20211115

 2021年10月の出来事


写真:空を見上げるには海の上ほど最適な場所はありません。

写真:空を見上げるには海の上ほど最適な場所はありません。


コロナ渦に突入して以来このページの更新が遅れ気味ですが、特に何か問題が発生しているわけではありませんので、どうぞご心配なく。
この数年TwitterとInstagramというSNSを利用するようになり、日々の活動報告はそちらで行えるようになり、活動状況をご報告するための媒体としての「カヤック日記」というブログ体裁のものの存在理由が今までと変わって来ていると感じています。
そもそもはWEBログですから、自身が日々起きたことを記録しておく場所というものでありながら、実際にはSNSの方がノートとしての記録場所として適している面もあります。
ただ文字数制限や載せられる写真の数に制限があったりという面ではブログの方がより多くの情報を残しておけますし、私自身も実際に過去の大雑把な記録を掘り返す時にカヤック日記は重宝していますので欠かせませんので、SNSがフィールドノートとするならば、カヤック日記はそれらを月単位でまとめた報告というような感じで使い分けたいと最近思い始めていました。
そんな中でコロナ渦に入り、ある意味での時間的な制限が実社会的にも変わってきているのを感じる中で、カヤック日記では毎月の出来事を当初月始の一日でやや慌ててまとめたものを掲載していたのですが、それよりも長期的に考えたらひと月の間に撮った写真やノートをじっくり再度観察するような目で見ながら時間をかけてこのページを残した方が後々には意味があるだろうという風に考えるようになってきた為、更新日を限定するのをやめました。
とは言っても先月起きた事の、ノートには書いていない記憶の中にある感覚的なものを忘れてしまうほど遅くては意味がないですし、何よりその月に書き終えなければ、また次の月がやって来るのですから月の真ん中までには更新しておきたいとは思っています。
しかしそう言いながら今回の更新は月中を過ぎてしまいましたが…。

写真:安定しているのでむしろ観察機会が少なかった内房某所のハマナタマメ群落はいつの間にか巨大(広大)化していました。鞘も多数確認。2019年の2度の巨大台風で他の植生が退けられた機会に勢力を拡大したようです。

写真:安定しているのでむしろ観察機会が少なかった内房某所のハマナタマメ群落はいつの間にか巨大(広大)化していました。鞘も多数確認。2019年の2度の巨大台風で他の植生が退けられた機会に勢力を拡大したようです。

10月はウミガメに関わる活動が月末締め切りの日本ウミガメ協議会への産卵上陸数と漂着情報の報告が済み、一区切りがつく感じが毎年なんとなく大晦日のようなだなと思います。
そして11月には気分的には新年になるわけで、活動のパターンがいろいろ変わり、ウミガメ調査のようなルーティンで狭い範囲での活動から不規則で広範囲な移動へという変化もあり、気分もずいぶん変わります。
そして毎日調査であるウミガメ調査での忙しさとはまた別の忙しい気分に切れ変わっていきます。
忙しいというほどではないのですが、頭の中では南房総のかなり広範囲にいろいろな継続的記録対象が散らばっている中で、ある程度定期的に状況を観察していけるように天候やツアーの日程などにも左右されながら無駄なく動けるように毎日頭の中ではやる事ががいっぱいだったりします。
今シーズンは特にグンバイヒルガオとハマナタマメの株が多く見つかった事でその対象が増えました。
それに加えて今年は海辺と海上のクモも観察するようになりました。
それぞれ他の観察のついででやれば簡単に済みそうだという感じがしますが、実際に作業を始めるとそれにかなり集中しますし数時間はあっという間に経ってしまいます。
そして秋は陽が短い…。

写真:一方、台風16号で激しく波を被り続けた結果枯草の束と化してしまった外房某所ハマナタマメ。これでもまだ生きていますので観察を続けていますが、やや復活の兆しがあります。7月のカヤック日記に写真がありますので比べてみてください。

写真:一方、台風16号で激しく波を被り続けた結果枯草の束と化してしまった外房某所ハマナタマメ。これでもまだ生きていますので観察を続けていますが、やや復活の兆しがあります。 7月のカヤック日記に写真がありますので比べてみてください。

というような今年の状況もある意味ではコロナの影響だったりします。
夏季にツアーが思うようにできなかった事で時間ができ、もともと南房総という居住している地域での活動ですから、その点では比較的気兼ねなく活動は継続できましたので、いろいろと観察記録は増えました。
その観察を活かすためには継続的にそれらの場所に通い始めるので、それらがかなり広範囲に高密度にありますので、一人でやっているとかなりの活動量になりました。
ちょっと大変ですが、今後のための情報的貯蓄と考えるとガイド業という仕事にはかなり貴重な情報を得られる機会となっています。
コロナ渦が運良く今年度で終了したとするとしても、続いてしまうのだとしても、いずれにしても南房総という狭い範囲での自然の記録を更に濃密に記録していく基盤が整ってきたような気がしています。
あとは私の処理能力の方の問題が残されていますが…。

写真:ハマボウフウを摂餌中のキアゲハの幼虫。

写真:ハマボウフウを摂餌中のキアゲハの幼虫。

そんなわけで、全ての記録ではないですが公開しやすい内容のものを今回もTwitterとフィールドノートから引用して10月まとめをしておきます。

4日
内房某所でハマボウフウにキアゲハの幼虫を見つけました。
30日にも同海岸の別の群落で発見(写真上)し、意外と生息場所として安定しているのかもしれません。
セリ科が食草なので、いても不思議はないのですが台風の日はどうしていたのかな?と思いました。
以前、グンバイヒルガオを食べていたエビガラスズメというガの幼虫は砂の中から顔を出して葉を食べていて、恐らく時化の日には砂中に隠れて凌ぐのだと思いますがキアゲハはどうしてるのでしょう?

9日
カヤックツアーでしたが空模様が予想以上に凄かったです。
晴れて、土砂降り、やんで、降って、吹いてきて、土砂降り、やんで、降って、晴れて、暑くなって…目が回るけど、面白くもありました。
濡れる前提の格好でカヤックに乗って海の上にいると雨が楽しいんです。
不思議ですよね。
子供の頃に雨も気にせず遊んだ記憶が蘇る感じでしょうか。

写真:動きが速く写真がうまく取れずにノートの上で撮影したオカヤドカリ。

写真:動きが速く写真がうまく取れずにノートの上で撮影したオカヤドカリ。

10日-11日
夏の間ほったらかしだったスナビキソウを一斉チェックしました。
どこも台風の影響は思ったよりも少なかったですが海岸の様子が夏の間に人為的に変わり果てた場所もあり、またその先の事も気になり、複雑な心境です。

15日
夏に観察を欠かしていた東京湾岸某スナビキソウ群を記録しに行くとオカヤドカリを発見しました。
今年は大小見つかって普通になってきた感じですが、東京湾内での確認は今回初めてでした。
東京湾岸最大と思われるここのスナビキソウ群落は問題なし、元気でした。

20日
虹製造機を発見
きれいでしたのでYouTubeでアップしておきました。


23日
強風でカヤックツアーは中止となりMTBツアーに変更して頂きました。
出来るだけ風の弱い暖かな海岸線を選んで隆起海食崖の滝、伊豆諸島全望の見晴台そして青空の海を眺める一日でした。
海辺を「漕ぐ」のはカヤックと一緒ということに気付いていただけると思います。
水と陸の境のどちら側を漕ぐかの違いだけで見えてくるものが変わって、結果としてシーカヤックを漕ぐ時の視点が広がります。
そして海食崖の滝のように昔の海岸線を「漕ぐ」という想像体験をしてみると時間を超えてしまうという体験でもあったりします。
1~4人までの少人数ツアーですので、貝殻拾い主体などアレンジも可能ですので、お気軽にご希望ください。

24日
シーカヤックツアーで館山湾でした。
久しぶりのベタ凪、素晴らしい天候、海況に恵まれました。
暑くもなく寒くもなく、空には秋らしい様々な雲が浮かんでいました。
近年、荒天頻度が高まっており、ツアーも中止の割合が増えています。
しかし、それもこれもこの時代を漕いだ記憶になるでしょう。

26日
今月末締切の日本ウミガメ協議会への報告を今年も行いました。
昨年11月から今日までに確認したウミガメの死骸漂着29件を報告します。
産卵上陸数はたった3回でした。
全て卵を産んであると思われる痕跡ですが子ガメの孵化脱出は確認できず。
ウミガメに関しては大変悲しいシーズンでした。
今年が最後かもしれないという危惧を感じています。

写真:久しぶりに拾ったモダマ。表面に生物の痕跡は海での長い漂流の記憶。ウズマキゴカイの棲管のようです。

写真:久しぶりに拾ったモダマ。表面に生物の痕跡は海での長い漂流の記憶。ウズマキゴカイの棲管のようです。

29日
時化の中、近所の海岸で久しぶりにモダマを拾いました。
調べてみるとワニグチモダマとのこと。
熱帯の島から黒潮に乗って、ちょっと寒くなった南房総へ辿り着いたのですね。
もうひとつはこの夏に2回見つけたアカギカメムシを再び発見しました。
今回のは模様がほとんどなく明るい色合いで、肩の両脇に鋭い棘のあるタイプでした。
いずれも熱帯からやって来たとのことで、発芽も越冬もできません。
生き物は人間には無駄にしか見えない拡散を絶えず繰り返す事で環境の変化に対応して分布を広げられるチャンスを逃さないようにしているのですね。
アカギカメムシはかろうじて生きていました。

30日
Kayak誌vol.74(2021年秋号)発売しました。
6DORSALS藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は56回「自分も海だった」編です。
ご購入は最下に掲載のリンクからお願いいたします。

そういえば噴火後に南房総への軽石漂着時期を想定してみたツイートをしていましたが、まず北大東島に、そして南西諸島、その後黒潮に乗って昨日(11/15)の海上保安庁より伊豆諸島近海での軽石漂流報告がされていて、予想通り今年中に南房総に漂着が起きそうです。
ただ11月に入って既に今まであまり見なかったタイプの軽石がいくらか見られるようになっていますので、それらが福徳岡ノ場産の軽石かもしれません。
今後軽石群本体が寄れば確認できるでしょう。
楽しみなような心配なような…。
しかし軽石は海底噴火など含め太古から断続的に供給されてきた自然物ですから一時的に生物の死がある程度広がったとしても長い目で見れば自然環境への影響は問題ないでしょう。
問題となるのはそれに順応できていない近代文明だけという事になりそうです。
8/19のツイート

写真:最近人気の富浦の桟橋。折角なのですからこの機会に観光用の小型遊覧船でも着けて実用的に用いてみるのも良さそうだと思いますが。

写真:最近人気の富浦の桟橋。折角なのですからこの機会に観光用の小型遊覧船でも着けて実用的に用いてみるのも良さそうだと思いますが。



お知らせ


「kayak~海を旅する本」Vol.74 発売中
店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は56「自分も海だった」編です。
どうぞ宜しくお願い致します。
購入御希望の方は写真をクリックしてください。

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20211012

2021年9月の出来事

写真:30日、館山湾の塩見に寄せた台風16号の波。

今月も台風が通過しました。
16号は最低気圧920hpaと勢力が強く、房総半島の太平洋岸を掠める時点でも960hpa弱と気圧が低かった為、そこそこの高潮となりました。
最接近したのは10月1日でしたが、それまでにかなり高い波が南西方向から供給され続けていて9月のうちはむしろ内房の方が波の影響が大きくなっていました。
今シーズンたった3か所だったウミガメの巣は既に孵化の時期を過ぎて子亀の脱出痕跡が確認できていませんでした。
そんな中、11日には白浜の海岸線にウミガメの卵が漂着していました。
6月23日に産卵された巣から流出したと考えられる位置で、丸のままのもの×25、割れ×4もありました。
9月に入ってから途端に気温が下がり雨の日が続き、ちょっと異常な続き方でしたが、そのために海岸に流れ込む川の水の量が安定的に増したために流れの幅が広がり、産卵時には水の流れのなかった巣の位置が水流により削られた結果、巣が掘り起こされて流出した後に波で漂着したようです。
6月23日の産卵ですから無事に孵化すれば8月半ばには子亀が海に帰っているはずですが、8月は毎日通っているにもかかわらず、その様子が見られませんでした。
近年は孵化率調査を行っていないため巣内の状態は確認していませんでした。
今回たまたまこういう形で卵の中身を確認しましたが、ほとんどは発生が起きていなかった様子でした。
ただし割れた殻もあり孵化して割れた可能性のあるものと砂の中にいる小さな生き物に食害された結果割れたものがあるようでした。
孵化していた殻は浮力が少ないので漂着が少なかったと考えられます。


写真:11日に打ちあがっていたウミガメの卵。この後割って中の状態を確認しました。

今回のように毎日通っていて脱出が確認できなかった場合で、孵化で割れた卵があったとすると、巣内では子亀が孵化していながら何かしらの理由で砂の表面に出て来る事が出来なかったという可能性があります。
この巣は8月の2回の台風の際には大雨でしたし、波をいくらか被っていますので、それによって砂が固く締まっていたので関係あるかもしれません。
そういう場合に巣内で孵化しながら出られずにいた子亀が今回のような増水や高潮で巣が破壊されることでたまたま運良く海に帰ることができたという事例はあるのかもしれないと考えています。
また私が孵化率調査をやめた理由もこれに関連していて、孵化率調査は十分に時間を置いて産卵後3か月経ってから行っていましたが、それでも巣内から瀕死の子亀が見つかる事例が多々あったのです。
それを人為的に海に帰してもほとんどの個体は衰弱していて場合によってはヒレなどの形が長期間狭い砂の中にいたためでしょうか変形していてまっすぐに歩けないような個体も多く、それらを海に帰すことが正しい判断とは思えず、しかし生存している以上はどうにかしなければならないという大変難しい判断が繰り返された結果、孵化率調査を行わず、自然に任せるということにしたのでした。
巣内で死んでいく子亀がかわいそうと思われる場合もあると思いますが、それ以前に例えば波の被るような位置に産卵した問題である光害などについて考えることが大切だと思います。
また私のウミガメ調査の指導をして下さった故秋山章男先生の考えとして、うまく繁殖をできない遺伝を持った母亀の子が人の手によって自然に帰ることによりむしろ健全な個体に圧力をかける結果、種全体としては悪い方向へ向かう手助けを人がしてしまうことになりかねないという事がありました。


写真:7月14日産卵のウミガメ巣のある砂丘前面。

ところで今シーズンはウミガメの上陸痕跡が7月までに3か所しか見つからなかったというところまではお伝えしていたのですが、それ以降の状況をまとめて書いていませんでした。
なんと8月は一度も上陸が見つからず、最終的に3か所で終了してしまいました。
これはかなり異常な状況で、来年以降が心配です。
南房総で最後に確認されたウミガメの産卵を記録するという残念な日が近づいているのではないかという気がしています。
それで例年ですとウミガメ毎日調査が終了する8月のカヤック日記に総数などの報告を書いていましたが、来なかったということも書かずにいたので南房総のウミガメが気になっている方には心配頂いたかもしれません。
数少ない巣でしたが、さらにそれぞれが先に書いた流出も含め、大きく時期が過ぎていながら孵化脱出が確認できていません。
ただし館山市平砂浦の巣だけはアクセスが悪いため観察に通う頻度が低く、また砂が柔らかく風が吹くとすぐに痕跡が消えてしまうために確認ができなかっただけという可能性もあります。

最も期待していた7月14日に産卵された白浜の巣はかなり条件がよく、水捌けもよい斜面にあり、光も見えず、波は一度も届かなかったという巣ですが、これは高頻度で観察に出かけましたが脱出が確認できませんでした。
上陸時に母亀が随分と悩んだ末に産卵した様子でしたが、何か不具合があったのでしょうか。
条件が良く問題も観察されなかった状態で子亀が出てこなかった理由を知りたいと思っていて、もしかしたらここだけは久しぶりに孵化率を調べるかもしれません。
というわけで今シーズンは子亀が海に帰ったというお知らせはありませんでした。
今月末までに提出する日本ウミガメ協議会への報告も寂しいものとなります。
                                                        

写真:7月30日に発見し観察を続けていたハマナタマメに鞘発見。

25日には館山湾に面する自宅近くの海岸でスタッフのなおこが生きたルリガイを発見し海水を入れた容器に入れて持ち帰ってきました。
ルリガイは南房総に住んで年中海辺を見ていれば意外と高い頻度で漂着しますので珍しいとは言えませんが、大抵は乾燥していたり、貝の本体である軟体部は死んでいます。
今回それが漂着間もなく生きていたという点ではとても珍しいと言えます。
同時に多数打ちあがっていたギンカクラゲ、いくつかのカツオノエボシが見られましたが、それらがルリガイの食べ物です。
ギンカクラゲもいくつか生きていましたので、同じ容器に入れて貴重な採餌場面を観察しました。
最初は弱っていたためかギンカクラゲをルリガイに寄せても反応を示しませんでしたが、しばらくその様子を見ていると急に反応し始め、間もなく口吻を伸ばしギンカクラゲの触手状の部位を食べ始めました。
ルリガイには僅かな遊泳能力があるんじゃないか?という期待のような予想は裏切られ、ほんの数ミリも移動できず目の前のギンカクラゲに口が届かないという様子がまず観察できました。
実際の海の上ではかなりの密度で餌生物が浮いていないとまず捕獲できないのだと分かりました。


写真:泡状の浮力体で海面に浮遊しながら暮らすルリガイ(左)と同じく海面を漂って暮らすギンカクラゲ。ルリガイがギンカクラゲを捕まえているのが分かります。

ただし口吻と書いたように、その口は伸縮が可能でした。
その形状から吸い込みが可能なのかな?と一瞬思いましたが、そうではなく口を開けた状態で吻を伸ばし噛り付くという感じでした。
また一本ずつ口に入れるだけでなく器用に続けていくつも頬張るように食べていたのも印象的でした。
また口でまず餌を捕まえた後、引き寄せながら足を使って餌が離れないように捕まえることも分かりました。
一旦その足で捕まえたエサはなかなか離れることがなく、大時化の海面でも対応できそうな保持能力でした。
滅多に餌にはありつけないけれど捕まえた場合には絶対に離さないという感じでした。
ただそれほど沢山食べるわけではないようで数時間後に見てみると、餌から離れて浮いていました。
この日は気温が夕方に急に下がったために容器の水温は海の水温よりもかなり低かったので急速に弱ったという可能性もあります。
そしてその次の日の朝にはあれほど活発な採餌を行っていた個体が死んでしまっていました。
当日のうちに海に帰してあげるべきでした。


写真:ルリガイが排出する紫の液体。

捕食されていたギンカクラゲを見ると触手だけでなく上部の円盤状の部位の縁も欠損していて、よく漂着したギンカクラゲで見かけていたこの欠損がルリガイによる捕食の痕跡だということが確認できました。
また打ちあがったルリガイでも見られる刺激を受けた場合に排出する紫色の液体が水中でどのような状態になるのかも確認できました。
流れのある実際の海であればこれが広がって煙幕のような効果を上げるのかもしれないと考えました。
このような紫色の液体を出す貝というとアメフラシの仲間が思い出されますが、ルリガイは意外と近い仲間なのでしょうか?
今回の観察はできるだけ動画で記録しましたのでYouTubeでいくつかアップしてあります。
最後に貼っておきますので是非ご覧ください。
ルリガイの殻の美しさはもちろん素晴らしいですが、その生きている姿も大変興味深いものでした。
これからは海岸でルリガイの殻を拾う時には彼らの海の上での生活を想像できそうです。


写真:4年7か月後に直線12㎞離れた位置で確認のミサゴ。

今月の出来事

5日
八幡海岸にてウミガメ漂着の情報頂き現地確認。アオウミガメ甲長93㎝、甲羅が左右に割れており胃内容と思われる海藻が散乱。(写真)

11日
前記した南房総市白浜のウミガメ巣からの流出卵漂着。
当日のTwitter投稿

16日
南房総市東京湾岸でグンバイヒルガオ株(1.6×0.7m)、ハマナタマメ小群落(3.2×3.4m)発見。
当日のTwitter投稿

17日
台風10号、9号により被波した南房総市南岸のグンバイヒルガオ(6/14発見)がほぼ復活を確認。
南房総市南岸でグンバイヒルガオの発芽発見。

21日
南房総市東岸でグンバイヒルガオ発芽発見。
南房総市東岸のハマナタマメその1(7/30発見)に鞘×1確認。
南房総市東岸でグンバイヒルガオ群落(14.2×9m)発見。
当日のTwitter投稿

22日
南房総市南岸で撮影したミサゴを個体識別により2017年の2月に山越えで12㎞の位置で記録した個体と同一と判断。ミサゴシーズン入り。
当日のTwitter投稿

25日 自宅近くの海岸でスタッフなおこが生存ルリガイを発見し、同時に漂着していたギンカクラゲの捕食~摂餌場面を容器内で観察に成功。
当日のTwitter投稿









20210914

 2021年8月の出来事


写真:台風接近の日に雲を纏った富士山とサーファーたち。

今回も今月の主な出来事をフィールドノートから抜き出しながら書いてみます。(その日のTwitterや関連リンクも貼っておきます)

2日
ネコノシタにスナハマハエトリを発見。
花が咲いておりハエの類も見られたので採餌の為の滞在と考えられました。
夏の間、スナハマハエトリが何度まで行動可能なのかが分かればと思い携帯している温度計で計測したところ気温29℃。
しかし夏も半ばになって計測している人間の方が暑さに耐えきれず記録を大幅に省く事態に…。

2日
白浜で海浜植生混群内に新たにグンバイヒルガオ発見。
1×1mほどのサイズ。

6日
6/14発見の白浜のグンバイヒルガオはこれまで台風の高潮などの影響は無く無事に育っていましたが、8日に房総半島に接近予定の台風10号により被波すると思われるので現時点でのサイズ記録。
14×6mほど。
最も海側の弦先端は高潮線に1m弱まで接近。

写真:中央暗い部分は台風10号の雲。右下は伊豆大島。

6日
平砂浦でのウミガメ調査中、南方に台風の雲塊。
帰宅後に衛星画像で確認し、台風10号の雲と確認。
この時点での台風の位置は九州の南、北緯27.4東経133.0辺りと撮影位置から遥か1100㎞ほども離れていましたが衛星画像で確認してみると周辺に紛らわしい雲もなく間違いなく台風の姿でした。
台風の全体像がこれほどはっきり見えたのは初めてでした。
こういう姿を実際に見た後に2日後でしたが台風そのものの中に自分が入ってみると、おかしなもので「遥々良く来たね」という気分で、あまり嫌なものという感じがありませんでした。
姿を見たことで親しみを感じたのかもしれないなと自己分析してみたりしました。
しかし実際には茂原市や勝浦市など県内11市町に警戒レベル4相当の「県土砂災害警戒情報」が発表されたり土砂災害がありましたので、やはり恐ろしいですが普通はその姿が見えないことで台風など気象に対する想像力が湧きにくい事が自身の身を守る対応に結び付きにくいのかもしれないなという感じがしました。
今回、衛星からのつまりモニタ越しの画像ではなく生の台風の姿を事前に見られた事で現実味があり、落ち着いて待ち受ける気持ちが自然に沸いてきたという感じがしました。
ただ考えてみれば我々海に関わる者は先にうねりが到達するなどの先触れを普段からよく目にして判断している方だとは思いますが、それでもそのものの姿というのは何か違うものを感じるなという印象でした。

8日
台風10号接近により大雨。
ウミガメ調査今季2回目のお休み。

9日
台風10号による高潮被波で6/14発見の白浜グンバイヒルガオは半分が被波し、一部枯死。

9日
6/23白浜ウミガメが台風10号による高潮で被波。
流出は免れた様子。

9日
台風10号による高潮被波で7/24発見の白浜ハマナタマメ消失。

写真:写真:7月7日に発見し毎日通過しながら見て愛着の湧いていたハマナタマメの美しい株も台風9号の影響で枯死。上は9日撮影10号を免れた姿、下は11日撮影9号の波を受けた姿。

10日
九州、四国を通過して岡山県で温帯低気圧になった台風9号がその後も荒天を持続し、房総半島も進路の東側であった為に南の風をもろに受け、海がかなり荒れた事で海岸では10号以上の影響が出ました。
今季3日目の調査休み。

11日
10号で半分被波した6/14発見の白浜グンバイヒルガオは台風9号低気圧では全体で被波し、ほとんど砂で埋没も青い葉の一部は砂から出ている。
再起できる?

11日
台風9号低気圧による波で6/25発見の白浜ハマナタマメ消失。

11日
台風9号低気圧による波で7/7発見の白浜ハマナタマメ枯死。

11日
台風9号低気圧による波で7/8発見の白浜ハマナタマメ消失。

11日
台風9号低気圧による波で7/24発見の白浜ハマナタマメ消失。


写真:ハマナタマメで吸蜜するウラナミシジミ。蜜へのアクセスが難しそうですね。

14日
館山市浜田アオウミガメ死骸漂着。
甲長42㎝。

18日
東岸ハマナタマメ群にウラナミシジミ訪花吸蜜。風で飛ばされても繰り返し戻って来る。

21日
気温31℃でスナハマハエトリが活発に探餌。

23日
7/9発見の平砂浦ハマナタマメ消失確認。
台風の為と考えられる。

23日
グンバイヒルガオの花弁にスナハマハエトリ。
体に花粉が付着していてクモによる送粉について考えた。
花の上でハエを待つ機会の多いスナハマハエトリは海岸性植物の貴重な送粉者となっているのでは?

写真:グンバイヒルガオの鮮やかな花弁とスナハマハエトリ。上記Twitterに花粉の写った拡大写真あります。

27日
南房総市東岸でアカギカメムシの死骸漂着確認。
私は初めて遭遇したのですが、どこか見覚えがあり、調べると元々は南西諸島以南の分布だったものが最近になって北上していて北海道でも見つかったりしてる少し話題のカメムシでした。

27日
7/30グンバイヒルガオで開花確認。

27日
前回18日に続き、今回も東岸ハマナタマメ群にウラナミシジミ訪花吸蜜。
今回は3群それぞれに×1頭確認。

31日
南房総市白浜の潮間帯にオカヤドカリの幼体が×3も同じ場所に。
なぜ群れているのかがとても不思議であった。
Wikipediaに「メガロパ幼生は幼体への変態に先立ち適合する巻き貝の貝殻に潜りこんで上陸し、以後は陸上生活をする」と書いてあり、幼体になってまさに上陸したところ?と想像も集合は不可解。
メガロパの時に集合するのか?でもどうやって呼び合うのか?なんのために集まるのか?いろいろ不思議でした。

写真:小さなオカヤドカリたち。

31日
南房総市白浜でスナホリガニの死骸。

31日
27日に初めて遭遇したばかりのアカギカメムシの死骸に南房総市白浜で再び遭遇。
今回の個体は肩左右に突き出す鋭利な突起が無いタイプで色も薄い。

31日
台風10と9で波を被り縮小した6/14発見の白浜グンバイヒルガオは砂の中から青々と葉が顔を出し少しずつ弦も伸ばしはじめ、再起確実。

31日
同じく台風の影響を受けた6/23産卵のウミガメ巣は子ガメの孵化脱出は確認できていない。

31日
これまでに台風や人為の影響なく無事を確認は以下。
6/28発見の南房総市東岸のハマナタマメ×2。
7/14産卵のウミガメ巣。
7/30発見の南房総市東岸のハマナタマメ。
7/30発見の南房総市東岸のグンバイヒルガオ。
8/2発見の白浜グンバイヒルガオ。

写真:台風の影響を受ける前のX字に広がった白浜のグンバイヒルガオ。

今回、台風の影響を受けた館山市、南房総市白浜のハマナタマメは全滅したわけですが、毎年このように台風の影響で多くのハマナタマメが群落となることなく消えていっている様子が十分観察できました。
同じく漂着種子で分布を広げるグンバイヒルガオと同条件で対比できたのも良かったです。
漂着した種子が台風での高波の影響を受けずに夏の間に十分な高さまで弦を伸ばし、他の植生群の縁辺りに群落を形成するのがいかに難しいかがよく分かりました。
そもそも漂着して分布を広げるというのは矛盾があって、「波で運ばれ」ておきながら、「波で枯れる」ということへの工夫と運が良くなければなりません。(正に運ですね)
種子は少しでも早い時期に発芽して、台風のシーズンまでに台風波も届かない位置まで弦を伸ばし逃げ切れるかは大切で、その点グンバイヒルガオは成長が早く、しかも波を被っても枯れにくく、一方ハマナタマメは潮に弱い上に成長ものんびりでした。
また異常な高い波を伴った大型の台風は通常の台風などでは決して波が届かない位置に種子を置いて行ってくれるという植物にとっては大きな恩恵があることがわかります。
南房総市東岸で今年見つかった堤防の高い位置に発芽したハマナタマメなどは以前の異常な高さの波を伴った台風により種子がそこに置かれたと考えられます。
しかも、その際にはその種子が置かれていった場所の他の植生の多くは、その波により一掃されるので、その時に置かれた種子にはとても優位な条件が用意されていることになります。
しかし広く見ると、同じその波で同種の大きな群落なども一掃されている可能性が高く、種全体では得なのか損なのか分かりにくいですが、そういう状況でも子孫が繋がるために仕込まれた、なかんかシブトイ仕組みだなと感じます。

写真:19日、浮石がやや多めで小笠原、福徳岡ノ場での噴火を想う。

20210807

2021年7月の出来事

写真:先月発見しご紹介したハマナタマメ。こんな場所で良かったのだろうか。場所を選べない植物の生き方。それでもどんどん大きくなっています。

今月の主な出来事をフィールドノートから抜き出しながら書いてみます。(その日のTwitterや関連リンクも貼っておきます)

3日 大雨につき調査休み(熱海の伊豆山土砂災害の日)

海岸は大雨で危険な場所は河口近くだけなのですが、白浜の海岸に行くまでの区間で2019年の台風以来大量の木が倒れて土砂崩れの危険が高まっている場所があり、それを恐れていて調査を休みました。
そして家にいて見たニュースが熱海の痛ましい事故でした。
被害者の方々のご冥福をお祈りします。
熱海に限らず問題のある土地は日本中、世界中に沢山あるはずです。
元々は良い場所だったところでも台風など大きな災害の後に状況が変わったという場所も多いはずです。
どこに住んでもなんらかの危険はあるといえます。
自分が住むところにはどんな危険が潜んでいるのかを考えながら暮らして自分の身を守るという気持ちが必要になっている、もしくは忘れられてきていると思いました。

シーカヤッキングでは常にそういう自分の生命に関して自分が責任を持つ覚悟を必要とします。
登山であれば初心者向けのルートなど、ある程度のレベル分けがされていますから、自分に合った条件の場所で楽しむための選択がしやすくなっています。
しかしシーカヤッキングは同じルートでも風、潮、波、水温、気温といった不安定な条件に囲まれて行いますから、ある日には初心者向けでも別の日にはベテランでも判断の難しい条件になったりと、それはもちろん山でも多少はそうなのですが、海はあまりにその変化の差が大きく変化の速度も早いので、常に状況を把握して対処しているという行為です。
そう考えるとまず「海に出るのか出ないのか」が最も大切な判断だったりします。
そういう状況を調べて、実際に自分で観て、判断し、行動するという癖がついてくるとシーカヤッキングでの「ヒヤリハット」のような事は減っていくと思います。
そして、それらがシーカヤッキング時の感覚や癖、習慣となり、今度は生活の全般にそれを適用するようになっていくように思います。
それがアウトドアやシーカヤッキングという類の「遊び」をする本当の目的だったと分かってしまうと、「シーカヤッキング=生き方」だという結論に至り、シーカヤックを漕いで海に出る時のようにすべての小さな判断が自分の生死に関わっているという、「ちょっと大袈裟じゃないの?」というような事が自然になってくると思います。
そうなってしまえば家をどこに建てて住むのかということを考えるのも、シーカヤックでどこから漕ぎだすのかを考える時と同じような、もしくは今夜のキャンプ地にする海岸をどこにしようか?というような判断にも似て生きていること全てがアウトドアになっていくと思います。
だから、生き方の基本を知り始める時代である若い時には特にアウトドアを経験することは大切だと思います。
もちろん、その時代を通り越しているとしても遅くはないと思います。

写真:崖にスズメバチの大きな巣。巣の下には2009年にこの窪みでハヤブサが営巣した際のベット材の小枝が残っています。生き物の住処選びは大変慎重です。

生きていくときに自分に訪れるリスクやトラブルに自分で考えて対処する、「生きてる限りリスクは当然あるもの」(死んだら多分リスクはなくなります)という前提でそれにどう対処して生きていくのかを常に考える、それを楽しむことがアウトドアなのですから、生きていく上でのリスク回避や状況判断さえも楽しんで生きていくという強さがきっと少しは身につくと思います。
少なくともアウトドアでの活動は死ぬ可能性のある行為を楽しくやっているので、死は特別な時にやってくるものではなくて、いつもそこにあるもので、それとうまく付き合っていくという事がアウトドアの適度なスリルであり、それをクリアした時の達成感でもあるのですから。
と言いながらシーカヤックのガイドをしている私自身が弱く自分の人生を完璧に制御しきれていないのは第三者から見ても一目で分かることなのですから、あなたがツアーに参加した時にシーカヤックを漕いでいる時のガイドの判断がすべて完璧だろうと考えるのは問題です。
ガイドも所詮人間ですし、私はともあれ、どれだけの経験を持っているガイドでも知らないことが沢山あります。
すべて経験している人はいません。(すべてを経験しつつあったなら、そのガイドはもう死んでいると思います)
そう考えてみたらいろいろな世界の専門家の言うことを、そのまま受け取った結果で自分が死んだ時のことを想像できます。
例えば「家を建てるのはここが最高です!」と。(他にもいろいろありますね)

写真:ハマヒョウタンゴミムシダマシに吻を差し込んで吸汁しているヒメオオメカメムシ。ヒト以外では生きていればいつでも捕食されるリスクがあります。

だから自然の中を案内するガイドはシーカヤックに限らず、十分な余裕を持たせて、本当ならもう少し攻めていけるかもしれないけれど、しかし営業的なガイドサービスでのリスク回避の限界という面を理解する感覚もガイドには必要で、その線を保っているはずです。
ということは本当はもっと自分(お客さんの方です)は行けるかもしれないのに、ガイドがその先を抑え抑えでやっているために本当の上達ができないのかもしれないと考えてもよいと思います。
私はそれは本当にあることだと思いますし、どこまでも上達したいという人にとっては損だと思います。
私自身もほとんど一人で漕いできたのはその為もあって、だれにも迷惑をかけずにできるところまで、自分が求めるスタイルでの必要限界を試すにはガイドやインストラクターといった人間に頼らずに、一人で自分を試すことが必要だと考えています。
ガイドが手伝える段階には限界があるはずです。(ほんの入り口でしょう)
むしろそれを言わないと、ツアーで漕いだだけでは「なんだシーカヤッキングはこんなもんか」と思われても仕方ありません。
自分でリスクを負って責任を果たして生きて帰って来ることがシーカヤッキングの充実感の中身だと言えます。
ここで話が戻りますが、それには自分を自分でどこまで護れるのかを把握し、常にその準備と判断と覚悟が必要です。
だから逆説的ではありますが、結果としてアウトドア活動で本当の自分の限界を知ることはできません。
限界の2歩か3歩手前でやめておかないと本当に死んでしまう行為なのですし、事故を起こせば救助の人たちや、シーカヤックがそういうことで注目されれば日本中のシーカヤッカーにも迷惑がかかってしまいます。(地上人から見ればシーカヤッカーはどれも同じ種族に属していると映ります)
そこまで考えてシーカヤックを漕ぐと、「シーカヤッキングって何なんだろう???」というところに今度は到達すると思います。

写真:珍しい白い花びらのハマゴウの上にはスナハマハエトリが。なかなか無い写真になりました。

そしてそこから先はそれぞれだと思いますが、そういう思考の癖がやはり日常の生活にも影響を与えはじめ、結果的に誰かの考えを丸のみにするのでは個人差(体力、体質、性格など)をも含めた自分に合った判断はできないということに気づくと思います。
自分のことを一番知らないのは大抵自分ですが、自分だけが知っていることも沢山あるはずです。
それをどれだけ専門的な人だとしても、個人差(個体差)をも含めて完璧に判断できる専門家はいないのだと分かります。
結局自分の生死や生き方は自分一人で自分の責任で決めていくものだということがシーカヤックを漕いでいると分かります。
そして、カヤックを漕ぎ出すつもりで朝に海を観察していて「この海はなんだか怖いぞ」という説明できない感覚的なものが、死なないためにとても大切な判断を与えてくれるということにも抵抗することなくその直感を取り入れて判断するということが、日常でも当たり前になってくるといろいろなものに敏感になっていくと思います。

6日 千倉ジュウサンホシテントウ初見

初めて見ました!
オカヒジキにいましたが、河口付近のヨシ群落などで採取されることが多いとのこと。
河川改修でヨシ群落が減少している影響を受けているそうです。
テントウムシにしては真ん丸感がないのです。

8日 白浜第2のハマナタマメ発見

6月25日に発見した白浜のハマナタマメの小さな株から5mほどのところにもうひとつ見つかりました。
すぐ近くなのに意外と気づかないもので…。
考えてみると鞘で育つのだから、鞘ごと漂着すると海岸で鞘から出てきたタネが育つ経緯を想像するとハマナタマメはひとつあれば、そばにもまだある可能性が高いのだと気づきました。

10日 館山港 イルカ群れツイートあり

すぐ近くなのに見に行けませんでした…。
イルカに囲まれたかった。
先月の東京湾シャチ出現との関連は無いかな?という想像をしました。

写真:かわいらしい顔のオカヤドカリ。

13日 久しぶりにムラサキオカヤドカリ発見

前回、白浜で発見のサラサバイに入った小さな個体との遭遇は2015年8月のこと。
今回も東京海洋大学の濱崎活幸様に同定していただきました。
今回はイシダタミという2㎝ほどの貝に入っていて立派でした。(写真)
濱崎様によると、さらに大きく成熟した「紫色の個体が見つかれば報告の価値あり」と教えていただきました。
ただし天然記念物指定なため採取は禁止されています。
皆さんも発見時には写真を撮って頂き、是非報告してみてください。(こちらに連絡頂ければお繋ぎします)

14日 白浜第2のウミガメ巣確認

第1は6月23日。
ひと月に上陸1か所では気持ちの持続が難しいですが、だいぶん慣れました。
良い場所に産んでくれたので台風でも安心ですし、光害も最小限な位置ですので期待大な巣となりました。

14日 浜田でアオウミガメ死骸漂着

16日 白浜と丸山でアカウミガメ死骸漂着

16日 和田シロバナハマゴウ開花確認

花の上にスナハマハエトリがいました!
貴重な白い花びらのハマゴウの上とはなかなか貴重な写真が撮れました。(写真↑)

19日 ツルナにスナハマハエトリ タカラダニと同居

22日 3月に幼体を確認した白浜のクサグモ類を観察

3月に海岸で撮影した自分では種類の判らなかったクモの写真をSNS上でアップしたところクモ研究者の馬場友希様が「イナヅマクサグモの幼体のよう」と気づき、種を確認するために成体になるのを待っていました。
24日には5個体採取し馬場様に発送、興味深い結果判明。発表予定。
またまたクモ関係でおたのしみができました!

写真:23日発見の館山市ウミガメ上陸痕跡

23日 平砂浦 ウミガメ巣確認

館山市でやっと上陸が確認できました。
今年は少なすぎます…。

24日 白浜でハマナタマメ発見

6月14日発見のグンバイヒルガオのすぐそばでした。 種子が漂着しやすい場所というのはあると思いますがピンポイントで驚きました。

29日 南房総市南岸でシロヘリハンミョウの生息地発見

前回は2014年7月でしたので、かなり久しぶりです。
ハラビロハンミョウはところどころいますが、ここは磯で意外でした。
潮が退いて湿り気のある岩の辺りが好みのようです。
イソハエトリとは争うことなく同居していました。

写真:2014年以来のシロヘリハンミョウの生息地発見。地味ですが減りつつある種とされています。

30日 南房総市東岸にてミユビシギ1羽に足環(フラッグ)確認。

山階鳥類研究所のサイトにて南オーストラリア州で放鳥の個体と確認。
同研究所にメールし報告。

ヤマトマダラバッタ完全復活の様子

忘れられないような高潮の被害を南房総にも与えていった2017年21号台風以来減少していた某所の同種生息地でしたが、カウントしたわけではないですが以前の状態に近い感覚の密度に戻ったと感じました。
もういなくなるのではと思ったほどなので大変嬉しいです。

写真:メダイチドリ、キョウジョシギとミユビシギの計150羽ほどの群れの中に1羽の足環をつけたミユビシギを確認しました。(奥の白い鳥の群れはウミネコ)

お知らせ

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発売中
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藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は55「海抜0mのクモ」編です。
どうぞ宜しくお願い致します。

20210710

 2021年6月の出来事




写真:様々な海浜植生に満たされた平砂浦海岸の砂丘。

ウミガメの調査は予定通り続いています。
この6月はまだ涼しくて、雨も合間を見て出動すればあまり浴びずに済んでいて比較的楽に調査ができました。(ただ7月に入ってからは大雨が続きましたが)
ただウミガメの産卵は今年もなかなか始まらず、6月は無しかな…?と思っていたところ23日に南房総市の太平洋岸(白浜町)で上陸痕が見つかりました。
状態から判断して産卵してあるものと考えられます。
ただ台風の高潮で影響を受けやすい場所に産んだため台風の度に心配な巣となりそうです。
ウミガメの調査の範囲でスナハマハエトリの記録も続けています。
夏にどのような行動をしているのか、暑いですから春の時期のように長時間の観察はしていませんが、その代わり毎日のように少しずつ記録する感じです。
特に個体識別用の写真はできるだけ撮っておいて秋になったら、それを元にじっくり考察したいと思っています。
スナハマハエトリを観察するようになって初めての年ですから通年の状況の概観ができれば良いなと思っています。



写真:キクメイシモドキと思われるサンゴ。
南房総市太平洋岸で数年前にたまたま発見したもの。

種子が漂着して分布を広げるハマナタマメやグンバイヒルガオなど温暖な地域の植物の発芽が見つかる季節でもあります。
この6月は特にハマナタマメがいくつか見つかりました。
28日に南房総市東岸で見つけた2株は2.5~3mほどもあって、ひとつは花も咲いており、ここまで育った株はしばらく見ていないので個人的には大発見でした。
その2つは、すぐ見えるところにあったのも驚きでしたが、南房総市の南岸で見つけた小さな株も5mほどしか離れていないところに、もう1株が見つかりました。
考えてみると豆は鞘で育ちますから、種子単体ではなく鞘のまま漂流し、そして打ちあがり、海岸で鞘が崩れて豆が砂の上に散らばったという場合の状況を想像すると、ある程度まとまった場所でいくつか発芽するパターンは多いのかもしれません。
2017年に初めて見つけたのはかなり大きな群落となったハマナタマメでした。※
発見は同じく6月で花も沢山咲いていて、こんな大きな群落に今までなぜ気づかなかったんだろうと驚きつつ、身近なところにハマナタマメという自分にとって新しい植物の観察対象が増えたことに喜んでいました。
ところが、発見した年の9月にもまた別の株が見つかり、一度ハマナタマメを十分観察したことでハマナタマメを見つけられる目が出来上がったようでした。
継続的な観察が楽しみになっていたそんな矢先、10月に南房総に大きな高潮被害をもたらした台風21号によりそれらのハマナタマメは全て一掃されてしまいました。



写真:美しいハマナタマメの花。
その他のマメ科とは上下が逆に開くのが特徴だそうです。

やっと身近になったのに…と大変残念でしたが、これらの株のおかげでハマナタマメを見つけられる目を得ることができました。
それ以降、海岸に漂着し発芽した株を見つけることができるようになりました。
しかし、十分な大きさまで育ち花を咲かせている株は見つかりませんでした。
そして今回、4年振りにハマナタマメの花を見ることができたのでした。
まるで幻のように消えてしまった2017年の群落のように、このハマナタマメも十分に大きく広がって沢山の実を付けてほしいと思いますが、今回は2017年の群落と比べるとその生育環境が大きく違います。
2017年はカヤックでしかアクセスできない磯の後ろにある脆い崖の斜面に広がっていたのですが、今回はなんと海岸と、海岸に沿った海岸道路の間にある狭い空間で堤防の窪みの中から生えていたのでした。
写真は省いてしまいましたが、なかなか悲しい環境に育っています。
その窪みにおそらく台風の高潮が襲った時に種子が取り残されていたのでしょう。
このような場所ではあまり目立つようになると雑草として刈られてしまう心配もありますし、そもそもコンクリートの上では広がっていったとしても安定しないでしょう。
花だけを見ればご覧の通り美しいですが、やはり自然環境の中でそれが咲いている、その事自体が素晴らしいのだと思います。


写真:たまにオカヒジキが齧られたような痕を見たことがあったのですが、ついにハトが食べている現場に遭遇し理由が判明。
意外でした。

6日にはカツオノカンムリという一般にはクラゲの仲間とされる生き物が多数打ちあがりました。
電気クラゲと言われるあの浮袋クラゲ、カツオノエボシにも近い生き物ですがこのカツオノカンムリは写真のように帆を持っています。
これが打ちあがるのは南房総ではそれほど珍しいことではないのですが、今回のように数えきれないくらいの数でしかも新鮮な状態で打ちあがっている場面に遭遇することは稀です。
乾きやすいので、陽が高くなるとすぐに干からびてしまうのです。
それで思い立って個体毎の差異を記録するには良い機会だと思い、真上に向いて、きれいな状態で、新鮮なものだけを選んで片っ端から撮影していきました。
コマ動画にしてYouTubeにアップしてありますので、暇な時にでも見てみてください。
立体的には写真のようですが、真上から見ると、その船体にあたる部分が楕円なこと、帆が船体に対して斜めに設定されていること、更に帆が微妙に捩れているものもあるのが分かります。
この形態で帆走するにはヨットのように適切な向きで船体下部に板状の部位が必要になると思いますが、カツオノカンムリにはありません。
これではクルクルと旋回してしまうだろうと思っていましたが、そんなある日、潮だまりに迷い込んでいた小型個体を観察する機会に恵まれました。



写真:セイリングするクラゲという変わり者。
その帆走のための構造は簡単なようで、よくよく見てみるとなかなか不思議です。

観察してみるとやはり微風を受けてクルクルと回っていて、移動する能力はほとんど得られていないようなのです。
そしてその数個体は風を受けて離れ離れになることなく、むしろ表面張力の影響も受けながら一塊になっていることが多いのです。
これもYouTubeにアップしてありますので、是非動画を見てみてください。
カツオノカンムリが多数の仲間と群れを作るようにして暮らしていることが今回のような多数同時漂着を見れば分かります。
そう考えると、それぞれがぐんぐん移動するよりも、むしろ黒潮のような強い海流に影響されて群れが散り散りにならないように風の力を使ってできるだけ移動しないようにするために、その姿が役立っているように感じました。
こういう生き物の存在意義は我々人間からしたら理解しにくいですが、これだけの数がそのような複雑なデザインを得て生き延びてきたことを考えれば、海にあってかなり重要な位置を占めているのでしょう。



写真:ハヤブサの雛たちは親鳥が持ち帰った食べ物に大騒ぎ!

先月確認した内房某所のハヤブサのヒナ2羽は12日のツアーの際に無事に巣立った姿が確認できました!
ツアー中でしたが、私の方が興奮してしまっていて気持ちを抑えるのに困りました。
その後あらためて観察に行き、写真を記録をしました。
ここまでくればもう心配もないので、むしろ邪魔者である観察者は現場に行っていません。
元気に育ってほしいものです。
それにしても海岸に響き渡るヒナの親鳥に餌を求める大きな鳴き声はなんとも心が揺さぶられる感じがします。
あのような大きな声で鳴いていても、巣立つ頃には十分に大きくなって天敵もいないのですから親鳥も心配はないのでしょう。
それよりも十分な食べ物を確保して与えることに精一杯のようでした。
砂浜海岸ではコチドリ、シロチドリの繁殖活動が変わらず続いていますが今年は海水浴場が開設されると決まり、海岸の整備も始まっています。
海水浴場や目立つ海岸での海岸清掃や重機による海岸を均す作業は過去にはかなりの数でチドリの卵、ヒナたちが死んだ原因になっていると考えられます。
チドリのヒナはハヤブサのヒナたちと比べると非常にか弱く見えて、実際に海岸に行ってみると「先日まで走り回っていたヒナが1羽減って…」ということは多々あり、捕食者に対しても人の活動の影響にも非常に弱いものです。


写真:キャタピラーの跡とシロチドリの雛たち。

また海岸の植物もこの時に大きく手を加えられ、一部の貴重な植物も普通種と一緒くたにされて除去されてしまう場合があります。
そもそも海浜植物というのは海岸線という線上の狭く限られた環境にしか生息できない特性を持っているため、生息環境は分断されやすく、また本来野生の生き物に踏み締められる可能性も低い環境の生息者ですから、人による繰り返しの踏みしめだけでも弱る可能性がありますが、重機による踏みしめは尚更です。
海岸清掃を館山市も南房総市も重機で行うことが多いですが、時代に合った方法と言えなくなってきていると思います。
海岸環境を人工環境と同じ方法で手入れをしていては、一見大した変化を感じないと思いますが海岸特有の種が排除され、それ以外の場所でも生き延びられる種に置き換わってしまうなどの心配があります。
繊細でありながら、一方では海岸の砂丘維持など大きな役割を地味に果たしている海浜植生に対して市はもっと慎重に対応する必要があると思います。
観光資源としても市税を使って植えた草花以上に自然に咲く野生の植物が有用だと知れば役所も多少気を遣うのかもしれませんが、それではあまりに貧しい感覚といえます。
海岸に様々な自然の花々が咲いていることを自慢できる世代がこれからの南房総に育ってくれることを期待しています。



写真:ハマオモト(ハマユウ)の季節です。

メモ:6月28日東京湾シャチ目視情報(Twitter)

お知らせ

海上のクモを調べるきっかけとなった2006年と2020年に富津市沖で遭遇したクモについての報告がインターネットでも公開になりました!
Lycosid spiders found in coastal waters of Japan. Baba YG , Fujita K, Acta Arachnologica Vol.70.日本蜘蛛学会.2021
無料でご覧いただけますので是非!
英文ですが翻訳ソフトでぜひ読んでみてください。
ただしソフトでは「ballooning(風を受けて飛行する習性)」が「気球を使って」や、種の名称「Wolf spiders(コモリグモ)」が違ってしまうなど、少しクモについての用語では間違えもありますが、だいたいの事は理解していただけると思います。
この報告がカヤッカーに海の上のクモや虫に興味を持って頂けるきっかけになれば嬉しいです。
更には様々な海上の生き物の研究をしている人たちがカヤックに興味を持つきっかけにもなったら嬉しいです!





20210606

2021年5月の出来事

 

写真:繁殖でなにかと忙しそうなコチドリたち


 つい先日2021年になったばかりのような気もしますが、もう6月になりました。

6月になったので例年通りのウミガメ調査を始めています。

8月いっぱいまで、危険なレベルの気象にならなければ毎日通います。

9月以降の孵化の季節の調査も含めると毎年100日ほど通います。 さて、今年はどうなることでしょう。

ウミガメの産卵に関しての人間側の行動変化が最も影響するのは海水浴場の開設状況です。

これはもちろんウミガメだけに関するものではなくて同じく観察を続けているシロチドリ、コチドリといった砂浜海岸で営巣する鳥類の繁殖にも大きく影響します。

さらには今年から観察を始めている海岸に棲むハエトリグモのスナハマハエトリの生活にも大きく影響するはずです。

海岸植生の状況にさえ変化が起きています。


 

写真:テリハノイバラの花の季節です。

 

私が観察している範囲は海水浴場になったり海岸キャンプ場になったりもする海岸と、通常の夏でも人がほとんど入らない海岸とがありますので、その対比は大きな興味の一つです。

昨年の夏には海水浴場が閉鎖されて海岸は生物の繁殖に適した自然の世界が一時的に戻ってくるのだと想像していて、実際にそういう面もありました。

しかし、いつもは海水浴場で指定されない海岸で泳ぐ人が増え、海水浴場に指定されている海岸では人の数は減ったものの、いつものように「遊泳区域」として決まった範囲だけでなく海岸全体に人が広がり、むしろチドリの繁殖には良くない面もありました。

キャンプ場が開設されなかったのは海岸で過ごす生物すべてにとって良い条件でしたが。

そういういつもと違う、よくいえば自由な海岸の過ごし方が突然に始まったわけですが、自己判断で泳ぐのに適した場所を選ぶセンスが日本人に全く欠如してしまっているということを確認しました。

ライフセーバーが不在な中で遊泳区域という比較的安全に泳げる場所も指定していないために、離岸流のある位置や、浅くて海底に岩のある場所、山から沖に向かって強い風が吹いている日などに楽しそうに水に入っていく恐ろしい場面を多数見ました。


 

写真:穏やかな館山湾ですが油断はできません。山風の場合、このようなベタ凪になる時がありますがジワジワと沖に流されます。


 海水浴場が指定されるようになり長いですから、考えもせずにその中で泳ぐということで、海を判断する必要がなくなり、その能力が身につかなくなったのでしょう。

そのうえ監視員が配置され、溺れても流されても監視員が助けてくれるだろうという安易さまで身に付いてしまっています。

これでいきなり、どこで泳いでも自由という状況にしてしまっては事故が起きない方が不思議です。

生き物の繁殖の影響よりも、昨年はそっちに頭を悩ませて過ごしていた印象です。

海岸に派遣された警備員がいましたが(かなり異様な光景でしたね)、彼らに訊いてみると遊泳に関する安全管理については支持されていないという事でそれに関する声掛けは一切行っていませんでしたし、実際のところ海岸に来ている人々と同じで海のことは知らないわけです。

そして海岸に来て泳いでいる人々の行動の基盤となっているものが何なのかというと、「他の人がやっているから大丈夫」ということなんですね。

訊いたわけではないですけれど見ていると分かります。

今の社会の縮図です。


 

写真:ハマボウフウの花の上で餌となるハエが来るのを待っているスナハマハエトリ。


波の力が強く、流れも強い太平洋岸で子供の手も取らずに、小さな子たちだけで波打ち際で遊ばしているのを繰り返し見かけ、そういう場合はさすがに声をかけて「波にさらわれてしまいますよ」と伝えるのですが、よく返ってきた言葉は「足の届くところまでしか行かないので大丈夫」でした。

その判断を小学校低学年や小学生にもなっていないような子に判断させるんでしょうか?

しかも、そう言っているお父さんは足を濡らすこともなく離れて見ているという状況がほとんどです。

単純にまず、お父さんお母さんが水に入ってみることです。

途中から急に深くなっていることや、波の力が意外に強いこと、足をすくわれるような強い流れが浅瀬にあることを体感したうえで子供を泳がせられるのか考えるべきです。

これはヤバいと気づけるかもしれません。

どこの海だろうと自分が先に水に入りもせずに子供だけ海に入れるのは子供を殺すためにやっているような行為です。

ライフジャケットを着けてるから大丈夫とかいう声も聞こえてきそうですが、沖に流れていった子を泳いで助けに行ったら、その人がなくなってしまう可能性が高いです。

海上保安庁だってすぐには来ません。

それまでに波間に見えなくなるか低体温症になってしまうでしょう。


 

写真:オカヒジキの中で過ごすスナハマハエトリ。彼らにとって海浜植物は貴重な存在。


…と昨年を思い返していろいろ不安になってきましたが、今年はどうするつもりなのでしょう?

海水浴場を開設するかしないかということではなく、開設しないなら、いつもは海水浴場に集中している人々がどこであろうと自由に泳いでいる状況を誰が管理するのか?ということです。

それとも日本もやっと自己責任が必要な国になったのでしょうか?

「どこで泳いでも自由、ただし誰も助けない、死んでも自己責任」

シーカヤッカーはこれまでもそうやって海に出てきましたから、今に始まった感覚ではないのですし、むしろそういう世界は大歓迎なのです。

しかし一般の、アウトドアとは無縁で生きてきた人たちが、その感覚を養い始めるのを千葉県の黒潮に接する厳しい海でスタートするのは危険すぎます。

シーカヤッカーでも初心者の時に、海岸はどこも同じに見えるという段階があります。

何がどう違うのか、おっかないので色々と調べて、そのうえで湾の奥で流されないように岸の近くで練習するのです。

 

写真:浮島と環水平アーク

 

海水浴は考えようによってはシーカヤックやサーフィンよりも危険な遊びです。

なにしろ浮力体を持っていないのですから。

あとは当人が危険を覚悟していないということも大きいです。

海みたいなおっかないものに生身で入っていくのですから、「海水浴」なんてのんびりした名称はやめた方が良いような気もします。

実際、海水浴が始まったころには湾奥の穏やかな海でお風呂に入るように水に浸かるだけだったそうです。

知り合いから聞いた話ですが、温泉療養のような健康のために海水に浸かるというようなものだったそうです。

鋸南町の保田海岸には海岸沿いに「房州海水浴場発祥の地」という碑が立っています。

なるほどここなら良いな~という感じの海ですが、私は昨年そこでカツオノエボシに刺されました…。

海は全く油断できない相手なのです。と自身改めて感じた次第です。

海の怖いことばかり書きましたが、本当に今年は心配です。

個人の生死という事でいえば新型ウイルスなんかよりも海の方が怖いですよ。

悪い場合は数分あれば死んでしまいますから。


 

写真:今年も内房某所のハヤブサの繁殖確認できました!ヒナが2羽!


本当に今年はみなさん注意して、特に太平洋に面した海で泳ぐのはやめてください。(千葉県で太平洋に接するのは館山の洲崎灯台から銚子に向かう海岸線のことです)

沖に流されたとき、海底で何かの問題が起きて浮上できなくなったとき、きっと陸が恋しくなるとおもいます。

生きてれば陸に帰れますし、家にも帰れます。

シーカヤッキングには「陸地に立てるってなんて素晴らしいことなんだろう!」という思いを仮に経験できる面があります。

こんなこと書くとカヤックだって怖くなるかもしれないですが、ツアーでカヤックを漕いでみて海を知れば少しは安全に海水浴だってできるようになるかもしれないですし、少なくとも海の怖さを知ることができると思います。

もちろん海の素晴らしさももっと知ることができるとも思いますし。

とにかく今年の夏の海岸がまた心配です。


 

写真:人力で海に出るのは昔から命がけの行為でした。

20210505

 2021年4月の出来事

写真:シロチドリの巣の記録撮影。GPSの位置情報と共に記録します。(役所などへ保護を依頼する場合に必要な記録として)

4月に入って今年も鳥たちの繁殖活動が始まっています。
21日にはウミガメの産卵地でもある南房総市の太平洋岸の砂浜でシロチドリの卵が見つかり(写真)、23日には館山湾内の海岸でコチドリの卵が見つかりました。
今回発見した2か所の巣の卵はそれぞれ、しばらくして卵がなくなっていました。
捕食されたのか、孵化してヒナが巣立ったのかは今のところ確認できていません。
ちなみにヒナは孵ったあと、半日ほどで自分で歩き出し餌を探して歩き出します。
そういう運動能力はヒトが産まれてから立ち上がるまでの期間の長さを考えると驚きです。
親鳥はその複数の小さくて素早く、自由に動き回るヒナたちを連れて海岸を巡回するように想像以上に広い範囲で動きながら暮らしています。
ヒナの方は南房総ではまだ確認していませんが、24日に富津市の海岸で2組のシロチドリの親子が確認できました。
むしろ北の、少しではありますが気温の低い地域で先にヒナが生まれていたのは意外でした。
富津市の海岸はいくつもの海岸で海浜植生が市により保護されていて、砂丘面も広く、チドリの繁殖にとても恵まれた環境が残されています。
一方、南房総の海岸線は本来自然度が非常に高いのですが、人の手が入る頻度が高く荒れています。富津市に倣って、館山市、南房総市にも自然を残すことをもう少し念頭に置いて海岸に触れてほしいのですが、豊かなところほどなかなか気づけないのかもしれません。

写真:富津市で確認したシロチドリの親子。左手前にヒナの後ろ姿。

チドリの巣は高潮でも普通は波が来ない海岸で写真のように卵が置いてあるだけというようなものですので、海岸に出入りする際には親鳥の行動に注意してあげてください。
卵がある砂浜では親鳥が警戒し、高い声で鳴きながら警戒対象のカラスやトビの周りを飛び回ります。
同じように人に警戒する場合も周辺で甲高い声が聞こえてきます。
そういう場合によく見ると上空を何度も小さな鳥が素早く飛んでいくのを繰り返し見ると思います。
また他のアプローチとしては、わざと警戒対象の生物の近くを歩き回って気を引くという方法もあります。
やけに近い場所に小鳥がウロウロしていたら実は卵やヒナから人(あなた)を遠ざけるために気を引いて誘導しているのかもしれません。
これはよく行われる方法なので、もしそういう場面に出会った場合は素直に親鳥についていけば自然と卵やヒナから遠ざかることになります。
卵やヒナは環境に似た色柄になっていてサイズもとても小さいので気づかずに踏み殺してしまう可能性が高いですから、できるだけ遠巻きにして、これから夏にかけての繁殖期に海岸を歩くときにはできるだけ波打ち際を歩くようにすると被害を防げます。
特に大人数での海岸清掃はヒナが避難する場所を失わせ、ちょうど追い込み漁のような状態になる場合がありますので、清掃前、清掃中の親鳥の様子に十分注意してあげてください。

写真:南房総で唯一だった根本海岸の群落が台風などの影響で何年も前に消失して以来、久しぶりに見つかった白い花びらのハマヒルガオ。

ヒナの避難場所としてよく使われるのは海岸植生の影、小石の転がる場所でのうずくまり、漂着物の影など状況により様々ですが、歩くことしかできないヒナが逃げきれないと判断した場合には本能的に動かなくなるため見つけることが困難で、結果的に踏み殺してしまうことになっている可能性が高くなります。
南房総の砂浜海岸で繁殖している鳥はコチドリかシロチドリで、コチドリは小石の転がる広い海岸を好み、シロチドリはそれほど広くなくてもヒナが隠れるのに適当な植生の残されている海岸で繁殖しています。
人により海岸環境の改変が行われて植生が失われ、赤土や礫が持ち込まれるとコチドリが増えるという流れが見られます。
そういう点で特にシロチドリが繁殖している場所は貴重です。
2種ともに千葉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されていますが、環境省カテゴリでシロチドリが絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されていますが、コチドリの指定はありません。
コチドリの方が柔軟に環境変化に対応していきやすい生態といえるようです。
それほど遠くない将来にシロチドリの千葉県での絶滅はあり得ると考えています。
少なくとも南房総市、館山市での繁殖は十分注意が必要と思われます。

写真:南房総市東京湾岸の小川のすぐ下の浜で打ちあがっていたシジミガイの殻。マシジミのようですが、上流から大雨で流され海水で死んで漂着でしょうか?まだシジミがいる川が残っているのですね。※3

シロチドリの巣を発見した時には近くの海浜植生群内でスナハマハエトリグモの観察中でした。
この4月は風が強い日がとても多かったこともあり、海上でのクモやムシの調査に行く頻度が下がってしまい、その分を海岸で観察できるスナハマハエトリについて調べるのに費やしました。
まず生息地の確認として機会を見ていろいろな海岸を見て、近場の海岸では以前より詳細な分布を確認することができました。
現段階で富津市の富津岬以南某所、南房総市の東京湾岸と太平洋岸某所、館山市の東京湾岸と太平洋岸某所、鴨川市某所でスナハマハエトリの生息を確認しました。
砂浜ならどこにでもいるというわけではなく、海浜植生の分布状況と海岸地形など、ある程度傾向が偏っていることも分かってきました。
採餌についての観察も繰り返し行うことができて、何を食べているか、何を食べるためにどう動いているかが分かってきました。
そのために予想よりも大きな移動を行っている事も確認できました。
また体の模様が個体毎に差があることを利用して個体識別を始めているので、個体数やこれから先の自然状態での寿命と行動範囲まで分かれば面白いと考えています。

写真:6日には南房総市白浜町でスジイルカが打ちあがり(写真)、29日には館山市の平砂浦で状態悪く種不明のイルカも打ちあがりました。

砂浜海岸の生物の全体像を考える時に小さいとはいえ数の多い捕食者であるスナハマハエトリを考えに入れていなかったことが今とても気になっています。
それはこの種が2018年に新種として記載されたばかりで生態情報がほとんど無いということから、つまり自分が見てきた海岸だけでなくて日本中でスナハマハエトリの存在が含まれないまま海岸生態系が見積もられていたという事を表しているので、それはかなり大きな差になるのじゃないかと思っています。
私がスナハマハエトリに気づいたのは今年の冬でしばらくは数も少なく、稀にしかいない種なのかもしれないと思っていたものが、暖かくなってきて生息適地が分かってくると、実はかなりの数がいて、しかも東京湾外湾(富津岬以南~洲崎以北)、館山市から鴨川市までの太平洋岸までの海岸と広く生息しているとなると日本中の海岸ではかなりの数になるはずです。
彼らは少なくとも海岸に特有のハエの数の調整にかなり大きな影響を与えていると思います。
その他の生物の数にもかなり影響があるはずで、その生息地の脆弱さと人の活動の影響の大きさを考えると、生息地が失われてからではそれは確認できませんから今のうちにスナハマハエトリの生息地や大まかな数を把握しておかないと、と焦ってしまいます。
そもそも生息数の推定や生息地の記録がなければ将来的に絶滅危惧種として指定しようもなく、ただ「情報不足」と記載されるだけになってしまうでしょう。
海岸は内陸と違って水際に沿った細い線状の環境です。その線は磯で分断されていて、前は海、後ろは環境の異なる空間で囲まれていて、その山側の環境と道路で切り離されればそれでもう生息適地ではなくなっている可能性も見えてきました。

写真:水滴を纏いながらハマヒルガオの下で雨宿りをするスナハマハエトリ。

これは実はチドリの繁殖やウミガメの繁殖についても同じことが言えて、後背地の環境は緩衝区域として、台風の時などに一時的にチドリの親子が避難する場所、砂丘を維持する海岸性低木の生える場所となっていて、スナハマハエトリもそういう場合に砂丘から更に遡り高潮を避けて生き残ったと考えられそうな状況が見えてきました。これらはもう少し整理して確認して記録として残したいと思います。
4月だけで17回の捕食を確認して、そのうち10回については捕食された生物のサンプルも得られましたので、海岸の生き物の中でのスナハマハエトリの役割も見えてきそうです。
個体識別に使える写真はかなりの数になりましたが、記録が多すぎて整理が追いついていません。
南房総での状況を記録して、ひとつの例としたいと思います。
海岸環境の指標としてもスナハマハエトリはとても大きな役目を果たすはずです。
スナハマハエトリがいる海岸は即保護区に指定したいくらい環境が良いのです。
それは人が「きれいな砂浜」と言うのとはかなり差のある内容なのですが、何が「良い環境」なのかが地球や生き物にとってなのかヒトの気分にとってなのかを区別する必要を感じます。
本来はそれは一致していて、ヒトが本能的に快適と感じる環境のはずなのですが、都市環境に依存して長く過ごしてきた現代人が感じるものが大きく自然から離れてしまっているために起きている誤差と感じられます。

写真:4日、今年初のアサガオガイ。カツオノエボシも確認しました。

私はクモの素人ですので、少し勉強しないとと思いクモの調査でいろいろお世話になっている馬場友希さんが書かれた「クモの奇妙な世界」(※1)を買って読みましたが、そこにも田んぼでのクモの生息状況による環境指標について書いてありました。
この本には他にも海に関わるクモのことも書いてありますし、基礎的な知識を知るのに大変役立ちましたので、お勧めします。
あとはクモの図鑑も欲しいですが大変高価なので、やはり馬場さんの書かれた「クモハンドブック」(※2)もおすすめです。
海の上のクモについてできるだけ継続的に記録しつつ、砂浜海岸のクモの様子についての記録として南房総の海岸での観察をこれも気長に継続していきたいと思います。
ウミガメ、チドリ、クモと昆虫という生態とサイズが大きく違う3つを主体にして、その周辺に関わる生き物や植物、海岸改変の影響を記録するという形になってきました。
対象が増えて、なかなか大変ですが、意義のある記録にしていきたいと思います。


写真:スナハマハエトリを探していると今まで気にならなかったものが目に入ってくるようで、白いアブがたまにいることにも気づきました。白は捕食圧が高そうだけど?実際同じくアブに捕食されている白いアブもみました。

このような実際の調査を基にしてガイディングを行っていますので、興味をお持ちの方は是非ツアーにご参加お願いいたします。NPOのように活動資金を寄付や企業などから得たりするのではなく、ツアーを有償で行いながら調査してきたことをツアーでフィードバックすることで活動を継続しています。
つまりツアー参加で楽しんでいただきながら活動資金を頂いているということになります。
これが最も人々に近く、それぞれが環境について考える機会を得られる最もシンプルな形と考えています。
また多人数でフィールドに入ることはそもそも環境破壊の一端でもあるということを忘れがちです。
ツアーでは通常参加人数は最大4名参加としています。
私を含めたった5人ですが、例えばチドリの生息地に入った時に起きることを知っていただけると分かると思います。
普段どうしても気づきにくい、そういうことを知っていただくには良い機会と思います。
そして少人数で仲間内だけで参加していただける1日1組のツアーにすることで、安全面含め、自然物の紹介などそれぞれの参加者へ十分に伝達ができる点も大切と思っています。
敢えて小規模で継続している点を理解し、むしろそういうスタイルを好んでいただける自然好きな方のご参加をお待ちしております。


写真:ハマダイコンの大群落のある某海岸へマウンテンバイクツアーでご案内。自動車ではアクセスできない場所に素晴らしい海岸が残されています。


記事関係リンク




お知らせ

YouTubeに3件の動画をアップしました。是非ご覧ください。

「スナハマハエトリのジャンプ 2021年4月4日 南房総市」

「イソハエトリ闘争場面 2021年3月30日 南房総市千倉町」

「漂着スジイルカの国立科学博物館による収容の様子 2021年4月7日 南房総市白浜」



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店頭希望小売価格=840円(税込み)
藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は54「ちょっと貝殻を観てから漕ごうよ」編です。
どうぞ宜しくお願い致します。

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