしいですね...)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

1日
『<海や大陸を渡るチョウやトンボ>「渡り鳥」は良く聞きますが,意外なことに昆虫のチョウやトンボにも「渡り」をするものがいます。移動距離が3000km以上に及ぶこともあるとか。中には日本に飛んでくるものもいるため、この秋に見られる地域もあるかもしれません。』 上記のようにウェザーニュース@wni_jpのTwitterにアサギマダラが取り上げられていました.
お天気のサイトで生き物の渡りについて書かれているの良いですね.
生き物の移動にも「お天気」は凄く重要な要素ですし.
生物には天気予報が無いし観天望気は命がけです.(シーカヤッカーもですよ)
シーカヤックを漕いでいるとかなり沖で,更に沖から飛んでくる昆虫が結構います,それを見るために漕ぎ出すというのも面白いですよ.
カヤックを漕いでいる時にアサギマダラが沖から海岸のスナビキソウにまっすぐに飛んで行く場面を見たことがありますが,数百メートル沖からスナビキソウを既に嗅ぎ取っているんだと分りました.
当然もっと沖から嗅ぎつけているのでしょうけど凄い能力ですね.
見つけやすいものではスズメバチ,ミツバチ,モンシロチョウ,シジミチョウ(ウラナミシジミっぽい)などが主にカヤックの近くを飛んで行きます.
写真に撮るのが難しいのが難点.
種確認のための採取は試した事が無いです.
写真はブログより.(Twitterの投稿で過去の海上での昆虫との遭遇の写真をいくつか拾い出し貼ってあります)
本文に関連記事も多少あります.
関連カヤック日記リンク
2004/10 ウラナミシジミ
2013/9 スズメバチ
2014/5 アサギマダラ
3000km以上も移動! 海や大陸を渡るチョウやトンボを知ってる?」ウェザーニュースホームページ2023/10/01 05:00
ウェザーニュース@wni_jpの午前9:03 ・ 2023年10月1日投稿
当日の投稿

3日
館山市立博物館の特別展「関東大震災と館山」に行ってきました.
Twitter上の写真は今回の特別展の冊子から.
あらためて隆起が凄まじかった事を実感しました.
特に隆起の激しかった白浜の根本海岸には岩の窪みで暮らしていた状態のまま隆起して死んでしまった貝が,今ではそれこそ津波でもなければ水が来る事の無い高い位置の岩にまだ付いてて生々しいです.
ちなみに館山市立博物館は城山の麓にあります.
住んでる人以外は意外と知らないのかも?
こじんまりですが,昔の民家を再生した展示なども素晴らしいです.
館山市立博物館館山市ホームページ
令和5年度企画展「関東大震災と館山」館山市ホームページ
当日の投稿


写真:関東大震災の前までは本物の島だった沖ノ島,最近なにやら若い人々に人気です.
海から見たこの景観は昔から「映えスポ」だし「エモ」かったのですが,今流行っているのは専ら地上からの視点.
海からも是非見て頂きたいです.

10日
次号kayak誌の原稿のための探し物があって昔の写真を引っ張り出してました.
投稿したのは館山湾に浮いていたザトウクジラの死骸と千倉に打ちあがった別のザトウクジラの写真.
そして,それに集まった鳥たちの姿.
クジラの天辺に乗っかって皮をついばんでいるのは,いずれもシロカモメでした.
そしてどちらも2016年の1月なのでした.
詳細は当月のブログ「カヤック日記」をご参照ください.
ちなみに次号kayak誌の連載「カヤック乗りの海浜生物記」はカモメ編です!
千倉の漂着場所は鯨場と呼ばれていると,写真の人と区長さんが教えてくれました.
昔に幾度かクジラが打ちあがった場所だそうです.
その後,カヤックでここを漕いだ時に入り組んだ岩場の関係か不思議な流れがあり,クジラがここに打ちあがるのは潮の流れが関係していそうでした.
漂着位置(Google map)
当日の投稿

11日
館山湾で漂着したウミガメの死骸にサメが齧ったと思われる跡が3か所もありました.
甲羅の縁を齧られただけとはいえ,人間だったら大怪我ですが生き延びてちゃんと治癒していて凄いですね.
治るまでとても痛かったでしょう.
そして,しかしここで何故死んでしまったのか?
やっぱり海でひとりで生きるのは大変なのですね.
ウミガメの死骸を見つけたら,私の方かELNAまでご連絡お願いいたします.
私は解剖できませんので,近所であれば(さらに動ける状況であれば)現地確認してからELNAに引き継ぎと日本ウミガメ協議会への報告をします.

後日,今回このウミガメを調査をされたELNAの井ノ口さんから興味深いお話を聞かせて頂きました.
公開許可いただきましたので,メールを引用させていただきます.
サメではなく人工物の影響の可能性ありとのお話でした.大変興味深いお話です.
死骸を調べる事で珍しい問題事例が見つかる場合がある例ですね.
「このような形状のものは初めてです。
左中央の傷を見ると、窪みと共に縁甲坂(甲羅の一番外側=縁の甲羅)も一緒に曲がっています。
ただ齧られたのであれば一緒に曲がらないはず&左右に大きく凹んでいるのも妙でして…おそらくですが、何かに挟まったまま成長してしまった時の名残りなのかなと。
例えば小笠原ではP箱(瓶ビールなどのプラスチックケース)にはさまったまま抜けなくなったまま生き延びている個体を2回発見されてます。
そのカメ達は発見されて海洋センターの方で保護しましたが、発見されない場合&生き延びたらこんな甲羅の形状にな?ケースも想定されるかと思いました。」
ELNAホームページ
当日の投稿


写真:上記で紹介したウミガメの死骸.
甲羅中央両脇に異常なくびれがあります,後部左側はサメかと思います.

12日
先日の海岸植物探しで新たにハマナタマメ群落を発見.
自然度の高い海岸線はかなりチェックしてるのですが,こういう水辺の奥の人工的な場所は調べが甘いので,まだまだいろいろ見つかりそうです.
こういう時の移動には自転車が最適ですね.
当日の投稿

14日
再読していた本に横浜の人工砂浜の砂が房総半島の山から買って運ばれたものと書かれていて,その量は110万立方メートルとのことでした.
前に読んだ時にそれが房総のどこから運ばれたのか気になっていたのを思い出しました.
山が削られて酷い姿になってるのは少し内陸に入ればよく見かけます.
熱海でも痩せた砂浜に補充するための砂を房総半島から買ったとのこと.
この本の中では「失われた自然を取り戻す試み」という章にこの記事があって,痩せた砂浜に砂を補充したり,埋め立てたその前面に人工砂浜を造る事例を挙げているんですが、それでもやらないよりは良いのかが謎です.
環境のためのような顔をして実のところ経済とか人のためで,結果的に「自然界にも少しは良いかも」っていう程度のなんだか偽善的なものを感じずにいられないです.
しかもそれで房総とか砂を売った地域の環境まで犠牲になってしまっていたら,広い視点で言えば自然を取り戻したとは言えないと思うのです.
どんな場所でどんな風に採取された砂なのかについても書いてほしかったですが,紙面の限界があったのでしょうか?
日本中の海岸環境改変について読みやすく書かれたとても良い本です.
横浜の海岸線,終戦直後と現在との比較 今昔マップより.
「海岸とつきあう(自然環境とのつきあい方 5)」 小池 一之 著
海の公園のHPにも砂を房総から持ってきたとありました。
当日の投稿

18日
最近,スケグ(カヤックの底に出てくるフィン)のプレート(そのフィンつまり板ですね)を外したら,その板が入る分のスペースに溜まるようになった雨水でいつもお風呂に入っているアマガエルさん.
カヤックを出す時に謝りながら出てもらうのですが,きっとまた帰ってくる(カエルだけに)
そして,今期初ウェットを着ました.
このウェットは メンズ・R1ライト・ユーレックス・ロングスリーブ・トップ の少し古い型で,「ネオプレン不使用のユーレックス天然ラバー85%/合成ラバー15%(ポリマー含量)製」「天然ラバーの供給元はレインフォレスト・アライアンスによるFSC(森林管理協議会)認証済み」と,重ねているのは メンズ・ロングスリーブ・RO トップ の少し古い型.「リサイクル・ポリエステル85%」
いずれも環境に配慮した素材が選択されている点が他と比べた時の長所となっています.
Patagoniaの製品はプロセールスプログラムに加入させていただいている事もありますが,同社がリサイクルポリエステルでフリースを作り始め,その後コットン製品を全てオーガニックに切り替えた時からの長年のファンでもあります.
そして50周年という長い年月に渡って続く会社でありながら,未だに衰えない環境への配慮と先進性に対して,最も興味深い会社として注目し続けてきました.
またビジネスを環境に還元する為の手段とするという同社の考えに私の活動の方法論も大変な影響を受けています.
ところでウェットの上にラッシュガード的なウェアを重ねるのはおかしくない?と思われるかもしれないですが,カヤッカーはその上にPFD(ライフベスト)を重ねるので,それとウェットとの摩擦でウェットの特定の部分だけが痛むのを防ぐのと紫外線防止との為という個人的な考えによる選択であります.
※上記製品リンクはアフェリエイトにはなっていませんが,当方活動にご協力いただける方は 6DORSALSホームページトップページ もしくは 当方Bloggerサイト内 のPatagoniaアフェリエイト入口ボタンからのご購入お願いいたします.
当日の投稿


写真:漁港の近くに網干場がある場合,その奥には大量に積み上げられ草で覆われながら徐々に朽ちていく網が積み上げられている場合が多々あります.
Patagoniaでは漁網を回収しリサイクル素材として自社製品化に成功しています.
日本での回収活動が始まる兆しがあり大変期待しています.

25日
「海岸でウミガメが見えるとこんな感じ」というのが分かる動画が録れたのでアップしました.(画質悪いです)
2頭が海面で呼吸します.
一瞬ですから瞬き禁止ですよ.
気長な人しか見ない動画になってます.
気長じゃないとカメを見るのは難しいので...
当日の投稿

25日
ポッドキャスト南房総海音日記に「2023年6月のカヤック日記」をアップしました.
今回もホームページ内とBloggerで掲載している毎月1回更新のブログを読んでご紹介させていただきます.
え?6月の?という感じで,もう10月も終わりに近いのですが...
本文,写真も見ていただく場合はBloggerからがおすすめです.


Spotify
当日の投稿

31日
いつもギリギリですが,本日締め切りの日本ウミガメ協議会への産卵上陸・漂着記録の今シーズン分の報告を済ませました.
漂着情報の報告,発見してくださった方,本当にありがとうございました.
当日の投稿


写真:南房総で初めてオシドリのツガイを見ました.
少なくとも海岸にいる記録は少ないのでは?
ちょっと酷い写真ですが記録として載せておきます.

Twitterの引用は以上です.

10月の写真を整理していて思い出したのですが,29日にモンキアゲハを見ました.
場所は館山市の太平洋岸に面する山腹で,安房神社に接する千葉県立 館山野鳥の森の山道内でした.
大雑把な記憶ですが,モンキアゲハは南房総では2000年代初頭くらいまでは数が少なくて,しかし夏に大房岬に行くと見られるという感じの蝶でした.
あくまで個人的な記憶レベルなので,内陸の情報も私は少ないので海辺での,モンキアゲハにそれほど興味を持ってもいない状態での遭遇の記憶といったレベルですが.
私は東京で育ちながらも,昆虫採取が大好きでしたので,その貧しい自然環境の中にいる数少ない昆虫を見つけて見分けることは日々行っていたので,その中にいなかったモンキアゲハについて「子供時代に東京では見た事が無かった黒いアゲハ」という点では興味を持っていましたので,南房総の海岸線に限って言えば「大房岬になぜか多かった」というのは間違いではないと思います.
ただ時期があまりにぼんやりとしていて,メモのひとつも残していないのが残念です.
どこかに写真はあるのだと思うのですが,フィルムをひっくり返さないと・・・.
南房総の海辺の記録を意識して残すようになるより前なので,初めてモンキアゲハを見たのは1990年代の中頃までであったという事になると思います.
しかし当初はイルカやウミガメなど完全に海に関連している生き物に絞っていた事もあり,なんとも定かでないことが悔やまれます.
そして,ともあれモンキアゲハが徐々に南房総のどこでも見られるようになって,当たり前の種類となっていったのを記憶しています.
我が家にある古い図鑑(昭和41年発行※)には「本州では神奈川県(海岸地帯)から以南の暖地に多いが,これより北に向かうにつれて次第に少なく,宮城県仙台付近が分布の北限といわれている.」とあります.※「標準原色図鑑全集1 蝶・蛾」白水 隆・黒子 浩 著 保育社
南房総は「神奈川より北」ではないですが,東であるという事で神奈川より遅れて定着した地域だったのでしょうか?それともやはり私の目がモンキアゲハをちゃんとピックアップできていなかったのか?


写真:10月29日にモンキアゲハを見ました.
館山市太平洋岸の山腹(野鳥の森内)でした.
主に暖かな地域に生息している種なのですが.

いずれにしてもその昔,暑い時期にしか見かけなかったモンキアゲハを11月も近い時期に見かけたことがなんとも違和感があって書いてみた次第です.
もしかすると以前にもこの時期に見ていたかもしれませんし,やはり何でも少しでも簡単にでもメモなり写真なりを残すべきだなと反省しています.
この時期にモンキアゲハが館山市で元気そうにしている姿はやはり今年のこの異常な暑さに関連させてしまいます.
しかしそれで何故縄文海進ならぬ令和海進が起きないのか?いろいろとまだまだ勉強が必要ですが,研究者の方もそれについて説明しきれない部分があるようで,なかなか簡単に未来は予想できないものだなと楽しくなります.
こんな大変な時に何が楽しいのかな?と思われる方もいるかと思いますが,私の性分なのですが,分からない事があるという事が楽しいというところがあります.
「分からないと怖い」という風に考える人が普通は多いのだと思いますが,なんでも分かってしまっている世界が面白いとは思わないのです.
反対に考えた場合ですと「分かっていれば怖くない」という事になるはずですが,そうではない場合もあります.
怖い事が起きると分っていてもそこに向かわなければならない場合がそうです.
多くの人は怖い事がある場所には進まないで済ます事で危険を回避します.
しかし未来に向かっていく場合にそれを回避する方法は早めに死んでしまうことくらいで,むしろその方が怖いです.
分かっている怖い未来に向かわざるを得ない状況が「怖くない」と思えるようにするにはどうしたら良いのか?
それはアウトドア,特にシーカヤッキングをすると見えてきます.(なんだかうまい具合にマーケティングに追い込まれてるぞと感じた方もいそう...)

シーカヤッキングはそもそも現代では命を張って行うべきものではありません.
ただ,それは実は無理な事で,シーカヤッキングにはいつも命がかかってきています.
そういう矛盾があります.
ベタ凪の館山湾でほんの数キロを岸から100mもない沿岸で漕ぐとして,「命がけ?」と思われる方の方が多いでしょう.
恐らくシーカヤッキングを既に繰り返し行って来た筈のシーカヤッカーと言われる人の中にもそういう風に考える人が沢山いるのかもしれません.
一方で,十分にシーカヤッキングを自分の責任において,自分の命をかけて,自分自身が充足する為に行って来たシーカヤッカーの中には「そんなのあたりまえ」と思いながら読んでいる方も沢山いるのではないでしょうか?(そもそもここを読んでいる人数に問題があるかもですが...)
まあシーカヤックを海で漕ぐという事はそういった類の活動なのです.
「遊び」とか「レジャー」といった言葉でシーカヤッキングを表現するのは無理があります.
近年事故の多くなってしまったハイキング,登山といったものに通ずるものですが,遊びは真剣にやって初めて遊びになるという代表的なものがアウトドアアクティビティなのです.
長くなりつつありますが,書いていきます.


写真:こんなベタ凪の海で事故る訳が無いでしょ~という油断は禁物.

アウトドアアクティビティに対して,人工環境で人を相手に競う事を目的としたスポーツがあります.
またアウトドアで更に人と競うというものもあります.
それらに共通しているのは「真剣に」それを行う目的が勝つことにあります.
人相手ならば勝てるかもしれませんが,自然相手に,その懐に入り込んでいながら勝てるはずがないのがアウトドアとの違いです.
つまりアウトドアアクテビティは「死ねる遊び」なのです.
コートで球技をしていて死ぬ事もあるかと思いますが,それは多分日常の中での出来事と感じられるはずです.
車を運転していたり,風呂に入っただけでも死ぬ場合があるのですから.
ただそれがいわゆるアウトドアと呼ばれる類の,つまり自然の中での出来事であった場合は「日常の中」とは言われないはずです.
そして「そもそもそんな危ないところに行かなければよかったのに」という意見が遠い外側から聞こえてくるでしょう.
最近,熊が人里に出没し問題が大きくなっています.
これも以前のように山の中に入っている場合であれば,「そもそも…」で多くの都市部の人々には片づけられていたのですが,家の敷地に入って人を襲う段階になったことで「日常の中」での脅威として取り上げられるようになってきました.
「山の中に入らなければよかったのに」という意見を持っていた都市部育ちで都市部で暮らし続けている人が持つ意見を今の状況に当てはめると「そんな田舎で住まなければよいのに」となりかねない状態です.
そして近い将来,都市が過疎化で廃墟や放置された空き地とそこに広がった林が点在するような時代が来た時に,もしも熊がまさかという地域で出没し始めた時,都市部の人がどう対処するのかは興味深いと思います.
話が逸れているようなので,戻していきます.


写真:海岸沿いで遭遇したハヤブサの若鳥.
どこで産まれたのか気になります.

つまりアウトドアアクティビティをなんがしかやっておけば,自然物しかない空間での,デリケートで厳しく,そして貴重で多くの経験を与えてくれる場所での礼儀が身につくという事になります.
これによって自然を尊重する基盤が自然と養われ,それが結果的に自身の身を護るという事に繋がります.
私自身が20代の初めにシーカヤッキングを始めて,多少痛い目に遭いながらも地味に経験を積んできた結果がそれでした.
まだ50代ですから(「まだ」です!),これからまだまだ習得しなければならない事が沢山あるのを大前提にしておいて,少なくともこの30年で分かった事は「自然に勝とうとすると怖い目に合う」という事でした.
簡単に死ねる場所が家から見えるすぐそこにあるという事も理解しました.
海の上に出た事が無い人はその空間の何が怖いのかを知らないので,「へっちゃら」だったり「なんだか怖い」だったりと人ぞれぞれですが,その点で当初の「分からないと怖い」というところに至ります.
その反対に「分かったら怖くない」とはならないと書きましたが,これはシーカヤッキングでもそうですが,そもそも様々な事例をいくら参照しても実際に自分が出くわす状況がそれのどれかに当てはまるはずがないのです.
それではどうしたらそれが克服できるのか?と考えた時に,それを疑似的に体験していくしかないのです.
頭でいくら考えていてもダメで,しかし情報も得ずにただ闇雲に突っ込んでいくのでは無駄死にするだけですから,少しずつ,少しずつ楽しみながら小さなサバイバルを繰り返していく事で,何が起きるかも分からない怖いかもしれない未来の世界に自分が進んでいくしかないその状況での経験値を積み上げていく,そのための場としてアウトドアアクティビティがあると思います.
死ぬかもしれない状況で生きてみるという経験をするだけでも死に対する考えが少しまとまってくるかもしれないですし,もしかしたら死ぬ事に対しての納得感のようなものが芽生えてくるかもしれません.
それは私もまだ修行中なわけですが.
それを全部楽しみながらやってしまう.
それがアウトドアアクティビティであり,シーカヤッキングなのだと私は考えています.
結局「何が怖いのかを知る」という事が第一歩で,そして永遠の課題の始まりでもあるという感じだと思います.
実際のところ,まだ私にもよく分からないのですが.


写真:こういう自然そのままという海岸が貴重になってしまっている時代.

というわけで非常に長くなりましたが,温暖化が進んでいくことが怖い事であるという前提となってしまっている考えの中に「現代の人の暮らし方は変えられない,変えたくない」という思いがあると思います.
それは多分,海面でシーカヤッキングをしている時に地面でしていたように過ごす事はできないのと同じで,しかしシーカヤックを漕いで海上に出て自由にその空間を移動する楽しさを経験できるという事があるから,その「不自由」に耐えられるわけです.
つまり,それを「耐える」と考えるか,それを含めて新しい体験として「楽しむ」のかという前提の違いで全てが変わってきます.
カヤックのツアーに参加してくださる方はそれを楽しむために来てくださっています.
そして楽しんだり,思ったよりも多少辛い場面を体験したりしながらも自身の経験を積んでいく事を「愉しんで」陸の生活に帰って行かれます.
つまりシーカヤッキングを「楽しそう」と思うより前に「怖いよ」と誰かから繰り返し聞かされたうえで,しかし学校の授業のような中でカヤックに乗る事を避けられないという人がいたとしたら,それはもう地獄でしょう.
また元々は「楽しそう」と思っていたのに,あれは「怖いよ」と繰り返し擦り込まれていたらどうでしょう.
温暖化する未来に適応して生きていくのは難しく危険で怖い事として考えていれば,それは怖いはずで,しかし良い面を出来るだけ見ていく努力をしてみたら今よりも良い事が沢山あるのではないでしょうか?
それにはもちろん辛い経験をする場面もあるでしょうし,失うものも多々あるはずです.
しかしどうせ漕ぎ進むのであればそれを出来るだけ前向きに知り,それにどうやって対処していくのかをひとつひとつの波のように超えていく方が,後になって「怖かったけど楽しかった!」と思えるのではないかな?とシーカヤッカーの私は考えるのでした.
そのための知識を集め出来るだけの準備をしたうえで海(未来)に向かうのは当然の事です.
だれも準備はしてくれません.(まあカヤックを一緒に運んでくれる人くらいは見つけられるでしょう)
同じように縄文時代の人々は海がどんどん岸に迫って来る時代を生き延びてきたのですし,モンキアゲハも環境に適応して北への進出を進めてきたはずなのですから.
地球がバージョンアップしていくのをユーザーとして楽しみにして見守る気持ちでいる事が何より大事なのかもしれません.

「2023年の夏は過去最高を大きく上回る圧倒的な暑さ」2023/09/02 11:51 ウェザーニュース


写真:以前はよく拾えたサンゴの化石.
そして最近は生きたサンゴが増えている館山湾です.
暖かな時代に戻りつつあります.

お知らせ

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店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は64「カモメ」編です.
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その他に波音などの海辺の環境音,海に関わる人のお話しなどもご紹介しております.
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2023年9月の出来事


写真:駐車スペースなどもない海岸に行く時には自転車が便利.
どこの海岸でもアクセスできます.
自動車に載せていけば調査には超高効率です.

9月に入ってやっとウミガメの毎日調査から解放されましたので,少し休みつつツアーもしつつ過ごしました.
やっとのんびりする時間ができましたが,夏の間にウミガメとチドリに掛かりっきりで観察に行けずにいた場所を見て歩くなどフィールドに出る機会はあまり減りません.
それにしても気温が高い日が多く,夏の異常な暑さが結局9月いっぱい続きましたので,その点ではなかなか休まりませんでした.
シーカヤックも夏よりもむしろ9月以降が本来お勧めなのですが,この9月に限っては夏と同じように暑すぎる状況が続きました.
最近,夏のツアーのスケジュールを午後にしたのは昼間の暑さのピークを避けて安全に楽しんで頂くためでしたが,この9月もそのスケジュールでやった方が良いのではないかと感じました.
ただ日没が早くなりますので18時終了だと遅すぎるのですが.
ちなみに午後にツアーを行う事で,毎朝のウミガメ産卵調査で慌てなくて済むという事もあり,両方の点で考えてこうなりました.
以前はツアーのある日にはかなり早い時間に産卵地の海岸に行って急いで海岸を調べていましたが,そんな感じでは何かと気づかずにすぎている事もありそうで,これではダメではないかな?といつも思っていたのでした.
ですので,今のやり方は長年かかって辿り着いたなかんか良い方法と感じています.


写真:以前よく参加してくださったお客様が18年ぶりに参加してくださいました!しかも高校生の息子さんと!
先月の19年ぶりのお客様ご参加の投稿を見てのご参加との事大変嬉しかったです!
懐かしいお客様のご参加お待ちしております!

本来,シーカヤックを漕ぐには関東以南の夏の海には暑すぎるのです.
というのも,シーカヤックは元々は北極圏でイヌイットやアリュートといった人々のハンティングに使われていたボートで,腰から下が完全に船体に包まれるデザインのお陰で寒い日にも冷えにくく,密閉された船内は体温により温度が高まり更に暖かくなります.
また上半身はパドリングの動作を続けると体温が高まりますから,そういった身体の仕組みを最大限に利用する事で低温下での水面での活動に優れた脚となっています.
カヤックの船体は足にとっての靴と同じです.
釣りの人や,南海のマングローブツアーなどで体験的に使われる上に乗るタイプのカヤック(シットオンカヤック)はシーカヤックが登山靴やスニーカーとすれば,ビーチサンダルのようなものです.
つまり夏にのんびり過ごしたり,少しの距離を歩く程度ならビーチサンダルは良い履物で,四季を通して快適に移動を楽しむならシーカヤックが良いといった感じです.
シーカヤックに近いものでサーフスキーや折り畳み式のカヤック,その他今では様々なタイプのカヤックがありますが,それらはランニングシューズ,トレイルランニングシューズ,ハイキングシューズ,登山靴と同じように目的別に細分化されています.
ただトレイルランニングシューズのような位置づけのカヤックを選んでおけば早く走る事ものんびり長距離を歩くことも楽しめますし,ランニングシューズで登山をしてはいけないわけではないので,使用者の好みという風にも言える事ですが,やはり自分がどういった海でどのような目的で移動を楽しみたいのかという,ある程度明瞭な目的やイメージなどがあった方がカヤックを購入して楽しむのであれば無駄なく済みます.
そして何よりそれぞれのフィールドに適した艇を使う事で安全性が確保しやすくなるのも確かです.


写真:一旦消滅した群落で発芽した小さなハマナタマメの株.

もちろんカヤックを始めてみないと,いろいろと分からない事もありますし,イメージしていたものと違う方向性の楽しみ方に後から興味が湧くという事も多々あるはずです.
そういった変化自体が趣味の面白さ,楽しみのひとつではありますが,カヤックという安くはないし,いくつもコレクションするには置き場所も困るようなものに関しては,無駄なく購入したいと思います.
ですから,その点でうちでは艇の購入はあまりお勧めしていません.
ツアーで幾度も幾度も漕いで,それでも飽きることなく続けていきたいと感じた時点で,その頃には自分がカヤックに求めるものがかなり明瞭になってきているはずです.
その頃になって初めてカタログと睨めっこを始めた方が多分生涯を共にすることが出来るような自分に合ったカヤックを見つけられると思います.
買ったのにあまり乗らずに放置されたカヤックや,ネット上で安く売られてしまっているまだ新しいカヤックやその他備品を見かけると,いつもそう思うのです.
資源の足りていないこの時代に無駄に購買することで,良い事は少ないですから,そういう点でも自分に必要なものがサンダルなのか登山靴なのか,実際にツアーで十分に体験して見極めてからがお勧めです.

ただやはり自分の,自分に合ったカヤックを手に入れて,それに乗り込んだ瞬間からの自身の変化はなかなか他では得られない感覚があると思います.
身近な個人的な乗り物として自転車や自動車があると思いますが,自転車はほとんどの日本人が子供の頃に乗り方を習得して,その経験をもとに一生使いますから,その流れが大人になってから習得するカヤックとは違ってきます.
自動車も免許を取るのは十代の終り頃という方が多かったと思いますが,これは原動機が付いている点でカヤックと違ったものとなっています.
更に近年の自動車は非常に運転が簡単で,昔の自動車と比べると操作する楽しみという点がほとんどなくなってしまい,単なる身体能力拡大増強マシンとなってしまっていますから尚更です.
体力も運動神経もほとんど必要なく,運転出来て当たり前で.その操作に関する面白味がほとんどなくなってしまいました. だから最近の人はむやみに速度を出すのだと思います.そのスピード感だけが唯一の非日常感覚なのでしょう.
非日常感覚という点で言えば海面を自力で沖合を往くという事ほど非日常的な事はありません.
沖を漕いでいて地上からオートバイの爆音が聞こえてくるときに私がよく考える事は,規制だらけの道路で暴走しているオートバイの若者よりもカヤックで沖の波の中を自由に移動しているカヤッカーほどのアウトローはいないんじゃないかという事です.
しかも誰にも迷惑を掛けずに.(事故さえ起こさなければ)


写真:この夏に非常に拡大したオカヒジキ群落は種子が熟成し,拡散する季節になりました.
どんどん拡大してほしいです.

話が逸れましたが,カヤックを大人になってから習得し,自分の身体の一部として移動を共にするようになった時の感覚は,海の上というそのフィールドの違いもあって,多くの人にとって全く新しい体験となるはずです.
つまり自転車のように子供の頃から慣れ親しんだものではなく,自動車のように操作が簡単で体力を使わなくても動くことが出来るような単なる身体能力拡大増強のマシンでもなく,最初は自身の身体機能を全て導入しても扱うのが難しいような,しかし太古の昔から人が行って来た「漕ぐ」という動作と,その船体が自身の身体と一体となっていく中に他の乗り物では得られない不思議な感覚を見出すことが出来ると思います.
一方,普及度合いの関係から欧米の人々にとってはカヤックの操作は子供の頃から馴染みがあり,パドルの扱い方を習う必要もないほど自然なものとして扱うという姿もあります.
ちょうどわれわれ日本人にとっての自転車のような感覚かもしれません.
日本でも最近,カヤックの需要はサーフボード状の板の上で片側だけに水かきのあるパドルを用いて立って漕ぐSUP(Stand Up Paddle board)に取って代わられている状況がありますが,私の想像ではこのKayak→SUPという流れがもう少し進んでいくと次にまた→Kayakという流れが生じると想像しています.
もしかすると既に起き始めている流れかもしれませんが,SUPを導入口として物足りなかったものをKayakに求める層が出てくると同時に,SUPを幼いころから親と親しんだ子供がある程度成長するとSUPではできない事をKayakに求め始める人がかなり出てくるのではないかという想像です.
KayakとSUPそれぞれに役割があり,それが成熟して日本のパドルスポーツの普及となり,欧米のように当たり前のものとしてそれぞれが存在していく時代が来ると思います.
その中には先に書いたような様々なタイプのマンパワーウォータークラフトが存在し,それぞれがどのカテゴリーなのかを区別するのも難しくなり,そもそも区別する必要さえなく存在し,それぞれが交わりあった状態で楽しまれている事でしょう.
私はそういう時代の日本の海の上を漕げるのが楽しみですので長生きして,いつまでもパドリングが出来る身体を維持したいと考えています.


写真:グンバイヒルガオで吸蜜中のイチモンジセセリ.
この秋はとても多く感じました.

以下は今月のTwitter(Xともいうらしいですね...)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

8日
夏の終わりのシロチドリ.
海岸のゴミにも,卵を産んだ砂浜を荒らしまわる重機にも文句を言うことなく耐え続けた夏ももう終わり.
ゆっくり休んでください.
8/29撮影.
当日の投稿

13日
8/3に撮ったチドリ.
現地ではっきりしなかったまま今日写真を整理していて出てきたので改めてよく見てみたのですが,オオメダイチドリ幼鳥でしょうか? 最後の写真はコチドリ(右)との対比.
なんであれきれいな鳥でした.
当日の投稿

16日
泳いでいる時のように水の中でもなく,しかし手を伸ばせば水に触れられるくらいという海面との距離感がシーカヤックを漕いでいる時の独特な視点と感覚を生み出します.
そして水面のすぐ上は空気よりも安定した水温の影響で暑い時には涼しく,寒い時には暖かい,そういう場所でもあったりします.
当日の投稿


写真:単独だったり他種と行動を共にしているミユビシギを見る事が多かったように感じます.
同種の数が減ってしまった場合に近い生態の種と行動を共にすることで安全を確保する場合が増えたのではないかと思いました.
この個体はトウネンと一緒でした.

19日
先日の19年ぶりのご参加のお客様の投稿を見て,2005年以来18年ぶりにご参加くださったK様!
しかも高校生の息子さんと!
これに引き続き懐かしいお客様のご参加お待ちしております!
それにしても10代の運動性能羨ましいですね.どんどん吸収してくれるので,どんどん詰め込んでしまいました!
これを機にいろいろな所でカヤックを漕いで世界を広めてほしいです.
当日の投稿

21日
時間が取りにくかった夏の間にご無沙汰だったエリアの馴染みの顔をチェックし始めています.
写真の地味~な草はハマナタマメという海浜性の植物.
種子が漂着して分布を広げます.
大切な継続観察対象です.
小さなうちに見つけて,少しずつ何年もかけて大きくなっていく姿を見続けていると愛着が湧いてきます.
来年は花を咲かせて見せてくれるかな?
当日の投稿

21日
8/15に平砂浦(館山市太平洋岸)でウミガメ調査中に発見のイルカの死骸です.
この日,現地確認したところ処理されていたので,情報公開しました.
2.6mのメスで歯の数や外形からミナミハンドウイルカかと思います.
発見してすぐに国立科学博物館の田島木綿子さんに連絡,クルマが入れない現場の状況と,科博側も他の出動で調査に来られない状況とで現地調査は諦め,歯と皮脂と筋肉のサンプル採取だけして発送しました.
暑くてあまり作業に集中できなかったのですが,科博の人たちは年中,日本中のあらゆる気候の中でこういうのを続けていて凄いなあと改めて感じました.
本当にご苦労様です.
ミナミハンドウイルカだとしたら御蔵島からの旅イルカなのか気になりますが,個体識別できそうな傷跡などは無く,背ビレも特徴無しでした.
当方の ストランディングのページをストランディング投稿の度に毎回リンクを一応貼っておくようにします.
ちょっと,いやかなり古いままのページですが基礎的な事は書いてあるので興味の湧いた方へ向けてです.
当日の投稿


写真:昨年はあれほど時間を割いたスナハマハエトリですが,今シーズンはほとんど観察をしませんでした.
それでも海浜植生などを見ているとヒョコっと登場してくれます.

27日
今漕がなかったらいつ漕ぐんだというくらいシーカヤックを漕ぐのに最適な季節ですので,久しぶりにひとりでのんびり漕いできました.
沖ノ島で増えてるというテーブル状サンゴはかなり沖にもありました.
丸いので水面からでも見つけやすい.
どんな海になっていくのでしょう...
「温暖化で爆発的増加?/エンタクミドリイシ(館山市沖ノ島)~房総の竜宮城~」 房日新聞 2023年05月31日 03時00分
当日の投稿

27日
ストランディング現場でお知り合いになった角 洋介監督作「寄り鯨の声を聴く」が,ちば外房映画祭2023 に入選とのこと! 角様おめでとうございます!!
ちば外房映画祭っていうのがあるんですね.
ストランディングに関した映画が千葉県で上映とは!見に行きたい...
そしてそのうち南房総でも上映してほしいです!
南房総は高頻度ストランディングエリアですから市民の方々へのストランディング調査周知も兼ねて.
科博の先生を呼んで,対談とセットで上映とか出来たらいいなあ.
角 洋介 / Yosuke Sumi@yosuke58fl 午後8:28 ・ 2023年9月25日
当日の投稿

29日
漂着物のたくさん残っている場所はミユビシギのレストラン.
ガツガツ食べてたのに,写真を撮っている私に警戒しはじめてしまって動きが止まってしまったところ.
顔を見合わせて「どうすんの飛んで逃げる?,ここでまだ餌食べる?」という表情で顔を見合わせてる感じ.
本当に迷惑だな自分と...お邪魔致しました.
当日の投稿


写真:シーカヤックでならあの向こうの岬まで海の上を行けるのです.
11月くらいまでは最高のシーカヤックシーズンです.
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 2023年8月の出来事



写真:シロチドリの親子.
右の成体がメス,左の海藻に頭を突っ込むようにして雛が2羽隠れています.
見えますか?

あれ?と思われた方もいらっしゃると思いますが,実は7月のカヤック日記がまだアップできていません.
この7月はシロチドリが繁殖中の根本海岸で音楽イベント開催という問題の大きな出来事があったため,その記録でかなり多くの写真,動画,その他記録が溜まっていて,それを処理するのが間に合いませんでした.
また今回の出来事は将来的に南房総の海岸環境の保全に関する重要な出来事となりますので,しっかりと全て記録として残しておきたいという事もあり,処理も適当に済ませられず時間がかかっていました.
しかも夏の毎日のウミガメ調査で時間と体力の消費が大きく,特に今年は暑さが続いた事もあり,なかなか思うように更新作業が進みませんでした.
そうしてる間にとうとう9月に入ってしまった事から,まず7月の日記を後回しにして8月の日記を通常通りアップできるように進める事としました.
それでも現時点で22日となってしまい,かなり遅れてしまいました.
7月のカヤック日記は改めて,しっかりとした記録として後で公開する予定です.

あとは今期のウミガメの産卵状況の報告をSNS上でもまだしていませんでしたので,まずはそちらを書いていきます.

7月5日 南房総市白浜町滝口
やや不明瞭な足跡を発見.
植生群の中でボディーピット(産卵場作成痕跡)と思われる痕跡があるものの産卵には至っていないようにも見えるのですが,一応産卵したものと記録しました.

7月23日 南房総市白浜町滝口
明瞭な足跡を発見,ボディーピットもはっきりしていて卵を産んだ様子.
産卵までの経緯は全く問題ない良いものでしたが,帰り道に岸に沿って延々100m以上という距離を歩いてました.
移動距離的にはこれくらいは珍しくないのですが,「帰り道に」と「岸に沿って」というところが全く不自然です.
すぐそこに海があるのに海に帰らない理由は何だったのでしょう?
おそらくその要因は光害だと思いますが,要検証です.

8月29日 館山市平砂浦海岸
かなり薄くなった足跡らしき痕跡と思われる直線的な痕跡とその延長の砂丘の麓にボディーピットらしき痕跡がありました.
恐らく産卵してあるウミガメの巣と考えられましたが,卵の掘り出し確認なども行っていない為に不確かです.


写真:根本海岸で既に孵化を終えて既に空になったシロチドリの巣ですが,台風の高潮をギリギリ免れていました.
巣の位置を高潮から護ることが可能な位置を予測できるのではないか?と.
赤矢印が卵のあった位置で,そのすぐ海側に波が来た痕跡で砂の色が違っています.

以上のように,今シーズンは和田~白浜~館山全体で不確かなものを含めても3か所しか産卵上陸を確認できませんでした.
もちろん毎日調査している白浜以外は1か月に2回の計6回(今回大潮が8月に3回だったことから平砂浦は7回)しか行けないですし,風も強い日が多かったですから足跡が消えてしまっていただけとも考えられます.
あと, 6月27の大雨の後に見つかった河口にいくつも転がっていたウミガメの卵 については,その後何も分かりませんでしたが,5月に産卵したものと考え日本ウミガメ協議会の報告に状況を書いて加えるつもりです.
しかし,卵がなぜ根本海岸で不自然に散乱していたのか?
根本海岸での5月からの土木作業の事を考えれば,その作業により卵が掘り返された可能性を否定する事は出来ないでしょう.
今回の件で来年からは5月より産卵調査を始める必要が生じてしまいました.
現時点の6-8月の3カ月の調査でもいろいろとかなりギリギリで継続してきましたが,来年以降は更に厳しくなりますのでツアーの方のスケジュールや受け入れについて縮小の方向で考えています.
それでなくては身体がもたないくらいの負担があります.
ツアーは南房総でも随分同業者が増えましたし,ある意味ではサービスの提供は他社でも十分なのですから,それよりはうちがやれる(やるべき)事について重点を置く事が大切と考えています.
もちろん経営的に継続していく必要がありますので,どの程度のどういった縮小をするかは次年度までに検討してお知らせします.

ウミガメだけでなく,春から夏にかけての絶滅危惧種シロチドリの海岸での繁殖について市や県は無配慮にやってきました.
今季,音楽イベントに伴った状況を県や市に伝え,今後の対応について要望を伝えましたので,来年度どの程度の対応があるのか興味深く見守りたいと思いますが,こちらの負担も増えそうな気がしています.
この夏はこの件でもかなり精神的にも体力的にも消耗していて,ウミガメは来ないしでやや絶望的な気分になったりしていましたが,なんとか持ち堪えました.
淡々と記録を残すのが仕事と割り切りたいと考えているのですが,やはりヒトのやっている事でただでさえ生きるのが難しい状況にさせられている生き物たちの状況にまだこのうえ手を加えようとしている様子を見ると精神的にも無駄に体力を消耗しますね.
こういう人の行為を見ていて思うのは「お金は怖いな」ということです.良い人もお金で簡単に変わってしまうようです.


写真:南房総で最も理想的な海岸線として個人的に非常に貴重と考えている某海岸.
年々海岸清掃が縮小化しており,今年度は最小限だったため海岸植生の密度がかなり高まり以前にも増して自然の姿に戻りつあり,更に台風がほとんど影響しなかった事もあり特にオカヒジキが過去にないレベルで繁殖しました.
砂丘の草を刈らなかったお陰で侵入する四輪駆動車もなく良いことずくめでした.

自分が育った地域の貴重な自然を壊しながら生計を立てて,将来その自然がどれくらい貴重だったかに気づいた時には遅いかもしれないですし,ただでさえ減っている自然を次の世代に残しておいてあげられなければ,次の世代はそれを知る事も触れる事も出来ずに育つことで,むしろそれを強く求め始めるはずです.
それはどんどん自然が消されていく時代の東京で育った私のようなものが一番よく知っています.
東京ほどではないまでも過去とは比べ物にならないくらい御南房総の自然の失われた時になって,その時には年老いた現在それに加担している人たちがそれを壊して生きてきたと気づかされ,もっと良いやり方があったはずなのにそれを考える事をしなかったと苦しむのは自由ですが,個人や自治体の担当者といったレベルの少数の人々が思うままに変えて良い自然はもう日本には残されていないと思います.
少なくとも千葉県の海岸線にはその猶予は無いと思っています.
海岸は内陸と比べ物にならないくらい細い線で成り立っている自然だからです.
分断も消し去る事も人の行いで簡単にできてしまいます.
その中で南房総は今とても大事な時期に来ていると考えます.
今を逃すと後戻りできないところまで来ているというタイミングだと思います.
担当者は「今まで何十年もそうやって来たのだから大丈夫」という刹那的な短い時間間隔で自然を扱っていますが,自然の時間の進み方で言えば一瞬の出来事です.
それをほんの一部の人の考えによって消してしまって,結局次世代に「誰がこんな事をしたんだ!」と批判された時に批判を全て受け止めるのは結局現場にいて実際に手を加え,お金を得た人です.
それをやらせた人ではない.
私たち市民,国民もそれを「知らなかった」という態度で許容していたのですから同罪でもあります.
未来の人たちに謝る時の,その荷の重さをいまから想像しておく必要があると思います.

あとは今まで単純に毎年続けてきたような,現在では十分に資金の流れる開発的事業に資金が回って来なくなった時に,そのものをどういった形で維持するのかという実際的な問題もあります.
その時になって利益が得られないと判断し放棄する時期がそれほど遠い未来に必ず来ます.
人工構造物がそこに設置されていた場合には,それを維持する事は出来ず廃墟となり,危険なので人が立ち入れない空間がいろいろな場所に見られるようになるでしょう.
民間の施設でもそうですが,最初に企画建てをする段階で事業全体の収支を計算しているはずですが,現場を見ていて思うのは自然の影響を受ける構造物の使用可能期限の見極めと解体に掛かる費用の予算については後で考えれば良いという事になっている場合が多いようです.
南房総市の大房岬の海岸には 良い例 がありますから一度見に行ってみてください.
そういった廃墟の合間合間にも数十年という単位で気長に眺めてみれば,そこにいろいろな生き物の生活が戻ってくる可能性があります.
だからせめて,今のうちにできる事は,人が手を加えるとしても,もしそれを維持することができなくなった状況を今から十分に配慮して,放棄した場合にも危険で見苦しい廃墟とならず自然的な環境に戻るような状態に今のうちから少しずつ変えていく事が南房総のような自然豊かな地域の自治体が進めるべき事業だと思います.
太古の自然の姿のままに近い海岸線が南房総には細々と残されていますが,今の人工化された海岸を自然に戻す事業を進めていった結果,将来南房総のほとんどがそういった本物の自然海岸の豊かな場所として関東に存在するようになれば,それは南房総全体が現在の形だけの自然保護区ではなく本物となり,そこには生物や自然の観察を楽しむ人々,釣りやカヤック,ハイカー,ビーチコーマー,サーファーといった本当の海の自然を愛する人にとって貴重で幾度も訪れる価値のある場所として認識されるようになるでしょう.
それは今の箱モノや偽自然を提供して得られるよりも多くのものが得られるはずです.
私自身がそうでしたが,そういった観光というよりも活動やライフワークに近いものをその土地に求める人の中には単に使い捨ての週末の観光では飽き足らずここに住みたいという希望を持つ人も多いでしょう.
今の南房総の過疎化が日本全体の高齢化や就職先の減少といった単純な説明で諦められている様子を見ていると,そもそも南房総の魅力はなんだったのかを考えているのだろうか?と感じます.
対岸の神奈川県の海岸線には無い広々とした海岸線,駐車スペースや海水浴場といったものに縛られない自由な利用とそれに伴うシーカヤックなどの様々なアクティビティ利用の可能性,貝殻をはじめ海岸線でのバードウォッチングといった生き物の豊富さといったものでした.
それらを求めてわざわざ訪れている人々の求めてるものがこの30年でみるみる失われ,観光客の客層が変わって来たのを観光を仕事にしている人でなくても感じ取っているはずです.
30年前,南房総の海辺を目指して来ていた人たちはコアなサーファーと釣り人,とにかく静かで広々とした穴場的な海岸を求める人という印象でした.
つまり湘南に行かずに南房総を目指す海好きは,良い意味で少し変わった奴らでした.
ましてや房総くんだりに移住するなんて本当におかしな奴だと私自身,当時の勤め先で土地の人に随分不思議がられました.
南房総はそういう場所でした.
そしてそれが神奈川の海岸では到底得られないとても貴重な事でした.
ここ数年,いろいろな経緯を経て南房総の海岸線に新たに家を建てる様子を各所で見かけますが,移住に至ったケースは少ないようです.
これらの耐用年数の短い建物たちの30年後の姿やそれに伴う人の動きがどうなっているだろうか?と考えると残念ながらあまり素晴らしい状況は想像できません.
今のこの状況は自分で南房総を見つけ出すことなく,単純にマスメディアに押されたレイトマジョリティによる単なるブームでしかないように思えます.


写真:外房某所で小さな株だった時期に発見し継続観察しているハマナタマメ.
人工環境が漂着種子にどういった影響を与えたかを記録しています.

今後少なくとも50年後,早ければ20年後には海岸線を主体に人の利用頻度の下がった環境を自然に戻す事業が土木の主な仕事になっていくはずです.
少なくとも南房総ではそうならざるをえない状況なのです.
人工的なものは維持するのにコストがかかるのですから,これから人口も減り,それに伴って収支も縮小していくのですから大きな仕事ほど今のうちに済ませ,先々は細々と自然回帰的な環境に海辺をはじめとして現在では居住区となっている場所まで,ちょうど良いくらいに時代を遡らせた環境を取り戻していくことに必然的になっていくでしょう.
先に書いたように十分な自然物が残っていれば,そこは維持コストのかからない貴重な観光地としての意味を保つことができます.
そう考えた時に,本来の自然環境の中で生息している生物,特に数の少ない海岸性のものなどは今しっかりと生息地を調査し,そして環境を維持しなければ人が減った時代に折角海岸環境が自然に戻って行こうとする中で,特定の生き物だけが復活しなければ結局本来の生態系が復活しない為にバランスが悪くなりいろいろな不具合が出てくる可能性があります.
小さな昆虫一種,小さなチドリ一種くらい,いてもいなくても同じと考える人がいるなら,南房総の海辺は過去の巨大なゴミが点在する見苦しい荒廃した,気持ち悪くて誰も寄り付かない場所になってしまうでしょう.
その時代に南房総が観光地であり続けることは無理でしょう.

一方で現在,館山市の 沖ノ島のように 管理しやすい特定のエリアだけに観光客を集め,そして「環境保全」を謳いながらお金を集め,単に観光とお金を直結させるためだけに「自然」が存在するという状況が今から始まっています.
過去に観光でお金を生み出してくれた,その他の海岸を突然放棄してお金の収集効率を高めようとしています.
環境はお金のために,つまりヒトのために存在すると考えている人がまだまだ多いのですが,自然はヒトが存在する為に欠かせない存在なのをすっかり忘れてしまっているように感じます.
ヒトと自然が直結している存在なのに,間に必ずお金を挟み込みたい人がいる事がこういうおかしな世界を作り出しています.
順番として本来,自然があって,その中にヒトがあり,結果としてヒトは自然の中で生活の元となるものを得て生きるという,例えば漁師や農家のような基本的な仕事が現代の生活から失われたことが,多くの人にそれをすっかり忘れさせているのではないかと感じます.
自然をいかに換金するかにしか興味を持たなければ,換金に役立たない存在は無いものとされます.
無視されるくらいなら良いですが,「気持ちが悪い」といった単純な理由で観光の,つまり換金の邪魔になるとされてしまえば,排除される対象になっていきます.
砂浜に重機を入れて行う「清掃」作業の様子を見ていればよく分かりますが,自治体も個人も砂浜は単なるリクリエーションの場としてしか(少なくとも南房総では)見ておらず,生物の貴重な生息地という事を無視して人工的な管理が可能な巨大な運動場か砂場と捉えています.
そうやって海岸に漂着する有機物の排除により微生物も排除されます.
それは希少種を含む貴重な海鳥の食べ物である生物を養う貴重なものであるとは誰も言いません.
そもそも時化の後には砂浜に海藻が打ちあがるのが本来の姿でしょう.
それが「自然」です.
その大量に海から供給された貴重で膨大な栄養物を,それに見合った量で短期間に増殖した膨大な数の甲殻類や昆虫が直接,間接的に分解し,そして彼ら自身が鳥の餌となる事で,海岸は海の中から供給された貴重な栄養源を鳥の体内に繋ぎ,その海岸では鳥の繁殖が行われ,それが他の海岸や内陸の生態系との繋がりを作り出すという広がりをだれも考えていません.
人が慌てて重機を海岸に乗り入れて大騒ぎしながら毎回大金を注いで片づけなくても小さな生物が想像以上に早くそれらを分解し,徐々に砂に埋没していく事で自然にそれが処理されるステップこそが砂浜海岸において最も重要な自然の働きで,それこそが海岸環境の起点となっているものです.


写真:台風の後,根本海岸に打ちあがった海藻を移動して埋める作業を行っている重機.

その他の大きな出来事としてはストランディング(海棲生物の漂着)2件がありました.
7月7日には岩井の海岸でオサガメの死骸が漂っているのが見つかりました.
報告者はパドルスポーツ専門店 Cetus の笠原清孝さんで,お知り合いが発見した情報を伝えてくださいました.
夜になってしまいましたが,早速現地入りしたところ既に役所によって(?)埋められていた様子でしたが,場所が特定できたので,ウミガメの漂着調査も行っているNPOの エバーラスティング・ネーチャー(ELNA) に報告しました.
次の日の調査で掘り起こし,無事調査が完了したと連絡を頂きました.
アオウミガメ,アカウミガメは頻繁に死骸が漂着しますが,オサガメは滅多にありませんので,貴重でした.
笠原様,そしてご友人の方,情報頂き,ありがとうございました!
出来れば私も現物を見たかったですが,そのうち生きたオサガメとカヤックで海上で出逢う事を楽しみにしておきたいと思います.

もうひとつは藤田自身が発見したイルカの死骸で,ウミガメの調査の際に見つかりました.
こちらはしばらく現地に放置されていたので,いろいろなトラブルを避けるためにSNS上での公開はしていませんでしたが,昨日(9/21)に現地確認したところ処理され無くなっていたので,こちらでは書くこととし昨日SNSでもアップしています.
発見は8月15日で台風の影響が数日続いた後の平砂浦海岸(館山市太平洋岸)でした.
2.6mのメスで全長,歯の数や外形からミナミハンドウイルカかと思います.
高温の続く中でしたし,かなり腐敗していて,外傷から内臓も出ていたりといった状態でしたが外形はしっかりとしていました.
発見してすぐに国立科学博物館の山田格先生,田島木綿子さんに連絡,クルマが入れない現場の状況と,科博側も他の出動で調査に来られない状況とで現地調査は諦め,依頼された歯と皮脂と筋肉のサンプル採取だけして発送しました.
このような採取を行った場合には科博の方で市の農水産課へ学術所持届が出されます.
私は2000年初頭から幾度もストランディングの調査現場に参加させていただいている経緯から科博からこのような依頼を受けますが,基本的に菌の多い死骸に触れるのは大変危険です.
私も毎回緊張しながら手袋など十分な保護を行ったうえで作業を行っています.
今回はあまりに暑くて作業に集中できなかったのですが,科博の人たちは年中,日本中のあらゆる気候の中でこういうのを続けているんだもんなあと考えたら凄いなあと改めて感じました.
本当にご苦労様です.
ミナミハンドウイルカだとしたら 御蔵島 からの旅イルカなのか気になりますが,個体識別できそうな傷跡などは無く,背ビレも特徴無しでした.
もしかしたら海上で逢った事がある個体かもしれないと思うといろいろ感じました.
長い旅の間にはいろいろと厳しい事があるのでしょうけれど,自由な旅を想像すると特にシーカヤッカーには羨ましい生き方にも見えますね.


写真:8/15台風が去った後に打ちあがっていたイルカ.
大潮時の波は堤防にまで寄せますし,堤防で砂丘と分断されているこの位置でイルカを分解してくれる生物は少ないでしょう.
不自然な人工物の弊害はこういったところにもあります.

以下は今月のTwitter(Xでしたっけ・・・)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

4日
根本海岸のシロチドリの巣で作った囲いのサイズは巣の周囲を歩いてみて親鳥が反応しない距離として決めました.
制約のなかった西側が35m,その他は地形や海までの距離などの制約があり,可能な範囲で囲いました.
100feetは約30mなので,まあ妥当だったという事になりそうです.
この投稿で取り上げた「Share the Shore」は日本でも広めたい言葉ですね.
「海岸を生き物と分かち合おう」かな.
もちろん分かち合う生き物は鳥だけに限らないです,甲殻類、昆虫、クモまで、いろいろいます.
それが鳥の餌でもあり,更にはそれらを育む棲み場所としての漂着物や海浜植生の維持まで.
今後、それらに生きる場所を十分残せているかが,それぞれの海水浴場の管理者レベルを表現していくと思います.
そして,どういう海岸を選ぶかが利用者側の支持を示すので,生き物への配慮の見られる海水浴場があったらどんどん推していって下さい.
根本海岸もそういう風にしていきたい.
Bird Center of Michigan@birdcentermiの投稿
当日の投稿

6日
ミンククジラの漂着調査現場で知り合った角洋介さん製作の短編映画「寄り鯨の声を聴く」がついに公開されました!。
主役の中学生が「みーんな凄くて!」って言うのを観て、自分も同じように感じたなあと思い出しました。
自分の場合はもう30を過ぎてからでしたけれど…
私が初めてストランディングの現場で国立科学博物館の人たちとお会いしたのは2001年にコマッコウを館山の海岸で見つけて連絡した時でした。
解剖する山田先生の技が凄く繊細で、「なんだこれ凄い!」みたいなまるっきりこの中学生と同じものを感じたので、お父さん役よりも中学生役に共感してしまうのでした。
生き物の解剖を初めて見て,その行為の意味を頭ではなく現場で視覚的,経験的に得られたことが,その後にストランディングの調査に出来るだけ協力したいと考えることができたのだと感じます.
それまでは大好きなイルカやクジラの死骸を解体してしまうのは可哀そうな感じがしていたり,自然のサイクルに戻すのが良いのではないかと少し感じていたのでした.
しかし人がそれらを知る機会が少ない事,生きているものを殺して調べる必要が少なくなる事といった状況が良く理解できたのでした.
映画の話に戻りますが,とにかく映像も音楽の感じも素敵な映画なので是非観てみて下さい!
昼食の場面なんかも、「(臭いのの後ですけど)大丈夫ですか?」と田島さんにオニギリを分けてもらって「私たちはいつもこうなんです」みたいに言ってくれてたのを思い出しました.
「僕も親の仕事柄で大丈夫な方なので」と.
これショート版との事なのでロングもある!?のだとしたらそちらの公開も楽しみです!
当方ホームページ内の ストランディングのページで2001年の現場の写真少し載せてます.
角 洋介 / Yosuke Sumi@yosuke58flの投稿
当日の投稿


写真:過去あまり遭遇していないオオメダイチドリと思われる鳥に逢いました.
とても美しい大きめのチドリ.

7日
久しぶりのオカヤドカリに逢いました.
ムラサキオカヤドカリと思いますが,まだ紫色になった成体は見たことがありません. 以前オカヤドカリを調べている方と連絡を取った事がありますが,紫色の個体が見つかると貴重な発見という感じだそうです. あれから随分経ったので,これまでに南房総で見つかっているのか分かりませんが,いつかそういう大きな個体に出逢いたいと思っています. 当日の投稿

10日
白いハマゴウは今年も咲きました.
この群落は清掃の際に重機で根こそぎにされましたが,生き延びました.
海岸において海浜性の植物が砂丘の砂を保っているという事を知ってほしいです.
特にハマゴウの強い地下茎は砂丘の全形を形作るほどで,根こそぎに排除する事で砂丘を崩壊させる場合さえあります.
当日の投稿

12日
ゴミだらけの海岸.
そういう海岸は人には好まれませんが,自然物の「ゴミ」なら太古から海岸に沢山あったはずです. それが前提で,それに紛れて天敵に見つかりにくく過ごして助かる生き物も多々います.
だから全ての「ゴミ」を取り除いてはいけない海岸も沢山あると知ってほしいと思っています.
シロチドリやコチドリの場合はカラスやトビなど天敵が来たら雛はゴミの下に隠れて,親鳥は敵に向かっていきます.
ゴミだらけの海岸は雛たちには命がけのかくれんぼをする場所.
当日の投稿

13日
この日の朝の根本海岸(根本マリンキャンプ場)は台風への警戒でキャンプ場閉鎖,駐車も不可でした.
ホームページでは告知されていますが,知らずに来た人たちの車が入口で溜まってました.
15日まで閉めていましたが,実際には大した事が無く過ぎていきました.
この時の台風に関する報道は南房総に住む人にとっては実際よりも被害想定が大きかったように思います.
ある程度天気の情報を得るのに慣れていればその状況は掴める状況でしたが,自治体も念のためで警戒を促していたのだと思いますが,それを受け取る側が自分の住む土地での様々な条件に照らして被害が出そうな場合に自治体やメディアのどちらかというと全国規模的な情報に頼っている様子は不安を感じます.
2019年の台風はそれで被害が大きくなったと感じています.
きっとまた同じような被害が出る時が来ると思いますが,個人個人が十分に天気を判断して自分の身を自分で護るようにしていく必要があると感じます.
ただ今回のキャンプ場のリスク判断は良かったと思います.
過去には台風が通過する予想なのに開けっ放しで,酷い状況になってから避難したキャンプ客の散らかしたゴミが沢山残されていたりといった状況もありましたので,そういう点で良かったです.
根本マリンキャンプ場ホームページ
当日の投稿


写真:2017年の御前崎に上陸した台風からの異常な高潮で崩落した館山市太平洋岸の砂丘.
写真のように高密度で砂丘の内部に広がっているハマゴウの地下茎により完全な消失を免れハマゴウはまた砂を保持し砂丘を成長させています.
人間の造ったものでは到底不可能な事業を自然物がやってくれている例.

15日
キオビベッコウバチ(キオビクモバチ)と思われるハチが地面に穴を掘っていました.
なんのクモを捕まえたのかは見られませんでしたが,とにかく凄く忙しそうでした.
南房総の海岸には時々いますが,神奈川では減っている様子です.
こういう海浜植生のある砂丘が少し残っているだけでも,ある種にとっては貴重なのでしょう.
大切にしていきたいですね.
日本のレッドデータ検索システム「オビベッコウ」
当日の投稿

19日
なんと19年ぶりに当方カヤックツアーにお友達と参加して頂きました!
19年前のその時が初めてのカヤックで,その後いろいろな所で楽しまれたそうです.
うちのツアーに参加して「シーカヤック面白い!」と思って頂けたのだと思うととても光栄です!
この19年の間には本当にいろいろな出来事がありましたが,その中で元気にまたお会いできるという事の素晴らしさを感じました.
本当にありがとうございました!
当日の投稿

28日
この日は雷雲多発でしたが,参加されていたのが経験の長いリピーターさんでしたので勉強という意味も含め雲をしっかりと観察しながら,すぐに上陸避難できる岸沿いを臨機応変に対応しながら漕ぐ経験をして頂きました.
台風が接近している割にうねりが全く入らなかったのは良かったです.
こんな日ならではの海の上での虹がきれいでした!
当日の投稿


写真:上記28日の虹.

29日
久しぶりのガラス浮き発見しました.
3か月続いたウミガメ調査が終わりつつある頃でしたので,今期のご褒美かな?と思いながら拾い上げました.
小さく歪な感じが,むしろ今となっては貴重です.
緑色の丸いガラス浮きに付着して生きていたエボシガイの姿は地球にくっついて暮らす自分たちとそれほど変わらないなあという感じでした.
ガラス浮きが打ちあがってしまえば自分たちも生きていけないわけです.
地球はいつまで宇宙を漂っていてくれるのでしょう?
当日の投稿

30日
「カヤック日記の更新はまだなのか?もう9月になるのに7月分がアップされてないぞ!」と,もしかすると誰か思っているかも?
この7月はシロチドリのいろいろな出来事がありすぎ写真が多すぎて,写真を整理して,選んでという段階で物凄く時間がかかってしまっています.
もうしばらくかかりそうです...
そのシロチドリに関する出来事を写真を見ながら振り返っていますが,落ち着いて今になって見ても酷すぎる状況です.
投稿を見てみてください.
南房総市の根本海岸は本来関東で屈指のシロチドリやアカウミガメの素晴らしい繁殖環境だったはずです.
今からならまだ取り戻せると思います.
当日の投稿

そんな悲しいシロチドリの境遇をもっと知ってもらいたい!と思い,根本海岸で長年ライフセービングを行いながらイラストレーターをされているMAY'S CAFEさんにイラストをお願いしました!
実際にこの夏のシロチドリの状況を観て頂いた上で描いて下さったリアル感に感激です!
絵を見て「砂浜に電柱?」という感じがするかもしれませんが,前の投稿の写真にあるように実際に根本海岸には電柱がいくつもあるのです.
その上からカラスやトビが雛の居場所を見ているので普通の海岸では難しい高い位置からの観察を十分に行っているために雛が捕食される確率が高いという可能性を考えています.
MAY'S CAFEさんのページです.
かわいいイラストのグッズ沢山販売されてます!
そのうちシロチドリさんグッズも販売されるかな?
MAY'S CAFE
MAY'S CAFE@MAYS_CAFE
当日の投稿


写真:MAY'S CAFEさんのシロチドリイラストの解説版.
実際の現場を夏の間観ていただいたうえで描いて頂いたので実際感ば抜群です!
シロチの言葉もかわいい!



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運転をしながら,仕事で作業をしながら,音でブログを気楽に「読んで」頂けるようにポッドキャストでの配信を始めました.
文章では書ききれなかった事なども録音時に思い付きで加えてあります.
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パタゴニア

 2023年6月の出来事



写真:この時期には珍しく同じ海岸で幾度もミサゴを観察しました.
多分同じ個体です.

今月もTwitter投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

1日
今日は2023年度ウミガメ産卵調査の初日でした.
漂着物がいろいろ打ちあがっていました.
あとシロチドリの雛が2羽が確認できました.
しばらく見に行っていなかったのですけど,ちゃんと大きくなっていました!
その他に種が不明のウミガメ漂着情報が日本ウミガメ協議会から連絡が来て外房方面へ確認しに行ったりもしました.
甲長62cmのアカウミガメでした.
日本ウミガメ協議会には毎年自身が記録した漂着を報告していますが,向こうから幻聴調査依頼が来たのは初めてでした.
いろいろな分野で人手不足があるような感じがしました.
当日のTwitter投稿

2日
先日の漂着ミンククジラ調査現場で取材に来られていた映画監督の角洋介さん制作の短編映画をネットで発見し,拝見したところ金谷フェリーが題材になっていて館山というてワードも出て来て,景色もお馴染みで嬉しかったのでご紹介させていただきました!
ブログを書いている今はもう7月の後半なのですが,更に興味深い映画が完成するそうです.
楽しみで仕方ありません!!
公開されたら,ここやSNSでご紹介いたします.
「たまには船にでも乗ろうか」監督 角洋介 Gene Theater
当日のTwitter投稿


写真:海浜植生の中に隠れているコチドリの雛.
海浜植物や漂着物は雛が天敵のカラスなどから隠れるためにとても大切です.

3日
台風一過の海岸ではシロチドリの親子とまだ巣のない求愛中のツガイが見られました.
コチドリは複数確認.
大潮と台風の高潮が重なり,植生のある辺りまで波が寄せる状態が続いている中,まだ飛べない雛は植生の奥で静かにしていました.
大波が来ても飛んで回避できないから慎重なのでしょう.
もしも雛が大波でさらわれてしまったら,どうなってしまうのでしょう.
以前,海岸に流れ込む小川を渡ろうとした生まれて間もない雛が足が届かない深さのところに来て身体が浮いてしまい,ス~っと海の方へ流されてしまった場面を見たことがあります.
この時は浅瀬でまた歩き出しましたが,水量が多い場合,そのまま海に出てしまい,しかし足ヒレも無い小さな身体では岸に戻る事も出来ないだろうと想像して心配にしなりました.

この日は台風が去って間もない状況の中で海岸の整地も始まっていました.
この海岸は重機で均されることが例年行われていて,海藻の除去なども重機で行われる場所なのですが,上記のようにシロチドリやコチドリの卵があり,雛が自由に歩き回る海岸でもあります.
更にアカウミガメの産卵地ですから,私が6-8月の毎日調査で記録してはいるものの,気づけなかった上陸痕跡があって場所が確認できていないウミガメの巣(卵)がある可能性が十分にあります.
そういう希少な生き物の繁殖地である海岸で繁殖シーズンに海岸に大規模に手が入る事にこの20年,毎年心配をしてきました.
そこで,今回以下のような投票を行ってみました.
「シロチドリとコチドリ,そしてウミガメが繁殖に利用しているこの海岸が夏にはキャンプ場になって全面的に人間が利用してしまうという,しかも今年はライブイベントも行われます.
ちなみに千葉県では全て絶滅危惧種です.
客観的にこの海岸の利用の仕方,どう思われますか?
」という問いと共に4択でお答え頂き,思った以上に沢山の反応を頂きました.
この記事の11日の分に票の結果を掲載しています.


写真:20日,根本海岸でコチドリの巣を発見しました.
コチドリも千葉県ではシロチドリと同じレベルの絶滅危惧指定がされています.

この時に投稿した写真はTwitter上でご確認いただけますが以下のような写真で状況イメージとなっています.
1枚目:シロチドリの雛×2と母鳥
2枚目:コチドリのツガイとシロチドリのツガイのケンカ(広大なのに営巣適地が少ない?)
3枚目:写真奥の海岸中心部で重機数台とダンプ数台で砂を移動し均しています.植生が踏まれ雛や卵が踏まれる心配が毎年あります
4枚目:シロチドリのオスが求愛行動をした痕跡
当日のTwitter投稿

6日
投票思った以上に増えてきました.
参考になります、ありがとうございます.
強調しておきたいのは現場で作業されている人が悪いのではないという点です.
管理をすべき県や市が生物の生息状況を把握して管理指導を行うべきと感じています.
当日のTwitter投稿

5日
館山市で6月19日,20日と松林に農薬のヘリ散布が行われます.
平砂浦沿いのドライブ,特にランナー,サイクリストは特にご注意ください.
しばらくはそれらが海に流れ出すでしょうからサーファーも心配です.
松に農薬が付着している点もご注意ください.
その他の海岸線の松林も南房総市含め順次行われますので,気になる方はそれぞれ役所か張り紙の電話番号に問い合わせをお勧めします.
観光地である南房総の海岸線でこのような薬品が大量に空中から散布されることが毎年行われていますが,他所から来られる方には全く周知する手段がありませんし,行われていません.
化学物質過敏症といった体質の方がいる事を配慮すれば当然散布時には近隣の宿泊施設や道路は使用禁止か予め告知したうえで自己判断での使用といった流れにしなければ危険でしょう.
特に過敏症の方でなくてもペット,幼少のお子様,含め健常の方でも安全なものではありません.
この辺りです(Google map)
当日のTwitter投稿


写真:ウズラシギと思われる初見のシギを見ました.
山側に逃げていくというのが他のシギと違う反応で,その後小川で水を飲んでいました.

5日
今日は館山市の太平洋岸,延長約5㎞の平砂浦海岸のウミガメ産卵調査の日でした.
平砂浦は6-8月の間の大潮時に一度,つまり6回しか調査できませんが,しないでいるよりはした方が,少なくとも「まだウミガメが産卵に来ている」という意味での記録は残せるため続けています.
またこの海岸ではほぼ光害が無いため,光害の影響の多い白浜エリアとの対比という意味もあります.
長い海岸線ですので,大潮時に波打ち際を自転車で走りながら調査するという方法でやっています.
この日も様々な漂着物を見ながら自転車で移動していると,なんだか妙な形の大きな漂着物発見.
なんとなくこの曲線と断面が,飛行機?という感じがしたので,写真を撮っておき,帰ってから千葉県の出先機関の安房土木事務所に連絡したところ,他からも連絡があって既に片づけに行っているとのことでした.
なんだか気になりますね.
当日のTwitter投稿

追記:ニュースを検索したところ似たようなものが沖縄でも漂着していました.
これと同じものだったりしないでしょうか?
黒潮に流されて更に下流に?
当日のTwitter投稿

7日
今回もホームページ( http://6dorsals.com )内とBlogger https://6dorsals.blogspot.com )で掲載している毎月1回更新のブログを読んでご紹介させていただきます.
どうぞよろしくお願いいたします.
Spotify
当日のTwitter投稿


写真:シロチドリはサーファーやカヤッカーには身近な存在なはずですが,気付いている人はほとんどいないように見えます.

9日
今日はウミガメ産卵調査中に偶然,混獲ウミガメ放流の現場に遭遇しました.
漂着ウミガメ等を調査しているNPOエバーラスティングネーチャー(ELNA)の皆さんでした.
甲羅の上に発信機を付けて海に帰っていく姿を皆でお話ししながら眺めていました.
自分の調査ではないから気が楽で落ち着いて見ることができたからか?やや小さめの個体だったからか?海に帰る姿を見ながら「アカウミガメってかわいいなあ」と呑気な事を思ってしまいました.
頑張って生きぬいてほしいです.
ELNA Twitter
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11日
南房総市のシロチドリ,コチドリ,アカウミガメ繁殖地の海岸利用についての投票が,期間としていた1週間が経ち昨夜終了いたしました.
252票が投票され,結果は以下のようになりました.
投票下さった皆様,リツイート,いいね下さった皆様,本当にありがとうございました!
252の投票を頂き,結果は以下のようになりました.

「人の利用を制限すべき」59.1%
「両立が図れるならそこを目指す」24.6%
「繁殖シーズンに海岸の整地の為に重機を入れる(のは)問題」15.1%
「人の利用が最優先」1.2%


写真:重機で均されて一変した海岸に立つシロチドリの雛.

今までウミガメについては現地を調べている者として現場対応,状況調整してきましたが,個人が希少生物の繁殖について判断をしていた間違いを感じ,今年からは県が希少生物の繁殖地の利用について直接現場対応をするよう要望し,私は状況を記録するのみで現場で意見,要望は伝えない方針としました.
そしてチドリに関しては,以前,千葉県要保護生物指定のコチドリ,その後再び,千葉県重要保護生物指定されているシロチドリの巣が失われる状況が発生した時に,役所及び,県にまで問い合わせて,初めて現場の作業が止められるという状況になって,これ以上は個人では対応できないと感じたのがきっかけです.
そもそも,もっと早くから,ウミガメに関しては20年以上の調査ですから,早くにそうしておけば良かったのだと反省しています.
ウミガメのように巣のひとつひとつで柵を作って保護するといった方法は警戒心の強い親がいるチドリでは使えない方法ですし,雛は自由に海岸を利用して育つものです.
そのような場所として海岸があり,人も利用しているのですが,その優先度は希少生物にあります.
シロチドリについては重要な保護生物で,実際に内房を南房総から富津まで見渡しても大した数が見られないような鳥です.
繁殖に適した海岸はかなり少ないのです.

チドリの繁殖に適している海岸だとしても,5-6月に多く行われる海岸清掃などで卵や雛に害が及んでいる可能性もあります.
そのような場所で産卵をひとつひとつ確認し保護したり監視したりすることを県が怠って,私のような個人が20年も続けている状況です.
少なくともウミガメに関しては産卵数の報告が公開されています.
県は当然それを把握して,それに対応しているべき段階ですが,繁殖地の環境改変を許可しながら監督する事もありません.
ですから,もっと早くにやっておくべきでしたが,今回要望を伝えてみます.
今回,投票頂いた結果は過去の経緯と共に県への要望に加えます.
県が私(たち)の問いかけに,どのような反応をするのか分かりませんが,南房総でもそろそろ環境について配慮した利用について進めていく時代と考えています.
ほんの少し今回で前進できればと期待しています.
ご協力,本当にありがとうございました.


写真:カタクチイワシを沢山咥えて満足そうなハシブトガラス.

20日
6/14に千葉県生物多様性センターに現状,要望をメール.6/20まで返信無く、電話にて問い合わせ.メール確認済みとのこと.
絶滅危惧種ということでの保護は出来ないが鳥を殺すのは違法なので、その点について対応可能な環境生活部自然保護課狩猟・保護班へメール転送とのことで,そちらからの返信待ち.
本日この海岸で新たにコチドリの巣(卵4個)が見つかったことも伝え、対応を急ぐようお願いしました.
しかし、改めて「絶滅危惧種だという理由では保護することが出来ない」という言葉を聞いて、分かってはいましたが、なんて凄まじい矛盾なんだろうと呆れました.
鳥獣保護法だけが唯一の盾という...
ご参考 千葉県環境生活部自然保護課 生物多様性センターホームページ
当日のTwitter投稿

21日
本日,千葉県庁自然保護課 狩猟・保護班からメールが届きました.
『南房総市根本海岸で繁殖するシロチドリ,コチドリに関して、鳥獣保護管理法に関して当該海岸周辺は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通称、鳥獣保護管理法)の鳥獣保護区となっており、狩猟は禁止.
また、野生鳥獣の捕獲や殺傷、鳥類の卵の採取・損傷するには許可が必要となります.※アカウミガメは鳥獣保護管理法の対象鳥獣には含まれません。』(要約)とのことでした.
これでは鳥が死んでから警察に通報する以外に出来る事が無いので,予防的な方策を取るために役立つ方法は無いか?と,もし運営側がチドリの捕殺許可を取るとしたらレクリエーションの為に許可が下りる可能性があるのかについて電話で訊いてみました.
シロチドリは鳥獣保護管理法規則の中で第一条の二 法第二条第四項の環境省令で定める鳥獣(希少鳥獣)に指定されているので,県ではなく環境省の許可を取らなければ殺す事,捕獲する事などはできない種とのことで簡単に許可が下りることは無いようなので,とりあえずは安心しました.また予防的な方法を取るために後ろ盾となる法令は無いとのことでした.
とにかく,絶滅危惧種という言葉はこういう事例では全く役に立たないものだと再確認しましたが,希少種はやはりここでも守られているのは確認できました.
しかし鳥が死んでから罰則を与えても意味がなく,「そういう事が起きないように対処してほしい」と言いたいところでしたが…
少なくとも市には海岸の工事の時期を今回の種に対して配慮する方向でお願いをしてくれたそうなので,とりあえずそこまででも収穫と考える事にします.
あとひとつ,個人が県などにこういう件について要望したり打診したりする例はどのくらいあるのか?と,そういう窓口がインターネット上に設置してあるのかについても訊いてみたところ,やはりあまり無いそうで,ネット上にもそういう場所は無いようでした.
生物を観察している個人が現場で起きている事を県などと共有し問題を解決する為の意見を受け入れる場所を作っていかないと,情報が足りていない状況で生物多様性を保つという事は難しいと感じました.
千葉県への打診については以上ですが現場はこれからが大変なので,しっかり記録したいと思います.
当日のTwitter投稿


写真:ハマナタマメに集まるアリたち.
ハマナタマメから蜜をもらいに通う事でハマナタマメは食害から免れるという共生関係だそうです.

20日
スカシユリ咲き始めています!
南房総夏の風物詩です.
当日のTwitter投稿

22日
先日見かけた食いしん坊カラス.
エトピリカのようにいくつもカタクチイワシを咥えていました.
当日のTwitter投稿

27日
今日,根本海岸に干からびたウミガメの卵が複数転がっていました.
全て中身があり,小さな生き物が中身を食べている状態.
昨年のものとは思えないので,調査前の5月に産んだものと思います.
さて,なんで卵が出てきてしまったのか?
現時点では干からびていますが,河口なので,大雨の時に川の脇に産んであった巣から流れ出た?
6月の初めから中ごろまで海岸の砂を移動する作業が行われていたので,その際に巣の表面が削がれたか,巣ごと掘り返されて砂に混じって川のそばにあったものが,やはり大雨の時に流れ出たのか?
巣の位置は確認できませんでした.
チドリの繁殖状況の問題もあり,来年からは5月から調査を始めるようと決めたので,来年はこういう事が無いようにしたいと思います.
12か月のうち4か月調査だと生活がもつか?というレベルになりそうですが,ウミガメもチドリも追い詰められてますので.
根本キャンプ場はこういう生き物の犠牲の上に成り立っているキャンプ場となってしまっています.
本来,ウミガメやチドリの繁殖地として保護区にしても良いはずの貴重な場所です.
私はキャンプ場は海岸道路山側へ移転すべきと考えています.
そして限定エリアで遊泳だけを可能とすれば両立可能です.
当日のTwitter投稿


写真:海岸に転がっていたウミガメの卵を集めて撮影.

追記:千葉県への打診についてはその後に知り合いの方が働きかけをしてくださって,少し進展がありました.
少しずつでも前に進んでいる感じですので希望を持っています.
また続報を来月にでもお伝え出来たらと思っています.
皆さんも生物多様性を保つための実際的な局面に出逢った時には県や市などに対応を求めてください.
何もしてくれない(できない)実情を今回お伝えしましたが,その要望を伝える事でしか変わっていかないと思います.
要望があるのに無視し続けていては彼らの存在意味さえ失ってしまうはずです.
そういう働きかけは団体がするものという印象がありますが,それも問題だと思います.
個人個人が遭遇した実際の状況が集約されて,それら多様な状況に,今は対応しきれないとしても,将来的に十分に対応できるようにすることを目指す義務が国や県にはあるはずです.
生物の多様性を維持すると言うならば,まずその多様な状況に柔軟に対応できるようにすることが必要です.
それなくして絶滅危惧種指定や生物多様性といった言葉の乱用は意味が無いと思います.
生き物にとって良い未来は結果的にヒトにも良い未来なはずです.


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