2023年8月の出来事



写真:シロチドリの親子.
右の成体がメス,左の海藻に頭を突っ込むようにして雛が2羽隠れています.
見えますか?

あれ?と思われた方もいらっしゃると思いますが,実は7月のカヤック日記がまだアップできていません.
この7月はシロチドリが繁殖中の根本海岸で音楽イベント開催という問題の大きな出来事があったため,その記録でかなり多くの写真,動画,その他記録が溜まっていて,それを処理するのが間に合いませんでした.
また今回の出来事は将来的に南房総の海岸環境の保全に関する重要な出来事となりますので,しっかりと全て記録として残しておきたいという事もあり,処理も適当に済ませられず時間がかかっていました.
しかも夏の毎日のウミガメ調査で時間と体力の消費が大きく,特に今年は暑さが続いた事もあり,なかなか思うように更新作業が進みませんでした.
そうしてる間にとうとう9月に入ってしまった事から,まず7月の日記を後回しにして8月の日記を通常通りアップできるように進める事としました.
それでも現時点で22日となってしまい,かなり遅れてしまいました.
7月のカヤック日記は改めて,しっかりとした記録として後で公開する予定です.

あとは今期のウミガメの産卵状況の報告をSNS上でもまだしていませんでしたので,まずはそちらを書いていきます.

7月5日 南房総市白浜町滝口
やや不明瞭な足跡を発見.
植生群の中でボディーピット(産卵場作成痕跡)と思われる痕跡があるものの産卵には至っていないようにも見えるのですが,一応産卵したものと記録しました.

7月23日 南房総市白浜町滝口
明瞭な足跡を発見,ボディーピットもはっきりしていて卵を産んだ様子.
産卵までの経緯は全く問題ない良いものでしたが,帰り道に岸に沿って延々100m以上という距離を歩いてました.
移動距離的にはこれくらいは珍しくないのですが,「帰り道に」と「岸に沿って」というところが全く不自然です.
すぐそこに海があるのに海に帰らない理由は何だったのでしょう?
おそらくその要因は光害だと思いますが,要検証です.

8月29日 館山市平砂浦海岸
かなり薄くなった足跡らしき痕跡と思われる直線的な痕跡とその延長の砂丘の麓にボディーピットらしき痕跡がありました.
恐らく産卵してあるウミガメの巣と考えられましたが,卵の掘り出し確認なども行っていない為に不確かです.


写真:根本海岸で既に孵化を終えて既に空になったシロチドリの巣ですが,台風の高潮をギリギリ免れていました.
巣の位置を高潮から護ることが可能な位置を予測できるのではないか?と.
赤矢印が卵のあった位置で,そのすぐ海側に波が来た痕跡で砂の色が違っています.

以上のように,今シーズンは和田~白浜~館山全体で不確かなものを含めても3か所しか産卵上陸を確認できませんでした.
もちろん毎日調査している白浜以外は1か月に2回の計6回(今回大潮が8月に3回だったことから平砂浦は7回)しか行けないですし,風も強い日が多かったですから足跡が消えてしまっていただけとも考えられます.
あと, 6月27の大雨の後に見つかった河口にいくつも転がっていたウミガメの卵 については,その後何も分かりませんでしたが,5月に産卵したものと考え日本ウミガメ協議会の報告に状況を書いて加えるつもりです.
しかし,卵がなぜ根本海岸で不自然に散乱していたのか?
根本海岸での5月からの土木作業の事を考えれば,その作業により卵が掘り返された可能性を否定する事は出来ないでしょう.
今回の件で来年からは5月より産卵調査を始める必要が生じてしまいました.
現時点の6-8月の3カ月の調査でもいろいろとかなりギリギリで継続してきましたが,来年以降は更に厳しくなりますのでツアーの方のスケジュールや受け入れについて縮小の方向で考えています.
それでなくては身体がもたないくらいの負担があります.
ツアーは南房総でも随分同業者が増えましたし,ある意味ではサービスの提供は他社でも十分なのですから,それよりはうちがやれる(やるべき)事について重点を置く事が大切と考えています.
もちろん経営的に継続していく必要がありますので,どの程度のどういった縮小をするかは次年度までに検討してお知らせします.

ウミガメだけでなく,春から夏にかけての絶滅危惧種シロチドリの海岸での繁殖について市や県は無配慮にやってきました.
今季,音楽イベントに伴った状況を県や市に伝え,今後の対応について要望を伝えましたので,来年度どの程度の対応があるのか興味深く見守りたいと思いますが,こちらの負担も増えそうな気がしています.
この夏はこの件でもかなり精神的にも体力的にも消耗していて,ウミガメは来ないしでやや絶望的な気分になったりしていましたが,なんとか持ち堪えました.
淡々と記録を残すのが仕事と割り切りたいと考えているのですが,やはりヒトのやっている事でただでさえ生きるのが難しい状況にさせられている生き物たちの状況にまだこのうえ手を加えようとしている様子を見ると精神的にも無駄に体力を消耗しますね.
こういう人の行為を見ていて思うのは「お金は怖いな」ということです.良い人もお金で簡単に変わってしまうようです.


写真:南房総で最も理想的な海岸線として個人的に非常に貴重と考えている某海岸.
年々海岸清掃が縮小化しており,今年度は最小限だったため海岸植生の密度がかなり高まり以前にも増して自然の姿に戻りつあり,更に台風がほとんど影響しなかった事もあり特にオカヒジキが過去にないレベルで繁殖しました.
砂丘の草を刈らなかったお陰で侵入する四輪駆動車もなく良いことずくめでした.

自分が育った地域の貴重な自然を壊しながら生計を立てて,将来その自然がどれくらい貴重だったかに気づいた時には遅いかもしれないですし,ただでさえ減っている自然を次の世代に残しておいてあげられなければ,次の世代はそれを知る事も触れる事も出来ずに育つことで,むしろそれを強く求め始めるはずです.
それはどんどん自然が消されていく時代の東京で育った私のようなものが一番よく知っています.
東京ほどではないまでも過去とは比べ物にならないくらい御南房総の自然の失われた時になって,その時には年老いた現在それに加担している人たちがそれを壊して生きてきたと気づかされ,もっと良いやり方があったはずなのにそれを考える事をしなかったと苦しむのは自由ですが,個人や自治体の担当者といったレベルの少数の人々が思うままに変えて良い自然はもう日本には残されていないと思います.
少なくとも千葉県の海岸線にはその猶予は無いと思っています.
海岸は内陸と比べ物にならないくらい細い線で成り立っている自然だからです.
分断も消し去る事も人の行いで簡単にできてしまいます.
その中で南房総は今とても大事な時期に来ていると考えます.
今を逃すと後戻りできないところまで来ているというタイミングだと思います.
担当者は「今まで何十年もそうやって来たのだから大丈夫」という刹那的な短い時間間隔で自然を扱っていますが,自然の時間の進み方で言えば一瞬の出来事です.
それをほんの一部の人の考えによって消してしまって,結局次世代に「誰がこんな事をしたんだ!」と批判された時に批判を全て受け止めるのは結局現場にいて実際に手を加え,お金を得た人です.
それをやらせた人ではない.
私たち市民,国民もそれを「知らなかった」という態度で許容していたのですから同罪でもあります.
未来の人たちに謝る時の,その荷の重さをいまから想像しておく必要があると思います.

あとは今まで単純に毎年続けてきたような,現在では十分に資金の流れる開発的事業に資金が回って来なくなった時に,そのものをどういった形で維持するのかという実際的な問題もあります.
その時になって利益が得られないと判断し放棄する時期がそれほど遠い未来に必ず来ます.
人工構造物がそこに設置されていた場合には,それを維持する事は出来ず廃墟となり,危険なので人が立ち入れない空間がいろいろな場所に見られるようになるでしょう.
民間の施設でもそうですが,最初に企画建てをする段階で事業全体の収支を計算しているはずですが,現場を見ていて思うのは自然の影響を受ける構造物の使用可能期限の見極めと解体に掛かる費用の予算については後で考えれば良いという事になっている場合が多いようです.
南房総市の大房岬の海岸には 良い例 がありますから一度見に行ってみてください.
そういった廃墟の合間合間にも数十年という単位で気長に眺めてみれば,そこにいろいろな生き物の生活が戻ってくる可能性があります.
だからせめて,今のうちにできる事は,人が手を加えるとしても,もしそれを維持することができなくなった状況を今から十分に配慮して,放棄した場合にも危険で見苦しい廃墟とならず自然的な環境に戻るような状態に今のうちから少しずつ変えていく事が南房総のような自然豊かな地域の自治体が進めるべき事業だと思います.
太古の自然の姿のままに近い海岸線が南房総には細々と残されていますが,今の人工化された海岸を自然に戻す事業を進めていった結果,将来南房総のほとんどがそういった本物の自然海岸の豊かな場所として関東に存在するようになれば,それは南房総全体が現在の形だけの自然保護区ではなく本物となり,そこには生物や自然の観察を楽しむ人々,釣りやカヤック,ハイカー,ビーチコーマー,サーファーといった本当の海の自然を愛する人にとって貴重で幾度も訪れる価値のある場所として認識されるようになるでしょう.
それは今の箱モノや偽自然を提供して得られるよりも多くのものが得られるはずです.
私自身がそうでしたが,そういった観光というよりも活動やライフワークに近いものをその土地に求める人の中には単に使い捨ての週末の観光では飽き足らずここに住みたいという希望を持つ人も多いでしょう.
今の南房総の過疎化が日本全体の高齢化や就職先の減少といった単純な説明で諦められている様子を見ていると,そもそも南房総の魅力はなんだったのかを考えているのだろうか?と感じます.
対岸の神奈川県の海岸線には無い広々とした海岸線,駐車スペースや海水浴場といったものに縛られない自由な利用とそれに伴うシーカヤックなどの様々なアクティビティ利用の可能性,貝殻をはじめ海岸線でのバードウォッチングといった生き物の豊富さといったものでした.
それらを求めてわざわざ訪れている人々の求めてるものがこの30年でみるみる失われ,観光客の客層が変わって来たのを観光を仕事にしている人でなくても感じ取っているはずです.
30年前,南房総の海辺を目指して来ていた人たちはコアなサーファーと釣り人,とにかく静かで広々とした穴場的な海岸を求める人という印象でした.
つまり湘南に行かずに南房総を目指す海好きは,良い意味で少し変わった奴らでした.
ましてや房総くんだりに移住するなんて本当におかしな奴だと私自身,当時の勤め先で土地の人に随分不思議がられました.
南房総はそういう場所でした.
そしてそれが神奈川の海岸では到底得られないとても貴重な事でした.
ここ数年,いろいろな経緯を経て南房総の海岸線に新たに家を建てる様子を各所で見かけますが,移住に至ったケースは少ないようです.
これらの耐用年数の短い建物たちの30年後の姿やそれに伴う人の動きがどうなっているだろうか?と考えると残念ながらあまり素晴らしい状況は想像できません.
今のこの状況は自分で南房総を見つけ出すことなく,単純にマスメディアに押されたレイトマジョリティによる単なるブームでしかないように思えます.


写真:外房某所で小さな株だった時期に発見し継続観察しているハマナタマメ.
人工環境が漂着種子にどういった影響を与えたかを記録しています.

今後少なくとも50年後,早ければ20年後には海岸線を主体に人の利用頻度の下がった環境を自然に戻す事業が土木の主な仕事になっていくはずです.
少なくとも南房総ではそうならざるをえない状況なのです.
人工的なものは維持するのにコストがかかるのですから,これから人口も減り,それに伴って収支も縮小していくのですから大きな仕事ほど今のうちに済ませ,先々は細々と自然回帰的な環境に海辺をはじめとして現在では居住区となっている場所まで,ちょうど良いくらいに時代を遡らせた環境を取り戻していくことに必然的になっていくでしょう.
先に書いたように十分な自然物が残っていれば,そこは維持コストのかからない貴重な観光地としての意味を保つことができます.
そう考えた時に,本来の自然環境の中で生息している生物,特に数の少ない海岸性のものなどは今しっかりと生息地を調査し,そして環境を維持しなければ人が減った時代に折角海岸環境が自然に戻って行こうとする中で,特定の生き物だけが復活しなければ結局本来の生態系が復活しない為にバランスが悪くなりいろいろな不具合が出てくる可能性があります.
小さな昆虫一種,小さなチドリ一種くらい,いてもいなくても同じと考える人がいるなら,南房総の海辺は過去の巨大なゴミが点在する見苦しい荒廃した,気持ち悪くて誰も寄り付かない場所になってしまうでしょう.
その時代に南房総が観光地であり続けることは無理でしょう.

一方で現在,館山市の 沖ノ島のように 管理しやすい特定のエリアだけに観光客を集め,そして「環境保全」を謳いながらお金を集め,単に観光とお金を直結させるためだけに「自然」が存在するという状況が今から始まっています.
過去に観光でお金を生み出してくれた,その他の海岸を突然放棄してお金の収集効率を高めようとしています.
環境はお金のために,つまりヒトのために存在すると考えている人がまだまだ多いのですが,自然はヒトが存在する為に欠かせない存在なのをすっかり忘れてしまっているように感じます.
ヒトと自然が直結している存在なのに,間に必ずお金を挟み込みたい人がいる事がこういうおかしな世界を作り出しています.
順番として本来,自然があって,その中にヒトがあり,結果としてヒトは自然の中で生活の元となるものを得て生きるという,例えば漁師や農家のような基本的な仕事が現代の生活から失われたことが,多くの人にそれをすっかり忘れさせているのではないかと感じます.
自然をいかに換金するかにしか興味を持たなければ,換金に役立たない存在は無いものとされます.
無視されるくらいなら良いですが,「気持ちが悪い」といった単純な理由で観光の,つまり換金の邪魔になるとされてしまえば,排除される対象になっていきます.
砂浜に重機を入れて行う「清掃」作業の様子を見ていればよく分かりますが,自治体も個人も砂浜は単なるリクリエーションの場としてしか(少なくとも南房総では)見ておらず,生物の貴重な生息地という事を無視して人工的な管理が可能な巨大な運動場か砂場と捉えています.
そうやって海岸に漂着する有機物の排除により微生物も排除されます.
それは希少種を含む貴重な海鳥の食べ物である生物を養う貴重なものであるとは誰も言いません.
そもそも時化の後には砂浜に海藻が打ちあがるのが本来の姿でしょう.
それが「自然」です.
その大量に海から供給された貴重で膨大な栄養物を,それに見合った量で短期間に増殖した膨大な数の甲殻類や昆虫が直接,間接的に分解し,そして彼ら自身が鳥の餌となる事で,海岸は海の中から供給された貴重な栄養源を鳥の体内に繋ぎ,その海岸では鳥の繁殖が行われ,それが他の海岸や内陸の生態系との繋がりを作り出すという広がりをだれも考えていません.
人が慌てて重機を海岸に乗り入れて大騒ぎしながら毎回大金を注いで片づけなくても小さな生物が想像以上に早くそれらを分解し,徐々に砂に埋没していく事で自然にそれが処理されるステップこそが砂浜海岸において最も重要な自然の働きで,それこそが海岸環境の起点となっているものです.


写真:台風の後,根本海岸に打ちあがった海藻を移動して埋める作業を行っている重機.

その他の大きな出来事としてはストランディング(海棲生物の漂着)2件がありました.
7月7日には岩井の海岸でオサガメの死骸が漂っているのが見つかりました.
報告者はパドルスポーツ専門店 Cetus の笠原清孝さんで,お知り合いが発見した情報を伝えてくださいました.
夜になってしまいましたが,早速現地入りしたところ既に役所によって(?)埋められていた様子でしたが,場所が特定できたので,ウミガメの漂着調査も行っているNPOの エバーラスティング・ネーチャー(ELNA) に報告しました.
次の日の調査で掘り起こし,無事調査が完了したと連絡を頂きました.
アオウミガメ,アカウミガメは頻繁に死骸が漂着しますが,オサガメは滅多にありませんので,貴重でした.
笠原様,そしてご友人の方,情報頂き,ありがとうございました!
出来れば私も現物を見たかったですが,そのうち生きたオサガメとカヤックで海上で出逢う事を楽しみにしておきたいと思います.

もうひとつは藤田自身が発見したイルカの死骸で,ウミガメの調査の際に見つかりました.
こちらはしばらく現地に放置されていたので,いろいろなトラブルを避けるためにSNS上での公開はしていませんでしたが,昨日(9/21)に現地確認したところ処理され無くなっていたので,こちらでは書くこととし昨日SNSでもアップしています.
発見は8月15日で台風の影響が数日続いた後の平砂浦海岸(館山市太平洋岸)でした.
2.6mのメスで全長,歯の数や外形からミナミハンドウイルカかと思います.
高温の続く中でしたし,かなり腐敗していて,外傷から内臓も出ていたりといった状態でしたが外形はしっかりとしていました.
発見してすぐに国立科学博物館の山田格先生,田島木綿子さんに連絡,クルマが入れない現場の状況と,科博側も他の出動で調査に来られない状況とで現地調査は諦め,依頼された歯と皮脂と筋肉のサンプル採取だけして発送しました.
このような採取を行った場合には科博の方で市の農水産課へ学術所持届が出されます.
私は2000年初頭から幾度もストランディングの調査現場に参加させていただいている経緯から科博からこのような依頼を受けますが,基本的に菌の多い死骸に触れるのは大変危険です.
私も毎回緊張しながら手袋など十分な保護を行ったうえで作業を行っています.
今回はあまりに暑くて作業に集中できなかったのですが,科博の人たちは年中,日本中のあらゆる気候の中でこういうのを続けているんだもんなあと考えたら凄いなあと改めて感じました.
本当にご苦労様です.
ミナミハンドウイルカだとしたら 御蔵島 からの旅イルカなのか気になりますが,個体識別できそうな傷跡などは無く,背ビレも特徴無しでした.
もしかしたら海上で逢った事がある個体かもしれないと思うといろいろ感じました.
長い旅の間にはいろいろと厳しい事があるのでしょうけれど,自由な旅を想像すると特にシーカヤッカーには羨ましい生き方にも見えますね.


写真:8/15台風が去った後に打ちあがっていたイルカ.
大潮時の波は堤防にまで寄せますし,堤防で砂丘と分断されているこの位置でイルカを分解してくれる生物は少ないでしょう.
不自然な人工物の弊害はこういったところにもあります.

以下は今月のTwitter(Xでしたっけ・・・)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

4日
根本海岸のシロチドリの巣で作った囲いのサイズは巣の周囲を歩いてみて親鳥が反応しない距離として決めました.
制約のなかった西側が35m,その他は地形や海までの距離などの制約があり,可能な範囲で囲いました.
100feetは約30mなので,まあ妥当だったという事になりそうです.
この投稿で取り上げた「Share the Shore」は日本でも広めたい言葉ですね.
「海岸を生き物と分かち合おう」かな.
もちろん分かち合う生き物は鳥だけに限らないです,甲殻類、昆虫、クモまで、いろいろいます.
それが鳥の餌でもあり,更にはそれらを育む棲み場所としての漂着物や海浜植生の維持まで.
今後、それらに生きる場所を十分残せているかが,それぞれの海水浴場の管理者レベルを表現していくと思います.
そして,どういう海岸を選ぶかが利用者側の支持を示すので,生き物への配慮の見られる海水浴場があったらどんどん推していって下さい.
根本海岸もそういう風にしていきたい.
Bird Center of Michigan@birdcentermiの投稿
当日の投稿

6日
ミンククジラの漂着調査現場で知り合った角洋介さん製作の短編映画「寄り鯨の声を聴く」がついに公開されました!。
主役の中学生が「みーんな凄くて!」って言うのを観て、自分も同じように感じたなあと思い出しました。
自分の場合はもう30を過ぎてからでしたけれど…
私が初めてストランディングの現場で国立科学博物館の人たちとお会いしたのは2001年にコマッコウを館山の海岸で見つけて連絡した時でした。
解剖する山田先生の技が凄く繊細で、「なんだこれ凄い!」みたいなまるっきりこの中学生と同じものを感じたので、お父さん役よりも中学生役に共感してしまうのでした。
生き物の解剖を初めて見て,その行為の意味を頭ではなく現場で視覚的,経験的に得られたことが,その後にストランディングの調査に出来るだけ協力したいと考えることができたのだと感じます.
それまでは大好きなイルカやクジラの死骸を解体してしまうのは可哀そうな感じがしていたり,自然のサイクルに戻すのが良いのではないかと少し感じていたのでした.
しかし人がそれらを知る機会が少ない事,生きているものを殺して調べる必要が少なくなる事といった状況が良く理解できたのでした.
映画の話に戻りますが,とにかく映像も音楽の感じも素敵な映画なので是非観てみて下さい!
昼食の場面なんかも、「(臭いのの後ですけど)大丈夫ですか?」と田島さんにオニギリを分けてもらって「私たちはいつもこうなんです」みたいに言ってくれてたのを思い出しました.
「僕も親の仕事柄で大丈夫な方なので」と.
これショート版との事なのでロングもある!?のだとしたらそちらの公開も楽しみです!
当方ホームページ内の ストランディングのページで2001年の現場の写真少し載せてます.
角 洋介 / Yosuke Sumi@yosuke58flの投稿
当日の投稿


写真:過去あまり遭遇していないオオメダイチドリと思われる鳥に逢いました.
とても美しい大きめのチドリ.

7日
久しぶりのオカヤドカリに逢いました.
ムラサキオカヤドカリと思いますが,まだ紫色になった成体は見たことがありません. 以前オカヤドカリを調べている方と連絡を取った事がありますが,紫色の個体が見つかると貴重な発見という感じだそうです. あれから随分経ったので,これまでに南房総で見つかっているのか分かりませんが,いつかそういう大きな個体に出逢いたいと思っています. 当日の投稿

10日
白いハマゴウは今年も咲きました.
この群落は清掃の際に重機で根こそぎにされましたが,生き延びました.
海岸において海浜性の植物が砂丘の砂を保っているという事を知ってほしいです.
特にハマゴウの強い地下茎は砂丘の全形を形作るほどで,根こそぎに排除する事で砂丘を崩壊させる場合さえあります.
当日の投稿

12日
ゴミだらけの海岸.
そういう海岸は人には好まれませんが,自然物の「ゴミ」なら太古から海岸に沢山あったはずです. それが前提で,それに紛れて天敵に見つかりにくく過ごして助かる生き物も多々います.
だから全ての「ゴミ」を取り除いてはいけない海岸も沢山あると知ってほしいと思っています.
シロチドリやコチドリの場合はカラスやトビなど天敵が来たら雛はゴミの下に隠れて,親鳥は敵に向かっていきます.
ゴミだらけの海岸は雛たちには命がけのかくれんぼをする場所.
当日の投稿

13日
この日の朝の根本海岸(根本マリンキャンプ場)は台風への警戒でキャンプ場閉鎖,駐車も不可でした.
ホームページでは告知されていますが,知らずに来た人たちの車が入口で溜まってました.
15日まで閉めていましたが,実際には大した事が無く過ぎていきました.
この時の台風に関する報道は南房総に住む人にとっては実際よりも被害想定が大きかったように思います.
ある程度天気の情報を得るのに慣れていればその状況は掴める状況でしたが,自治体も念のためで警戒を促していたのだと思いますが,それを受け取る側が自分の住む土地での様々な条件に照らして被害が出そうな場合に自治体やメディアのどちらかというと全国規模的な情報に頼っている様子は不安を感じます.
2019年の台風はそれで被害が大きくなったと感じています.
きっとまた同じような被害が出る時が来ると思いますが,個人個人が十分に天気を判断して自分の身を自分で護るようにしていく必要があると感じます.
ただ今回のキャンプ場のリスク判断は良かったと思います.
過去には台風が通過する予想なのに開けっ放しで,酷い状況になってから避難したキャンプ客の散らかしたゴミが沢山残されていたりといった状況もありましたので,そういう点で良かったです.
根本マリンキャンプ場ホームページ
当日の投稿


写真:2017年の御前崎に上陸した台風からの異常な高潮で崩落した館山市太平洋岸の砂丘.
写真のように高密度で砂丘の内部に広がっているハマゴウの地下茎により完全な消失を免れハマゴウはまた砂を保持し砂丘を成長させています.
人間の造ったものでは到底不可能な事業を自然物がやってくれている例.

15日
キオビベッコウバチ(キオビクモバチ)と思われるハチが地面に穴を掘っていました.
なんのクモを捕まえたのかは見られませんでしたが,とにかく凄く忙しそうでした.
南房総の海岸には時々いますが,神奈川では減っている様子です.
こういう海浜植生のある砂丘が少し残っているだけでも,ある種にとっては貴重なのでしょう.
大切にしていきたいですね.
日本のレッドデータ検索システム「オビベッコウ」
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19日
なんと19年ぶりに当方カヤックツアーにお友達と参加して頂きました!
19年前のその時が初めてのカヤックで,その後いろいろな所で楽しまれたそうです.
うちのツアーに参加して「シーカヤック面白い!」と思って頂けたのだと思うととても光栄です!
この19年の間には本当にいろいろな出来事がありましたが,その中で元気にまたお会いできるという事の素晴らしさを感じました.
本当にありがとうございました!
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28日
この日は雷雲多発でしたが,参加されていたのが経験の長いリピーターさんでしたので勉強という意味も含め雲をしっかりと観察しながら,すぐに上陸避難できる岸沿いを臨機応変に対応しながら漕ぐ経験をして頂きました.
台風が接近している割にうねりが全く入らなかったのは良かったです.
こんな日ならではの海の上での虹がきれいでした!
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写真:上記28日の虹.

29日
久しぶりのガラス浮き発見しました.
3か月続いたウミガメ調査が終わりつつある頃でしたので,今期のご褒美かな?と思いながら拾い上げました.
小さく歪な感じが,むしろ今となっては貴重です.
緑色の丸いガラス浮きに付着して生きていたエボシガイの姿は地球にくっついて暮らす自分たちとそれほど変わらないなあという感じでした.
ガラス浮きが打ちあがってしまえば自分たちも生きていけないわけです.
地球はいつまで宇宙を漂っていてくれるのでしょう?
当日の投稿

30日
「カヤック日記の更新はまだなのか?もう9月になるのに7月分がアップされてないぞ!」と,もしかすると誰か思っているかも?
この7月はシロチドリのいろいろな出来事がありすぎ写真が多すぎて,写真を整理して,選んでという段階で物凄く時間がかかってしまっています.
もうしばらくかかりそうです...
そのシロチドリに関する出来事を写真を見ながら振り返っていますが,落ち着いて今になって見ても酷すぎる状況です.
投稿を見てみてください.
南房総市の根本海岸は本来関東で屈指のシロチドリやアカウミガメの素晴らしい繁殖環境だったはずです.
今からならまだ取り戻せると思います.
当日の投稿

そんな悲しいシロチドリの境遇をもっと知ってもらいたい!と思い,根本海岸で長年ライフセービングを行いながらイラストレーターをされているMAY'S CAFEさんにイラストをお願いしました!
実際にこの夏のシロチドリの状況を観て頂いた上で描いて下さったリアル感に感激です!
絵を見て「砂浜に電柱?」という感じがするかもしれませんが,前の投稿の写真にあるように実際に根本海岸には電柱がいくつもあるのです.
その上からカラスやトビが雛の居場所を見ているので普通の海岸では難しい高い位置からの観察を十分に行っているために雛が捕食される確率が高いという可能性を考えています.
MAY'S CAFEさんのページです.
かわいいイラストのグッズ沢山販売されてます!
そのうちシロチドリさんグッズも販売されるかな?
MAY'S CAFE
MAY'S CAFE@MAYS_CAFE
当日の投稿


写真:MAY'S CAFEさんのシロチドリイラストの解説版.
実際の現場を夏の間観ていただいたうえで描いて頂いたので実際感ば抜群です!
シロチの言葉もかわいい!



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