2024年12月の出来事


写真:細長いダツの仲間を捕まえたミサゴ.表層を泳ぐ事が多いようですし(カヤックで時々水面を群れでジャンプしているところを見ます),何より掴みやすそうです.

この月の内容ではないですが、今これを書いている2025年3月初めのことです.
世の中いろいろと変化が激しく、それに合わせるかのように天候も目まぐるしい日々ですが、そんな中「南房総うみはま研究会」なる「会」を始めました.
このブログも「カヤック日記」から「うみはま日記」にしようかなと思ったりもしましたが、しばらくはカヤック日記のままとしておきます.
かといってシックスドーサルズ・カヤックサービスを終わりにするわけではなく、並行して続けていくつもりです.
今回のことはカヤックツアーをしながら継続してきた自然物の記録活動を分離したという感じで、分離することで活動の形を変えていきたいという目的があります.
ツアーに付随して調査研究をしていくのは営利に繋げるための活動と捉えられがちだと思いますが、実際ツアーを行う際のフィードバックが当初の目的のひとつですので、そうに違いないのですが、営利目的ならもっと他の事をすべきなので...むしろ出費を増やしてしまっている状況だったりします.


写真:海岸を歩く人に驚いて飛び立った越冬中のシロチドリの群れ.
波打ち際を歩く分には植生の中や砂丘の麓などに逃げられるので植生を避けて歩いてあげられると彼らも穏やかに過ごせますね.

生き物や海岸環境の記録は将来のための記録として考えて行ってきたもので、それをしなければと感じた理由のひとつはウミガメの産卵調査を始めた時にありました.
根本海岸ではじめてウミガメの産卵に気づいた時に過去の記録がないことがわかりました.
一方で根本の海女さんなどに聞けば昔からの当たり前のもので、90歳前後の方の幼少期の記憶にそれが刻まれているという事も分かりました.
つまり「当たり前」ほど記録されないという事で、それはウミガメの前に観察をしてきたイルカについても言えました.
漁師さんから「沖に行けばイルカは普通にいる」という情報がありながら、その種や頻度は分からないので写真ひとつでもあればと思ったものでした.
そういった昔の出来事を、もし100年位前から市民科学が普通のものとして定着していたとしたら、漁師さんや海女さんがノートを残すことで研究記録として正式に文献化されていたなら、この海での本来の姿が汚染や開発、気候変動といった変化に対してどう変わっていったのかが分かったはずで、本当に残念だったのです.
だから素人の自分が敢えてツアーのガイドをしながらその海に暮らす生き物を記録し、海岸の変化も記録し、慣れない人にとっては難しい壁となっている研究報告の仕方をなんとかしながら、これまで記録してきたことを報告にしていきたいと今少しずつやっているところです.
これにより「私でも出来たのだから皆も出来る」という形にしていきたいですし,何よりその入り口を小さくても用意しておくことが大切と感じました.
これは結局私が研究者の方々に助けて頂いた事を私なりの立場で受け継いで,私と同じ素人である市民科学者を特にこの南房総で増やすことが結局土地の自然を見守る目となると考えています.


写真:南房総市太平洋岸の河口に現れたイカルチドリ.
今まで観察したことがなかったのですが、私が主に記録している砂浜では見たことがないですが、河口には来ていたのかもしれません.
採餌している様子を見る限り、河口の環境条件もかなり自然的な場所でなければ好まなさそうです.

南房総に定着したイルカの件を昔報告で書いた際にはイルカのおかげで知り合うことが出来た様々な素晴らしい研究者の方々に大変お世話になりました.
その先生方は全くの素人でもともとの基礎的な自然科学に関する知識も不足している私に対して大変おおらかに受け入れてくださり、実際に海で見たものを形にするという作業に協力してくださいました.
その時の経験がなければ研究者の中に首を突っ込んで発表するという事には今もなっていなかったと思います.
今回の「南房総うみはま研究会」のサイトには「みんなの研究発表」というページを設けました.これはまさに自分が「研究」とその発表という事に関して感じていた敷居の高さを排除したいという目的があります.
もしもその昔、海女さんが気楽に、休みの日にでも海で見た珍しいものを書いたメモ程度のものを気楽に「研究」として公表できていたら、今の南房総の海辺や海の上での様々な出来事の記録の無さを嘆かずに済んだはずという事を今からでも変えたいという気持ちです.
さらには小さな将来を担う子供たちにも気楽に研究を行う気持ちを育てる必要に対しての場にもなることを望んでいます.
このページに書き込むのはSNSで投稿するのとそれほど変わらない気分で、しかし中身は見る人が見たら基調と思える内容になるのではないかと考えています.
それを見たプロの研究者が「見つけ」本当の研究発表に?がる可能性が十分にあると思います.
私が御蔵島から来たイルカを記録できたのもそんなレベルの出来事でした.
それを研究者の方々が受け止めてくださったからそれが記録として残りました.


写真:富士山を背景に沖合で魚を探していたミサゴ(中央の小さな点).
岸から数十メートル程度の範囲で魚を捕っている印象がありますが,よく観察するとかなり沖でも餌を捕ります.
カヤックで沖合でその場面を見る事もありますが,じっくり観察するには岸からの望遠がやっぱり良いです.

そのような気楽な発表の場を用意して、もうひとつは同じように気楽に「勉強」できる場所をつくることで、それは毎月の勉強会として基本的に無料で継続していくつもりです.
できればそのうち研究者の方などをゲストに来ていただいて特別な回も設けたいと考えていますが、まずは毎月の参加者を少し安定していくことが必要かなと感じています.
またこの「勉強会」も本当に学校のようなムズカシイベンキョウとならないようにしていきたいと思っています.
私自身学校でのベンキョウは大の苦手でしたので、何がその苦手な気分を生み出しているのかはかなり実感しているので、それを避けつつ楽しく真面目にしかし好奇心に?がり、結果として海岸の環境理解に繋がるように努力していきたいと考えています.
もちろんなかなか難しいことなのは良く分かっていますので、無理なくやっていきたいと思います.
そのようなわけでシックスドーサルズではできなかった広がりを創り出していくことを目的としていますので、ご参加よろしくお願いいたします.
特に砂浜環境は今大変な厳しい状況にあります.何が厳しいのかというと主にはそこに暮らす生き物の状況ですので、多くはそこに時間を割いていきます.
また「会」といいましても会員制でもなく会費も徴収しません.一期一会な「会」で良いという感覚で、毎回時間の都合や今日の対象によって離合集散する「会」としたいと思います.どうぞお気軽にご参加いただければ幸いです.
詳細はホームページを開設してありますのでご覧いただければ幸いです.
南房総うみはま研究会リンク



写真:南房総市の海岸で越冬をしているのを確認し継続観察をした3羽.
ダイゼン2羽とムナグロ1羽の組み合わせで間違いないようです.
夏羽は独特の模様で両種とも似たような姿で紛らわしいのですが,地味な冬羽は尚更でしばらく判然としませんでしたが,一緒にいるところを見てみると1羽が明らかに褐色がかっていてやや小型であることから,そちらがムナグロ(写真中央)と判断しました.
種は違いますが同じムナグロ属ですし,それほど違和感が無いのでしょうか?
ダイゼン2羽に小さなムナグロはくっついて安心している様子です.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.

6日

昨日行った時々しか行けない某所海岸でミサゴとシロチドリとハマボウフウを観ることができました.
皆さん変わらず元気で何よりでした.
千葉県内だけでも行きたいところに行きたいだけ行けるわけではないので毎回の観察が大切です.

8日

去年新装オープンした沖縄の 名護博物館 で2010年1月に沖ノ島に打ちあがったザトウクジラの骨格が展示されてました.(科博のデータベース内のこの個体
投稿の写真は当時に沖ノ島での国立科学博物館による調査に参加した時で、青い上着が私です.
他はほとんど血だらけの解剖の写真なので省きましたが現場は見物の人も多かったです.
南房総でザトウクジラ漂着はまだ珍しかったころで、その後毎年のようにザトウクジラが打ちあがるようになります.
この時は大変苦労して肉をきれいに骨から剥がし、標本にする時のことを考えてきれいに並べて埋めたのですが,当初標本化を言っていた館山市で展示されなかったのは本当に残念でしいた.
しかし、まさか沖縄での展示という展開があるとは想像もできず、やっぱり苦労して作業した甲斐がありました.
今年のはじめには和田とか鴨川沖漂流→勝浦の打ち上げがありましたし,この冬もまた打ちあがりそうですね.
この月の ブログ に漂着時の写真もあります。


写真:ゴミだらけの海岸の何もない景色という不思議な写真に見えると思いますが,実はこの漂着物に隠れて風を凌ぎ,天敵から隠れて過ごしている鳥が5羽写っています.


写真:上の写真の中でもは特に目立っているミユビシギ.
この他にシロチドリが4羽いますが茶色で目立ちません.
ミユビシギは千葉県一般保護生物 (D),シロチドリは絶滅危惧Ⅱ類 (VU),千葉県最重要保護生物 (A)に指定されています.
この写真の状況がそのまま実際の砂浜での状況で,現場では更に見つけにくい状況です.
こうした漂着物の役割のひとつが砂浜に暮らす鳥類の隠れ家,そしてこの状況での目立たなさが人にとって彼らの存在を無いものとしてこれまで砂浜利用をしてきてしまった理由で実情と言えます.

15日

先日古いハードディスクを開いている時に出てきた2016年のウミネコ救出写真を動画化してYouTubeにアップしました.
海洋大のカヤック実習で漕いでいた館山湾湾奥での出来事です.
釣り糸の問題点について考えてみる一例となれば良いなと思った次第です.
是非ご覧ください.
「釣り糸の絡まったウミネコ幼鳥のカヤックでの救出例 千足耕一様撮影 2016年8月11日 館山湾」6DORSALS YouTube

18日

オーバーハングの堤防に張り付いていたスナガニ.
すぐ下の砂だまりに巣穴があるけれど,ここに登って来た訳はなんだったのだろう?
クライミングを趣味とする個体だったのかな?
(10月撮影)

18日

今日のミサゴ.
ゆっくりと滑空して行った先には魚の群れがいてミサゴに驚いて慌てて逃げています.
そして,魚たちが危険を感じて群れをギュッと小さくしたところで再度襲撃して捕獲したように見えました.
そしてせっかくデカいのを捕ったのに魚を落としてしまって今度はミサゴが慌て気味?

19日

ブログ更新致しました.
2024年10月のカヤック日記です.
Bloggerにも掲載してあります.
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
写真:産まれた海岸にひとり残ったシロチドリ幼鳥.
この12月の日記もそうですが、どんどん遅れ気味で、このままだと半年以上古い記事をアップする時代が来てしまいそうです….


写真:冬は長年観察を続けている事もあってどうしてもミサゴの写真が増えます.
そして近年複数で見られる機会が増えてきたようです.

19日

「The Last Observers」良い映画でした!
鳥好き,自然の中での暮らしが好きな人におすすめでした.
(設定で日本語翻訳テロップで見れます)
最後の言葉は特に共感しました.
「今いる場所が幸せなら、そこに留まるだろう。
そして、経験することがたくさんある。
そして毎日、新しいことを学ぶことができる。
今いる場所で生き、そこにあるものを楽しむ。
それが私の一番のアドバイスだ。」
”If you're happy where you are, you'll stay.
And there's so much to experience.
And to learn, every day, new things.
Live where you are and enjoy what's there.
That's my best piece of advice.”
私は南房総に住んでからあまりに豊富な自然に圧倒されて「他の地域の自然を観ている余裕はないのかも」と気づいてしまいました.
いろいろ行きたいところ,見たいものとある中で,やっぱり自分の住んでいる場所の特に海辺の自然をもっと深く観る方が楽しいですし、日常的に観察できるという点で貴重な記録を残しやすくなると考えました.
その経験が今回の南房総うみはま研究会に?がりましたので,この物語の中で表現されているものがとてもよく分かる感じがしました.

21日

昨日のミサゴです.
ダツの仲間を捕獲して海から真っすぐこちらに来て上空を旋回後山の方へ.
自慢しに来たのかな?
魚が捕れた時の動きに嬉しさが感じられるのは気のせいだと思いますが,やっぱりそう見えます.


写真:開きそうで開けない感じのグンバイヒルガオの花.
この群落は越冬し種子を結ぶ群落としては千葉県太平洋岸で最北になっています.
つまり恐らくは日本の太平洋岸での最北となりますが12月に花がある状況です.
東京湾岸にはさらに北に位置する越冬し結実する群落があり、東京湾を太平洋の中に含めて考える場合にはそちらが北限です.

22日

東京湾湾奥に入り込んだザトウクジラがいろいろ心配です。
2005年に袖ヶ浦に入ったコククジラはやっと東京湾外湾まで下ったと思ったら定置網に入ってしまったという事例を思い出します。
無事に出てくれたら良いですね。
当時の ブログに少し書いてあります。
2005年コククジラの経緯はここに詳しいです。
定置網は岩井海岸沖でした。 当日の投稿

22日

ちょっと珍しい写真が古いハードディスクから出てきたのでご紹介.
館山市沿岸で遭遇したカンムリウミスズメの雛です.
なんと千葉県では2例目という珍しい出来事でした.
海鳥好きな人にはシーカヤック絶対的にお勧めです.
こういうことがあるとカヤック漕ぐのがまた楽しくなっちゃうんです.
この2006年頃は成鳥は時々見ていて,でも珍しいので見つけると写真記録してたんですが,この明らかに雛!ていう個体を見た時は千葉での雛観察例があるのかも知らなかったんですが後で2例目と分かり,山階鳥研に連絡していろいろアドバイス頂きながら報文を載せて頂きました.


写真:根本海岸の南端に広がる御神根(おがみね)という名の岩場に休むウミウなどの海鳥と遥か水平線には伊豆諸島の利島、そして潜水艦.
写り込む乗り物ひとつで平和な風景の空気が変わります.
潜水艦に用のない時代が来たら良いですね.

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パタゴニア

 2024年11月の出来事



写真:先月もご紹介した根本海岸で久しぶりに見つかったグンバイヒルガオでしたが,一般的に言われるパターンで越冬には至りませんでした.
細かい状況としては枯れたのが先か大風の後に砂に埋没し行方不明になったのが先か分かりませんでしたが.
もしも埋まっただけであれば,もしかするとまた芽を出す可能性があると思いますので暖かくなった頃にはまた再追跡調査しなくては.

11月の日記ではありますが,これを書いているのは2025年1月半ばです.
昔は月が替わる前に準備して月が替わった時に更新していたのですが,いつからか徐々に遅れてしまい現在ほとんど2か月半くらい遅れての更新となってしまっています.
昔を知っている人からすると随分堕落したな...と,お感じかもしれません.
コロナ禍の頃に徐々に時間間隔が崩れていったのがいくらか影響を強めたようですが,近年観察対象が広まって現場での調査や撮影した写真の量の増加での後処理にかかる時間がかなり膨れ上がって来ていた事,あとは去年までkayakという季刊誌で連載していた「カヤック乗りの海浜生物記」が先に書いたような状況の中でかなり負担になってきた事がありました.
そんな中,長年観察を続けながら未だ記録として公開していないものが溜まって来ていて,それをこのページなどで一部紹介する程度ではなく,自分が死んで,このページが無くなっても,その生き物のあった姿(事実)が記録として永続的に残るようにするために外部の出来れば紙になる研究関係の媒体に出しておく事を真剣に始めたいと思っていました.
それで昨年長年続けていた雑誌の連載を終わりにさせてもらったのですが,その結果がまずはひとつ出せたのでご報告しておきます.
このページは2024年の11月の日記なので,このページのその他の背景になる時期にはまだ受理されていないのですが.


写真:十分なサイズになって越冬を繰り返しているグンバイヒルガオなら11月にまだ花も咲いている群落もあります.
花びらの縁からつんつん出ている棘状の部分は別に硬い訳ではなく何の役に立っているのか大変気になります.
解明されているのでしょうか?

写真にグンバイヒルガオを先月含め多用したのは,実はグンバイヒルガオの越冬と繁殖(開花)北限更新とこれまでに記録して来た大小の個体(群)の記録を以下の研究誌に公開をしたからでした.
「グンバイヒルガオの越冬繁殖分布の北限新記録と千葉県南部における生息状況」藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
これまでは将来発表する内容なので,あまり詳細は書かないようにしていたのですが,既に公開された内容に関しては徐々にここでもご紹介していきたいなと思っています.
文面はもちろんここでペーストするわけにいかないので,原文を探して読んで頂きたいと思いますが,紙の本になったものを購入して頂くか,観音崎自然博物館の会員になっていただいてオンラインの文を読んで頂く形です.
観音崎自然博物館の 関連ページ を貼っておきます.
この紙面には同館の山田和彦さんと共著の館山市の海岸で漂着していたイカについての報告も載っています.
「東京湾で採集されたホウズキイカ(軟体動物門,頭足綱)」山田 和彦・藤田 健一郎 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
このイカはグンバイヒルガオの論文でも共著になっている妻の直子が見つけ,私が拾って山田さんに報告し郵送,調査されたものです.
小さな美しいイカでしたが,東京湾で初とは驚きました.
漂着したイカは是非山田さんに問い合わせしてみる事をお勧めします.
新たな発見が見つかるかもしれません!


写真:グンバイヒルガオ群落の中に左右対称に齧られた葉が多数ありました.
どうやって食べたらこんなになるんだろう?と思いながら見ていたら閉じた葉がいくつか周辺にあって,その状態で食べたのだと分かりました.
しかし食べたのが誰なのかが分かっていません.
以前には砂の中から顔を出して葉を食べているイモムシを見たことがあるので,それが潜んでいるのかもしれません.

そんなわけでグンバイヒルガオとイカの報告についてまずはご紹介いたしました.
南房総で暮らしている生き物の存在と,その生き様を記録するためにはこういうページでの公開も大切ですが保全まで影響を与えるには科学ベースであることが大切と考えて,わたしの実力では難しいのは分かっていながらそういう場所に掲載されるよう試みています.
今回のグンバイヒルガオも少なくとも日本での最北限越冬,繁殖群落がいくつもありながら,しかし北限であるがゆえに非常に数少なくか細い厳しい状況での生息を保つ努力がなされていません.
それを訴えるために書いたのが主題でしたので,最後にそれについて書いてあります.
千葉県が繁殖と越冬の北限であるものは多々あると思いますが,グンバイヒルガオが関東では越冬できずに繁殖しないというのが通説のようになってしまっている状況では細々と分布を広げようとしている,目立たない種が定着する前に様々な要因で排除されている可能性があります.
つまり実態が知られていないがゆえに県は保護対象として検討していないわけなのですが,植物の専門家の方々が参加して行われている調査でも十分でないのは仕方がありません.
千葉県全土の植物の全てを見られるはずがありませんから.


写真:グンバイヒルガオの種子.こんな毛むくじゃらで水を弾きます.
なので海面浮遊の術で遥か遠くから流れ着くことが出来るという事のようです.
素晴らしい自然物に備わったデザインの不思議.

その点で一般の人々が見たものを記録し報告していく事が現在非常に大切なこととなっています.
南房総のウミガメの産卵も私が20年と少し前に見つけて報告を始める前には記録がなく,しかし地元の海辺で働く人々には昔から当たり前の存在であったという状況があり,更にはそういう人の中にも「昔はカメが卵を産んでいたけど最近は見ないね」という昔話と化してしまいそうな状況でした.
しかし実際に毎日通って足跡を探してみると当たり前にウミガメが産卵にやって来ていたのでした.
今回のグンバイヒルガオとは経緯が違いますが,「知られていないと無いのと同じ扱いを受けてしまう」という点では一緒です.
「ない」ということになってしまえば,その生息地をどうしたってかまわないという風にもなってしまう可能性があるのです.
だからと言って,それがあるからといって過剰な保護を行う必要は無いと私は考えています.
むしろ自然のままの状況を保ってあげれば良いだけなのですから.
そこに人が影響を与えないで少し離れて住み分けられるようにしてあげるという余裕がこれからの南房総の自然を豊かにし,結果としてヒトの求めるもの「自然豊かな景観」,「豊かな産物」,「豊かな観光資源」というものになっていくはずと考えています.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.


写真:こちらはハマナタマメの種子.
先月の日記ではまだ青々ふっくらな姿の写真があるので見比べてみてください.

2日

2003年根本.
海岸道路にあった野島崎灯台を模した街灯.
この街灯が実はウミガメに問題があって2005年に橙色の灯りに変えてもらった経緯があります.(現在は形も変わってLED化)
海側からの写真で街灯が見えますが,これが子ガメを山側に誘導して海に到達できずに死ぬという事が度々起きていました.
灯台は横方向の遠くに光御届かせるための形なので,つまり「灯台下暗し」街頭にはそもそも向いていないのです.
球替えについての状況は当時のブログにあります.
2003年のファイルを引っ張り出したついででの投稿です.
現在のLED街灯も白浜町エリアのウミガメ光害がある位置のものにはルーバーを仕込んでもらい、できるだけ海側に光りが行かないようにしてもらってあります。
当日の投稿

3日

今日海岸で拾った右から左へ文字時代のなんだかわからなかった遺物がなんだか分かりました.
以下参考になりました.(感謝)
「高岡式の開閉型電気スイッチ」
「安全器というのは、昔、ブレーカーの代わりに使用されていた配線器具」
当日の投稿

7日

面白かった!
先生だから何でも知ってるっていう態度じゃなくて、分からないことがあるから研究してるんだっていう事を素直に言える感じが田島先生は良いですね~。
国立科学博物館YouTubeチャンネル【前編:動物研究部編】異分野の研究員によるクロストーク~最近って何年前?~
当日の投稿


写真:11月は一年で最もシーカヤックに適した季節と昔から言ってますが,嘘ではないのが分かる感じの写真.
しかし近年の強風の日が多いのには少し参ってます.
写真のお客様は開業間もない頃からの20年以上のお付き合いをしてくださっている方で,昔は必ず晴れて穏やかな日に漕いで頂ける晴れ男なのですが,近年風で中止になる日があったりします.
気候変動って地球が生きているうちには当然あるものと考えて付き合っていく気持ちが大切と思います.
今まで穏やかな時代が続いていたんだなあと,そちらに感謝して.

8日

漂着物の中でハエを捕食していたスナハマハエトリ.
今年はあまり観察してないですが印象からすると少ないような?
潮間帯で採餌する事については以下で短く報告しました.
千葉県南部におけるスナハマハエトリの分布 藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 27(2023)
観音崎自然博物館に行って買うか会員にならないと読めないのですが,機会あれば読んでみてください.
観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 27(2023)
当日の投稿

8日

10月15日発見のグンバイヒルガオの様子を確認してきました.11/7撮影日
まだ青々しています.
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10日

昨日はシックスドーサルズ開業間もない頃からのお客様Wさんご夫妻にご参加頂き,館山湾大房岬を久しぶりに漕いで頂きました.
テレマークスキーもされるWさんご夫妻,自然を観ながら自分のペースで移動を楽しむ点で共通の楽しさが感じられるそうです.
いつも無理して距離を漕がず楽しまれています.
シックスドーサルズのカヤックツアーは1日1組で催行していますので,参加者の経験度,希望に合ったツアーを無理なく楽しんで頂けます.
また自然相手ですので海況,天候から無理なくルートプラン,決行,中止,など判断しておりますので,初心者の方もお気軽にご参加ください.
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写真:ミサゴがちゃんと魚を捕っている姿を見ると海にはまだ魚がいるんだなあと安心します.

13日

立派なアリソガイの貝殻.
危うくキャタピラに踏まれてしまうところでした...
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14日

9月に撮った写真でクマバチがハマゴウの花を抱え込んで蜜を吸っていて「なんだか可愛い動作だな~」と眺めていたですが,吻がおかしなところに入り込んでいることに気づき気になって調べたら,これが盗蜜というのをしてるところだと分かりました.
でも花粉を運ばないからって泥棒扱いは可愛そう.
しかし,この素早い動きで花を抱え込んで吻を刺して蜜吸って次!ていうのはなかなか忙しそう.
動画ではそういう様子は全然分からないですね.
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18日

今日のウミネコ
最近センサーを掃除してなくてゴミが右上に写り込んでます.
Leave the Leaves(Xerces Society ホームページ)
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写真:越冬地ではミユビシギを主体にシロチドリと,この日はオバシギも1羽仲間入りしていました.
みんな仲良し.
でも行動が微妙に違います.
ただ,人が来たり天敵が来た時に一緒にいれば少し安心という感じ.
ビーチコーミングの時に気づかずに群れを蹴散らしてしまう場合が私もあります.
波打ち際にいる時は活性している時なので逃げるのも早いですが,植生の中や漂着物に隠れて休んでいる個体もいるので,そういう場所を避けてあげて波打ち際だけでビーチコーミングをする習慣をつけて頂けると,繁殖期にも産卵した卵を踏んでしまうという最悪のケースを防げます.
どうぞご協力ください.

19日

いつも根本海岸のウミガメ,チドリ調査で大変お世話になっている,波音日和の松井さんの絵の個展です.
とてもきれいな色づかい.
南房総が好きな人にはおすすめ.
11/22-12/23野島崎灯台下の白浜海洋美術館で無料だそうですので是非!
波音日和
当日の投稿

20日

船が座礁した勝山浮島のあの浅瀬はうねってる時にカヤックを漕いでると海面がドーンと盛り上がって結構迫力があるんですよね、潮も早いですし。
隣の洞窟×3があるきれいな湾状の場所は初めて漕いだとき千葉県って凄い!と思いました。
あの素晴らしい海に油が漏れないよう願ってます。
当日の投稿

21日

今日はミサゴが3羽!(全部一緒に写ったのはこんな写真だけですが)
当日の投稿


写真:たそがれのウミネコ.
ずっと向こうの海岸線は砕ける波が風で内陸に向かって霧のように運ばれている様子が見えています.
海の栄養分が地上に運ばれて塩分が内陸の植物の進出を抑える役割をして海浜植物の暮らす場所を創り出してくれます.

23日

カヤック日記更新致しました.
2024年9月のカヤック日記です.
Bloggerにも掲載してあります. スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
投稿の写真は漂着した大量のカジメの中のトウネン.
当日の投稿

26日

今日はミサゴが5羽一緒の場所にいました!
数が増えてきたのなら良いなあと思います.
1枚目は全体,あとの3枚はそれぞれのクローズアップです.                                 当日の投稿


26日

昨日はしばらく見に行っていなかったハマナタマメ群を観察しに.
すると17m離れて新たな個体発見.
周辺にはイソギク満開でした.
海岸散策に良い季節.
当日の投稿

30日

今日はシロチドリを観察できました.
休息中だったので出来るだけ離れて撮影しました.
ずっと暴風だったし疲れていそうでした.
やっと風も止んで暖かな日差しの中でほっとしてるんでしょうね.
7羽写ってます.
探してみてくださいね.
当日の投稿


写真:イソヒヨドリのメス.
いつものところにいつもいるという感じのかわいい海辺の主です.
ご挨拶を忘れずにどうぞ.

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