2024年10月の出来事


写真:今年も咲いたハマナタマメの花.
なんだか意味ありげな機能美的な美しさが好きです.
マメ科の花としては逆さまという点で面白いのですが,その機能的な意味は?以前吸蜜しているハチを観ましたが,逆さまになって花に入り込んでいて大変そうで,その身体は花粉だらけでした.
先月アップしたクマバチに蜜をタダで持っていかれているハマゴウとは違って賢い進化をしたのでしょう.


写真:ハマナタマメの鞘.
こんな大きな豆が植えることもなく海岸に沢山あったら良い食料になっていそうなものですが,食べられないそうです.
なぜ食べられないのかは分かりませんが.
単に美味しくないというだけではないのでしょう.
縄文人は何かうまいこと料理して食べたりしなかったのかなあ~とか考えてしまいます.
少なくとも味見はしたことがあるでしょうね.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.

1日

8月の写真整理中です.
根本海岸で7/3発見のシロチドリ巣の囲いの様子ですが,人の侵入が防げていることが足跡で分かります.
普通に考えると生物保護中と看板に書いていて避けてもらえるのは,あたりまえのことと思うと思いますが,あたりまえに入ってくる人もいるので...
この時,既に卵は孵化していて雛が周辺を親子で歩き回って暮らしてる段階でした. 当初,卵が孵化したら囲いを撤去する予定でしたが,雛と親鳥は巣の周辺を安全地帯と感じている様子だったため,人と重機の侵入を防ぐ逃げ場としてキャンプ場運営期間中は囲いを残しました.
写真は前日8/14,中央に雛.

1日

8/21の平砂浦漂着カメの写真が出てきたので,ご参考に貼っておきます.
自転車はスケール代わりです.
海岸で遠目にこんな形状のものがあったらウミガメかもしれないのでご確認後に発見報告お願いいたします.
この場合は仰向けになっている,かなり大きな個体です.


写真:上空を警戒するシロチドリ幼鳥.
幼い頃に兄弟が上空から飛来した鳥に捕食された経験があったりする個体も多いのでしょう.

2日

8/19平砂浦で見かけた仲良しキアシシギ(左)とオバシギ(右).
オバシギはあまり見ないので.
幼羽ですね?
素敵な色柄.

4日

この夏,結構長い間この港の周辺に留まっていたウミネコ.
ケガをしている様子もなく,周辺で餌を探しながらこの位置でよく寛いでいて,ここの漁師さんも不思議がっていて,まるで漁船の見張りを自分の役割だと思ってるかのようでした.
8/23の写真です.

5日

産まれて4日のシロチドリの雛ですが,自分より随分大きなキアシシギやメダイチドリに混ざって採餌したり,餌探しに夢中になっていたら大波が寄せてビックリしたり既に様々な経験を積んでいました.
親鳥はそういう姿を適度な距離から見守っていて,すぐに訪れる親離れを意識しているかのようでした.
8/3根本海岸の写真です.
巣を作ってその中で親の運んでくる餌を食べながら育つ一般的な雛のイメージとはかけ離れた幼少期を過ごす鳥です.
こんな子たちが過ごしているのが夏の南房総の海岸なので,どうぞ気を付けてあげてください.
手前に写っているトラロープは巣(地面に産んだ卵)を保護するための囲いですが,孵化後も雛の避難場所として保護していたものです.
自分が産まれた巣のあった場所は親鳥も熟知している場所ですし,雛にとっても安心な場所のようです.
7日のぶら下げ
「今日はメダイチドリさん来ないのかな~」
と思ってそうな?孵化して11日のシロチドリ雛(写真右上).
この子の巣は写真右下のもう少し右側辺りの植生の合間にありました.


写真:海に流れ込む小川で水浴び中のシロチドリの幼鳥とその様子を見に来たメダイチドリ2羽.
このあとメダイチドリたちに追いやられます.
単独では不安だし,しかし身体の大きなメダイチドリたちの群れには仲間に入れてもらえないしという可哀そうな状態で越冬に入ろうとしています.
シロチドリの群れが来てくれればきっと仲間に入れてもらえるのでしょう.


写真:意地悪をされても仲良くしたい様子のシロチドリ幼鳥(左)と草に隠れているメダイチドリたち.
メダイチドリの様子には群れる習性が強い者に特有の習性を感じます.


写真:メダイチドリの群れと微妙な距離感で過ごしているシロチドリ幼鳥は群れが危険を感じて(この時は海岸に沿って人が歩いてきた)一斉に飛び立つ時に慌ててついて行く時があります.
しかし体も小さく,生まれて数カ月で飛翔経験も少ないシロチドリ幼鳥は到底ついて行けません.
写真の中ではクレジットの左上に白く小さなその姿が見えます.
それでも危険な中に単独で残るよりは良いと感じるのだと思いますがハヤブサの餌食になってしまわないか心配です.
しかし,うまく育てばシロチドリの中にあってはメダイチドリについて行く事で鍛え上げた筋力が優位に働いたりするかな?と思ったり.

8日

毎日のように朝から暑かったこの夏,このシロチドリの雛は巣を保護する為に設置した看板を低い位置から照り付ける日差しを避けるために上手に使っていました.
写真はしばらくそこでボーっとしてたところ.
それにしても今日はやっと涼しくなりましたね.
8/13の写真です.
生物を保護してるので立ち入り禁止と書いてあるのに突破するシロチドリ雛??
「わたしがその保護されてる生物なのですよ」とのこと.
この親子の様子も,同海岸で同時繁殖中だった別の親子同様,巣のあった場所を避難(休息)エリアとしていました.やはり孵化後も巣の周囲の一定の区域保護は人の出入りの多い海岸では雛の養育期に有効と考えます.

9日

8月台風で寄せたゴミ.
シロチドリの母親が何か言いたげです.
「人間が捨てたゴミは片付けてね」
「このゴミの奥にわたしの雛が隠れてるから近づかないで」
この場面での優先順位は雛ですのでゴミ拾いは次の機会に.
海岸の生きものの状況をよく観察してからビーチクリーンできるとベターですよね.

11日

先日のカヤックツアー.
やっと秋らしくなって涼しくなって幸せに漕げる本当のシーカヤック日和が増えてきました.
シーカヤックがそもそも北極圏先住民の乗り物だったことを考えると,そしてその構造を見て乗って体感してみると,なるほどこれは涼しい気候で使う舟なんだなあと知って頂けます.
ツアーでは写真を撮って参加者の方に送付共有させていただいております.また参加者の方に許可いただけた写真のみネット掲載しております.


写真:シーカヤックには最高の季節です.
写真は穏やかな日の館山湾.

11日

庭の枯葉を片付けずにそのままにして生物多様性を保つという記事。
庭→海岸
枯葉→海藻など漂着有機物
無脊椎動物→海岸性無脊椎動物
芝刈り機→重機
節約される時間→節約される税金
と置き換えるとほぼ海岸に置き換えられる内容でした。 地中に巣を作る蜂,植物の扱いについてはそのまま海岸も同じですし.
庭という最も掃除される頻度が高い場所についてこういう考えが出て来ていると分かって,海岸の掃除についての生物への配慮はこれから先の時代には思ったよりも当たり前な話として広げていける可能性を感じました.

14日

カヤック日記更新致しました.
Bloggerにも掲載してあります.
写真:台風の高波が寄せる潮間帯で採餌中のシロチドリの雛(写真中央),時折一発大波が来るので心配していましたが,雛はとても素早く波から逃げます.
手前に写っている沢山の棒とロープはこの雛が卵だった時に巣があった場所の周囲を保護するためのものでしたが,雛の避難場所を含めた活動範囲の中央であったため雛が育つ間,囲いを残しておきました.

15日

10月の真ん中となりましたが,暑いですね...
海辺の水浴び場も大人気でした.
種はハクセキレイとメダイチドリ.
野の者は自然の変化に合わせて生きることに慣れてますね.
人間も出来るだけ野に出て自然の変化を感じ取るようにすることが適応する為に大事な感じがしました.


写真:幻日に向かって飛んで行くトビ.

15日

この時期にこのサイズのグンバイヒルガオが根本海岸で見つかりました.
しかも水辺まで100mほどの海岸奥.

22日

9/1に投稿してあった白い花のハマゴウですが,見つけたのは2009年7月29日でした.
古いノートを別件で開いていて記録が出てきたのでメモがてら.
2018年には重機で群落周辺が平されてしまい消滅の危機がありましたが、なんとか復活しました.

22日

20年くらい前の写真のCDROMを見ていたのですが,中でも特に様子の変わっていた館山湾の某浜.
フィルムの2003年5月21日写真と海側からのは同9月.
ここの今の状況を知っている人は漁船の密度に驚くと思います.
あの頃まだ珍種だったシーカヤッカーに助言を下さり仲良くして下さった漁師さん達に感謝.

26日

2017年21号台風で崩れた砂丘の写真が出てきました.
今見てもゾッとします.
元々は緩やかな砂丘で撮影位置辺りまでに緩やかに傾斜していました.
この大型台風が神奈川に上陸したのは10月でしたし「今年はもう台風は来ないな」とか思ってたらフェイント掛けられそうなので気を引き締めなおしました.

27日

根本海岸のグンバイヒルガオをちらと見てきましたが,まだ元気でした.


写真:越冬にやって来たシロチドリの群れ.
海岸のこのような目立たない場所で静かに休んでいることが多いので特にビーチコーマーの方は漂着物のラインより上に入らずに同じ場所に長い時間帯罪などもできるだけ避けてご注意お願いいたします.
希少種となっている浜の鳥の貴重な休息場所がそこここに存在しています.
この写真の中には少なくとも15羽(シロチドリ13,ミユビシギ2)が休んでいますが実際にもかなり見つけることが難しいものです.

10月のXからの引用は以上です.

カヤック日記で引用する為に改めてその月のXの投稿を見てみると,投稿が少ない日,多い日,少ない月などあって自分では意識していなかった自分の状況が見返せて面白いなと思ったりしました.
10月の投稿はとても少なかったのですが,ちょうど論文を書いていてパソコンに向かえば,それに関する作業ばかりとなっていっためでした.
それで昔の写真資料を引っ張り出す機会が多かったため,昔の写真を投稿していたりもしています.
今回は植物の件をまとめていたのですが,過去20年余りの記録が必要だった為2000年代初頭辺りまで写真を遡って確認したりしていました.
それにしても外付けハードディスクは寿命があるはずですが,意外としっかり働いてくれて助かります.
最初に買った型のものは電源コードがその後使い続けているものとタイプが違い,しかも長い間使っていなかったためにどこかに行ってしまい(たしか断線して捨ててしまった記憶),写真が取り出せずにコードだけ購入してやっとデータが開けたりという状況もありました.

しかし昔の写真というのはやはり大切だなあと改めて感じました.
覚えている事なんてほんの少しですし,論文にするなどの場合には証拠ともなる記録ですので失くせません.
クラウドに上げておくという方法はまだ信用できずにいて,過去の記録はほとんど機器の中にしまってあるため大地震に大津波でも来れば過去四半世紀の記録が無くなってしまいます.
その時は自分自身が無くなってしまうかもしれないのですし,それでもいいかと感じなくもありませんが,記録は自分の為だけのものではないという事が最近強く感じられていて,論文なんて大変なものを書くのに時間と体力を費やす必要を感じたのもそのためです.
先月の日記でも少し書いたのでこれくらいにしますが,上手くいけば今回の某植物に関する南房総での記録を皆さんに知って頂けるようになりますので,その時は告知致します.
それにしても査読をする人は大変だと改めて感じました.
特に私のようなほぼほぼ素人の原稿では.感謝いたします.


写真:10/15発芽して間もないグンバイヒルガオを根本海岸の後浜内で発見しました.(写真は10/31の状態)
海岸から100メートルほど内陸側のキャンプシーズン中であればキャンパーが沢山いてクルマも行き来する位置でした.
こんな位置に種子が残されるような高潮は今までありませんから,漂着後に風で運ばれたか,キャンプ場の状況を考えると重機による整備の際に砂と共に運ばれたか,自動車のタイヤに挟まってなどなど,人の行動が関係していそうな事例でした.
高潮を浴びることもなく育つのに好適な環境かと思いましたが,実際には数日吹き荒れた風で砂が大量に移動したために消失してしまいました.
漂着種子が大きな群落を形成する事の難しさを改めて観ました.


写真:グンバイヒルガオの花も無事咲きました.
上の写真の例からも海岸性の植物がどこかの海岸からタネが流されて来て辿り着き芽を出して,花を咲かせるまで育つという事がそんなに簡単なことではない事は想像できると思います.
せっかく生きる場所を見つけた彼らが無事に生き続けられる環境が南房総にはまだ残っているという事の素晴らしさを南房総に関わる人々がもっと認識する必要を感じます.


写真:海浜植物は潮風や砂の堆積などには比較的強いのですが,踏みしめには強いとは言えないようです.
そもそも砂浜海岸にそのような大きな生き物が頻繁にやって来るという環境はあまり無いことからの不適応だと思います.
その中でヒトは砂浜海岸に暮らす生き物にとって,極地的に季節限定的に非常な高密度で現れる珍しい種として非常に危険な種となっているようです.(そのうえ乗り物までやって来ます)
ですので,海浜植物の観察には踏みしめについてとても気を使っています.
写真はグンバイヒルガオの花を記録しようとして,しかし本種を踏まないようにと無理な姿勢で撮影中な私の脚とグンバイヒルガオ.


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 2024年9月の出来事



写真:この写真,クマバチがハマゴウの花を抱え込んで蜜を吸っていて「なんだか可愛い動作だな~」と眺めていたですが,吻がおかしなところに入り込んでいることに気づき気になって調べたら,これが盗蜜というのをしてるところだと分かりました.
植物が苦労して創り出した蜜をタダで生き物に与えるのは,花粉を運んでもらうためのエサなわけで,実は「タダ」ではないというわけなのですが,このように花の中に頭を入れずに蜜を吸い出されると,植物はタダ働きになってしまうという事からこういう生物の行動を盗蜜というのだそうです.
しかし花粉を運ばないからって泥棒扱いは可愛そうな感じですね.
花粉が付かないようにして蜜を吸いたいという生き物側の目的は花粉の拡散を邪魔したいわけではないはずですが,だとすると何なのか興味が湧きましたが,まだ調べていません.
もしかしたら全然分かってない事のひとつかも?
これについては11月にXで投稿してありますが,ここでもメモとして残します.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.
写真はいつも通りこの月に撮影したものを文面の流れとあまり関係なく貼ってあり,それぞれ説明を入れてあります.
今月もシギ.チドリといった浜の鳥の写真が多いです.

1日

今年も6月からのウミガメ産卵調査を8月で終了しました.
なんと今シーズン1か所も巣が見つからないばかりか上陸痕跡も無かったという記録的なシーズンとなってしまいました.
ただ,根本海岸以外は自分の身体の不調問題で通えなかった時期がかなりあり,例年の記録と同等の扱いはできないので,そこが悔やまれます.
根本海岸でイルカを探していて,ある日カメの足跡に気づいて調査を始め,そしたら間もなくイルカがいなくなって,カメを調べていてチドリの繁殖に気づいて,チドリに力を入れ始めたら今度はカメが来なくなって...という不思議な流れに乗っかってこれからはチドリの合間にカメ調査という時期に入ったかなと思ってます.
当日の投稿

1日

南房総市太平洋岸某所のシロバナハマゴウは今年も花を確認できました.
普通の紫の花の群落と接しているので咲いている時に確認しておかないと存続が確かめられないのです.
今年の南房総のハマゴウは一気に沢山開花というタイミングが無かった印象でした.
当日の投稿

1日

8/27投稿の海藻大量漂着の ポスト に沢山の反応いただき,ありがとうございます!
「1200リポスト,3600いいね」はうちのXではあまりない数字です.
普段あまり数字には拘らないのですが,沢山の人が興味を持って下さるというのはやはり嬉しいです.
しかも海藻の漂着とハマダンゴムシの活躍という地味なネタでしたので尚更でした.
海の小さな生き物と海からやって来るものの関係を少し知って頂けたのかなあと思いました.
磯と比べてあまり生き物の気配が感じられず不毛な世界と勘違いされがちな砂浜の生物に興味を持って頂けると嬉しいです.
X掲載の写真はあまり鮮明でなく分かりにくいですが,どうやらハマダンゴムシを食べている様子のシロチドリの幼鳥です.
当日の投稿

1日

8/11に発見したグンバイヒルガオは台風7号の高潮ですっかり消失してしまいました.
どこまで大きくなるか多少期待していましたが,これほど早くなくなってしまうとは残念です.
台風7号経路(ウェザーニュース)
当日の投稿


写真:ミユビシギ.
この鳥が浜の最速ランナー?
あの走るのが早いシロチドリより早いようです.
ただし短距離走専門かも.


写真:ミユビシギは大抵群れで餌を探しています.
渡りの時も単独行動は無いのかも.
南房総ではオーストラリアの繁殖地で付けられた足環(フラグ)のある個体も時々見つかります.
長旅でおなかペコペコの彼らが頼る餌は波打ち際にいる小さな生物.
その小さな生物の餌になるのが漂着有機物なので漂着物があるとそこを目指して彼らは集まって来るようです.
漂着物を海岸に残してあげることがとても大切です.


写真:群れで採餌中のミユビシギの中になんだか周辺の個体に怒ってばかりいた個体(左上).
そんなことやってる間に足元の餌を探した方が良いような気もしますが...
こういう野生動物の精神状態に人の生活で自然界に放たれてしまった化学物質が影響していなければ良いのですが.

3日

先月のカヤック日記でもアップした根本のシロチドリの親子(7/3発見巣)のほぼ1か月後の親子の様子です.
ヨチヨチがあっという間にサクサクに.
写真1:8/1
写真2:8/29(左奥が子)
産まれた次の日には巣の周辺で自分で餌を探し,孵化して1か月足らずで親と変わらずに行動し早ければ親から離れて行動を始めるという逞しさは日々観察してみると本当に凄いことだと感じます.
当日の投稿

3日

「ウミガメ保護にロボット活用へ 産卵期の上陸、カメラで確認」という記事がありました.
金銭的コストとその他生物への負担を考えると自転車を使って調べるのが良いと思います.
私自身,自転車で四半世紀近くやってきました.
記事写真のような広い砂浜は慣れればMTB等で十分走れるので消耗はかなり減りますし,少なくとも復路は歩かなくて済むので是非試してほしいです.
当方の例の写真をはXに上げてあります.
南房総は走れない砂浜が多いので復路の為の利用が主体となっています.
走る位置は必然的に硬く絞まった潮間帯になり,それより上を行く時は結局砂に埋もれて漕げず自転車を押すので,深い轍は出来ず海に帰る子ガメも,その他の生物もほぼ困らないと検証済みであります.
Xの写真で走れているのもほんの束の間で川を渡るための一時.
もうひとつ付け加えると,ロボットじゃなくアスリートが自然を観る眼を身に付ければ砂地を歩くトレーニングをしながら環境を支える基盤情報を収集する役目を果たせることになります.
それ自体が競技化する未来もありそうかな?
フィールド調査は体力勝負が多いので体力あるアスリートはあらゆる調査研究で必要な人材と考えられます.
私の場合,ライフセービングを海辺でよく見ているので,アスリートの身体能力が世の中に役立つという図式は思い浮かびやすいのかもしれません.
ライフセービングは救助を単純化して競技種目としてますよね.
ウミガメ調査を競技化した自転車競技とか面白そうかも.
ただし環境に害のある動作をした場合にペナルティとか.
「ウミガメ保護にロボット活用へ 産卵期の上陸、カメラで確認」毎日新聞2024/8/30 07:45(最終更新 8/30 07:45)
当日の投稿

4日

「秋山先生と一宮町の自然」
私の師匠、秋山章男先生の作品が見られる機会です。
海と海の生物を長年研究していた先生が晩年に誰もが直感的にそれを理解できるようにとアートでそれを表現してきました。
その作品たちが展示されています。
是非足をお運び下さい!
「秋山先生と一宮町の自然」一宮町ホームページ内PDF
当日の投稿

4日

今日は夏の間ウミガメ調査で行動範囲が外房に偏っていた為にしばらく行けなかった内房の海岸の継続観察対象をチェックしてきました.
人出の多い海水浴シーズンと台風を乗り越えて皆さん(主に植物です)無事でした.
ハマゴウに来ていたクマバチはなかなかうまく撮れず動画で撮ってみたり.
必死な感じがかわいらしかったです. この時撮った写真が最初の写真です.
当日の投稿

4日

房日新聞に宿泊税の記事が載っていましたが,使い道に「自然環境の維持、保全」もあるんですね。
つまり観光による自然への負荷を念頭に置いてると解釈しました。
しかし絶滅危惧種シロチドリ、アカウミガメとその繁殖環境を維持保全するのに二の足を踏んでる南房総市なのですが大丈夫でしょうか。
お金さえ入れば自然保護も頑張る?のだと良いのですが.
期待しましょう.
南房総の宿泊税検討委 県税への上乗せに反対相次ぐ 市の100円徴収案には理解(千葉県) 房日新聞9/4(水) 6:32配信
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写真:この9月はソリハシシギが時々見られました.
おそらく1~2個体が白浜町の海岸線にしばらくいたようで,周辺のいくつかの海岸で見られました.
いる場所には普通にいるそうですが,南房総では滅多に観ないので嬉しくて随分撮りましたが,いつも距離があり,手前にミユビシギやトウネンといった群れがいて近づこうにも手前の群れが反応して警戒態勢に入ってしまうので諦めて最初から離れて撮っていました.
単独で動けるソリハシシギは群れる近縁種よりも賢いのでしょうね.
ちなみに千葉県では要保護生物扱いになっています.

5日

今日拾ったロケット?
結構古そうです.
嵐の後の砂浜は古いものが見つかるのも面白いところなのです.
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5日

この記事の渡部さんは6月のパタゴニアサーフ千葉で行った「海岸生物に配慮した次世代ビーチクリーンの可能性」を聴きに来て下さった方で、鴨川の江見で伊勢エビ漁をしながらサーファーとして活躍されている方です.
6月のイベントで初めてお会いしたのですが,伊勢海老の生息状況と海岸の状態との関係を知りたいと思って聴きに来て下さったと仰ってました。
自然にとても興味のある素敵な方でしたので、これを読んで納得でした。
是非読んでみてください.
「凪と大波の間で」村岡 俊也 パタゴニアホームページ2024年9月3日
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6日

先日、白浜町でやったスライドショーが房日新聞で紹介されてました。
文中の子ガメの件は少し言葉が省かれてしまってますが。
南房総の海辺の生き物の存在が忘れられたままになってしまうのはいろいろとマズいと思い、最近こういう活動を活発化させています。
「白浜地区の住民ら20人が地元海岸の生き物学ぶ」房日新聞2024年09月05日 03時00分
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8日

今朝のミユビシギ.
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10日

海岸で何かを追いかけていたチョウゲンボウ.
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10日

7月の写真を整理中.
根本海岸のシロチドリはこの夏も本当に大変でした.
海岸での重機作業が始まって1週間ほどの頃のシロチドリの表情に疲れとか戸惑いとかそんなものを感じるのは自分だけでしょうか.
来年こそは少しでも良くしなければと思います.
9/10現在,根本海岸には幼鳥がまだいます.
最後の写真のちょうど中央辺りに抱卵中のシロチドリの巣があり,よく見ると保護用の囲いの目印の棒が見えます.
左奥の砂丘上は1週間で形を変えました.
その場所もシロチドリ,コチドリが営巣する場所のひとつです.
来年は南房総市には少しだけでも絶滅危惧種保護に対応する方向になってほしいと思います.
その前日7/3に見つかった巣で抱卵中の親鳥の写真もアップしました.
可愛く貴重なシロチドリ達,是非Xにアップした写真も見てみてください.
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写真:キョウジョシギの幼鳥が3羽と成鳥が1羽でずっと一緒に海藻の中で餌を探していました.
これを即,親子と断定できないものの,成鳥が警戒をしながら見守りつつそばにいて餌を探す姿はいかにも親子でした.
ただそれでも親子なのかは確かめられませんが.
海藻の中で夢中になって餌を探している姿勢だと結構大きめの鳥なのに全く見えません.
そして特に幼鳥は見つかりにくい色合いで,比較すると成鳥は少し赤みがあって目立つ部分があり,天敵が現れた時に親鳥の方に気を惹く仕組みなのかな?と感じられます.

14日

貴重な本を譲っていただきました.
カバー付きの「房総の捕鯨」,「Ecology of Sandy Shores」は日本語版を持ってますが英語での表記を見たかった,「SEA BIRDS」は1978年の本で絵が素敵.
そして秋山章男先生の著書「干潟の生物ハンドブック」は持っていなかったのでとても嬉しい.
古い本が好きです.
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15日

7月25日に見たこの鳥はトウネンなのか?なんだか違和感があって,しかしまだ調べがついてませんでした.
何故かシロチドリのオスがずっと寄り添っていたのが面白かった「なんだなんだ君は誰だ???」って感じでしょうか?
ヒバリシギかも?
→フォロワーで鳥屋(鳥の専門の方)@kawaberi_umibeさんから コメント いただきましたので引用させていただきます.
「ヒバリシギは脚が黄色で少し長め、頭部から胸にかけて赤褐色味がありません。シロチドリと比べて一回り小さく、頭部から胸にかけて赤褐色で、脚が黒色であることから、トウネンの成鳥夏羽だと思います。」
とのこと,スッキリしました!シギはやっぱり難しいですね!だから楽しい!
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16日

この夏はあまり見なかったですが,海風が山に当たって雲が出来ていく風景.
写真は7月.根本海岸の夏の風物詩です.
動画でもアップしてあります.
風の音がうるさいので音量にご注意ください.
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17日

あの台風での大量の海藻漂着からちょうど1カ月経った9月17日の様子.
砂の中から飛び出している細長いものは海藻(カジメ)の茎が見えていて砂の中ではまだ分解が進行中です.
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17日

今日のミユビシギの群れとシロチドリ幼鳥.
ミユビシギは口を開けている個体が多く,シロチドリは脚を水に浸けている時間が長く,どちらも暑そうでした.
このいつまでも暑い感じ,昔に小笠原で冬を越した時を思い出しました.
彼らはその年の気温に応じて柔軟に越冬地を変えたりしないのでしょうか?
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19日

スナガニをダッシュして捕まえたシロチドリ幼鳥.
なんだか嬉しそうでした.
もう親鳥もいない状態で単独で過ごしてますが,産まれてまだほんの3か月ほどでこんなに自立してるって考えてみたら凄いなあと思います.
当日の投稿


写真:直前までミユビシギ,キョウジョシギ,トウネンと一緒に漂着海藻の中で餌を探していたシロチドリの幼鳥ですが,なかなか上手く餌が見つけられない様子でした.
そのあと群れから離れて潮間帯に行ったこの個体はスナガニの小さいのが走っているのに目を付けてそれほどかからないで捕食しました.
なんだか嬉しそう.
育った環境に海藻の溜まり場が無かった個体かもしれず,ほんの数か月の経験では他の種類の鳥たちの真似をして餌生物の幅,探し方の幅を広げるのはなかなか大変なのかもしれないと感じました.


写真:シロチドリ幼鳥が2羽(左上と右上)とシロチドリのメス成鳥の3羽が写っています.
おそらく右上の子としたのメスが親子で左上の子は親離れして動いていた個体で兄弟ではないと考えています.
足環があるわけではないので確実ではないですが,繰り返し観察していた中での判断では.そして親から離れて暮らし始めていた子はなかなか活発で同時にかなりケンカっ早いのです.
それでこの親子連れの子がいるとなんだか追いかけまわして追い払おうとするのですが,この親子のいる場所に来なければ良さそうなものだけど,なにか気になるという感じなのでしょうか?
母鳥はその様子を「困ったなあ~」と近くで見ながらも加勢はしないという感じで見守り姿勢.
個体が確実に見分けられればもっと様々なシロチドリの生態が分かりそうですが,しかしそのために怖い思いをさせて捕獲して,それでこの場所を嫌いになってしまったりしたら元も子もないのですし,生前に育ってもらう事が何よりも大切と考えています.
分かる範囲で出来るだけいろいろと観察記録を残していきたいと思います.


写真:上の写真の幼鳥の様子.
面白いのは怒りっぽい子と追っかけられる子の表情というか顔立ちが結構違うように見えるところ.
一瞬の表情のようなものも感じられますし,そもそも怒りっぽい子はそういう顔をしていると感じられます.
そんなバカな...と思われるかもしれないですが.しかしペットになるような生物で言えば猫なんかは明らかに顔つきが個体毎に違いますし,その時の気持ちも顔に出ますよね.
昔インコを長年飼っていましたが,彼らもかなり表情が感じられると思います.
だから野生ならむしろ様々な激しく厳しい中で生きていく事で強くそれが出ていて不思議ではないと思います.
野良猫のそれのような.


写真:その怒りっぽい子と思われる幼鳥が単独でいるところ.
首の後ろの毛が逆立っている事が多いのが珍しかったですが,しょっちゅう怒って頭を下げて突進を繰り返していたからなのかなあ?と思ったりしましたが,この写真で見ると首の後ろにケガの跡があるようにも見えます.
いろいろと経験があって個性が出来てくるのでしょうね.

20日

カヤック日記更新致しました.
2024年7月のカヤック日記です.
http://6dorsals.com/column/column.htm
Bloggerにも掲載してあります.
https://6dorsals.blogspot.com
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
写真:これだけ隠れる場所が充実していれば安心といった様子のシロチドリの雛3羽(右下).
当日の投稿

21日

6月5日に根本海岸で見つかったシロチドリの巣の囲い設置状況とその他の巣の説明を加えた動画を公開しました。
後々の記録としておきたいと思います。

当日の投稿

22日

昨日も大風だったので久しぶりに少し離れた海岸線へ出かけて鳥を探すとシロチドリに逢えました.
幼鳥を含む4羽で風が当たりにくい場所でジッとしていたので邪魔しないように早めに退散.
もっと風の強い台風の時にどういった対処をしているのか知りたいですが,彼らに迷惑なので調べていません.
当日の投稿

23日

砂浜海岸に流れ込む小川で時々頭を潜らせて何かを採餌していたトウネンがつくる波紋がきれいでした.
ただ夢中で餌を探している瞬間なのですが,水面に映る自分を見てるみたいな感じになりました.
当日の投稿

26日

海部陽介さんの記事が載ってましたのでご紹介.
実はこの丸木舟(スギメ)は館山でテストをしながら作成されたんです!
私もテストで幾度か館山湾を漕がせていただきましたが素晴らしい舟でした.
当時の当方ブログにスギメと海部さんはじめ主要メンバーが登場しています.
2018/09進水の時の記事
2018/10館山湾を漕がせていただいた時の記事
2019/02館山湾でカヤックで並走してみた時の記事
「3万年前の日本列島への大航海を当時の材料と道具で徹底再現」知の冒険者たち(6)|海部陽介 東京大学ホームページ 掲載日:2024年9月25日
当日の投稿

26日

館山湾波左間に漂着したウミガメを調査して頂きました。
発見者の方、ご報告下さった方、ELNAの方々に感謝致します。
ELNAの投稿 この時の写真を上げておきました.
発見者のYさま,間を取り次いでくださったいつもご報告いただくIさまも写真載せて大丈夫と言ってくださっていたので載せちゃいます.
調査のご協力ありがとうございました!
カメの状態は波打ち際から引き上げてからELNAが来るまで流されないようにする為の処置です.
引き上げるなどの場合に素手で触らないようご注意ください.
位置は座標で報告しています.
それだと来てもらった時に探さずに済みますので.
最近はスマホでも座標が取れるので報告時にお勧めです.
当日の投稿

28日

kayak誌連載「カヤック乗りの海浜生物記」を終了します.
2008年から,年4回才能の無い自分にはなかなか大変な事でした.
今まで読んでくださっていた方々に感謝申し上げます.
連載終了で出来た時間はこれまでに記録した生物の報告を書く事,シロチドリの調査や,それに関わる活動に費やすつもりです.
こちらからバックナンバー購入できます.
連載過去記事のタイトルは面倒ですが,こちらからご確認ください.
2008年からのタイトル全て載っています.
当方連載はほぼ全て海や海辺の生きものについての話です.
「kayak」amazon kindle
当日の投稿

28日

南房総市,根本海岸の本来の砂を観たければ海岸の西に注ぐ川の更に西側の砂丘辺りをご確認ください.
地元の年配の方の話でも海岸全て貝殻の欠片だったというのが大袈裟でないと分かって頂けると思います.
そのうえで海岸中央部の状態を見て頂くと「壊滅的な状況」なのだと分かって頂けると思います.
写真は8月に撮ったものです.
川の西は海浜植生も十分に残存しています.
ハマグルマ,ケカモノハシ,オニシバなどなど.
写真奥が東方向,海岸中央部です.
当日の投稿


写真:9月5日の根本海岸の東寄りの後浜.
今年はこの辺りの植生運側の位置にシロチドリの巣があって囲いを広くとった事もあり,おかげで植生の広がりを保つことが出来たように思います.
海浜植生は砂浜に特化した生態をしていて海辺の環境に適応している為「強い」というイメージがありますが,それは砂地独特の基質の不安定さや塩害に対してで,元々大型の生物が少ない砂浜海岸では踏み締めに強いものはそんなにありません.
海水浴場で踏んでも踏んでも出てくるような種は少ないので,植生を広げチドリの繁殖地として適した隠れ場所と餌場としての海浜植生群を残すには海岸へのアクセスルートをしっかりとして護るところは護るという風にしていく事が大切です.

9月のXからの引用は以上です.

上記Xの投稿でも触れていますが,16年連載を続けてきたkayak誌の「カヤック乗りの海浜生物記」は前号で終わりとなりました。 この雑誌があるうちは、もしくは向こうから連載終了を告げられるまではと思いながら、これまで書いてきましたが年4回とはいえ、毎回サクサク書けるわけでもなくなかなか大変でした。
それでも毎回8400文字の原稿を書き、それが商業的に販売される媒体で掲載されるという経験は大変貴重なことですし、なかなか得られない機会だと思います。
それも日本で現在唯一となったシーカヤックの雑誌の紙面だという点ではシーカヤックガイドとして、日本のシーカヤックの世界の中でかなり大切な仕事をさせてもらっているという緊張感もありました。
そういう貴重な機会を与えてもらえたことは非常に幸運だったと思います。

最初に2年ほどの連載を依頼されたのは編集長で同業のカヤックガイドである野川さんと一緒に外房を取材がてらで漕いだ時でした。
野川さんは編集もしながら原稿となるツーリングレポートなども書いていて、そのために漕ぐということを続けてきています。
それはとても大変なことでしょうが野川さんでなければできないことでもあると思います。
ツーリングに出るまでは特にそういった話はなく、房総の取材だったので誘われたのだろうなと思っていましたが、野川さんの方は原稿依頼を最初から予定していたのだと思います。
内容はシーカヤックのことやツーリングレポートなど主体の記事群に同じような内容があっても仕方がないので、生き物のことで良ければという感じで受けましたが、野川さんの方もそういう考えだったようです。
海のカヤッカーが接する可能性のある生物やその環境について書くということで、当初依頼されていた最初の2年(お試し期間?)は自分が関わってきたイルカから始め、ウミガメ、ストランディング(海棲生物の漂着)、海鳥、海浜植物などについて書いてみましたが、そのあとに連載の継続を依頼されて、この2年でこれまでのことを詰め込んで出し切ってしまっていて、そんなにネタが続かないなあと困りましたが、時事的なその時その時自分が興味を持った対照を改めて調べながら実際に現場で得た観察などと、それに自分の想像を織り込んでという感じでだんだん自由に(好き勝手に?)書いていくようになっていき、ネタにはあまり困らなくなりました。(悩まないわけではないですが...)
むしろ毎回原稿にするという必要が生じて調べ物が深まるので自分にも良い効果が生まれてきた感じでした。
書いていると課題が見えたり、見えていなかったことに気づいたり、科学の世界では許されないような好き勝手な妄想も子供の想像力レベルでどんどん書いてみるということも「あくまで楽しい想像の範疇という前提で」書くこともできて、いろいろイメージも広がるようになりました。
こういう記事はこの「カヤック日記」でも書いてきたわけですが、やはり自身のホームページで書くのと商業誌で書くのでは先に書いたように緊張感が違いますし、書いていいこと書かない方がよいこともあるという点でも気を使いました。
このカヤック日記では大体何でも書いてますので、そのままの調子で書くわけにはいかないですので。

そんな連載でしたが今回で終わらせてもらえるよう前回の原稿を提出したときに編集長にお願いしました。
それについて返事がなくて困りましたが、改めて打診し了承を得ました。
このような貴重な場をいただいていてこちらから終わりをお願いするのは申し訳なかったのですが、なぜそういうお願いをしたかというと年4回の原稿を書くのに物書きが本業でないうえに優れた能力もない私ですので、多分普通の人が書くよりかなりの時間を費やしていました。
その分の時間でこのカヤック日記の方に割ける時間が減ってしまっていたくらいでした.このブログは生き物の記録でもあるので、実際にはまずその月の写真の整理を行って、その中でブログに残したいものをピックアップしてきました.最近ではTwitter(X)の記事を引用する形をとったりしていますが、実は私自身が過去の主だった記録を引き出すために重要な作業となっています。
kayak誌の原稿を書くことでその時間が大幅に制約されたという経緯がまずあり,そのうえで最近になって必要を感じ始めたのが,これまでの記録の公表の必要性でした。
四半世紀南房総でいろいろと海辺で記録してきたことがこれまでほとんど公表されず、特に重要な,例えばカンムリウミスズメの雛の観察例や,南房総に居ついていたミナミハンドウイルカの記録、毎年のウミガメの産卵、漂着記録の日本ウミガメ協議会への報告など程度で、どんどん記録だけが溜まり、しかしその他の出来事はこのカヤック日記で簡単に触れる程度でした.
ここでもたしかに人に伝えることはできるのですが、このサイトが将来なくなってしまうと同時に記録してきた生き物の存在自体も同時に消えてしまいます。
そう考えるとやはり多少学術的で記録性のある外の媒体で書き残しておかないと未来の人々にまでは共有できないものになってしまうと焦り始めたのです。
そもそもそういった科学の世界で勉強してきた人間ではないですから、そういった発表の仕方に慣れているわけでもなく、これまでもハードルが高く感じていましたが、それでもやっておかないとと思ったものの、そのためにはかなりの時間が必要になるということもわかっていました。


写真:海藻の中で夢中で餌を食べていたトウネンが水浴びを始めました.
面白い事に水浴びを1個体が始めると次々に引き寄せられるようにやって来て他の個体もそこに混じるのです.
水浴びは羽が濡れて飛び立ちにくくなるので単独では怖い用心が必要な作業なのでしょうか?それとも誰かがひとっ風呂浴びてるのを観たら,あ気持ちよさそうだな!と惹き付けられるのでしょうか?
海藻の中には大抵無数のハエがいて,身体に纏わりついて,時には羽の中にも潜り込んで不快なのかもしれません.
ちゃんとした砂浜には大抵小川が流れ込んでいますので,それが彼らにはとても大切な要素のようです.

それでは何を省いて時間を作るのかと考えたときにこの自身の記録媒体であるブログを省く選択はないですし、ツアーを省けば生活にも本来のシーカヤッキングを通して現場で南房総の自然を知ってもらうという大本の活動がなくなってしまいますし、ウミガメの調査を始めとしたフィールドでの調査を省くわけにもいきません。
それで最後にやはりkayak誌を終わらせてもらうしかないと判断したのでした。
つまり単に私自身の能力が雑誌の原稿も、報文もサクサクとあっという間に書けるほどのものだったら良いだけなのですが…。
まあそれはこの長い期間原稿を書かせてもらっていながら大して進歩しないあたり無理な相談なのだと私が一番理解したので、そこは望めそうにありません。
そういったわけで長年「カヤック乗りの海浜生物記」を読んでくださっていた方々に非常に大きな感謝とごめんなさいを伝えたいと思います。
そして出版社のFree Wheel加藤康一さん、毎回校正をしていただいた編集長の野川哲也さんに感謝申し上げます。
そしてもうひとり、連載の半ばでネタに困り始めた頃、一緒に講師参加していた海洋大の授業での休み時間に泣きごとを言っていた私を鼓舞してくださった隣のページで連載をされていた大先輩の内田正洋さんにありがとうございますとここで勝手にお伝えいたします。
皆様これまで本当にありがとうございました。
今後できるだけ高い頻度でこれまでの生物記録を報告していきたいと思います。

ちなみに「カヤック乗りの海浜生物記」の「海浜」は「かいひん」と読んで頂いてる場合が多かったと思います.
編集長もそう呼んでいたようでファイル名などでkaihinとなっていたりしましたが,実は書いてる本人は「うみはま」と読んでいました,というか名付けていました.
しかし別にどっちでも良いので敢えて長年そこに触れずに放って置いていましたが,今度始める「南房総うみはま研究会」は最初から「うみはま」と平仮名としました.
カイヒンよりウミハマの方がなんとなく音が好きという事が第一なのですが,海と浜を両方というイメージを持ってもらう事が関係しているという感じです.
海浜は海に接する浜の事で,海の上の事には関係がない内容という感じになると思いますが,そうではなくて砂丘から水際までと更にその向こうの沖合の水面まで含めた,つまりシーカヤッカーの行動圏としての視点ですが,実際には水中も,砂丘より山側も,別個にして考えること自体無理なのですが,ややその辺りに重点を置いて見てみる会としていきたいと思っています.
当初秋に活動開始を予定していましたが,少しやることが多くなってしまいまだ準備段階です.
南房総の海と浜に陸の人としての居住者,そして遠方からの南房総を愛する人たち含めた人々と一緒に南房総の海辺の実際を勉強しながら知識を深めていくための勉強会を予定しています.
毎回何か題目を準備して,それについて本などから一緒に勉強しながら,それが南房総ではどういう状況になっているのかな?と考えていくという感じをイメージしています.
会員という括りは無く,名簿も会費もなしで毎回自由参加で続けていけるスタイルを考えています.
まずそこから始めて,どういう風に活動を広げていくかは少し考えていますが,まずは不定期勉強会から始めたいと思っています.
またここやSNSで告知したいと思います.
まずそれぞれの知識が深まり現場を見る眼を養う事が結果として南房総の海辺を護ることに繋がると考えています.
どうぞよろしくお願いいたします.


写真:小川でも何か餌が捕れるらしく水に顔を時々突っ込んでは食べていたトウネン.
波紋がきれいでした.


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 2024年8月の出来事


写真:根本海岸の東寄りの海岸で産まれたシロチドリの雛と母鳥.
雛はもう1羽いましたが,ある時いなくなってしまい雄親も先に越冬地へ行ってしまったのか母子2羽で過ごしていましたが,この子は無事飛べるようになるまで育ちました.


写真:上の写真と同じ日の同じシロチドリ親子が写っています.
白く光る2つの点がそれです.
この時は朝日が横から照らしている事と砂地の上にいる状況により背景の暗さで見つけやすかったですが,砂の色合いに似た体色のため砂表面に紛れると見つけにくくなります.
左は母鳥,右が雛.親鳥はスズメより少し大きめくらいのサイズ,雛は産まれてしばらくは手のひらサイズという鳥です.
雛を連れて親子でいる場合は人を素早く避けるので海岸では遠目にしか見ることが出来ず,雛は人や犬,トビ,カラスが急速に接近した場合は漂着物などの物陰か隠れる場所が無い場合は砂地にうずくまってジッと動かなくなり,目の前の地面にいても見つけることが困難になるため,よほど注意しないと踏みつけて殺してしまう可能性があります.
シロチドリ等の地面に産卵し,雛を海岸の広い範囲で養育する種の保護と海水浴場の両立には課題が山積みですが,適度な規制と知識の普及で問題が大きく減っていくはずです.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

7月31日(追記投稿が8月に及んでいるので掲載)

6月に観察していた片脚でケンケンで頑張っていたシロチドリの雛.
もうこの後くらいから見る事が無くなってしまったけど頑張って生きてたなあと改めて写真見て泣けてきました.
移動速度が普通の雛の半分以下です.
この雄親も普通の雛を守る時と違った対応をしていて凄いなあと感心しました.
この子は左脚が無くなっているわけではなく,写真のように上げたまま動かせないといった様子の状態でした.
先天的なものなのか,何か事故でなのかも全く分かりませんが,生き延びるのは難しそうです.
鳥は片脚で普通に過ごすし,短距離ならケンケンで移動する事もあるけれど,雛が軟らかい無い砂の上で片足で跳ね進むというのはとても大変だったようで,少し移動しては座り込んでいました.
当日の投稿


写真:自分の生まれた海岸にやって来る他の種類の鳥たちに混じって波打ち際で餌を探すシロチドリの雛(左).
ここで様々な経験をして育つことも,その後の生涯に重要な役割を果たすのだと想像できます.
また他種も採餌に来る餌の豊富な環境はそういう点でも大切と分かります.
希少となって来た砂浜に暮らすこのような鳥の餌である生物の生息に重要な海藻などの漂着有機物を砂浜に残す事をこれからの時代には重視する必要があります.

2日

私自身がシロチドリを観察,撮影する場合に気を付けている事を書き出してみました.

〇十分な距離 (正しい距離感が難しいがシロチドリが行動を変えない位置か,行動を変えた場合には後退して距離をとるか早めに通過してシロチドリが安心して元の行動になったところから観察)

〇できるだけシロチドリの目線よりも低い位置を保ち,見下ろすような位置で観察しない (シロチドリは自分の目線より高い位置の者には警戒心が強く,低い位置にいる者には警戒心が弱いので,親鳥が不安になりやすい抱卵の様子や雛を観察する場合には写真(X投稿参照)のように潮が退いたところから,シロチドリからはこちらの頭しか見えないようにして観察)

〇親鳥が抱卵を中止し巣から離れたり,観察者の周辺で擬傷行動を行ったら即座にその位置から離れる (親鳥が観察者に接近してくるのは擬傷行動を伴わなくても子を護るために敵の気を惹いている状態=十分な距離が保てていない,もしくは観察者が気づいていない雛や巣が近辺にあり観察者が卵,雛に気づかずに危害を加えてしまう可能性のある危険な状態)

〇巣に雛がいるのが見える状態で親だけが巣を離れ雛が動かない場合は即座に少なくとも数十メートルの距離まで離れる必要 (孵化してまだ時間が経っていない状態で動けない雛がいるか孵化していない卵があるため雛を避難させることが出来ず,親鳥は特に危機的と感じる状態と判断し距離を置く)

〇いずれにしても巣の近くや雛連れの親子がいる場所に長時間滞在しない.長くても5分程度にすることで採餌や親鳥の警戒の負担を最低限にする.

〇雛連れの親子の観察の場合は十分な距離とともにシロチドリが逃げる場所へのルートを確保する為に砂丘潮上の陰か潮間帯で観察を基本にする.

以上は現場を観察し続けて当方で自主的に考え決めた事ですが砂浜や開けた地面の上で営巣する種にはある程度応用できるかなと思います.
よろしければ是非参考にしてください.
ただし観察者が多い場合には新たに考慮するべきことが増えるはずですが,根本海岸等南房総エリアでの観察では観察者が他に滞在しているという状況がほとんどない状況での場合です.
何より危害を加えず,自然な状態の観察を優先すれば対象生物にも害が少ないというのは生物全般で同じかと思います.
当日の投稿


写真:雛が1羽写っています.見えますか?
張り巡らせてある棒とロープは巣(卵)があった場所の周囲を保護し,親鳥の抱卵の妨害が起きないようにする為に当方が設置したものですが,巣があった場所の周辺は雛にとっては自分が卵だった時代からの馴染みの場所として,親鳥も隠れ場所,餌場と十分に状況を知っている大切な場所として雛が育つ間利用されることが分りました.
そのため,巣の保護目的だった囲いは雛が飛べるようになるまで保持する事が必要と判断し,今シーズンは根本海岸の2か所において,そのような処置をしました.

4日

今シーズン,土曜夜19時から根本キャンプ場で行っている「根本海岸に暮らす生き物たち」スライドショーをこの週末も開催しました.
内容はイルカ、ウミガメ、昆虫、甲殻類、漂着生物、海浜植生と30分ほどに詰め込んでいます。
キャンプ宿泊の方だけではなく海水浴場入場の方も観て頂けますので是非お越し下さい.
投稿の写真では大人のお客さんでよく見えないですが,最前列に椅子に座った小学生がギッチリでした!
質問もあって,嬉しかったです!
そして今の子は凄くいろいろ知ってるので驚きました!
テレビだけでなくインターネットで能動的に興味を突き詰めることが出来る時代が作用しているようです.
そんな中,あえて現場で紙芝居的にアナログ感のある情報伝達をして彼らの世界の広がりを期待しています.
今回最も伝えたかった浜の鳥,チドリの営巣については多めにお伝えしています!
スナハマハエトリが浜のハエを食べてる大写しは大抵誰かが「タランチュラ!」って言うのが楽しみです!
当日の投稿

5日

今日は平砂浦海岸の調査でした.
大元はウミガメの産卵調査として20年ほど前に始めた事ですが,海浜植生からチドリ,漂着もの,その他いろいろ(なんでも?)な調査となっております.
自転車を活用して大潮時に行います.
この日,シロチドリの雛を確認し,6月に発芽したグンバイヒルガオが成長している事も確認できました.
そして19日には5日に見たのとほぼ同じ場所でシロチドリの親子がいて,多分同じ家族と思いますが,雛が飛びました!
こういうのが嬉しいですね.
しかし今年の夏は身体に不具合が出て平砂浦と千倉方面の20年ほど続けてきた調査のやり方を貫けませんでした.
寄る年には...という言葉が浮かびますが,その時その時,出来る事は生涯続けていくつもりです!
当日の投稿

5日

雑誌kayakVol.85発売しました。
季刊誌ですので、何気に20年以上続いてる、しかし本屋には置いてないシーカヤック専門誌です。
シックスドーサルズ藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は67回であっという間の15年以上続いてますが、いつも気の向くまま好きな生き物のこと書かせてもらってます。
今回の内容は「海の生き物の声をヒトに伝えるのがカヤッカーやその他の海のアクティビティを行う者の役目では?」というものです。
是非読んでみて下さい。
amazon kindleでも読めます!
当日の投稿


写真:根本海岸の巣の保護囲いについての看板の日陰を時々利用していた賢いシロチドリの雛.
生まれて間もない雛がなんでこんなに生活力があるのか不思議なくらいシロチドリ,コチドリの雛は成長が早いです.
巣の中で兄弟を押し退けながらいつまでも親鳥に餌をねだっている鳥と比べると狭い巣の中に長くいる事が幼児期の成鳥を遅くする面があると感じられ,考えてみると人間の成鳥にも言えることかもしれないと感じたりします.
昔の人が良く言っていた「かわいい子には旅をさせろ」は現代でこそ大切なことかもしれません.

6日

根本海岸で7/8発見のシロチドリ巣の雛は7/29に3羽が孵化していますが,既に最後の1羽になってしまいました.
海岸で親鳥と一緒に掌サイズの雛が親の給餌なしで自ら餌を探しますが,これを見ると彼らにとって漂着物が重要な餌場という事が分かっていただけると思います.
なんとか生き延びてほしいと毎日思いながら観察していました.
Xでアップした動画は少し再生速度を落としてあります.
実際は凄く早い動きなのです.
追加投稿での写真の方は雛が中央辺りに小さく写っています.
親鳥と雛が怖がらずに出来るだけ自然な行動を観察できるように砂丘頂上の植生の陰から撮影しています.
動画もこの位置から撮影したものです.
親鳥は写真右上で雛の様子を見ながら周囲も警戒しつつ自身も採餌中でした.
親鳥は100mくらい離れたところの人や犬,カラス,トビにも敏感に反応します.
当日の投稿

7日

この日の朝には前日の投稿のまさにこの場所で大型犬複数をノーリーシュで遊ばせている家族がいて,雛はどうなったかと心配でしたが植生群の中に隠れていたようで無事生きていました.
ただ生きていれば良いという訳でもなく,猛暑が続く中,涼しく人が少ない雛にとって重要な朝の採餌時間を奪われてしまった事になります.
犬の係留義務というのが 「千葉県動物の愛護及び管理に関する条例」にありますね.
当日の投稿

8日

久々にハヤブサに遭遇.
当日の投稿


写真:7/3に発見した巣の囲いの海側で餌を探していたシロチドリ雛(中央).
あまりに波に無頓着で,まだ飛んで逃げることが出来ないのですから台風の大波が寄せる時期は一発大波が寄せたら逃げ切れないのではないかと見ていて心配でした.
しかし実際には非常に素早く走るため波に浚われるということは起きませんでした.
それでも多分,稀には起き得る事と感じます.
更には大雨で増水した河口部で流されるという場合もあり得ます.
実際に川を渡ろうとした雛が水面に浮いて流されていく様子を観察した事があります.
この時は海に到達する前に浅瀬で立ち上がり助かりましたが,少なくとも雛は足が届かない場所でまるで水鳥のようにきれいに浮き立ちながら水面で浮いていられるという事が分かりました.
つまりそれは,もしも浮いてしまっても即座に死なない為の仕組みなので,水に流されるケースがあっての適応と言えそうです.

8日

根本海岸から台風の雲が見えました.
小笠原の近くに立っている雲なのであそこまで900㎞くらい.
海は見晴らしがよいですね.
これについての真偽は定かではないかもしれませんが,衛星画像上で観察位置から台風までに雲らしい雲が見えない中で,台風の方角に見える巨大な雲となると,やはりまさかレベルの視界が空気の澄んだ南房総南方海上にはあるのかもと考えています.
その他にもいろいろと条件があるわけですが,見えないと言い切ることもできないようです.
少なくとも100㎞先の高さ4㎞弱の富士山がすぐそこにあるかのように見える南房総ですので,きっと.
当日の投稿

9日

今朝も根本の東端,西端それぞれのシロチドリ親子は元気でした.
♀親のみでそれぞれ1羽の雛を世話しています.
同じ海岸で同日に孵化したのですけれど,東と西で漂着物の量の違いがあり,食べ物も多少違いそうです.
漂着物が少ない西端の雛はオカヒジキ内でよく採餌しています.
どんな食べられそうなものがあるのかを見てみようと,あとで行ってみるとアリが多数オカヒジキにいました.
雛の餌興味深いです.
ここの巣の囲いも東にある7/3巣同様に親子の避難場所としてそのままにしてあります.
当日の投稿


写真:巣があった場所(落ちている枝の辺り)で寛ぐ母鳥と雛.
この巣跡の手前に設置してある棒とロープはは6月に砂丘の植生内に見つかった巣を保護する為に設置したものでしたが,ある時から抱卵が行われなくなり,卵が無くなっていました.
おそらく捕食されたものと思いますが,その後もツガイはその周辺で過ごす事が多く,交尾も確認された事から再度同じような位置で産卵する可能性を考えて囲いを残していたところ,砂丘麓の植生群の外の囲いギリギリの辺りに再度産卵され,そのままの囲いで保護してきたものでした.
親鳥は気に入った場所で繰り返し産卵する事が分かり,恐らくは毎年ある程度同じような好みの位置を使う可能性があります.
個体識別ができていませんので確かな記録としてそれについて残せませんが,今後確認していく必要のある事項です.
また上の写真でも書いたように,孵化後の雛の養育期への産卵エリアの役割もありますので,今後の保護に役立てるよう記録を積み上げます.

10日

今日の根本海岸は台風の高波が寄せています.
そんな中,シロチドリの雛は餌探しに一生懸命でした.
高波が寄せる海側に雛を追い込んでしまわぬようご配慮お願いいたします.
また人間の皆様も波打ち際で一発大波に足を取られぬよう様に十分にご注意ください.
一度浮いたら最後という場合もあります.
Xの投稿では 第三管区海上保安本部ウェブサイト
より画像お借りしました.
釣りに関する注意喚起ですが,釣りに限らず海辺はどこも同じです.
水辺からの距離を十分にとってください.
あと,今の状況では地震~津波への警戒も怠りませんようお願いいたします.
根本海岸は関東大震災の隆起に伴って形成されたばかりの若い砂浜です.
過去には大きめの地震時に液状化も確認しています.
液状化すると脚が埋没し歩けなくなります.
揺れたらすぐに走って海岸道路より山側に行くのが正解です.
当日の投稿

11日

今朝は台風の高潮状況を記録しながら移動していたら新たなグンバイヒルガオを発見しました.
地面に近い位置の葉が食害に遭っていて食主が知りたいと思いました.
バッタの類はあまりいない場所なので多分,ハマダンゴムシでは?と思っています.
冬までにどのくらいまで育つかを記録したいと思います.
あとはミサゴを2羽確認しました.
自分の見ているエリアは夏にはミサゴはそんなにいないので大切な記録となります.
9月1日の追記:このグンバイヒルガオは台風7号の高潮ですっかり消失してしまいました.
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12日

8日以来またほぼ同じ場所でハヤブサに遭遇.
岩場を周り込んだらバッタリ.
暫くこちらの様子を見てましたが低空で逃げていきました.
近くで見るハヤブサは人間からすれば可愛く格好いい.
けど小さな鳥たちから見れば脅威なんでしょう,いつもいるようなハクセキレイとかも周囲にいなくて気配は感じますね.
当日の投稿


写真:ある日,岩を周り込んだところで出くわしたハヤブサ.
シロチドリ,コチドリの雛を狙っているような繁殖地での低空での飛行を見たことがありますが,実際にどれくらい捕食があるのかは確認できていません.
また恐らく雛よりも親鳥が狙われる可能性の方が高いのではないかと考えています.
シロチドリ,コチドリの親鳥は天敵に敢えて目立つように行動し雛や卵を守る行動をするからです.

13日

福井に居着いているイルカが人を噛んだというニュースがまたありました.
人の方の接し方が悪いのでは?と思うけど現場を観てないので何とも言えないのですが,イルカをある程度の期間身近に観察して来たひとりとして言うと「イルカに対してこちらからやった事は倍返しという事になる,良い事も悪い事も」,という風に思います,
ミナミハンドウイルカの生息地で長年行われてきた御蔵島のイルカウォッチング(スイム)のルールも参考になるかと。
ニュージーランドに昔現れて人と仲良くなったイルカのオポの様子がどんなだったかXの投稿に貴重な当時の動画が紹介されているYouTubeを貼っておきました.
実はこの伝説の地,オポノニに昔ですが行ってみた事があります.
素敵な環境に今は静けさが充満している素晴らしい場所で,そこにフレンドリーなイルカが居着いてヒトと仲良くなり,観光客がどっと押し寄せたのだそうです.
そしてオポがその入り江で死んでしまうまでにいろいろなことがあったのです.
私は当時館山でイルカ観察を始めていたので,イルカとヒトの触れ合いの中で起きる様々なことについていろいろと気になったので,現場に行けば何か感じられるかもと思っていたのでした.
イルカの種によっての性質の違い、個体差もありますし,ひとくちに野生のイルカと言ってもヒトとの関係はあまりに難しいです.
今時の日本ではほぼ出逢わないですが,大型の野犬が身近な場所に居着いたからといってすぐに近づかないですよね?ほぼ同じ事と思います.
海でミナミハンドウイルカに遭遇したら2.5mの野犬が泳いでると考えましょう.
「イルカにかまれ20代男性2人けが」福井県美浜町の海水浴場、福井新聞ホームページ8月12日午後 2024年8月13日 午前6時00分
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21日

8月26日(月)に白浜地域づくり協議会「きらり」主催で「白浜の海の生きものたち」というタイトルで講演を行います.
夏休みの企画としてお子様向けに画像主体でお話ししたいと思います.
南房総の海の好きな大人の方のご参加も是非!
親子で是非お気軽にご参加ください.
そして26日当日,無事終了いたしました!
白浜地域づくり協議会「きらり」の皆様,本当にありがとうございました.
南房総の中でも特に自然の豊かな白浜の自然が地元で再認識されることを願っております!
環境勉強会 講演会の開催について 白浜地域づくり協議会「きらり」
当日の投稿

22日

根本のシロチドリ親子.
今朝は7/3発見巣の親子を数日ぶりに再確認できました!凄くホッとしました.
一方,西端に陣取っている7/8発見巣の親子は見当たらず.
高頻度で滞在していた流木の陰に白い羽毛が残っていて捕食シーンを連想させ,周辺には猫らしき足跡が.
無事でいてくれたらと願っています.
当日の投稿


写真:少し大きくなってきて翼がムズムズするのか羽搏く仕草をする雛.
あまりピントが合っていないですが好きな場面なので.
こうなるとどんどん動きが早くなって親鳥は大変そうですし,目立つ上に隠れるにも身体のサイズが大きくなってカラスなどの天敵への警戒の度合いが増し,実際に突然いなくなる(恐らく捕食された)雛も多くなり,お聴く育って売れ良く思う反面心配が増します.
勝手に観察している我々でもそうなので,親鳥の心配はとても強いでしょう.


写真:上の写真と別の海岸の個体ですが.飛べるようになったばかりの頃のシロチドリ.
親鳥の給餌も受けず,危険な砂浜で過ごしながらほんの1カ月ほどで自分で餌を採りながら育つシロチドリの雛の強さを感じ,感激してしまう場面.


写真:この写真の直前に波に驚いて5mほど飛ぶ姿を確認した根本海岸のシロチドリ雛.
ちょっと得意げな表情に見えるのも,こちらの感情移入のため?

25日

2024年6月のカヤック日記更新致しました.
http://6dorsals.com/column/column.htm
Bloggerにも掲載してあります.
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
https://6dorsals.blogspot.com
X掲載の写真は「根本海岸で産卵したシロチドリの親が巣の保護囲いの縁で警戒中.右に写っている投棄建材が気になります.」
当日の投稿

26日

夏季スケジュール(13-18時)が間もなく終了し,通常スケジュール(9-15時)に戻ります.
秋の海は適度な気温で熱中症の心配も少なくなりシーカヤックに最適ですので,是非お試しください.
シーカヤックは水に浸からないのでクラゲに刺される心配が少ないのも良いところです.
当日の投稿

26日

南房総市太平洋岸のシロチドリの子の写真をXでアップしました.
この数日親鳥(母のみ)が見当たらず,子だけで滞在している様子で気になっていました.
今まで見た中で親鳥だけいなくなるという例を見ていないので生態を知るという事ではとても興味深いですが,どうも親がいた時より雛の元気な無いというかボンヤリしているような様子で勝手に心配しています.
当日の投稿

27日

写真は16日に東方沖を通過した台風7号で沢山打ちあがった海藻.
こんなに大量の海藻もハマダンゴムシの食欲と埋没とで10日でここまで減るので放っておいてあげた方が海岸生態系にとってプラスなのです.
人間には臭くて気持ち悪いこれが海岸の生き物にとって大切な海からの贈り物なのです.
写真1:8/17
写真2:8/27
人も肥料にするために拾い集めて海岸で干す人,食用の海藻を拾い集める漁師さん,と使い方を知っていれば人間にももちろん有用です.
しかしそういう人たちはこの20年でずいぶん減ってしまいました.
ハマダンゴムシの食事姿を見てみたい方はこちらです。※人により閲覧注意かもです??

「ハマダンゴムシの摂餌 2022年6月7日 南房総市太平洋岸」6DORSALS KAYAK SERVICES YouTubeチャンネル
今までずっとこういう漂着物を人が排除し続けてきた海岸では分解者が少なくなってしまっている可能性が高いので突然放置するとこうはいかないかと思いますのでご注意下さい。
まずはそういう生き物に食べ物である漂着物を残すよう気遣いながら彼らをを育まないとですね。
29日には餌が沢山いる打ち揚げ海藻を目指してやって来たキョウジョシギ×2と一緒に付いて回りながら餌を食べていたトウネン.
この時期に海藻が沢山打ちあがると立ち寄る主要メンバーの写真を追記.
こういった鳥たちにとって打ち上げ海藻はとっても大切なのです.
当日の投稿


写真:雛がよく日陰を利用しながら天敵から身を隠したり,更に奥の植生への避難経路としていた砂丘下にあった大きな流木.


写真:同じ流木の左端の上で警戒姿勢のシロチドリの親.
こういう何気ないものがシロチドリ親子にとってとても大切な役割をはたしている事が分かる例です.
海岸の様子を急に改変することの害を象徴しています.

8月のXからの引用は以上です.

南房総市市長の手紙へ私の知り合いが出してくださった手紙の回答が現在(2024/10/12)掲載されていますが,市の回答に非常に疑問点が多いこと,誤解を招く記載がある事をここで書いておきたいと思います.
以下は『令和5年度の「市民の声」』https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000020181.htmlより引用し,市の回答の疑問点を下に書きます.

以下引用

根本マリンキャンプ場の絶滅危惧種の保護について
初版公開日:[2024年03月06日]更新日:[2024年3月6日]ID:20181

昨年、インターネットで根本マリンキャンプ場が開かれる海岸は、県が指定している絶滅危惧種のウミガメとシロチドリの繁殖地であることを知りました。毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するため、ウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるそうです。

太平洋に突き出た房総半島の南端は、地理的に海辺に生きるものたちにとって非常に重要な繁殖地となっていると思います。

人間によって絶滅の危機にあるウミガメやシロチドリを今救えるのは南房総市の対応だと思います。

南房総市が誇る豊かな自然を、そしてウミガメやシロチドリと共存する海岸をぜひ未来につなげるご対応をお願いいたします。

回答

根本マリンキャンプ場の管理運営は、市と地元の根本区とで協定を締結し、根本区が指定管理者として行っております。また根本海水浴場は条例に基づき南房総市で安全確保、事故その他の危険発生防止に必要な施策を講じているところです。

毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するためウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるとのことですが、整地する業者は、作業前に整地場所を歩いて、ウミガメやシロチドリの卵やヒナがないか確認してから作業を行い、卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています。また、キャンプ場を管理運営する根本区では、キャンプ場開設期間中にウミガメやシロチドリの卵を発見した時に、同じく地元の野鳥の会に連絡をし、野鳥の会で卵の周りをロープで囲い看板を立てて対応しています。

毎年整地する地表は固いため、ウミガメやシロチドリはそこには産卵せずに、離れた柔らかい砂の近辺に産卵することがほとんどです。

今後も根本マリンキャンプ場は、ウミガメやシロチドリと共存できるよう関係者、団体とで協力し連携をとりながら管理運営してまいります。

なお、千葉県ではアカウミガメ、シロチドリは「A最重要保護生物」に分類され、環境省では、アカウミガメ(絶滅危惧IB類(EN))、シロチドリ(絶滅危惧II類(VU))と公表しています。

この度は、貴重なご意見をありがとうございました。

(問い合わせ先:商工観光部観光プロモーションン課 電話:0470-33-1091)

引用以上


写真:台風の通過で根本海岸に打ちあがった凄い量の海藻の山.
これをゴミと思うか貴重な生物の餌と見るかで価値と意味が大きく変わります.
実際,この漂着海藻は10日ほどでハマダンゴムシをはじめとした小さな生物に食べられながら,潮位の上げ下げで揺さぶられつつ,日差しによる乾燥と分解,波で被せられる砂等により埋没し砂の中で更に分解が進行する形で砂の表面の人への不快度は急速に下がりました.
そして分解が進んだ海藻の中に無数の甲殻類や昆虫が発生する事で様々なシギ,チドリなどの鳥が集まって採餌を行うことが出来ます.
この浜で繁殖をするチドリをはじめとして長距離の渡りの途中であるシギもある程度の日数ここに滞在し渡りの体力を養っていました.

以下は疑問点です.

「毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するためウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるとのことですが、整地する業者は、作業前に整地場所を歩いて、ウミガメやシロチドリの卵やヒナがないか確認してから作業を行い、卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています。」

→ 今年も毎日通い,今年の整地期間中は特に立入に制限をされたので,作業が始まる前の朝のうちに現場入りしていましたが,作業前に整地場所を歩いて確認しているところは確認していないのは不思議です.また卵が産んであると当方が確認したうえで保全する為に設置した囲いの中を歩いているということがある段階で分かりました.「歩いて」「確認」しているのは既に卵が産んである保護囲い内の事で,新しく産卵していないかの確認を行っているという意味ではないという事になりますが,文面はそういう意味にもとれるように書いたようにも読めます.既に産卵してある囲い内を歩く事で抱卵を妨害し,卵の位置も生態も分からずに卵を踏んで破損する可能性も高い状態があるという事になります.シロチドリ,コチドリの卵は状態に寄りますが,ほぼ砂に埋もれるように親鳥がしている日もあり,そういう場合にはよほど慣れていなければ見つけるのが困難です.市が希少生物である同種について調査経験のない業者に保護を任せる姿勢は疑問です.絶滅危惧種の巣があると分かっていながら巣の近辺を歩き卵を破損すれば鳥獣保護法違反と言えないでしょうか?少なくとも希少種の繁殖を妨害している行為になる事は明確です.

→ 「卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています」とありますが,2023年のある日のイベント準備段階での事ですが,当方がまだ発見していなかった巣をコンクリブロックを重機で置こうとした際に,そのすぐ脇に重機操作中の作業員により巣が見つかり報告を受けた事がありますが,巣の脇に置いたブロックは位置を変えず,そのまま作業が行われたという経緯はあります.それが「地元野鳥の会」への連絡なのだとすると.当方が「地元野鳥の会」とされている事になりますが,当方は野鳥の会を名乗った事は無いですし,そもそも連絡をして保護を任せるという事もなく,現場と市はこちらが提案した保護方法に全く同意せず,つまり文面に「保護を行っている」とは一切かかれていない点は正直だという事になりますが,その後に千葉県で重要保護生物に分類されていると書いてある事には大きな矛盾があると言えます.

「また、キャンプ場を管理運営する根本区では、キャンプ場開設期間中にウミガメやシロチドリの卵を発見した時に、同じく地元の野鳥の会に連絡をし、野鳥の会で卵の周りをロープで囲い看板を立てて対応しています。」

→ 「根本区では」と強調しているところは市が現場対応は行わないという意味が現れています.そしてロープを張っているのは当方なので,やはり市は当方を無確認で「野鳥の会」として市のサイトに公開しているというずさんな状況.さらに作業期間中にロープを張ると邪魔になるため巣の位置に目印のみにするように指示が入っており,記載内容と事実が違っています.ロープは整地作業(砂浜内での重機の作業)が終わったあとのキャンプ場運営期間に限られていました.また文面から保護の主体は区であるかのようになっていますが,管理者としては区ですが,実際の作業,経費含め全て当方の負担となっています.文面の「区が発見して会で対応」という図式は実際には無く,発見から保護まで全ては当方によるのが実際です.根本区は2024年にキャンプ開設前の運営関係者の集会の時に保護生物に関する勉強会に時間を割いて下さり,当方でパワーポイントを用いて同区集会場にてお話しさせていただき,昨年の経緯から今シーズンは生き物との共存を目指す方向で運営して頂きました.今後,2025年度以降については分かりませんが,その方針で進めていけるようお願いをしていくつもりです.キャンプ場にお泊りの方々にご理解とご協力をお願いできればと思います.

「毎年整地する地表は固いため、ウミガメやシロチドリはそこには産卵せずに、離れた柔らかい砂の近辺に産卵することがほとんどです」

→ 地元で育った高齢者の方に伺ったお話によると,根本海岸は私が調査を始めた2001年度よりもずっと昔からウミガメの産卵地でした.そして関東大震災で隆起した砂浜が広がり,貝殻を多く含む砂質でウミガメもシロチドリも産卵に適した環境を「毎年整地する地表は固い」状態にしたのは市であり,すなわち市は重要保護生物の繁殖地を十分に調査,配慮せず長年にわたり自然海岸を人工改変して希少種の繁殖の妨害をしてきたという事を自ら言っているという事になります.

「今後も根本マリンキャンプ場は、ウミガメやシロチドリと共存できるよう関係者、団体とで協力し連携をとりながら管理運営してまいります」

→ 架空団体と協力し,連携をとり,管理運営をするのは市なのか,区なのかも不明瞭で,現場で調査から保護までを行っている当方に対しての協力も全く得られていない実状が文面になるように今後改善されるのか,次年度までに要望を伝え協力体制を整える必要がありますが,あくまでこちらからの要望があって初めて動くという受け身の状態なので書いてある事と現場の実際に大きな乖離が感じられます.こう書いてある以上,今後の対応を注視して大きく期待したいと思います.

南房総市市長への手紙についての疑問は以上です.
今後,修正される可能性がありますが2024年現時点での状況を示すものとして,今後の進展状況などをご理解いただく際に参考にして頂ければ幸いです.


写真:餌がいくらでも見つかる漂着海藻の山の中でおなか一杯(?)食べて眠くなったかのような様子のシロチドリ幼鳥.
もう飛べる翼の背中の鱗模様がきれいです.

もうひとつ関係する内容を加えておきます.
根本海岸を含む白浜町の海岸線は第2種特別地域に指定されています
参考
千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷ(PDF)
国立・国定公園特別地域内での各種行為に係る許可基準の概要(PDF)

図:千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷより引用,筆者改変し南房総エリアを示す.

上記「国立・国定公園特別地域内での各種行為に係る許可基準の概要」によると第2種特別地域での許可基準は以下のように(抜粋)なっています.

「車道の新築等」では
●大規模な切土・盛土を伴わない
●擁壁その他工作物の色彩・形態が周辺の風致景観と著しく不調和でない

「土地の形状変更」については
●植生の復元が困難な地域等で行われるものでない
●廃棄物の埋め立てによるものでないこと
●申請に係る場所以外の場所においては目的を達成できないと認められること
●範囲が必要最小限であること
●土砂の流出のおそれがないこと

「高山植物その他の指定植物の 採取・損傷」については
●学術研究その他公益上必要であり、かつ申請に係る場所以外の場所においてはその目的を達成することができない
●対象種がその地域において絶滅のおそれがない

シロチドリ,アカウミガメという保護対象生物の繁殖地保全についての問題に加え,根本海岸においてはハマボウフウ,オニシバといった保護指定植物もあり,地形改変などについても上記にも当て嵌まる作業が行われていないでしょうか?
参考
千葉県環境生活部 自然保護課 生物多様性センターホームページ内
千葉県レッドリスト動物編(2019年改訂版)
千葉県レッドデータブックー植物・菌類編(2023年改訂版)

※南房総市へ絶滅危惧種の繁殖地としての根本海岸の利用の仕方についてご意見をお持ちの方へ.
是非,南房総市「市長への手紙」 https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000008044.html へ投稿をしてみてください.
上記本文にもありますが,私の知り合いのカヤッカーの方が既に手紙を書いて下さっていて返事含め南房総市のホームページに掲載 されています.
ネット上でも「南房総 シロチドリ」と検索すると関連記事がヒットするようになっており,ご意見と市の対応を残す良い方法になりそうです.
是非ご検討ください.

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 2024年7月の出来事


写真:ついこないだまで穏やかな繁殖地として暮らしていた海岸に毎日重機が走り回る状況に戸惑っている様子のシロチドリ.(右下)
子育てをしているさなかに国が戦争を始めれば人間も同じような経験をしますが,それは自業自得.

以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します.
投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります.

2日

今朝,根本海岸内で千葉県重要保護生物指定のコチドリの巣(卵)が見つかりました.
現場海岸で重機作業を行っている会社社長に作業の配慮希望含め,その旨伝えたところ「危ないから違うとこ産め」とのこと.
どう思われますか?
これらについて役所も非対応です。
南房総市にはアニマルライツどころか自然保護という言葉もまだ理解されていない状況があります。(役所及びその周辺において)
南房総市が消えつつある市となっている根源的な理由がこのような非常に遅れた思考、姿勢にあると考えます。
今回のやり取りは私ではなく妻が行ったものですが、そのバカにした態度は酷いものでした.
念のためしておいた録音の文字お越しを載せたいところですが一応やめておきました.
特に南房総市、千葉県在住の方にとっては税金を払っている相手でもあります.
実際のやり取りの一部を載せておきます.
当方「あの卵が産まれるまでに結構時間かかるんですよね,だからその期間だけでもやめてもらうってことはできないんでしょうか?」
社長「できませんよ,海水浴場の開始が決まってるんだから,お宅のひとことで,そんなの変えられるわけない」
保護種対応の話を当方の我儘と勘違いしているようです.

以下は引用リツイートした投稿
「野鳥好きの方へ拡散のお願い。
千葉県南房総市の根本海岸で重機による海水浴場とキャンプ場整備が6/24(月)から入る事になりました。
絶滅危惧種シロチドリの巣が2カ所の保護囲いを撤去して巣の位置のみ示すよう指示がありましたが親鳥が抱卵しており卵さえ踏まなければ良いという状況ではありません。」
当日の投稿



写真:重機による海岸造成が始まって1週間頃のシロチドリの親鳥たち.
人が知る事が無い間に様々な問題が起きているはずで,その目に怒りや疲れ,戸惑いが感じられるように見えます.

9日

なんだかんだ人間がやってる中でシロチドリは雛が無事育たずに産卵を継続.
健気としか言いようがありません.
国定公園の海岸に砂以外の物を毎年持ち込んで固める役所.
巣を保護する囲いを跨いで通過する犬連れの足跡.
これでは数十年後チドリやウミガメが産卵できる場所が残っているのか心配です.
他の巣でも囲いの中に入る人が確認されています.
保護している巣内に入って卵を踏んで死なせた場合は鳥獣保護法違反と言える状況になってしまいますので,入らないようお願いいたします.

13日

本日の根本キャンプ場開場前にシロチドリ巣の囲いに看板を立てました.
内容は「生物保護中 立ち入らないようお願い致します Do not enter please」です.
絶滅危惧種の巣がある事,シロチドリである事など種に関する情報は万一盗卵や撮影などで危害が起きる事を避けるために記載しませんでした.
根本海岸はウミガメの産卵地として知られてきている為,多くの方はウミガメの卵が埋まっているのだと思ったようですが結果としては保護には大変有用でした.
ご協力ありがとうございました.
また,この日には別の海岸では新たなシロチドリの巣も発見しました.
植生さえ十分に密生していればこんなに安全に卵を産めるんだなあというサンプルのような巣でした.
根本海岸も植生群落面積を増やす方向で進めたいと思います.


写真:7/8巣で孵化した3羽の雛を連れて巣から100mほどの波打ち際で採餌中のシロチドリ一家.
左の子は海を眺め,真ん中の子は採餌に夢中,右の子は海藻に隠れてウトウト?この親子は母親が1羽で3羽を世話していました.
このあと一日一日と雛が減っていきます.
自然の厳しさと人の影響の陰を感じました.

15日

掲載した写真はいずれも同じ地域の砂浜海岸です.
写真1:滝口,2:根本ですが,時代背景的,ネイチャーポジティブ的に言うと根本海岸も1に完全に戻さないまでも少しずつ近づけていく(戻していく)必要があります).
お金の生産性が落ちるか高まるかだけで判断したら,むしろお金含め全てダメになっちゃうと思います.
ちなみに根本海岸の広大な面積のほとんどは関東大震災による隆起で広がったもので主な砂地は現在の海岸道路の山側に発達していました.
長年のキャンプ場運営の影響で植生の広がりが制御されてきた経緯があります.
大地震発生時の液状化と隆起が同時の起これば避難に送れる人が出る可能性も心配です.

その後に掲載した写真は根本海岸でまだ頑張っているネコノシタとスナハマハエトリ.
他にもハマボウフウ,コウボウムギ,ハマヒルガオ,ケカモノハシなども頑張ってます.
人が注意して利用すれば海浜植物(とそこに暮らす生物)の楽園となるでしょう.
それを愛でながらのキャンプ場なら行きたいという人も多いかと.

追加でイルカが根本沖に定住していた時期,2000年撮影のカヤックで沖から見た根本海岸の西寄りを掲載しました.
まだ建物がかなり少ないのが分かると思います.
このイルカの群れは御蔵島→洲崎→布良→根本→?という移動が確認できました.
赤ちゃんイルカは隣の布良にいた頃に産まれましたが育たず.


写真:シロチドリの巣を中央にして囲うように配置した目印の棒(赤矢印の位置)のすぐ際を走った重機の痕跡.
ここを通らなくても済むはず.
造成期間中に明瞭な囲いを設置する事は拒否されました.
むしろ必要な時期な上に巣の近辺の地形改変作業は親鳥の卵放棄の可能性を高める行為であり,間接的な鳥獣保護法違反と言えないでしょうか.

17日

このニューヨーカーのチドリ親子は十分に保護されて穏やかにシアワセそうで羨ましい.
根本海岸の,南房総のチドリたちにもそういう日が来るようにしていきたいです.

17日

メダイチドリが増えてきました.
写真のようにシロチドリとメダイチドリは一緒に動くことが多い一方,コチドリはメダイチドリと一緒に動く姿は見た事が無くて,むしろケンカしている場面が多いよう.
種毎の相性って,どんな要素があって決まるのか興味深いです.

18日

根本海岸以外でもチドリの繁殖は続いてます.
海浜植生の中で卵を抱いている母シロチドリ,親鳥に見守られながら過ごすコチドリの幼鳥,磯場で親鳥からほぼ自立したような様子で凛々しい姿のシロチドリの幼鳥.
これからますます暑い日が続くので彼らも大変.
ところでウミガメの産卵がまだ1件もありません.
チドリもウミガメもいつか南房総を見捨てちゃうんじゃないかと...


写真:7/3に発見した巣を囲う目印が設置された位置(赤矢印).
造成中の囲いは目印だけにするようにと土建業社長と根本区からの要望があり,完全な保護が出来ない状態で重機が海岸に入りました.
囲いのすぐ脇を植生を踏みながら通過した重機の痕,写真手前にも通過痕があり,すのすぐ奥の砂丘上はあっという間に人工的に加工され,植生も多くが排除されましたが,この位置もシロチドリ,コチドリが営巣する可能性のあるエリアです.

18日

海岸利用の頻度,密度が高まる季節に
なりましたの「Tアクセス」を今一度.
ご配慮よろしくお願いいたします!

19日

カヤック日記更新致しました.
2024年5月のカヤック日記です.
http://6dorsals.com/column/column.htm http://6dorsals.com/column/column.htm Bloggerにも掲載してあります.
スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします.
https://6dorsals.blogspot.com どうぞよろしくお願い致します!
投稿の写真:館山湾岸で抱卵中のコチドリ


写真:シロチドリを追いかけるコチドリ.
コチドリはシロチドリより小さいけれど気が強い傾向.
狭い海岸にシロチドリとコチドリが繁殖している状態で海岸の造成が始まるといざこざの頻度も高まるようです.

21日

朝、白浜町根本キャンプ場でシロチドリの巣の囲いの外で話した子供の言葉。
私「この中で卵を抱いてる鳥は絶滅危惧種なんですよ」
その子「絶滅危惧種!白浜の価値が上がった!」
根本海岸の生息地としての価値を一瞬で理解したとても深い意味のある言葉に感動しました。
根本海岸の未来は明るいかも。

22日

2日前ですが,南房総市太平洋岸でカツオノエボシが多めでした.
今日はもうすっかり見られずでした.
とっても痛いので触らないでください.
しかし興味深い生き物ですから観察はお勧めです.
打ちあがって間もないものは良く動きます.
でも絶対に触らないでくださいね.
過去にYouTubeにアップしたカツオノエボシの動画.

22日

そういえばシロチドリ巣のヘビによると思われる捕食例がありました.
6/11に発見6/15に抱卵も周辺に親鳥も確認できないので巣を確認すると卵が無くヘビの這った痕跡が付近にありました.
自然度が高い海岸では別のリスクがありますが,これは自然の摂理ですので.
青矢印が巣で赤矢印がヘビの這い痕.
しかしその時に親鳥がどれだけ大変だったかを想像するとやっぱり自然は厳しいなあと感じます.
ヘビに擬傷行動は効果があるのか?


写真:7/3発見巣の親子は巣の周囲にずっと留まっていて,巣周辺の植生群が天敵が来た時の重要な隠れ場所となっていました.
巣の周辺は親鳥が餌場も隠れ場所も含め熟知している場所として子育て中も利用している事が分かりました.
その点で孵化後も囲いを残す事で人や重機が雛を踏み殺してしまう可能性を下げられると考え囲いはキャンプ場が完全に閉鎖する時期まで残しておきました.
写真中央の白いのが雛,右上に親鳥.

23日

今朝,繋がれていない犬が海浜植生内のシロチドリ巣のそばを走り回っていて焦りました.
卵は無事でしたが雛連れだったら混乱は大きかった事と思います.
人がいないので安心してと思いますが,一方で人が少ない所は生物密度が高いので,その点も配慮頂き海岸でも常時リーシュをお願いしたいです.
ここは囲いや看板などの保護はしていない巣です.
「囲いがあれば」と思われるかと思いますが人目に触れにくい海岸にある巣を目立たすことで起き得る問題を回避する目的で設置していません.
「どこの海岸でもそういう希少な生物が静かに暮らしているかもしれないのだ」と考えて頂ければ幸いです.

23日

シロチドリ♂
千葉県南房総市6月3日撮影

23日

土曜夜に根本キャンプ場で「根本海岸に暮らす生き物たち」スライドショーを開催致しました.
今までで最も印象的な会場(事務所の裏のおばちゃんたちの休息場所)でしたが子供さん半数ほどの50人ほどが観に来てくれました.
そしてキャンプ場が空いてる間の毎週土曜19時開催予定です.(天気次第)
以前は海岸の中央で行いましたが,光が海側に漏れてウミガメに影響がある心配があり今回は最も光害が少ない方法をとったのでした.




写真:オカヒジキという海浜植生の中でも海辺に近い位置に生える海浜性植生が盛大に広がった今年の白浜の海岸線ではシロチドリ,コチドリ共に営巣と養雛が高い頻度で見られました.
隠れる場所が十分にある海岸では雛の様子にも余裕があり,隠れ場所のすぐそばでは堂々としているように見えます.
写真上からシロチドリの雛,オスとメスの間に幼鳥,特にオカヒジキの密度が高かったエリア.

25日

わたくしの師匠,秋山章男先生の企画展です!
科学者として長年生物を観続けてきた先生が,晩年に生物の生態を忠実にそして誰にも直感的に分かりやすく理解できるようにと様々な形で表現した作品を多数残されました.
是非この機会に千葉県が誇りにすべき秋山先生の作品を!

26日

南房総市太平洋岸で随分黒い軽石が打ちあがってました.
昨年11月の硫黄島噴火のでしょうか?
半年以上海上を漂っていたのだとしたら付着生物がほぼ見られないのも不思議.


写真:抱卵を交代するシロチドリの親.
慎重に,大切そうに,様子を確認しながらという動作の中に卵がどれだけ大切にされているのかが感じられます.

26日

先日,犬が走り回っていたところのシロチドリ巣で無事孵化が確認できました.
雛は1羽が見え親から離れた位置で漂着物の中に餌を探していました.
ここで犬の散歩が毎日行われているのは卵の時期よりも心配です.
犬の散歩の方はリーシュを短くして出来るだけ波打ち際を歩いて頂けると助かります.
雛は危険を感じると物陰でジッとしてしまうので捕食者や犬には見つかりにくくなりますが,低い確率ではありますが運が悪いと踏んでしまう可能性があると思います.

26日

6月の写真を整理しています.
海岸整備で一変した根本海岸です.
来年の根本海岸ではもうこんな困惑したようなシロチドリの姿を見たくないと思いました.
ここがシロチドリ,アカウミガメという絶滅危惧種の繁殖地であることを南房総市が十分に理解して対応するように働きかけを続けたいと思います.

28日

根本マリンキャンプ場スライドショー昨夜も予定通り開催致しました.
根本でイルカがというのは意外なようですが,時々短期間定着するミナミハンドウイルカを確認していますので来られたら,是非一度は沖を眺めてみてください.
その群れの第一発見者になるかも.
※写真使用お許し頂いております

28日

根本マリンキャンプ場内にあるシロチドリの巣では親鳥が今朝も抱卵していました.
そろそろ孵化する時期で親鳥はソワソワしているのかもです.
囲いは広めにしてありますが,周囲で動きの多い作業や運動をすると警戒して抱卵を中止してしまうので,出来るだけ離れて優しく見守ってあげてください.


写真:7/8卵発見のシロチドリの巣で孵化が確認(雛を初見)した朝に潮間帯に落ちていた卵の殻.
親鳥は孵化の痕に殻を巣から離れた場所に捨てに行くようです.
また殻の割れ方は特徴的で渦を巻くようになっています.
カラスなどに破損されたものと見分けるのに有効な指標になりそうです.

30日

前の投稿で「孵化がそろそろ」と書きましたが29日の朝孵化してました! 雛2を確認,メスが残りの卵1を抱卵していましたが,今日30日には雛2を連れて巣の数編で親鳥2が世話をしていたので卵1は残念ながら放棄かと思われます.
そしてなんと根本の西端の巣でも29日に孵化を確認!
今日30日も雛の元気な姿をが確認!
と、喜んでいられるのもつかの間で、キャンプ場内で雛が動き回って過ごしながら成長するのは、なかなかかなり心配。
卵は位置が分かっているので保護しやすいのですが雛は海藻の影、海浜植生の中、砂の表面で伏せてジッと等々…どこにでもいる可能性があるので。
どうぞご注意お願い致します!
波打ちぎわを歩いて植生を出来るだけ踏まないと少し安心です。
つまりTアクセスでお願いします!


写真:根本ではない白浜町の海岸で親鳥と2羽で行動していた,まだ飛べないシロチドリの幼鳥ですが,翼を広げるとなかなか立派.
もう飛べるのに兄弟がいないと競争心が湧かず飛ぶまでに時間がかかるのかも?

※南房総市へ絶滅危惧種の繁殖地としての根本海岸の利用の仕方についてご意見をお持ちの方へ.
是非,南房総市「市長への手紙」 https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000008044.html へ投稿をしてみてください.
以下本文にもありますが,私の知り合いのカヤッカーの方が既に手紙を書いて下さっていて返事含め南房総市のホームページに掲載 されています.
ネット上でも「南房総 シロチドリ」と検索するとトップにヒットするようになっており,ご意見と市の対応を残す良い方法になりそうです.
是非ご検討ください.

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