2024年8月の出来事
写真:根本海岸の東寄りの海岸で産まれたシロチドリの雛と母鳥. 雛はもう1羽いましたが,ある時いなくなってしまい雄親も先に越冬地へ行ってしまったのか母子2羽で過ごしていましたが,この子は無事飛べるようになるまで育ちました. 写真:上の写真と同じ日の同じシロチドリ親子が写っています. 白く光る2つの点がそれです. この時は朝日が横から照らしている事と砂地の上にいる状況により背景の暗さで見つけやすかったですが,砂の色合いに似た体色のため砂表面に紛れると見つけにくくなります. 左は母鳥,右が雛.親鳥はスズメより少し大きめくらいのサイズ,雛は産まれてしばらくは手のひらサイズという鳥です. 雛を連れて親子でいる場合は人を素早く避けるので海岸では遠目にしか見ることが出来ず,雛は人や犬,トビ,カラスが急速に接近した場合は漂着物などの物陰か隠れる場所が無い場合は砂地にうずくまってジッと動かなくなり,目の前の地面にいても見つけることが困難になるため,よほど注意しないと踏みつけて殺してしまう可能性があります. シロチドリ等の地面に産卵し,雛を海岸の広い範囲で養育する種の保護と海水浴場の両立には課題が山積みですが,適度な規制と知識の普及で問題が大きく減っていくはずです. 以下は今月のX(旧Twitter)投稿より引用し追記します. 投稿日が投稿内容の観察日ではない場合もあります. 7月31日(追記投稿が8月に及んでいるので掲載) 6月に観察していた片脚でケンケンで頑張っていたシロチドリの雛. もうこの後くらいから見る事が無くなってしまったけど頑張って生きてたなあと改めて写真見て泣けてきました. 移動速度が普通の雛の半分以下です. この雄親も普通の雛を守る時と違った対応をしていて凄いなあと感心しました. この子は左脚が無くなっているわけではなく,写真のように上げたまま動かせないといった様子の状態でした. 先天的なものなのか,何か事故でなのかも全く分かりませんが,生き延びるのは難しそうです. 鳥は片脚で普通に過ごすし,短距離ならケンケンで移動する事もあるけれど,雛が軟らかい無い砂の上で片足で跳ね進むというのはとても大変だったようで,少し移動しては座り込んでいました. 当日の投稿 写真:自分の生まれた海岸にやって来る他の種類の鳥たちに混じって波打ち際で餌を探すシロチドリの雛(左). ここで様々な経験をして育つことも,その後の生涯に重要な役割を果たすのだと想像できます. また他種も採餌に来る餌の豊富な環境はそういう点でも大切と分かります. 希少となって来た砂浜に暮らすこのような鳥の餌である生物の生息に重要な海藻などの漂着有機物を砂浜に残す事をこれからの時代には重視する必要があります. 2日 私自身がシロチドリを観察,撮影する場合に気を付けている事を書き出してみました. 〇十分な距離 (正しい距離感が難しいがシロチドリが行動を変えない位置か,行動を変えた場合には後退して距離をとるか早めに通過してシロチドリが安心して元の行動になったところから観察) 〇できるだけシロチドリの目線よりも低い位置を保ち,見下ろすような位置で観察しない (シロチドリは自分の目線より高い位置の者には警戒心が強く,低い位置にいる者には警戒心が弱いので,親鳥が不安になりやすい抱卵の様子や雛を観察する場合には写真(X投稿参照)のように潮が退いたところから,シロチドリからはこちらの頭しか見えないようにして観察) 〇親鳥が抱卵を中止し巣から離れたり,観察者の周辺で擬傷行動を行ったら即座にその位置から離れる (親鳥が観察者に接近してくるのは擬傷行動を伴わなくても子を護るために敵の気を惹いている状態=十分な距離が保てていない,もしくは観察者が気づいていない雛や巣が近辺にあり観察者が卵,雛に気づかずに危害を加えてしまう可能性のある危険な状態) 〇巣に雛がいるのが見える状態で親だけが巣を離れ雛が動かない場合は即座に少なくとも数十メートルの距離まで離れる必要 (孵化してまだ時間が経っていない状態で動けない雛がいるか孵化していない卵があるため雛を避難させることが出来ず,親鳥は特に危機的と感じる状態と判断し距離を置く) 〇いずれにしても巣の近くや雛連れの親子がいる場所に長時間滞在しない.長くても5分程度にすることで採餌や親鳥の警戒の負担を最低限にする. 〇雛連れの親子の観察の場合は十分な距離とともにシロチドリが逃げる場所へのルートを確保する為に砂丘潮上の陰か潮間帯で観察を基本にする. 以上は現場を観察し続けて当方で自主的に考え決めた事ですが砂浜や開けた地面の上で営巣する種にはある程度応用できるかなと思います. よろしければ是非参考にしてください. ただし観察者が多い場合には新たに考慮するべきことが増えるはずですが,根本海岸等南房総エリアでの観察では観察者が他に滞在しているという状況がほとんどない状況での場合です. 何より危害を加えず,自然な状態の観察を優先すれば対象生物にも害が少ないというのは生物全般で同じかと思います. 当日の投稿 写真:雛が1羽写っています.見えますか? 張り巡らせてある棒とロープは巣(卵)があった場所の周囲を保護し,親鳥の抱卵の妨害が起きないようにする為に当方が設置したものですが,巣があった場所の周辺は雛にとっては自分が卵だった時代からの馴染みの場所として,親鳥も隠れ場所,餌場と十分に状況を知っている大切な場所として雛が育つ間利用されることが分りました. そのため,巣の保護目的だった囲いは雛が飛べるようになるまで保持する事が必要と判断し,今シーズンは根本海岸の2か所において,そのような処置をしました. 4日 今シーズン,土曜夜19時から根本キャンプ場で行っている「根本海岸に暮らす生き物たち」スライドショーをこの週末も開催しました. 内容はイルカ、ウミガメ、昆虫、甲殻類、漂着生物、海浜植生と30分ほどに詰め込んでいます。 キャンプ宿泊の方だけではなく海水浴場入場の方も観て頂けますので是非お越し下さい. 投稿の写真では大人のお客さんでよく見えないですが,最前列に椅子に座った小学生がギッチリでした! 質問もあって,嬉しかったです! そして今の子は凄くいろいろ知ってるので驚きました! テレビだけでなくインターネットで能動的に興味を突き詰めることが出来る時代が作用しているようです. そんな中,あえて現場で紙芝居的にアナログ感のある情報伝達をして彼らの世界の広がりを期待しています. 今回最も伝えたかった浜の鳥,チドリの営巣については多めにお伝えしています! スナハマハエトリが浜のハエを食べてる大写しは大抵誰かが「タランチュラ!」って言うのが楽しみです! 当日の投稿 5日 今日は平砂浦海岸の調査でした. 大元はウミガメの産卵調査として20年ほど前に始めた事ですが,海浜植生からチドリ,漂着もの,その他いろいろ(なんでも?)な調査となっております. 自転車を活用して大潮時に行います. この日,シロチドリの雛を確認し,6月に発芽したグンバイヒルガオが成長している事も確認できました. そして19日には5日に見たのとほぼ同じ場所でシロチドリの親子がいて,多分同じ家族と思いますが,雛が飛びました! こういうのが嬉しいですね. しかし今年の夏は身体に不具合が出て平砂浦と千倉方面の20年ほど続けてきた調査のやり方を貫けませんでした. 寄る年には...という言葉が浮かびますが,その時その時,出来る事は生涯続けていくつもりです! 当日の投稿 5日 雑誌kayakVol.85発売しました。 季刊誌ですので、何気に20年以上続いてる、しかし本屋には置いてないシーカヤック専門誌です。 シックスドーサルズ藤田連載の「カヤック乗りの海浜生物記」は67回であっという間の15年以上続いてますが、いつも気の向くまま好きな生き物のこと書かせてもらってます。 今回の内容は「海の生き物の声をヒトに伝えるのがカヤッカーやその他の海のアクティビティを行う者の役目では?」というものです。 是非読んでみて下さい。 amazon kindleでも読めます! 当日の投稿 写真:根本海岸の巣の保護囲いについての看板の日陰を時々利用していた賢いシロチドリの雛. 生まれて間もない雛がなんでこんなに生活力があるのか不思議なくらいシロチドリ,コチドリの雛は成長が早いです. 巣の中で兄弟を押し退けながらいつまでも親鳥に餌をねだっている鳥と比べると狭い巣の中に長くいる事が幼児期の成鳥を遅くする面があると感じられ,考えてみると人間の成鳥にも言えることかもしれないと感じたりします. 昔の人が良く言っていた「かわいい子には旅をさせろ」は現代でこそ大切なことかもしれません. 6日 根本海岸で7/8発見のシロチドリ巣の雛は7/29に3羽が孵化していますが,既に最後の1羽になってしまいました. 海岸で親鳥と一緒に掌サイズの雛が親の給餌なしで自ら餌を探しますが,これを見ると彼らにとって漂着物が重要な餌場という事が分かっていただけると思います. なんとか生き延びてほしいと毎日思いながら観察していました. Xでアップした動画は少し再生速度を落としてあります. 実際は凄く早い動きなのです. 追加投稿での写真の方は雛が中央辺りに小さく写っています. 親鳥と雛が怖がらずに出来るだけ自然な行動を観察できるように砂丘頂上の植生の陰から撮影しています. 動画もこの位置から撮影したものです. 親鳥は写真右上で雛の様子を見ながら周囲も警戒しつつ自身も採餌中でした. 親鳥は100mくらい離れたところの人や犬,カラス,トビにも敏感に反応します. 当日の投稿 7日 この日の朝には前日の投稿のまさにこの場所で大型犬複数をノーリーシュで遊ばせている家族がいて,雛はどうなったかと心配でしたが植生群の中に隠れていたようで無事生きていました. ただ生きていれば良いという訳でもなく,猛暑が続く中,涼しく人が少ない雛にとって重要な朝の採餌時間を奪われてしまった事になります. 犬の係留義務というのが 「千葉県動物の愛護及び管理に関する条例」にありますね. 当日の投稿 8日 久々にハヤブサに遭遇. 当日の投稿 写真:7/3に発見した巣の囲いの海側で餌を探していたシロチドリ雛(中央). あまりに波に無頓着で,まだ飛んで逃げることが出来ないのですから台風の大波が寄せる時期は一発大波が寄せたら逃げ切れないのではないかと見ていて心配でした. しかし実際には非常に素早く走るため波に浚われるということは起きませんでした. それでも多分,稀には起き得る事と感じます. 更には大雨で増水した河口部で流されるという場合もあり得ます. 実際に川を渡ろうとした雛が水面に浮いて流されていく様子を観察した事があります. この時は海に到達する前に浅瀬で立ち上がり助かりましたが,少なくとも雛は足が届かない場所でまるで水鳥のようにきれいに浮き立ちながら水面で浮いていられるという事が分かりました. つまりそれは,もしも浮いてしまっても即座に死なない為の仕組みなので,水に流されるケースがあっての適応と言えそうです. 根本海岸から台風の雲が見えました. 小笠原の近くに立っている雲なのであそこまで900㎞くらい. 海は見晴らしがよいですね. これについての真偽は定かではないかもしれませんが,衛星画像上で観察位置から台風までに雲らしい雲が見えない中で,台風の方角に見える巨大な雲となると,やはりまさかレベルの視界が空気の澄んだ南房総南方海上にはあるのかもと考えています. その他にもいろいろと条件があるわけですが,見えないと言い切ることもできないようです. 少なくとも100㎞先の高さ4㎞弱の富士山がすぐそこにあるかのように見える南房総ですので,きっと. 当日の投稿 9日 今朝も根本の東端,西端それぞれのシロチドリ親子は元気でした. ♀親のみでそれぞれ1羽の雛を世話しています. 同じ海岸で同日に孵化したのですけれど,東と西で漂着物の量の違いがあり,食べ物も多少違いそうです. 漂着物が少ない西端の雛はオカヒジキ内でよく採餌しています. どんな食べられそうなものがあるのかを見てみようと,あとで行ってみるとアリが多数オカヒジキにいました. 雛の餌興味深いです. ここの巣の囲いも東にある7/3巣同様に親子の避難場所としてそのままにしてあります. 当日の投稿 写真:巣があった場所(落ちている枝の辺り)で寛ぐ母鳥と雛. この巣跡の手前に設置してある棒とロープはは6月に砂丘の植生内に見つかった巣を保護する為に設置したものでしたが,ある時から抱卵が行われなくなり,卵が無くなっていました. おそらく捕食されたものと思いますが,その後もツガイはその周辺で過ごす事が多く,交尾も確認された事から再度同じような位置で産卵する可能性を考えて囲いを残していたところ,砂丘麓の植生群の外の囲いギリギリの辺りに再度産卵され,そのままの囲いで保護してきたものでした. 親鳥は気に入った場所で繰り返し産卵する事が分かり,恐らくは毎年ある程度同じような好みの位置を使う可能性があります. 個体識別ができていませんので確かな記録としてそれについて残せませんが,今後確認していく必要のある事項です. また上の写真でも書いたように,孵化後の雛の養育期への産卵エリアの役割もありますので,今後の保護に役立てるよう記録を積み上げます. 10日 今日の根本海岸は台風の高波が寄せています. そんな中,シロチドリの雛は餌探しに一生懸命でした. 高波が寄せる海側に雛を追い込んでしまわぬようご配慮お願いいたします. また人間の皆様も波打ち際で一発大波に足を取られぬよう様に十分にご注意ください. 一度浮いたら最後という場合もあります. Xの投稿では 第三管区海上保安本部ウェブサイト より画像お借りしました. 釣りに関する注意喚起ですが,釣りに限らず海辺はどこも同じです. 水辺からの距離を十分にとってください. あと,今の状況では地震~津波への警戒も怠りませんようお願いいたします. 根本海岸は関東大震災の隆起に伴って形成されたばかりの若い砂浜です. 過去には大きめの地震時に液状化も確認しています. 液状化すると脚が埋没し歩けなくなります. 揺れたらすぐに走って海岸道路より山側に行くのが正解です. 当日の投稿 11日 今朝は台風の高潮状況を記録しながら移動していたら新たなグンバイヒルガオを発見しました. 地面に近い位置の葉が食害に遭っていて食主が知りたいと思いました. バッタの類はあまりいない場所なので多分,ハマダンゴムシでは?と思っています. 冬までにどのくらいまで育つかを記録したいと思います. あとはミサゴを2羽確認しました. 自分の見ているエリアは夏にはミサゴはそんなにいないので大切な記録となります. 9月1日の追記:このグンバイヒルガオは台風7号の高潮ですっかり消失してしまいました. 当日の投稿 12日 8日以来またほぼ同じ場所でハヤブサに遭遇. 岩場を周り込んだらバッタリ. 暫くこちらの様子を見てましたが低空で逃げていきました. 近くで見るハヤブサは人間からすれば可愛く格好いい. けど小さな鳥たちから見れば脅威なんでしょう,いつもいるようなハクセキレイとかも周囲にいなくて気配は感じますね. 当日の投稿 写真:ある日,岩を周り込んだところで出くわしたハヤブサ. シロチドリ,コチドリの雛を狙っているような繁殖地での低空での飛行を見たことがありますが,実際にどれくらい捕食があるのかは確認できていません. また恐らく雛よりも親鳥が狙われる可能性の方が高いのではないかと考えています. シロチドリ,コチドリの親鳥は天敵に敢えて目立つように行動し雛や卵を守る行動をするからです. 13日 福井に居着いているイルカが人を噛んだというニュースがまたありました. 人の方の接し方が悪いのでは?と思うけど現場を観てないので何とも言えないのですが,イルカをある程度の期間身近に観察して来たひとりとして言うと「イルカに対してこちらからやった事は倍返しという事になる,良い事も悪い事も」,という風に思います, ミナミハンドウイルカの生息地で長年行われてきた御蔵島のイルカウォッチング(スイム)のルールも参考になるかと。 ニュージーランドに昔現れて人と仲良くなったイルカのオポの様子がどんなだったかXの投稿に貴重な当時の動画が紹介されているYouTubeを貼っておきました. 実はこの伝説の地,オポノニに昔ですが行ってみた事があります. 素敵な環境に今は静けさが充満している素晴らしい場所で,そこにフレンドリーなイルカが居着いてヒトと仲良くなり,観光客がどっと押し寄せたのだそうです. そしてオポがその入り江で死んでしまうまでにいろいろなことがあったのです. 私は当時館山でイルカ観察を始めていたので,イルカとヒトの触れ合いの中で起きる様々なことについていろいろと気になったので,現場に行けば何か感じられるかもと思っていたのでした. イルカの種によっての性質の違い、個体差もありますし,ひとくちに野生のイルカと言ってもヒトとの関係はあまりに難しいです. 今時の日本ではほぼ出逢わないですが,大型の野犬が身近な場所に居着いたからといってすぐに近づかないですよね?ほぼ同じ事と思います. 海でミナミハンドウイルカに遭遇したら2.5mの野犬が泳いでると考えましょう. 「イルカにかまれ20代男性2人けが」福井県美浜町の海水浴場、福井新聞ホームページ8月12日午後 2024年8月13日 午前6時00分 当日の投稿 21日 8月26日(月)に白浜地域づくり協議会「きらり」主催で「白浜の海の生きものたち」というタイトルで講演を行います. 夏休みの企画としてお子様向けに画像主体でお話ししたいと思います. 南房総の海の好きな大人の方のご参加も是非! 親子で是非お気軽にご参加ください. そして26日当日,無事終了いたしました! 白浜地域づくり協議会「きらり」の皆様,本当にありがとうございました. 南房総の中でも特に自然の豊かな白浜の自然が地元で再認識されることを願っております! 環境勉強会 講演会の開催について 白浜地域づくり協議会「きらり」 当日の投稿 22日 根本のシロチドリ親子. 今朝は7/3発見巣の親子を数日ぶりに再確認できました!凄くホッとしました. 一方,西端に陣取っている7/8発見巣の親子は見当たらず. 高頻度で滞在していた流木の陰に白い羽毛が残っていて捕食シーンを連想させ,周辺には猫らしき足跡が. 無事でいてくれたらと願っています. 当日の投稿 写真:少し大きくなってきて翼がムズムズするのか羽搏く仕草をする雛. あまりピントが合っていないですが好きな場面なので. こうなるとどんどん動きが早くなって親鳥は大変そうですし,目立つ上に隠れるにも身体のサイズが大きくなってカラスなどの天敵への警戒の度合いが増し,実際に突然いなくなる(恐らく捕食された)雛も多くなり,お聴く育って売れ良く思う反面心配が増します. 勝手に観察している我々でもそうなので,親鳥の心配はとても強いでしょう. 写真:上の写真と別の海岸の個体ですが.飛べるようになったばかりの頃のシロチドリ. 親鳥の給餌も受けず,危険な砂浜で過ごしながらほんの1カ月ほどで自分で餌を採りながら育つシロチドリの雛の強さを感じ,感激してしまう場面. 写真:この写真の直前に波に驚いて5mほど飛ぶ姿を確認した根本海岸のシロチドリ雛. ちょっと得意げな表情に見えるのも,こちらの感情移入のため? 25日 2024年6月のカヤック日記更新致しました. http://6dorsals.com/column/column.htm Bloggerにも掲載してあります. スマホで表示に不具合がある場合は横画面でお願いします. https://6dorsals.blogspot.com X掲載の写真は「根本海岸で産卵したシロチドリの親が巣の保護囲いの縁で警戒中.右に写っている投棄建材が気になります.」 当日の投稿 26日 夏季スケジュール(13-18時)が間もなく終了し,通常スケジュール(9-15時)に戻ります. 秋の海は適度な気温で熱中症の心配も少なくなりシーカヤックに最適ですので,是非お試しください. シーカヤックは水に浸からないのでクラゲに刺される心配が少ないのも良いところです. 当日の投稿 26日 南房総市太平洋岸のシロチドリの子の写真をXでアップしました. この数日親鳥(母のみ)が見当たらず,子だけで滞在している様子で気になっていました. 今まで見た中で親鳥だけいなくなるという例を見ていないので生態を知るという事ではとても興味深いですが,どうも親がいた時より雛の元気な無いというかボンヤリしているような様子で勝手に心配しています. 当日の投稿 27日 写真は16日に東方沖を通過した台風7号で沢山打ちあがった海藻. こんなに大量の海藻もハマダンゴムシの食欲と埋没とで10日でここまで減るので放っておいてあげた方が海岸生態系にとってプラスなのです. 人間には臭くて気持ち悪いこれが海岸の生き物にとって大切な海からの贈り物なのです. 写真1:8/17 写真2:8/27 人も肥料にするために拾い集めて海岸で干す人,食用の海藻を拾い集める漁師さん,と使い方を知っていれば人間にももちろん有用です. しかしそういう人たちはこの20年でずいぶん減ってしまいました. ハマダンゴムシの食事姿を見てみたい方はこちらです。※人により閲覧注意かもです?? 「ハマダンゴムシの摂餌 2022年6月7日 南房総市太平洋岸」6DORSALS KAYAK SERVICES YouTubeチャンネル 今までずっとこういう漂着物を人が排除し続けてきた海岸では分解者が少なくなってしまっている可能性が高いので突然放置するとこうはいかないかと思いますのでご注意下さい。 まずはそういう生き物に食べ物である漂着物を残すよう気遣いながら彼らをを育まないとですね。 29日には餌が沢山いる打ち揚げ海藻を目指してやって来たキョウジョシギ×2と一緒に付いて回りながら餌を食べていたトウネン. この時期に海藻が沢山打ちあがると立ち寄る主要メンバーの写真を追記. こういった鳥たちにとって打ち上げ海藻はとっても大切なのです. 当日の投稿 写真:雛がよく日陰を利用しながら天敵から身を隠したり,更に奥の植生への避難経路としていた砂丘下にあった大きな流木. 写真:同じ流木の左端の上で警戒姿勢のシロチドリの親. こういう何気ないものがシロチドリ親子にとってとても大切な役割をはたしている事が分かる例です. 海岸の様子を急に改変することの害を象徴しています. 8月のXからの引用は以上です. 南房総市市長の手紙へ私の知り合いが出してくださった手紙の回答が現在(2024/10/12)掲載されていますが,市の回答に非常に疑問点が多いこと,誤解を招く記載がある事をここで書いておきたいと思います. 以下は『令和5年度の「市民の声」』https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000020181.htmlより引用し,市の回答の疑問点を下に書きます. 以下引用 根本マリンキャンプ場の絶滅危惧種の保護について 初版公開日:[2024年03月06日]更新日:[2024年3月6日]ID:20181 昨年、インターネットで根本マリンキャンプ場が開かれる海岸は、県が指定している絶滅危惧種のウミガメとシロチドリの繁殖地であることを知りました。毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するため、ウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるそうです。 太平洋に突き出た房総半島の南端は、地理的に海辺に生きるものたちにとって非常に重要な繁殖地となっていると思います。 人間によって絶滅の危機にあるウミガメやシロチドリを今救えるのは南房総市の対応だと思います。 南房総市が誇る豊かな自然を、そしてウミガメやシロチドリと共存する海岸をぜひ未来につなげるご対応をお願いいたします。 回答 根本マリンキャンプ場の管理運営は、市と地元の根本区とで協定を締結し、根本区が指定管理者として行っております。また根本海水浴場は条例に基づき南房総市で安全確保、事故その他の危険発生防止に必要な施策を講じているところです。 毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するためウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるとのことですが、整地する業者は、作業前に整地場所を歩いて、ウミガメやシロチドリの卵やヒナがないか確認してから作業を行い、卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています。また、キャンプ場を管理運営する根本区では、キャンプ場開設期間中にウミガメやシロチドリの卵を発見した時に、同じく地元の野鳥の会に連絡をし、野鳥の会で卵の周りをロープで囲い看板を立てて対応しています。 毎年整地する地表は固いため、ウミガメやシロチドリはそこには産卵せずに、離れた柔らかい砂の近辺に産卵することがほとんどです。 今後も根本マリンキャンプ場は、ウミガメやシロチドリと共存できるよう関係者、団体とで協力し連携をとりながら管理運営してまいります。 なお、千葉県ではアカウミガメ、シロチドリは「A最重要保護生物」に分類され、環境省では、アカウミガメ(絶滅危惧IB類(EN))、シロチドリ(絶滅危惧II類(VU))と公表しています。 この度は、貴重なご意見をありがとうございました。 (問い合わせ先:商工観光部観光プロモーションン課 電話:0470-33-1091) 引用以上 写真:台風の通過で根本海岸に打ちあがった凄い量の海藻の山. これをゴミと思うか貴重な生物の餌と見るかで価値と意味が大きく変わります. 実際,この漂着海藻は10日ほどでハマダンゴムシをはじめとした小さな生物に食べられながら,潮位の上げ下げで揺さぶられつつ,日差しによる乾燥と分解,波で被せられる砂等により埋没し砂の中で更に分解が進行する形で砂の表面の人への不快度は急速に下がりました. そして分解が進んだ海藻の中に無数の甲殻類や昆虫が発生する事で様々なシギ,チドリなどの鳥が集まって採餌を行うことが出来ます. この浜で繁殖をするチドリをはじめとして長距離の渡りの途中であるシギもある程度の日数ここに滞在し渡りの体力を養っていました. 以下は疑問点です. 「毎年キャンプ場として重機で砂浜を整地するためウミガメやシロチドリの卵やヒナが知らないうちに犠牲になっている可能性があるとのことですが、整地する業者は、作業前に整地場所を歩いて、ウミガメやシロチドリの卵やヒナがないか確認してから作業を行い、卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています。」 → 今年も毎日通い,今年の整地期間中は特に立入に制限をされたので,作業が始まる前の朝のうちに現場入りしていましたが,作業前に整地場所を歩いて確認しているところは確認していないのは不思議です.また卵が産んであると当方が確認したうえで保全する為に設置した囲いの中を歩いているということがある段階で分かりました.「歩いて」「確認」しているのは既に卵が産んである保護囲い内の事で,新しく産卵していないかの確認を行っているという意味ではないという事になりますが,文面はそういう意味にもとれるように書いたようにも読めます.既に産卵してある囲い内を歩く事で抱卵を妨害し,卵の位置も生態も分からずに卵を踏んで破損する可能性も高い状態があるという事になります.シロチドリ,コチドリの卵は状態に寄りますが,ほぼ砂に埋もれるように親鳥がしている日もあり,そういう場合にはよほど慣れていなければ見つけるのが困難です.市が希少生物である同種について調査経験のない業者に保護を任せる姿勢は疑問です.絶滅危惧種の巣があると分かっていながら巣の近辺を歩き卵を破損すれば鳥獣保護法違反と言えないでしょうか?少なくとも希少種の繁殖を妨害している行為になる事は明確です. → 「卵等を発見した時は業者から地元の野鳥の会に連絡をしています」とありますが,2023年のある日のイベント準備段階での事ですが,当方がまだ発見していなかった巣をコンクリブロックを重機で置こうとした際に,そのすぐ脇に重機操作中の作業員により巣が見つかり報告を受けた事がありますが,巣の脇に置いたブロックは位置を変えず,そのまま作業が行われたという経緯はあります.それが「地元野鳥の会」への連絡なのだとすると.当方が「地元野鳥の会」とされている事になりますが,当方は野鳥の会を名乗った事は無いですし,そもそも連絡をして保護を任せるという事もなく,現場と市はこちらが提案した保護方法に全く同意せず,つまり文面に「保護を行っている」とは一切かかれていない点は正直だという事になりますが,その後に千葉県で重要保護生物に分類されていると書いてある事には大きな矛盾があると言えます. 「また、キャンプ場を管理運営する根本区では、キャンプ場開設期間中にウミガメやシロチドリの卵を発見した時に、同じく地元の野鳥の会に連絡をし、野鳥の会で卵の周りをロープで囲い看板を立てて対応しています。」 → 「根本区では」と強調しているところは市が現場対応は行わないという意味が現れています.そしてロープを張っているのは当方なので,やはり市は当方を無確認で「野鳥の会」として市のサイトに公開しているというずさんな状況.さらに作業期間中にロープを張ると邪魔になるため巣の位置に目印のみにするように指示が入っており,記載内容と事実が違っています.ロープは整地作業(砂浜内での重機の作業)が終わったあとのキャンプ場運営期間に限られていました.また文面から保護の主体は区であるかのようになっていますが,管理者としては区ですが,実際の作業,経費含め全て当方の負担となっています.文面の「区が発見して会で対応」という図式は実際には無く,発見から保護まで全ては当方によるのが実際です.根本区は2024年にキャンプ開設前の運営関係者の集会の時に保護生物に関する勉強会に時間を割いて下さり,当方でパワーポイントを用いて同区集会場にてお話しさせていただき,昨年の経緯から今シーズンは生き物との共存を目指す方向で運営して頂きました.今後,2025年度以降については分かりませんが,その方針で進めていけるようお願いをしていくつもりです.キャンプ場にお泊りの方々にご理解とご協力をお願いできればと思います. 「毎年整地する地表は固いため、ウミガメやシロチドリはそこには産卵せずに、離れた柔らかい砂の近辺に産卵することがほとんどです」 → 地元で育った高齢者の方に伺ったお話によると,根本海岸は私が調査を始めた2001年度よりもずっと昔からウミガメの産卵地でした.そして関東大震災で隆起した砂浜が広がり,貝殻を多く含む砂質でウミガメもシロチドリも産卵に適した環境を「毎年整地する地表は固い」状態にしたのは市であり,すなわち市は重要保護生物の繁殖地を十分に調査,配慮せず長年にわたり自然海岸を人工改変して希少種の繁殖の妨害をしてきたという事を自ら言っているという事になります. 「今後も根本マリンキャンプ場は、ウミガメやシロチドリと共存できるよう関係者、団体とで協力し連携をとりながら管理運営してまいります」 → 架空団体と協力し,連携をとり,管理運営をするのは市なのか,区なのかも不明瞭で,現場で調査から保護までを行っている当方に対しての協力も全く得られていない実状が文面になるように今後改善されるのか,次年度までに要望を伝え協力体制を整える必要がありますが,あくまでこちらからの要望があって初めて動くという受け身の状態なので書いてある事と現場の実際に大きな乖離が感じられます.こう書いてある以上,今後の対応を注視して大きく期待したいと思います. 南房総市市長への手紙についての疑問は以上です. 今後,修正される可能性がありますが2024年現時点での状況を示すものとして,今後の進展状況などをご理解いただく際に参考にして頂ければ幸いです. 写真:餌がいくらでも見つかる漂着海藻の山の中でおなか一杯(?)食べて眠くなったかのような様子のシロチドリ幼鳥. もう飛べる翼の背中の鱗模様がきれいです. もうひとつ関係する内容を加えておきます. 根本海岸を含む白浜町の海岸線は第2種特別地域に指定されています. 参考 千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷ(PDF) 国立・国定公園特別地域内での各種行為に係る許可基準の概要(PDF) 図:千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷより引用,筆者改変し南房総エリアを示す. 上記「国立・国定公園特別地域内での各種行為に係る許可基準の概要」によると第2種特別地域での許可基準は以下のように(抜粋)なっています. 「車道の新築等」では ●大規模な切土・盛土を伴わない ●擁壁その他工作物の色彩・形態が周辺の風致景観と著しく不調和でない 「土地の形状変更」については ●植生の復元が困難な地域等で行われるものでない ●廃棄物の埋め立てによるものでないこと ●申請に係る場所以外の場所においては目的を達成できないと認められること ●範囲が必要最小限であること ●土砂の流出のおそれがないこと 「高山植物その他の指定植物の 採取・損傷」については ●学術研究その他公益上必要であり、かつ申請に係る場所以外の場所においてはその目的を達成することができない ●対象種がその地域において絶滅のおそれがない シロチドリ,アカウミガメという保護対象生物の繁殖地保全についての問題に加え,根本海岸においてはハマボウフウ,オニシバといった保護指定植物もあり,地形改変などについても上記にも当て嵌まる作業が行われていないでしょうか? 参考 千葉県環境生活部 自然保護課 生物多様性センターホームページ内 千葉県レッドリスト動物編(2019年改訂版) 千葉県レッドデータブックー植物・菌類編(2023年改訂版) ※南房総市へ絶滅危惧種の繁殖地としての根本海岸の利用の仕方についてご意見をお持ちの方へ. 是非,南房総市「市長への手紙」 https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000008044.html へ投稿をしてみてください. 上記本文にもありますが,私の知り合いのカヤッカーの方が既に手紙を書いて下さっていて返事含め南房総市のホームページに掲載 されています. ネット上でも「南房総 シロチドリ」と検索すると関連記事がヒットするようになっており,ご意見と市の対応を残す良い方法になりそうです. 是非ご検討ください. 6DORSALSのSNSリンク 随時活動報告,南房総の海の風景をお伝えしております. 是非フォローお願いいたします! |